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エスペラント・メモ -- 本来副詞

一部の小辞(partikulo:語尾を付けず語根のまま使われる語: 接続詞、前置詞、数詞、相関詞など)には副詞的にはたらくものがある。こういった語を本来副詞 origina adverbo と言う。原形副詞 primitiva adverbo とか 語根副詞 radika adverboという言い方もあるようだ。私は副詞的小辞(adverbeca partikulo)と呼ぶのが適しているのではないかと思うが。

いくつかの本来副詞は副詞として使われる以外に接続詞としても使われるものがあるし、間投詞のように使われるものもある。このまとめでは、そういったものについては接続詞とか間投詞とかを明記した(独断もあるかもしれないので正確には辞書などで確認してください)。

本来副詞を置く位置については規則が曖昧なように思われる。先人の使用方法を見習わなければならないと思うが、いかんせん読書量が少ないので自分は使いこなせていない。

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ajn

[副詞]無差別または譲歩を表す。

i-相関詞または ĉi-相関詞, neni-相関詞ととも使って無差別を表す。(何でも、どんな〜でも、 ...)

ki-相関詞とともに使って譲歩節(たとえ何であろうと、たとえどんな〜であろうと、...)の中で使われる。

almenaŭ

[副詞]少なくとも

[副詞]せめて
しばしば満たされない状況(たとえ〜でも)を eĉ se 従属節で、せめてもの願望(〜さえ、せめて〜)を se とともに使う。

note:se は条件節を導く接続詞であるが、「〜だろうに」「〜であってくれたら」ほどの意味で、強い願望を表す文(主節)でも使われる(optativo:希求法)

ambaŭ

「特定の2人や2つのものが両方とも」という意味で使う。PMEG は difinilo(限定詞) とし、Plena Ilustrita Vortaro は Nevaria pron. k adj.(無変化の代名詞であり形容詞)としている。

2人とも、2つとも、両方

最後の例文は名詞の後ろに使っているが、一種の同格表現と捉えることができる。

note: Ambaŭ frazoj..., ambaŭ okuloj... の ambaŭ は冠詞と同じようなはたらきをしているので、ambaŭ は限定詞の一つでもある。Ambaŭ estas... では代名詞のようにはたらいている。ili ambaŭ... は、ili と ambaŭ(代名詞相当)が同格ともとれるし、ambaŭ が ili に「〜とも」という機能的意味を添えている、つまり多くの本来副詞と同じはたらきをしていると解釈することもできる。

ambaŭ 自体が限定詞でもあるので la ambaŭ と冠詞を付けないのが普通であるが、ザメンホフはときにこの使い方をしている、つまり、ザメンホフは時に単に du の意味で使っている。

apenaŭ

[副詞]辛うじて、ほとんど〜ない 参照:preskaŭ

PIV (kun kvantovorto) «ne pli multe ol», «ne tute tiom»: とあるから数量を表す語に使うときは、それより多くないことを表す。しかし、 (ĉe verbo) «preskaŭ ne» とあるから動詞で使うときは、「ほとんど〜しない」言い換えると「多少なりともする」「辛うじてする」ことを表す。.... このような使い方には従わざるを得ないが、非論理的に思える。多分ヨーロッパの言語の何らかの副詞の使い方をそのまま適用したのだろうが、日本人の私には理解不能だ。

[接続詞]〜するや否や

ankaŭ

[副詞]〜もまた
しばしば「ne nur 〜 sed ankaŭ 〜」という定型文で表現される。

「〜もまた〜ない」の意味には nek を使うこともできる。(nek は接続詞)

ankoraŭ

[副詞]今だに・引き続き
ある時点より以前の状態や行為(行為をしない)がその時点でも続いているときに使う。比較 plu。

[副詞]ankoraŭ ne 未だに〜ない

「未だに〜ない」の意味のとき「〜ない」につられて現在形を使いそうだが、過去形を使うべきときがある。

[副詞]さらに、再び

baldaŭ

[副詞]やがて・まもなく、ほどなくして

ĉi

[副詞]指示と共に使って空間的・時間的に近いことを表す。

[注]ĉi が名詞、形容詞、副詞に係るときは、ハイフンを使って一語にする。

ĉu

[副詞]〜か(疑問)

