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発音

はじめに

発音に関連する Fundamenta Gramatiko de Esperanto(以下単に Fundamento と略称) の規則は以下の事項であろう。

アクセントについて
B-9 : アクセントは常に最後から2番目の音節におかれる。

アクセントについては上のように規定されている。これは問題ないのだが、ほとんどの日本のweb学習ページでは、アクセントのある音節は少し伸ばして発音し、伸ばして発音しにくいものは強めに発音すると解説されている。1部のweb学習ページでは、母音のあと子音が連続するときは短くするなどと細かく解説してある。本当にそうなのだろうか?Fundamento にそのような記述は一切ない。

エスペラントの単語はアクセントの違いによって意味が変わるわけではないし、アクセントは単に単語の区切りを聞き取り易くするのが目的のように思われる。したがって長くとか強くとかについて神経質になる必要はないんじゃないかと思っていた。お国お国のアクセント方法でかまわないんじゃないかと。たまたま Bertilo WENNERGREN(PMEGの著作者) の "Detala lernu!-gramatiko" を入手(pdf ダウンロード可)できたので、読んでみたら、

La longeco de la vokaloj estas en Esperanto tute sensignifa. Oni povas elparoli ilin longe, mezlonge aŭ mallonge, laŭplaĉe.
母音の長さはエスペラントにおいて全く無意味である。好みによって、長く発音することも、中ぐらいに長く発音することも、あるいは短く発音することもできる。

と書いてあった。納得!

ux と j

ux については Fundamento に、

Rimarko 1: La litero ŭ estas uzata nur post vokaloj.
A 註1 : ŭ は母音の後にのみ使われる。

という注意書きがある。これは ŭ は常に半母音(二重母音の一部)として使われるという意味のようだ。実際 ankaux、preskaux、apenaux、euxropo といったように必ず母音に続いて ŭ が現れ、前の母音に続けて軽く「ゥ」を添えるように発音する。つまり単語の中でワ行の子音として発音することはない。

ただし hodiaŭa, anstataŭa のように形容詞語尾 a が続く場合もあり、この場合は自然と「ヒエーラゥア」が「ヒエーラワ」、「アンスタータゥア」が「アンスタータワ」に聞こえるかも知れない。

確信はないが、ŭ をワ行の子音として発音するのはアルファベットを読み上げるときだけだ。(ŭ という文字の名称 ŭo を読み上げる。ちなみに ŭo の末尾の o は名詞語尾ではない)。ザメンホフは赤ちゃんの泣き声に ŭa という擬音語に使ったようだが、これは擬音語であって正規の単語ではない。他に uxato (電力の単位)や ǔono (韓国の通貨単位) といった単語があるという記事を読んだことがあるが、公認単語ではないはずだ。なぜなら「ŭ は母音の後にのみ使われる。」という Fundamento の規定に抵触するからである。

日本語の固有名詞をエスペラント化する場合、ワ行の音をどのように表記するか悩ましい。「和歌山」を Ŭakajama とは綴れなさそうである。なぜなら Fundamento に抵触することになる。

「沖縄」が Okinaŭa と綴れるのかどうかはっきりしない。一応 ŭ は母音の後に続いている。しかし「註1」に従うと、O-ki-naux-a という音節になるはずで、発音すると「オキナゥア」となる。もしこの註がなければ、O-ki-na-uxa という音節構成になり「オキナーワ」と日本語に近い音で発音されることになるのであろう。まあ、似たような音ではあるが....

通常 w は v に置き換えることが多いようだ。例えばワインは vino、ワルツは valso だ。「沖縄」「和歌山」をエスペラント化するには、無難に v に置き換えて、Okinava、Vakajama とするところか?

j も Fundamento では言及されていないが、実は sxajni, kaj のように半母音的に使われることがあるようだ。しかしこちらは ux と違って歴とした子音なので、jaro, vojo などと子音で発音する単語は多い。つまり j + 母音 はヤ行で発音するということになる。だから krajono はクラィオーノでなくクラヨーノと発音する。Ekzercaro にわざわざ kra-jo-no とハイホンで区切って音節を示してある。

それに従えば、東京を Tokjo と綴ると、To-kjo という音節構成でなく Tok-jo となるのでトクヨと発音することになる。j について、日本語の拗音のように発音すると解説してあるweb学習ページがあるが、間違いではないだろうか?

