Qitailang's HP
Esperanto
エスペラント入門 - 基礎的な文法理解 -
エスペラントを独習している中級レベルの者(たぶん)が自分用のまとめのつもりで書きかけたものです。作成途中なので、少しずつ内容を充実させていきたいと思っています。間違いがあるかもしれませんので、そのつもりでお読み下さい。訂正すべき点などがありましたら、ご指摘いただけると有難いです 。
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もくじ
アルファベット
エスペラントのアルファベットは28文字。
Aa, Bb, Cc, Ĉĉ, Dd, Ee, Ff, Gg, Ĝĝ, Hh, Ĥĥ, Ii, Jj, Ĵĵ, Kk, Ll, Mm, Nn, Oo, Pp, Rr, Ss, Ŝŝ, Tt, Uu, Ŭŭ, Vv, Zz.
そのうち a, e, i, o, u の5 文字が母音で、残りの 23 文字が子音。アルファベットとして読み上げるときは、母音はそのままで、子音はオ段で発音する。すべてのアルファベットの発音をカタカナで表すことは出来ないが、一応カタカナで書くと下のようになる。
A (ア), B (ボ), C (ツォ), Ĉ (チョ), D (ド), E (エ), F (フォ), G (ゴ), Ĝ (ヂョ), H (ホ), Ĥ (ッホ), I (イ), J (ヨ), Ĵ (ジョ), K (コ), L (ロ), M (モ), N (ノ), O (オ), P (ポ), R (ロ), S (ソ), Ŝ (ショ), T (ト), U (ウ), Ŭ (ウォ), V (ヴォ), Z (ゾ)
アルファベットを読み上げるということは文字の名称を読み上げるということ。A(a), B(bo), C(co), Ĉ(ĉo), D(do), E(e), F(fo), G(go) ... Z(zo) の ( ) の中が文字の名称である。
注意して発音する文字
c
ツォ
[ts]
ĉ
チョ
[tʃ]
g
ゴ
[g]
ĝ
ヂョ
[dʒ]
「チョ」を濁らせた音(舌を弾く、比較 ĵo)
ĥ
(ッ)ホ
[x]
「ゴッホ」の「ッホ」のように喉の奥から発する
j
ヨ
[j]
ĵ
ジョ
[ʒ]
「ショ」を濁らせた音。(舌を弾かない、比較 ĝo)
l
ロ
[l]
舌先を上前歯の裏につける
r
ロ
[r]
少しべらんめー調で「オ ロ」を素速く発する感じ
ŝ
ショ
[ʃ]
ŭ
ウォ
[w]
VIDEO
単語の発音とアクセント
エスペラントは1文字が1音に対応しているので、基本的に同じ文字を異なる音で発することはないし、同じ音を異なる文字で書くこともない。書いてあっても発音しない黙字もないから、書いてある通りをローマ字式にそのまま読む。
ただし、ŭ と j の発音は注意が必要だ。ŭ はアルファベットとして読み上げる時は ŭ( ウォ ) とワ行オ段で発音するが、単語の中では必ず母音に続いて現れるので、aŭto( アゥト ) 、eŭropo( エゥローポ ) 、antaŭ( アンタゥ ) のように軽く「ゥ」を添えるように半母音で発音する。j は次に母音が続く場合は、jaro( ヤーロ ) 、vojo( ヴォーヨ ) のようにヤ行で発音し、j が母音に続いて現れ、しかも次の文字が子音か次の文字が無い場合、ŝajni( シャィニ ) 、tuj( トゥィ ) のように軽く「ィ」を添えるように半母音で発音する。
アクセントは常に後ろから2番目の音節に置かれる。アクセントの方法については、決まりがあるわけではないので強く発音してもいいし、高く発音してもかまわないが、少し強めに伸ばして発音すると説明されていることが多い。
VIDEO
少し注意して発音すべき単語の例:
celo(ツェー ロ) (目的)
ĉielo(チエー ロ) (空)
giganto(ギガ ント) (巨人)
ĝardeno(ヂャルデー ノ) (庭)
ĝis(ヂス) (〜まで)
ĥemio(ッヘミー オ) (化学)
jaro(ヤー ロ) (年)
ĵurnalo(ジュルナー ロ) (新聞)
sidi( スィー ディ) (坐っている)
ŝerci( シェ ルツィ) (冗談を言う)
honesta(ホネー スタ) (正直な)
