1序

1.2 世界へ発展する“囲碁”

最近、欧米に囲碁の愛好者が次第に増えつつあることは大層好ましいことである。専門棋士の大きな努力も勿論ではあるけれども、本質は囲碁が極めて優れたゲームであり、その面白さが理解されたからであろう。東洋で生れ、東洋で発展した囲碁が世界へ広がることは囲碁の愛好者としてまことに望ましいことであり、外国に愛好者が増大すれば囲碁は更に発展する可能性すら考えられる。チェスの世界選手権大会があるように囲碁の世界選手権が東京やニューヨーク或いは北京で行なわれるようになれば囲碁への興味は遥かに大きくなるであろう・・・、それは世界の人々の親善に大きく貢献するものと思われる。

そのために現在最も囲碁が発達している日本はその発展のためにより一層の努力を払うべきものと考えるのであるが、そのためには日本式のルールの合理化と確立は非常に重要なことであろう。欧米での囲碁の愛好者は数学者や物理学者或いは技術者に多い。従って日本人以上にルールに関心がある。外国人が新に理解しようとすればルールの理解から始めるのが当然であるだけに、日本ではあまりにも常識化されているために見逃がされているルール上の欠陥を外国人はそれを不合理なものと考えることがあり得るのである。

囲碁が余りにも素晴しいゲームであるが故にそのルールの合理的な確立は万難を排しても行うべきものと考えるのである。このために現行の日本ルールや中国のルール其の他を色々の角度から研究しながら、将来日本のルールの確立のための材料を提供する意味で筆を進めることとしよう。