凡例

今回池田敏雄氏の奥様のご諒解を頂き、ここに池田敏雄「囲碁ルールについて」を公開する。公開をご諒承いただいた著作権継承者池田静様に厚く御礼申し上げます。
なお、この公開は、著作権を放棄したと云うことではないので、引用・転載等の取扱いにはご注意されたい。転載・出版等には事前の文書による諒解が必要である。

1.本稿は、囲碁新潮刊、月刊「囲碁新潮」Vol. 20 No. 11(昭和43年11月号)〜Vol. 21 No. 9(昭和44年9月号)に11回に亘って連載された、池田敏雄著「囲碁ルールについて」(未完)の全覆刻文である。
Vol. No. pp. 連載回数 本HTML版
20 11 156 1 §1 序
20 12 156 2 §2 日本ルールの欠陥 2.3.3
21 1 166 3
2.3.4〜2.3.10
21 2 142 4 §3 中国式ルール 3.1&3.2
21 3 150 5
3.3
21 4 52 6
3.4〜3.6
21 5 158 7 §4 中国式IIIルール
21 6 52 8 §5 新ルール案の思想



囲碁ルール試案
21 7 162 9 §6 新ルール試案の解説 6.1
21 8 66 10
6.2〜6.6
21 9 66 11
6.7〜6.10
未完部分の章は、「囲碁新潮」Vol. 20 No. 10 pp. 150の「囲碁ルールに就いて」(連載予告)によれば次の通りである。
§7 新ルール案の解説 …… 本HTML版とは異なる
§8 新ルール案の適用例による解説 …… ほぼ本HTML版§6に相当
§9 合意の終局の規定

§10 対局規定について

§11 各種ルールの一覧表

§12 結言

底本はA5版、8ポ縦3段組であるが、横書きとするために漢数字を算用数字にする等若干の修正を施した。
2.明確に校正上の誤植と思われるもの、著者の書き癖(歴史的仮名遣・漢字)の残存の一部、及び凡例記載の最少限の補正にとどめた。
云ふ 云う
落入る 陥る
この如き 著者の書き癖から、原稿は「此の如き」又は「如此き」であったろうと推定できるが、底本のママとし、(此様の誤読は他にも多いが、義の異ならぬ限り)改めなかった。
3.編集の都合上、精確に再現することが出来ず、不本意ながら意を伝えることでよしとした。
引用等で精確を要する読者は、底本に当たり直して頂きたい。
特に他書への引用に当たっては、必ず底本を以ってし、本HTML版は、理解のみに留めて頂きたい。
流布本の誤謬を怖れるためである。
4.棋譜の番号については、各章の章番号を附し、統一した。
第1図 第3-1図
第3-1図 第3-3-1図
5.章・節番号には底本に一部誤りがあり、連載予告を参考にして改めた。
6.連載中数回に亘り、「囲碁共通定義及びルール」が掲載されているが、冒頭に別掲し、以下の章を順に繰り上げた。
7.読者の便を考慮し、図の石・番号等の誤植はできる限り正した。
8.池田家並びに富士通池田記念室には本稿のもととなったノート・その後書き改められ、或は書き加えられたと推定される自筆草稿等が保存されているが、未公開のため、本書では言及しなかった。
9.底本には一部に脱文と思われる部分があり、図と文章とが一致しない部分がある。今回は一部補正或いは削除した。また底本の文体は、章により若干異なり、数人の手による清書もしくは加朱を窺わせるが、全体的にはかなり精確な原稿或はノートに基づくものと推定される。少なくとも§1、§2の文体は文章・文体・仮名遣・漢字比率・文長いづれの面からも池田敏雄氏の文章そのものと云える。§1に比し、§2の文章のほうがより池田氏の文章に近く感ぜられるのは、校正子の手がより加わっていないためであろう。綜じて本稿は池田氏の自筆であり、編集子の手は殆ど加えられていないものと推定することができる。また文章の解析から、原稿は横書きの細字による部分が多いかと推定されているが(特に後半)、原稿はいづれの章も未発見である。
連載の中断は、著者の業務多忙により、原稿推敲の時間がなくなったためと推定される。
10.英文版と日本語版には一部異なる点があるが、訂正することはしなかった。
底本では、時間の制約上、思考に未成熟の若干あり、一部には両義に解釈されるような部分もある。清書時の誤記、編集時の誤植等も多い。
そのためにも精確を求める読者は、底本原文を参照されたい。