ekzemplo(エクゼ ムプロ) (例)
pingveno(ピングヴェー ノ) (ペンギン)
kunnaskita(クンナスキー タ) (持って生まれた)
adjektivo(アドイェクティー ヴォ) (形容詞)
adiaŭ(アディー アゥ) (さようなら)
antaŭa(アンタ ゥア) (前の)
品詞と語尾
エスペラントでは、活用や品詞転換によって語形が変化する単語は、その語尾が決まっている。複数形や目的語に付ける語尾も規則的で例外がない。
名詞語尾
-o
形容詞語尾
-a
副詞語尾
-e
動詞語尾
辞書形・不定形
-i
現在形
-as
過去形
-is
未来形
-os
語尾を取り除いたものを語根と言う。前置詞や接続詞などのように語尾を付けないで語根のまま使われる品詞もあるが、これらはまとめて 小辞、小詞、助辞、語根語などと呼ばれる。このまとめでは「小辞」を使うことにする。
小辞
前置詞、接続詞、間投詞、副詞的小辞、数詞、相関詞(指示詞・疑問詞など)、限定語(定冠詞 la、ambaŭ、unu)
小辞の中には副詞的にはたらくものがあり、このまとめではこれを副詞的小辞と呼ぶことにする。副詞的小辞は本来副詞、原形副詞、語根副詞などと呼ばれることが多く、これに対して語尾が -e の副詞は派生副詞と呼ばれることが多い。
形容詞的にはたらく小辞もある。一部の指示詞(こんな、そんな)や数詞などがこれに当たる。
基本文(1)
いきなりだが、英語の SV, SVC, SVO 構文に相当するエスペラントの文を見ていくことにする。エスペラントは文の要素の順序(主語、動詞、目的語などの順序)については基本的に自由とされているので、この順序になるとは限らない。形容詞や副詞も基本的に被修飾語の前後どちらに置いても構わない。しかし、定着した語順や、あるいは語順によって意味が変わることもある。
SV 構文
修飾語を除いて名詞(主語)と動詞だけで出来ている文。
Muso(ムー ソ) kuras(クー ラス) . 鼠が走っている。
Rozo(ロー ゾ) aromas(アロー マス) . バラが香っています。
Parolas(パロー ラス) Johano(ヨハー ノ) . しゃべっていますよ、ヨハノは。
mus-o 小型の鼠、ハツカネズミ / kur-i 走る / roz-o バラ / arom-i 香る / parol-i 話す
ローマ字方式で素直に読み上げる。kura s の ra (ラ) と parola s の la (ラ) は、違う音だが残念ながらカタカナでは書き分けられない。
普通名詞は、muso と rozo のように必ず -o で終わる。固有名詞はエスペラント化されていない場合、-o で終わらないものもある。
エスペラントでは単数形の名詞の前に英語のように a とか an とかのような不定冠詞を置くことはない。いきなり名詞で OK だ。
動詞の現在時制は kuras, aromas, parolas のようにすべて -as で終わる。
エスペラントの現在形は「〜する」という意味も表すが、「〜している」という、英語では現在進行形で表すような意味でも使われる。(エスペラントにも進行形に相当する表現はある)。これについては、後で出て来る過去形、未来形についても同じことが言える。
過去形にするには、動詞の語尾を -is に変える。
Muso(ムーソ) kuris (クーリス) . 鼠が走った。
Rozo(ローゾ) aromis (アローミス) . バラが香っていました。
Parolis (パローリス) Johano(ヨハーノ) . しゃべりましたよ、ヨハノは。
“Parolis Johano.” が日本語の「しゃべりましたよ、ヨハノは」に近い語感になるかどうかは分からない。単にこういう語順もある、という例である。
未来形は動詞の語尾を -os にする。
Somero(ソメーロ) venos (ヴェーノス) . 夏がやって来ます。
Heleno(ヘレーノ) edziniĝos エドズィニーヂョス . ヘレンは結婚します。
Revenos (レヴェーノス) Johano(ヨハーノ) . 帰って来ますよ、ヨハノは。
somer-o 夏 / ven-i 来る / edz-in-iĝ-i 結婚する ← 配偶者+女に付ける接尾辞+なる(自動詞化) / re-ven-i 戻る ← 元へ/再び+来る