藤本達生氏の著作の中に 「東京は Tokio かTokjo か」という内容が書かれたものがある。興味深い内容なので一読の価値があると思う。

男女の愛称の接尾語に -ĉjo, -njo というのがある。これも理屈の上からいうと日本語の拗音とは違うはずだが、どうやっても限りなく拗音になってしまうのは、j の前の音の n や ĉ に引きずられてしまうからだろう。

合成語の発音など

エスペラントの発音については Fundamento に下のような規定が書いてある。

B-9 Ĉiu vorto estas legata, kiel ĝi estas skribita.
すべての語は,書かれた通りに読まれる。

しかし合成語の発音方法についてはそうでもないようである。

Web版 エスペラントの鍵 ー 単語の発音には、

接尾辞は語根と融合して発音する。 kok/id/o(コキード) ひよこ
接頭辞は語根と分離して発音する。 mal/amik/o(マるアミーコ) 敵
語根どうしは分離して発音する。 hom/am/o(ホムアーモ) 人間愛
例外)特に慣用化した合成語 sam/ide/an/o(サミデアーノ) 同志

と書いてある。確かに合成語を意識して音節を区切って発音する慣習があるようだ。だからといって、samideano は例外だがら「サミデアーノ」と読むべきという訳でもないと思う。というか、合成語として1つの単語になった以上「書かれた通りに読まれる」方がむしろ本来の(laŭfundamenta な)発音であろう。ただ語根を意識した発音の方が意味を汲み取りやすいといった利点もあるので、そういった読み方が往々にして行われているし許容されているといったところだと思う。

「英語から入るエスペラントー入門講座」では、下のような発音を推奨している。

合成語, 接頭辞, 接尾辞の発音

合成語の発音は個別を意識して発音するのがよいでしょう。 kuniri (同行する), samopinii (同じ意見である) は kun-iri, sam-opinii のように発音しましょう。

接頭辞も合成語と同じように発音したほうが分かりやすいでしょう。 malamiko (敵), disau~digi(放送する) は mal-amiko, dis-au~digi のように発音しましょう。

接尾辞は分離せずに発音します。 akceptebla (受け入れることのできる <akcept+ebla), beleco(美<bel+eco)

いずれにせよ「書かれた通りに読まれる」という規則は、これだけの表現では、だれでも同じ発音になることを保証するものではなさそうである。間違いでさえなければどちらで読んでもよいのだと大らかであってよいと思う。

撥音としての n

撥音としての n は実は結構むずかしいのではないだろうか。

日本語の「ん」は、[n] ではなく [ŋ] に近いと思われる(少し喉を詰める感じ?)。ただし、マ行、バ行、パ行の文字が続くときは [m] に近い音になる(?唇を閉じるがやはり喉を詰める感じもある?)。「健一」さんを Keniĉi と書くと、n と次の母音がいっしょになって「ケニーチ」と発音されそうだ。エスペラントで「けんいち」と読んでもらうにはどう綴ればよいのだろか?

英語などでは Washington のように、本来 [ŋ] で発音される音は、g を残したまま Vaŝingtono のように綴られるようである(Vaŝinton という綴りも見かける)。エスペラントで Vaŝingtono を発音すると、g の音を出すので濁音が入ってしまうが(アメリカ人やイギリス人は g の音を出さないのだろうが、エスペラント化された以上この音を出すのが正しい発音というものだと思う)、もともと g が英語の綴りに入っているため、多少は我慢ができるかもしれない。しかし「健一」さんの場合、Kengiĉi と綴ると今度は「ケンギーチ」となって、これはいくらなんでもという感じがする。

「健一」さんは、「ん」の音がなくなっても困るし濁音が入っても困る。n を音節の始まりにしないためには、n の後ろに子音を入れるという手がある。つまりKeniĉi ではなく Kenjiĉi とすればよいことになる。エラく苦労するもんだし、オリジナルと微妙に音が違うかもしれない(こう綴っても日本語の「ん」とは違い、「ケヌイーチ」 またはロシア語っぽく「ケニィーチ」のような音になりそうだが)。

どこかのweb学習ページでアポストロフィを使って区切ればよいといったことが書かれていたように思う。つまり、Ken'iĉi と書くから「ケンイチ」と読んでくれということだ。しかしこれが通用するのかどうか私は知らない。撥音の「ん」を母音の前や「や行」の音の前は 'n と書くのは、これは訓令式や日本式のローマ字の作法だ。Fundamento ではアポストロフィは冠詞 la の a の省略、または名詞語尾 o の省略と定義されている。Keno + iĉi → Ken'iĉi と思われてもしかたないかもしれない。ちなみに Zamenhof は初期には自身の署名をエスペラント化してZamenhofo とするところを Zamenhof' と名詞語尾 o の省略を明示するためにアポストロフィを使っていたらしい。 参照1参照2

