1. Q's HP
  2. Esperanto
  3. Miaj Pensoj

発音

はじめに
発音に関連する Fundamenta Gramatiko de Esperanto(以下単に Fundamento と略称) の規則は以下の事項であろう。
アクセントについて
B-9 : アクセントは常に最後から2番目の音節におかれる。

アクセントについては上のように規定されている。これは問題ないのだが、ほとんどの日本のweb学習ページでは、アクセントのある音節は少し伸ばして発音し、伸ばして発音しにくいものは強めに発音すると解説されている。1部のweb学習ページでは、母音のあと子音が連続するときは短くするなどと細かく解説してある。しかし Fundamento にそのような記述は一切ない。本当にそうなのだろうか?

エスペラントの単語はアクセントの違いによって意味が変わるわけではないし、アクセントは単に単語の区切りを聞き取り易くするのが目的のように思われる。したがって長くとか強くとかについて神経質になる必要はないんじゃないかと思っていた。お国お国のアクセント方法でかまわないんじゃないかと。たまたま Bertilo WENNERGREN(PMEGの著作者) の "Detala lernu!-gramatiko" を入手(pdf ダウンロード可)できたので、読んでみたら、

La longeco de la vokaloj estas en Esperanto tute sensignifa. Oni povas elparoli ilin longe, mezlonge aŭ mallonge, laŭplaĉe.
母音の長さはエスペラントにおいて全く無意味である。好みによって、長く発音することも、中ぐらいに長く発音することも、あるいは短く発音することもできる。

と書いてあった。納得!

ux と j
ux については Fundamento に、

Rimarko 1: La litero ŭ estas uzata nur post vokaloj.
A 註1 : ŭ は母音の後にのみ使われる。

という注意書きがある。実はこの註は、仏、英、独、露、波語の5カ国版ののうち、独語版と露語版の条文にのみ付属するようで、ŭ は常に二重母音として使われるという意味のようだ。実際 ankaux、preskaux、apenaux、euxropo といったように母音に続いて ŭ が現れることがほとんどである。

では母音に続かないで使われるような単語はないかというと、PIV には、uxa (擬音語)、uxato (電力の単位)などが載っている。ǔono (韓国の通貨単位) もあるという記事を読んだこともある。Fundamento の中の Ekzercaro に ux の名称を uxo と書いてあったりと、極少数ながら存在する。この場合、子音扱いとなって「ワ」「ウォ」と発音するのであろう。

こういう状況ならどうせ自分など5カ国語版の Fundamento なんて読めないが、全ての言語版にこの註をつけて改訂版を出すか、ux で始まる語を他に変えるかにしてもらえるとスッキリするのだが... まあ改訂版 Fundamento が出ることなどあり得ないことは十分承知している。

日本語の固有名詞の場合、ワ行の音をどのように表記するか悩ましい。「沖縄」をもし Okinaŭa と綴ると、「註1」に従うと、O-ki-naux-a という音節になるはずで、発音すると「オキナゥア」となる。もしこの註がなければ、O-ki-na-uxa という音節構成になり「オキナーワ」と発音されることになる。

通常 w は v に置き換えることが多いようだ。例えばワインは vino、ワルツは valso だ。「沖縄」は無難に Okinava とするところか?

j も Fundamento では言及されていないが、実は sxajni, kaj のように二重母音的に使われることがあるようだ。しかしこちらは ux と違って歴とした子音なので、vojo, januaro などと子音で発音する単語は多い。つまり j + 母音 はヤ行で発音するということになる。だから krajono はクラィオーノでなくクラヨーノと発音する。Ekzercaro にわざわざ kra-jo-no とハイホンで区切って音節を示してある。

それに従えば、東京を Tokjo と綴ると、To-kjo という音節構成でなく Tok-jo となるのでトクヨと発音することになる。j について、日本語の拗音のように発音すると解説してあるweb学習ページがあるが、間違いではないだろうか?

エスペラント界の泰斗である藤本達生氏の verkoj の中に 「東京は Tokio かTokjo か」という内容が書かれたものがある。興味深い内容なので一読の価値があると思う。

男女の愛称の接尾語に -ĉjo, -njo というのがある。これも理屈の上からいうと日本語の拗音とは違うはずだが、どうやっても限りなく拗音になってしまうのは、j の前の音の n や ĉ に引きずられてしまうからだろう。

合成語の発音など

エスペラントの発音については Fundamento に下のような規定が書いてある。

B-9 Ĉiu vorto estas legata, kiel ĝi estas skribita.
すべての語は,書かれた通りに読まれる。

しかし合成語の発音方法についてはそうでもないようである。

Web版 エスペラントの鍵 ー 単語の発音には、

接尾辞は語根と融合して発音する。 kok/id/o(コキード) ひよこ
接頭辞は語根と分離して発音する。 mal/amik/o(マるアミーコ) 敵
語根どうしは分離して発音する。 hom/am/o(ホムアーモ) 人間愛
(例外)特に慣用化した合成語 sam/ide/an/o(サミデアーノ) 同志

と書いてある。確かに合成語を意識して音節を区切って発音する慣習があるようだ。だからといって、samideano は例外だがら「サミデアーノ」と読むべきという訳でもないと思う。というか、合成語として1つの単語になった以上「書かれた通りに読まれる」方がむしろ本来の(laŭfundamenta な)発音であろう。ただ語根を意識した発音の方が意味を汲み取りやすいといった利点もあるので、そういった読み方が往々にして行われているし許容されているといったところだと思う。

いずれにせよ「書かれた通りに読まれる」という規則は、これだけの表現では、だれでも同じ発音になることを保証するものではなさそうである。間違いでさえなければどちらで読んでもよいのだと大らかであってよいと思う。