主語を複数形にしてみる。複数形は名詞の後ろに語尾の -j を付ける。
Musoj (ムーソィ) kuras(クーラス) . 鼠(複数)が走っています。
Rozoj (ローゾィ) aromas(アローマス) . バラ(複数)が香っています。
Parolas(パローラス) studentoj (ストゥデントィ) . 学生達がしゃべっています。
student-o 学生
-j は、musoj 「ムー ソィ」 rozoj 「ロー ゾィ」 studentoj「ストゥデ ントィ」のように、軽く「ィ」を添えるように発音する。
形容詞や副詞の修飾語を足してみる。形容詞(〜a)は名詞を修飾し、副詞(〜e)は名詞以外を修飾する。形容詞は名詞の前後どちらに置いても構わない。実際「名詞 + 形容詞」の語順になっているのをよく見かける。下の例文中の副詞はすべて動詞を修飾しているが、副詞も動詞の前後どちらに置いても構わない。
Mal*granda (マルグランダ) muso(ムーソ) rapide (ラピーデ) kuras(クーラス) . 小さな鼠がすばしっこく走っています。
Rozo(ローゾ) ruĝa (ルーヂャ) aromas(アローマス) agrable (アグラブレ) . 赤いバラが心地よく香っています。
Parolas(パローラス) gaje (ガーイェ) juna (ユーナ) Johano(ヨハーノ) . 陽気にしゃべっていますよ、若いヨハノは。
mal-grand-a 小さな / rapid-e 速く / ruĝ-a 赤い / agrabl-e 心地よく / gaj-e 陽気に、呑気に / jun-a 若い
*mal- は正反対(否定ではない)の意味を表す接頭辞。
ただし、副詞は動詞を修飾する以外に、形容詞や他の副詞も修飾するが、この場合は修飾する副詞が前で、修飾される形容詞や副詞が後ろというのが据わりのよい語順になることが多いように思える。今例文は挙げないが、「とてもすばしっこく」「とても心地よく」を「すばしっこくとても」「心地よくとても」と言うようなもので、場合によっては据わりが悪くなる。
さらに複数形にしてみる。エスペラントでは形容詞も複数形にするので 形容詞は -aj で終わることになる。
Malgrandaj (マルグランダィ) musoj (ムーソィ) rapide(ラピーデ) kuras(クーラス) . 小さな鼠(複数)がすばしっこく走っている。
Rozoj (ローゾィ) ruĝaj (ルーヂャィ) aromas(アローマス) agrable(アグラブレ) . 赤いバラ(複数)が心地よく香っています。
Parolas(パローラス) gaje(ガーイェ) junaj (ユーナィ) studentoj (ストゥデントィ) . 若い学生達が陽気にしゃべっています。
SVC 構文
この構文では多くの場合、動詞 esti を使う。esti は英語の be 動詞に相当するが、英語の am, are, is のように人称や数によって変化することはない。主語が何人称でも、単数でも複数でも esti 1つだ。esti は辞書形なので、実際には estas , estis , estos のように時制語尾を付け替えて使う。なお、esti はこの構文で使う代表的な動詞だが、他にもある([SVC 構文についての補足 ])。
学校英語では SVC の C を「補語」とか「主格補語」言うが、このまとめでは「叙述語」とか「主語の叙述語」と呼ぶことにする。また、この構文を主語の叙述文と言うことにする。
まず、C が形容詞の場合。
Muso estas malgranda . 鼠は小さい。
Rozo estas bela . バラは美しい。
Diligenta estas Johano. 勤勉ですよ、ヨハノは。
bel-a 美しい / diligent-a 勤勉な
主語を複数形にしてみる。主語を複数形にするとき、それに応じて C の形容詞も複数形にする。
La musoj estas grandaj . あの鼠(複数)は大きい。
La rozoj estas belaj . あのバラ(複数)は美しい。
Diligentaj estas la studentoj . 勤勉ですよ、あの学生達は。