[接続詞]〜かどうか、〜であろうと

ĉu 〜, ĉu 〜 の定型文で「〜であろうと〜であろうと」という意味の譲歩節を導く。

ju, des

[副詞]単独では用いられず、ju (mal)pli 〜, des (mal)pli 〜 で「〜であればあるほど〜である」という意味を表す。

ju は節を導く接続詞のように思えるが、PIV, PMEG ともに小辞としていて接続詞とは明記されてない。

do

[副詞]それなら、だったら

[間投詞](前段を受けて)では、さあ、そういうわけで、続いて

[副詞]〜でさえ

[副詞]se とともに使って「例え〜でも」

for

[副詞]別の場所へ(で)、離れた場所へ(で)、消えて・失って

[間投詞]

hieraŭ, hodiaŭ, morgaŭ

[副詞]hieraŭ 昨日、hodiaŭ 今日、morgaŭ 明日
(複合語: antaŭhieraŭ 一昨日、postmorgaŭ 明後日 )

ja

[副詞]まさに、本当に、確かに(強調)
肯定だけでなく ne とともに否定も強調する。

jam

[副詞]すでに、もう
過去・現在・未来のいずれにも使う。

[副詞]もうすぐ
未来に起こることが近いことを強調する。

[副詞]充分さを強調する。

[副詞]jam ne で、「もうこれ以上〜ない」の意味を表す。参照: plu

ne jam は「既に」の否定であるから「未だ」の意味になる。論理的にはそうであるが、ザメンホフは同じ意味をあらわす ankoraŭ ne の使用を薦めている。(「エスペラント小辞典」)

jen

[副詞]省略表現で「これ(それ)が」「ここ(そこ)に」「今」といった意味を表す。

[副詞]jen 〜, jen 〜 で「〜かと思えば、また〜」といった意味を表す。

[間投詞]ほら、注意を引き寄せる。

kvazaŭ

kvazaŭ は、本来副詞の一覧表に載っていることが多いが、接続詞である。大学書林「エスペラント小辞典」や Reta Vortaro では kvazaŭe という単語が別個載っている。「エスペラント小辞典」は kvazaŭe = kvazaŭ(adv.) となっているが、Reta Vortaro は微妙に説明が違う。

[接続詞]まるで〜のように(類比)

kvazaŭ が導く従属節は事実でないことを表すので、理論上 -us を使うべきだが、実際には -as, -is, -os が使われることもある。また、しばしば類比上の中心的語句以外を省略する。

[副詞]まるで〜のように。

mem

[副詞]〜自身、〜自体、〜自ら

ne

[副詞]否定を表す。(略)

[間投詞]いいえ

nun

[副詞]今、現在、今や、今まさに

過去のことやこれから起こることにでも情緒的表現として使える。参照:ĵus, tuj

[間投詞]さあ、さて

ĵus

[副詞]たった今、〜したばかり、さっき

nur

[副詞]〜だけ、〜のみ

[副詞]ただの、〜に過ぎない

[副詞]まだ、やっと(時刻・日にちなど)

plej

[副詞]比較表現最上級(略)

pli

[副詞]比較表現比較級(略)

plu

[副詞]さらに、もっと。
plu は、ある時点の行為(行為をしない)や状態がその後も続くときに使う。比較:ankoraŭ、参照:jam

preskaŭ

[副詞]ほとんど、もう少しで、〜同然だ。比較:apenaŭ。

PIV に «ne tute, sed ne multe mankas»: とあるから、わずかだが足りないことを表す。行為に関しても、わずかに完遂しないことを表す。

tamen

[副詞]それでも、とは言え、それでいてなお、にも関わらず
前段の文や節とコントラストを出すために使う。しばしば sed や kaj で後の文や主節が続くときそれらを強調する。

大学書林「エスペラント小辞典」は接続詞で =kvankam としている。Reta Vortaro も konjunkcio(接続詞)としている。Plena Ilustrita Vortaro は cirkonstanca morfemo 状況的形態素としている。PMEG は E-vorteca vorteto(副詞的小辞)の中に含めている。

tre

[副詞]とても、非常に
英語の very と違って動詞に直接係ることもある。tre の否定は「あまり〜ない」といった意味を表す。

tro

[副詞]あまりにも、〜すぎる

tro は単に tre を強調するものではない。参照:tre

「〜するためには」〜過ぎる、「〜するには」〜過ぎる、といったような意味を表す従属節には por ke や ke を使い動詞語尾を -u にする。まれに -us にしたりもする。

tro + 副詞 + da で数量を表すとき、副詞を省き単独で「過剰な」といった意味で使われることがある。

tuj

[副詞]すぐに、直ちに、すぐ
tuj は時間的に差がないこと(遅延が無い)、距離的に近接していることを表す。参照:apenaŭ, ĵus