撥音としての n

撥音としての n は実は結構むずかしいのではないだろうか。

日本語では「ん」と書いて、実は [n] [m] [ŋ] の3つに近い音を無意識に使い分けていると思う。「天使」は[n]、天命は[m]、天国は[ŋ]に近い発音をしていると思う。

日本人の「健一」さんは [ŋ]に近い音で発音されるべきだと思うが、単純にローマ字式で Keniĉi と書くと「ん」が入らず「ケニーチ」と発音されそうだ。

英語などでは Washington のように、本来 [ŋ] で発音される音は、g を残したまま Vaŝingtono のように綴られるようである。濁音が入ることに違和感があるだろうが、もともと g が母国語の綴りに入っているため、多少は我慢ができるかもしれない。しかし「健一」さんの場合、Kengiĉi と綴ると「ケンギーチ」となって、これも抵抗感があるだろう。

「健一」さんは、「ん」の音がなくなっても困るし濁音が入っても困る。Washington は Vaŝintono と g なしにも綴られるようだが、たまたま n の後に t という子音がくるのできっちり「ん」の音が入ることになる。「健一」さんも g に変わる子音を無理やり押し込んで Kenjiĉi とすればそこそこ近い音で発音してもらえそうだが、エラく苦労するもんだ。しかしこれぐらいは仕方ないのか。

どこかのweb学習ページでアポストロフィを使って区切ればよいといったことが書かれていたように思う。つまり、Ken'iĉi と書くから「ケンイチ」と読んでくれということだ。しかしこれが通用するのかどうか私は知らない。アポストロフィの使い方については Fundamento にも記述があることだし、少々注意しなければならない。Fundamento 中のアポストロフィに関する記述は使用法の定義なのかそれとも使い方の一部なのか?(例えば Zamenhof は初期には Zamenhof' と名詞語尾 o の省略を明示するためアポストロフィを使っていたらしい 参照1参照2

促音について

他の naciligvo で促音で発音するような単語をどう表記するかという問題がおこりそうだが、例えば同じ子音を2つ並べたら促音で読んでくれというわけにはいかないのではないだろうか。Fundamento にそのような規定はないので、「書かれた通りに読まれ」た上で近い音で発音されるように工夫するしかないように思うのだがどうだろう。

北海道 Hokkaido、六甲 Rokko、摂津 Seccu (Setcu)、六本木 Rokpongi、鳥取 Toctori、札幌 Sacporo (Satporo)、別府 Becpu ..... 思いつくものをエスペラントならこのように表記するのが元の発音に一番近くなるのではと思って並べてみた。それとも子音を2つ並べる方が近い発音になるのだろうか?英語から入るエスペラントにはそのように書いてある

エスペラントにない文字 q, w, x, y について(固有名詞の扱いについて)

まず上の文字の名称を確認しておくと、q = kuo、w = duobla vo, vavo, germana vo、x = ikso、y = ipsilono というらしい。発音については、エスペラントアカデミーは1989年にそれらの推奨される読み方を発表した。それによると、

Wikipedia には今でもこれが推奨されているかのように書かれているが、どうやらこの推奨は2013年に新しいものに代わり取り消されたようである

新しい推奨では、q, w, x, y といった個別の文字の推奨発音を提示するのでなく、固有名詞をエスペラント化しないで用いる場合は、発音をできるだけエスペラントの文字で註記 (indiko) するようにといった方式に変わっている。

エスペラント化しない固有名詞を使う場合、可能なかぎり以下の形式で発音を表示する。

  1. 発音の表示はその固有名詞が最初に現れる箇所に角括弧または丸括弧で括って小文字で書く。
  2. 原則的にエスペラントの文字のみで表し、エスペラントにない発音の場合できるだけ近い音で表す。
  3. アクセントのある母音については右上がりのアクセント記号 ′ 付き文字で表す。それが難しいときは大文字を使うなどする。

例:[gastón varengjén], [gastOn varengjEn]

w を v と ŭ に区別して発音した方がよいなどと言われてもできるわけがないのだし、きっと改善されたのであろう。まずはアカデミー自らが率先して新しい方式を実践して模範を示してほしいものである。

発音の仮名表記について

エスペラントでは発音をカタカナ表記では区別できない文字がある。 r と l 、 h と ĥ である。そこでこれらを区別するのに 「ロ」 と 「ろ」 、 「ホ」 と 「ほ」 で区別している学習書やWeb学習ページがある。 ĝ と ĵ も片仮名表記が正確にエスペラントの発音とイコールではないが、 「ヂョ」 と 「ジョ」 に少々説明を加えればなんとか区別はできるかもしれない。 f は日本語の発音と全く違うが、仮名にするなら「フォ」以外にはなさそうだ。もっとも個人的には日本語風の「フォ」で発音しても他の音と同じになることはないので、訛りっぽくなるだけでそれはそれでかまわないと思っているが...

発音方法を伝えることは必須なのだが、平仮名と片仮名で区別するという方法は私は好みではない。どうやったって表記できないものはできないのだし、そもそも「ロ」 と 「ろ」が日本語で違う発音をするわけでもないので何の助けにもなってない。

最近はカセットテープを買ってまで発音を学ぶ必要もなく、Webページにいろんな手段で音声を貼り付けることもできるようになったのだし、ここまで涙ぐましく仮名表記で区別する必要などないと思う。


  1. このページに関するご感想・ご質問などをお書き下さい。
  2. タグは使用できません。
  3. パスワードを設定しておくとご自信の投稿を削除できます。
  4. 当サイトにふさわしくないと判断した投稿は管理者がことわりなく削除することがあります。
お名前
パスワード 英数字8文字以内
件名
C^U~ ^C~U CxUx Ch,w Ignori