la 定冠詞 / grand-a 大きい
la は英語の the に相当する定冠詞だ。特定の人や物事に限定して話題にする場合は定冠詞の la を付ける。(以下単に冠詞と呼ぶ)。冠詞をつけることで、聞き手は、話し手が他でもなく「あの人」や「あのこと」について話しているということが判断できる。冠詞の具体的な使いどころについては後の項にまとめまてみた 。冠詞以外にも指示詞や代名詞など、話題にする人や物事を限定する他の方法がある。
次に C が名詞の場合。
Muso estas besto . 鼠は動物です。
Rozo estas floro . バラは花です。
Johano estas junulo* . ヨハノは若者です。
est-i 〜である / best-o 獣 / flor-o 花 / jun-ul-o 若者 ← 若い+人
* -ul- は「人」を表す接尾辞
C が名詞の場合、語順はかなり制限を受ける。S も C も名詞なので、語順を自由にすると SVC か CVS か判断がつかないからだ。
C が名詞の場合、SVC の構文は S=C もしくは S∈C(S は 集合 C の要素) という論理構造を表す。S=C の場合、SVC でも CVS でも違和感はあるかもしれないが誤解が生じることはない。例えば S=C の関係だと「ヨハノは私の一番年長の息子です」は「私の一番年長の息子はヨハノです」と一応言い換えできる。しかし S∈C の関係だとそうはいかない。「ヨハノは私の息子です」は「私の息子はヨハノです」とは厳密には言い換えできない。ヨハノ以外にも息子がいるかもしれないからである。
C が名詞の場合、常識的には SVC の語順にする(S=C, S∈C)。
ただし、この語順が文法上の規則だと謳われているわけではないので、誤解が生じない範囲内なら、その他の語順で表すことも不可能ではないように思われる。
動詞 esti は主語の叙述文を表す際の基本的な動詞で、「繋ぎ動詞」とか「繋辞」と言われたりするが、esti は繋ぎ動詞として使われるだけでなく「〜が(は)ある」「〜が(は)いる」という意味の「存在」を表す普通の自動詞としても使われる。
Estas muso. 鼠がいます。
Rozo estas sur tablo. バラはテーブルの上にあります。
Estas studentoj. 学生達がいます。
sur[前]〜の上に(接触している)/ tabl-o テーブル
esti が普通の自動詞としても使われる場合、文の構造は SV ということになる。なお、日本語で「〜が ある」「〜が いる」のニュアンスのときは、 規則ではないが下のように VS の語順がよく使われるように見受けられる。
Rozo estas sur tablo. バラはテーブルの上にあります。
Estas Rozo sur tablo. バラがテーブルの上にあります。
esti が存在を表す意味でも使われることは、C が形容詞の SVC 構文において、語順に制限を加えることになる。語順に配慮しないと、形容詞が主語を叙述しているのか、名詞を修飾しているのか区別がつかなくなる。常識的なことだが、形容詞とそれが修飾する名詞の間には esti を置かないのが普通である。
Estas Muso malgranda. 小さい鼠がいる。
Muso estas malgranda. 鼠は小さい。
Granda estas la muso. 大きいですよ、その鼠は。
SVO 構文
次に目的語のある文を見ていく。目的語は、名詞語尾 -o の後ろに -n を付け、-on とする。主語や目的語は動詞の前語どちらに置いても構わない。
Kato ĉasas muson . 猫が鼠を追いかけています。
Heleno rozon rigardas*. ヘレノがバラを見ています。
Libron legas Johano. 本を読んでいるよ、ヨハノは。
kat-o 猫 / ĉas-i 追う、狩る / rigard-i 見る、注目する / libr-o 本 / leg-i 読む
*rigardi は「視線を向ける」「注視する」という意味。「目で知覚する」という意味では vidi を使う。
