clipped & edited : 日本囲碁規約を解釈する -別なルールの結末-
2014/05/28

別なルールの結末

「日本囲碁規約を解釈する」の連載です。

別なルールでも囲碁と呼ばれるものがあります。

しかし、ルールが異なれば、同じゲームではなく、別なゲームとなります。

例え、序盤、中盤では酷似した戦略で闘うように見えても、終盤で異なる差がでてくるのであれば、中盤での最善手にも差がでてくるはずであると考えられます。とすると、序盤にもそれは及ぶことになるはずです。同じような打ち方になるというのは最善手ではない手を打っていることに他ならないような気がします。

同形反復の禁止


個人的には「無勝負」はあってもよいと考えます。これを批判する理由は、限られた時間で対局を消化しなければならない大会などで「無勝負」が発生するのは都合が悪いということもあるかもしれません。しかし、それが囲碁の普及の妨げだとかいう主張は本末転倒と思わざるを得ません。

同形反復による「無勝負」というのなくすために同形反復を禁止するルールもあります。これは、以前と同一局面になる手を着手禁止とするというものです。

さて次のような局面があったとします。

 ABCDEFGHJ
01●┯●○┯○●○○
02●●○○○○●○○
03●●●●●●●○○
04┠●●●●●●○┨
05●●●●●●●○○
06┠●●●●●●○┨
07●●○○○○○○○
08●●○○○○○○○
09●●○○○○○○○

盤上の石数の多少で勝敗を決めるルールとします。
同形反復は着手禁止です。

白番とします。
白はB01に打つのは着手禁止ではないとします。

黒が勝っているように見えますが、
白はB01に打つほかありません。


 ABCDEFGHJ
01●◇┯○┯○●○○
02●●○○○○●○○
03●●●●●●●○○
04┠●●●●●●○┨
05●●●●●●●○○
06┠●●●●●●○┨
07●●○○○○○○○
08●●○○○○○○○
09●●○○○○○○○

おや、これはどうなるのでしょうか?

白は既に盤上の白石はすべて活きているので白の勝ちと主張しました。

上辺のこんな石が「活きている」とは驚きです。

双方が「最善手」を打ち合えば、おそらくこのようなことは起きないだろうとは思われます。しかし、どんな局面にでもルールは適用されなければなりません。そして、こんな結末が有り得るのです。ルールに即して判定すれば…

パスの禁止


 ABCDEFGHJ
01┏●┯●●○○┯○
02●┼●┼●○┼○○
03┠●┼●●○○┼○
04●┼●●●○○○○
05┠●●●●○○○○
06●┼●●●○○○○
07┠●●●●○○○○
08●┼●●●○○○○
09┗●●●●○○○○

「パスをした方が負け」というルールでも大体同じようなゲームとなります。

このように、広く囲うと、自分から打てるが、相手からは打てない点を増やすことができます。

しかし、囲った広さの差に比例して有利かどうかは自明ではないように思います。

 ABCDEF
01┏●┯┯●○
02●●●●●○
03○○○○○○

この形だと、黒からC01かまたはD01と1回だけ打てます。
白からも打てますが黒から取り返す手が打てます。
ということは、黒先1手分、白先0手分となります。
いろいろと違いはあるようですが、

 ABCDEFGHJ
01●┯●┯●●●○┓
02●●●●●●●○○
03●●●●●●●○┨
04●●●●●●●○○
05○○○○○○○○┨
06●●●●●●●○○
07●●●●●●●●●
08●●●●●●●●●
09●●●┷●┷●●●

パス禁止ルールで「無勝負」を避けるには「同形反復の禁止」も追加しなくてはなりませんが、これも結末に影響します。

ルールは明快ですが、そのゲームが面白いかどうかはプレイする人に依存するのでしょう。

まとめ


なにを目的として争うのかが重要なことだろうと思われます。似たような戦略で似たようなゲーム展開をしていても、最後の結末が大切なことだと考えられます。

オセロなんかは典型的ですね。ゲームとは最後の結末を考慮して争われるものだからです。

どのルールでも勝敗の結果が変わらない局面もあります。これは、特殊な例とはいいませんが、そうではない局面も有り得る訳ですし、ルール間の差異が出てこない程大差がついている場合だったかもしれません。