促音について

他の naciligvo で促音で発音するような単語をどう表記するかという問題がおこりそうだが、例えば同じ子音を2つ並べたら促音で読んでくれというわけにはいかないのではないだろうか。Fundamento にそのような規定はないので、「書かれた通りに読まれ」た上で近い音で発音されるように工夫するしかないように思うのだがどうだろう。

北海道 Hokkaido、六甲 Rokko、摂津 Seccu (Setcu)、六本木 Rokpongi、札幌 Sacporo (Satporo)、別府 Becpu ..... 思いつくものをエスペラントならこのように表記するのが良いのではないかと思って並べてみた。それとも日本語で促音で発音する場合は単純に子音を2つ並べる方が良いのだろうか?「英語から入るエスペラントー入門講座」にはそのように書いてあるように読める。

ss, mm, pp, tt などのように二つ重なった子音字の発音は, 次のように発音されるのがふつうです。
f, v, s, z, sh, jh, j, h, m, n, l, r の場合は, やや長めに発音します。 p, b, t, d, k, g の場合は,日本語の促音 (っ) のように発音します。ekkoni はエッコーニのように聞こえます。 これは単語の中だけでなく,al la (to the), ses seg^oj (six seats), sep partoj(seven parts) などに見られるように文の中でも起こります。

sh, jh は ŝŝ, ĵĵ の発音のことを言っているのだろうか? 「p, b, t, d, k, g の場合は,日本語の促音 (っ) のように発音する」と書かれているが、lasttempe(最近)を促音で発音するのは結構むずかしそうだが...

エスペラントにない文字 q, w, x, y について(固有名詞の扱いについて)

まず上の文字の名称を確認しておくと、q = kuo、w = duobla vo, vavo, ĝermana vo、x = ikso、y = ipsilono というらしい。発音についてエスペラントアカデミーは1989年にそれらの推奨される読み方を発表した

Wikipedia には今でもこれが推奨されているかのように書かれている

vikipedio より

アカデミーオ・デ・エスペラントは1989年に、エスペラントで使用されないq, w, x, yの4文字について、読み方がわからない場合に推奨される読み方を発表した。[1] これらは、エス文中でつづりはわかるが発音がわからない外来語の名前を読むときに役立つだろう。

しかし、どうやらこの推奨は2013年に新しいものに代わり取り消されたようで、 新しい推奨では、q, w, x, y といった個別の文字の推奨発音を提示するのでなく、固有名詞をエスペラント化しないで用いる場合は、発音をできるだけエスペラントの文字で指示 (indiko) する方式に変わっている。

エスペラント化しない固有名詞を使う場合、可能なかぎり以下の形式で発音を表示する。

  1. 発音の表示はその固有名詞が最初に現れる箇所に角括弧または丸括弧で括って小文字で書く。
  2. 原則的にエスペラントの文字のみで表し、エスペラントにない発音の場合できるだけ近い音で表す。
  3. アクセントのある母音については右上がりのアクセント記号 ′ 付き文字で表す。それが難しいときは大文字を使うなどする。

例:[gastón varengjén], [gastOn varengjEn]

w を v と ŭ に区別して発音した方がよいなどと言われてもできるわけがないのだし、きっと改善されたのであろう。まずはアカデミー自らが率先して新しい方式を実践して模範を示してほしいものである。(こういうページをそのままにしているのは好ましくないのではないか?

発音の仮名表記について

エスペラントでは発音をカタカナ表記では区別できない文字がある。 r と l 、 h と ĥ である。そこでこれらを区別するのに 「ロ」 と 「ろ」 、 「ホ」 と 「ほ」 で区別しているWeb学習ページがある。 ĝ と ĵ も片仮名表記が正確にエスペラントの発音とイコールではないが、 「ヂョ」 と 「ジョ」 に少々説明を加えればなんとか区別はできるかもしれない

発音方法を伝えることは必須なのだが、平仮名と片仮名で区別するという方法は私は好みではない。どうやったって表記できないものはできないのだし、そもそも「ロ」 と 「ろ」が日本語で違う発音をするわけでもないので何の助けにもなってない。

最近はカセットテープを買ってまで発音を学ぶ必要もなく、Webページにいろんな手段で音声を貼り付けることもできるようになったのだし、ここまで涙ぐましく仮名表記で区別する必要などないと思う。

ただし、カタカナ表記は本質的な問題ではないので、個々に好みの方法でやればよいと思う。カタカナ表記法を統一する必要などないと思っているだけである。


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