エスペラントの学習書などでは、目的語の指標である -n の付いている語句を「目的格」と呼ばないで「対格」と呼ぶ方が多いようだ。多分 -n の付いている語句が常に目的語を指すとは限らないからだろう。「対格」に対して -n の付いていない語句を「主格」とか「名格」と言う。
目的語を形容詞で修飾してみる。エスペラントでは目的語を修飾する形容詞も対格にする。形容詞語尾 -a にさらに対格語尾 -n をつけるので -an となる。
Kato ĉasas malgrandan muson . 猫が小さな鼠を追いかけています。
Heleno rigardas rozon ruĝan . ヘレノが赤いバラを見ています。
Malfacilan libron legas Johano. ヨハノは難しい本を読みます。
mal-grand-a 小さい ← 反対+大きい / ruĝ-a 赤い / mal-facil-a 難しい ← 反対+易しい
さらに目的語を複数形にしてみる。目的語が複数形の場合、名詞は -ojn、形容詞は -ajn になる。(例文は意味的に自然になるように主語も複数形にしたものがある)
Katoj ĉasas malgrandajn musojn . 猫(複数)が小さな鼠(複数)を追いかけています。
Heleno rigardas rozojn ruĝajn . ヘレノが赤いバラ(複数)を見ています。
Malfacilajn librojn legas Johano. ヨハノは難しい本(複数)を読みます。
基本文は他にももう少しあるが、別の項目に分けることにする。
人称代名詞と指示代名詞
普通名詞や固有名詞以外の人・物・事の表し方。
人称
数
人称代名詞
所有代名詞
一人称
私
単数
mi
mia
私達
複数
ni
nia
二人称
あなた・あなた達
単複同形
vi
via
三人称
彼
単数
li
lia
彼女
単数
ŝi
ŝia
それ(動物・事物)
単数
ĝi
ĝia
彼ら・彼女ら・それら
複数
ili
ilia
不定人称
人々
複数
oni
onia
再帰代名詞
自分
単複同形
si
sia
人称代名詞。2人称の vi は単複同形である。ci という2人称単数形代名詞もある(親しい間柄で使う)が、実際にはほとんど使われていない。ザメンホフの表した「16条の文法規則(エスペラント基本文法) 」に ci は載っていないので、このまとめでも表に入れないことにした。「練習文集 」に「普通 ci の代わりに vi を使う」と括弧書きで紹介されている。
エスペラントには誰も変更することが許されていない Fundamento de Esperanto(エスペエラントの基礎)と呼ばれる書物がある。これは英語、フランス語、ドイツ語、ロシア語、ポーランド語の5カ国語で書かれたもので、Antaŭparolo(前言)、Fundamenta Gramatiko de Espernato(エスペラント基本文法、 16条の文法規則 (16-regula gramatiko ) とも呼ばれる)、Ekzercaro(練習文集) 、Universala Vortaro(汎用辞書)の4部で構成されている。
三人称単数形の中性名詞 ĝi は、「16条の文法規則」には動物・事物とあるが、「練習文集」では小児に対しても使われている。いくら小児でも「性」はあるはずなので、ĝi は「性に着目しない」という意味で使われるのであろう。エスペラントにはそもそも文法上の性は存在しないので、ĝi を使って何を指示するのかについては、厳格なヨーロッパ言語と違ってあまり杓子定規に考えなくてもよいのではないかと思う。動物でも性に着目するときは li や ŝi を使うこともできるだろうし、中には性的にニュートラルな意味で大人を指す場合にも ĝi が使えるとする人さえいるようだ。とは言え、性に関しては繊細な問題を孕んでいることもあって、性に関して中立の新しい代名詞を提唱する人もいたりして、いろいろ議論がなされているようである。
不定人称の oni は「人」「世間の人」のような意味で、特定の人を指さないで話題にするとき使われる。ただし、特定の人を指してはいるが、情報として重要でない場合に oni を使うこともある。
