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台湾式のルールに於いてはハマが得点にならないから、例え新ルール案の如く、第1パスの後、同数着手ルールによるペナルティは意味を失い、同数着手ルールをしてもその影響は全くない。即ち台湾式に打着を進めた結果と同じになる。従って台湾式のルールに従ったとして、最初のパスの後、新ルール案の仮終局後のルールをそのまま適用したとしても、その結果は完全に一致する。故に新ルール案の得点のルールのみを前記の“ルール7”に置代えれば、新ルール案は台湾ルールとなるのである。
そしてその結果が一致することを証明しよう。
第1表を見られたい。n路の碁盤に於いて、仮終局(台湾式では最初のパスと同じ意味となる)前に打着された打着数を黒m1、白m2(以下1は黒、2は白を示す)その時の置石数をli(i=1又は2)とすれば、除去された黒石はm1-l1、白石m2-l2である。仮終局後の打着された石をti、ペナルティパスをpiとし、終局のときの置き石数をqiとし夫々の地をsiとする。
仮終局後のハマはli+ti-qiであるからハマの計はmi+ti-qi+piとなる。
台湾式の得点は
黒の得点=q1+s1-1/2(m1-m2)
白の得点=q2+s2+1/2(m1-m2)
(最后の項はm1-m2=1なら黒が手止り、m1=m2なら白が手止りとなり、手止りによる1/2目の増減を示す)n路の碁盤に於いて | |||||||||||
仮終局までの打着数 | 仮終局のときの置石数 | 仮終局のときのハマ | 仮終局後の打着数 | ペナルティパス | 終局のときの置石数 | 仮終局後のハマ | 地 | ハマの計 | |||
黒 | m1 | l1 | m1-l1 | t1 | p1 | q1 | l1+t1-q1 | s1 | m1+t1-q1+p1 | ||
白 | m2 | l2 | m2-l2 | t2 | p2 | q2 | l2+t2-q2 | s2 | m2+t2-q2+p2 | ||
同数着手ルールにより t1+p1 = t2+p2
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新ルール案による得点は
黒の得点=地-ハマ=s1-m1-t1+q1-p1
白の得点=s2-m2-t2+q2-p2
故に両者の差D(新)は
D(新)=(s1-s2)+(q1-q2)-(m1-m2)-(t1+p1-t2-p2)
然るに仮終局後の同数着手ルールにより
t1+p1=t2+p2 ∴t1+p1-t2-p2=0
∴D(新)=(s1-s2)+(q1-q2)-(m1-m2)
∴D(台)=D(新)
この如く、台湾式ルールと新ルール案は、得点ルールが一方は置石数と地であり、一方は地とハマでありながら、台湾ルールの“手止り”の項のために両者は完全に一致することが証明されたのである。
この証明の結果から、中国式は1/2目補正の項がないために、手止りを黒が打着したときは、台湾式及び新ルール案と1目の差を生ずる。しかもこれはn路の碁盤のnには無関係であることに注目すべきである。一部の人がnが奇数のために1目の差を生ずる如き解釈をしているが、これは誤りであることが示されたのである。
第2表は先に示した呉・宮本戦の数値を当はめたものである。
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