clipped & edited : ザル碁と囲碁を考える(iehiro)
2017/02/28

ザル碁と囲碁を考える ー効率の追求ー

碁にもいろいろありますが、本質は同じです。
さて、いよいよ囲碁です。勝敗の判定方法以外は、囲碁もザル碁や純碁と基本的には同じです。
ザル碁と囲碁のルールの違いを確認しておきます。

共通ルール ザル碁のルール 囲碁のルール

「地」という言葉がここで初めて出てきました。
純碁との比較で使った5路盤の実戦例で考えます。

囲碁では、この白20まででお終いです。
黒も、もうこれ以上打つ必要はありません。
ルールで出てきた「地」について、まだ何も説明していませんでした。
黒の地とは、黒石に囲まれた空点の集まりのことです。
白の地とは、白石に囲まれた空点の集まりのことです。
そして、地を数える時は、それまでに取られている石を埋め戻してから数えます。
黒は地を4個取りました。
白は地を1個取りました。
地の多い方が勝ちですから、黒が3個勝ちました。
これはザル碁での最後の手続きですが、黒は21から25を打つことで白石を3個得ます(白は22, 24, 26をパス)。
つまり、黒専用の空点と白専用の空点の、数の差だけ、白石を得たわけです。
そこに途中で取った石を加え、相手との多少を計算して勝敗を決めています。
これって、結局図4-11で、地の数を比べているのと同じ事ですよね。

念のため、数式を使って確認しておきましょう。その前に、いくつか数式用の言葉を作ります。

     黒空点 : 黒が置くことができる点(白が置いても結局取られてしまう点)
     白空点 : 白が置くことができる点(黒が置いても結局取られてしまう点)
     黒除石 : 囲まれて盤から取り除かれた黒石(ザル碁ではパスのペナルティも含む)
     白除石 : 囲まれて盤から取り除かれた白石(ザル碁ではパスのペナルティも含む)

  [ザル碁の計算]

     黒の得点 = 黒空点 + 白除石
     白の得点 = 白空点 + 黒除石

     得点差  = 黒の得点 - 白の得点
          = 黒空点  + 白除石  - 白空点  - 黒除石
          = (黒空点 - 黒除石) - (白空点 - 白除石)

  [囲碁の計算]

     黒の得点 = 黒空点 + 黒の眼 - 黒除石
     白の得点 = 白空点 + 白の眼 - 白除石

     得点差  =(黒空点 + 黒の眼 - 黒除石) - (白空点 + 白の眼 - 白除石)

と、この様になります。

ザル碁の得点差と、囲碁の得点差では、「眼の数」による影響はありますが、上の実戦例の様に眼の数が同じ時には効果が相殺されますので、結果に反映しません。

また、上の例では、パスによるペナルティの関係で、除石の数が影響を受け、ザル碁と囲碁の得点に食い違いがありますが、この際細かいことには目をつぶります。

つまり、細かいことはさておき、「ザル碁と囲碁の本質は同じ」だということです。

ここで扱った碁盤はとても狭かったので、ザル碁や純碁の最後の手続き(自分の空点を埋め尽くす作業)が大したことはありませんでした。

しかし、これが本格的な19路盤ともなると、結構大変な作業です。その大変で退屈な作業を省略して、終局時の勝敗判定を効率化したのが囲碁だといえます。

また、この方がよっぽど重要かもしれませんが、

「石を取る事に、気持ちが偏りがちなザル碁」や
「石を置く事に、気持ちが偏りがちな純碁」と比較したとき、
「自陣の広さと奪取する石数の両方に気を配る必要がある囲碁」

の方が、同じ碁の仲間でも、より進化した姿と言えるのではないかと思います。

以上で入門講座を終わりますが、最後にこれだけは言いたい。

ポン碁を極める道は、ザル碁や純碁を極める道に直結しています。そして、ザル碁や純碁を極める道は、囲碁を極めようとする道と全く同じ道だと言えます。ポン碁は立派な碁の仲間です。大いに楽しんで頂きたいと思います。

入門講座で取り上げるには適当でないと思われるテーマとか、私の碁歴など、囲碁に関するコラムみたいなものを「勝手読み」コーナーにUPしていきます。宜しければそちらもお読み下さい。

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