oni の数については、ポーランド語版の「16条の文法規則」では、zaimek nieosobisty liczby mnogiéj、ロシア語版では、безличное множественнаго числа と説明されていて、いずれも「不定人称複数形」という意味のようだ。英語版、フランス語版、ドイツ語版は単に訳語が載っているだけで説明は無い。英語版 one, people; フランス語版 on; ドイツ語版: man。ここでは一応複数形とした。
Mi estas instruisto*. 私は教師です。
Ni estas studentoj. 私たちは学生です。
Vi estas bela. あなたは美しい。
Vi estas belaj. あなた達は美しい。
Li kuras rapide. 彼は速く走る。
Ŝi havas fraton. 彼女には兄弟が一人いる。
Ĝi estas citrono. それはレモンです。
Ili laboras. 彼らは働いています。
Oni ĝojas. 人々は喜んでいます。
Oni fermis la pordon。ドアが閉められた。(例えば「係の人がドアを閉めた」のかもしれない)
instru-ist-o 教師 ← 教える+人 / bel-a 美しい、素晴らしい / hav-i 持っている / frat-o 兄、弟 / citron-o レモン / ĝoj-i 喜ぶ、うれしく思う / ferm-i 閉める
* -ist- は従事者、主義者を意味する接尾辞
10. の場合、明らかにドアを閉めたのは特定の人だが、それが誰かに言及する意図はない。
代名詞は名詞相当なので目的語のときは -n を付けて対格にする。
Mi instruas lin . 私は彼を教えています。
Ŝi amas min . 彼女は私を愛しています。
Oni respektas lin . 人々は彼を尊敬しています。
instru-i 教える / am-i 愛する / respekt-i 尊敬する
人称代名詞に形容詞語尾の -a を付けると所有代名詞(代名詞所有形)になる。mia(私の)、via(あなたの)、ŝia(彼女の)といった具合だ。所有代名詞には形容詞と同じように複数形語尾や対格語尾を付ける。
Mia aŭto estas malnova. 私の車は古いです。
La malnova aŭto estas mia . その古い車は私のです。
Viaj vestoj estas novaj. あなたの服は新しい。
La novaj vestoj estas viaj . その新しい服はあなたのです。
Ŝi prenis kaj tiris lian manon. 彼女は彼の手をとって引っ張った。
La instruistino rigardis iliajn vizaĝojn. その女性の教師は彼らの顔を見た。
aŭt-o 自動車 / mal-nov-a 古い ← 反対+新しい / vest-o 服 / nov-a 新しい / instru-ist-in-o 女性の教師 ← 教える+人+女 / pren-i 取る / kaj[接]そして、〜と = and / tir-i 引っ張る / vizaĝ-o 顔
エスペラントには英語の mine, yours, hers のような独立所有格はない。mia ~(私の〜)、via ~(あなたの〜)、ŝia ~(彼女の〜)などの 〜 の部分が暗黙に分かる場合に単に省略するだけだ。ただし、学習書などによっては、こういった場合には冠詞を付け、la mia、la via、la ŝia とするとしているものもあり、実際この形をよく見かける。しかし必ずしもそうしなければならないというわけではない。
下の例文の 1. は、今の段階では難しい文だが、「練習文集」にある比較表現で、「あなたのパン」と「私のパン」を比べている。ここでは「あなたのパン」を via pano とし、「私のパン」を単に mia で表している。しかし例文 2. のように la mia と表すことも可能である。
[...] via pano estas malpli freŝa, ol mia .* ... あなたのパンは私のより新鮮ではない。(練習文集)
= [...] your bread is less fresh than mine .
Via aŭto estas nova. La mia estas malnova. あなたの車は新しいです。私のは古いです。
= Your car is new (a new one). Mine is old (an old one).
pan-o パン / mal-pli より少ない、より劣った (= less) / freŝ-a フレッシュな、新鮮な / ol 〜より(= than)/ nov-a 新しい / aŭto 自動車
*pli ~ ol ~ = more ~ than ~、malpli ~ ol ~ = less ~ than ~ 参照:[
比較 ]
なお、少しややこしいが、la mia という表現は可能だが、la mia aŭto という表現は誤りということになっている。「冠詞 + 所有代名詞 + 所有物」と3つ続けることはしない。所有代名詞は冠詞と同じように「特定の人や物事に限定して話をする場合に使う。文法用語を使うと冠詞も所有代名詞もどちらも「限定語*」と呼ばれる範疇に属す。通常 la とそれ以外の限定語は重ねないことになっている。なぜなら所有代名詞 mia によってすでに限定されているのだから、さらに la を重ねるのはおかしいという理屈のようだ。ただし、“la mia” のように所有代名詞によって限定される名詞を省略するときだけ、重ねることができるとされている。(しかし、後出の所有指示詞とでも言えそうな “ties”(その人の)に la を付け名詞を省略する表現 “la ties”(その人のもの)は許容されていないようだ。... ちょっと難しい 汗)
*限定語:定冠詞(la)、所有代名詞(mia, via, lia...)、指示詞(tiu, ties, tia など)、ambaŭ、unu(unu は半限定語)
再帰代名詞:
Li pentras lin . 彼は彼を描いている。
Li ludas kun lia infano. 彼は彼の子どもと遊んでいる。
pentr-i 描く / kun[前]〜と(= with) / lud-i 遊ぶ / infan-o 子ども
この文だと主語の li (彼は) と目的語の lin (彼を)や 所有代名詞の lia (彼の)が主語と同一人物か、主語とは別の男性を指しているのかはっきりしない。そこで同一人物の場合は、lin や lia に代えて再帰代名詞の sin や sia を使う。
Li pentras sin . 彼は自分を描いている。
Li ludas kun sia infano. 彼は自分の子どもと遊んでいる。
これで同一人物であることがはっきりする。...というか、再帰代名詞を使わないと同一人物ではないと判断される。
再帰代名詞は主語と同一人物を指す。ただし、主語が3人称や不定人称のときに使い、1人称や2人称のときには使わない(使ってはいけない)。
Mi pentras min . 私は自分を描いている。
Vi ludis kun via infano. あなたはあなたの子供と遊んでいた。
再帰代名詞は主語と同一人物を指すのだから、主語の中自体では特別な場合を除いて使わない。
(誤)Li kaj sia amiko promenas kune. 彼と自分の友人は一緒に散歩をしている。
(正)Li kaj lia amiko promenas kune. 彼と彼の友人は一緒に散歩をしている。
kaj [接]〜と, = and / amik-o 友達 / promen-i 散歩する / kun-e 一緒に ← 前置詞 + 副詞語尾
「特別な場合を除いて使わない」というのは、ここでは例を示さないが、例えば「己のものは すべて愛おしい」のように、主語が具体的に誰かを指示しない場合である。ただし、主格の si が主語になることはなく、sia 〜 の形で使われる。
再帰代名詞は主語と同一人物・同一事物を指すとはいうものの、実はその主語は文全体の主語とは限らない。例えば、従属節の中の再帰代名詞はその節の主語を指すし、修飾句の中にある再帰代名詞はその句の範囲内の意味上の主語 を指す。そのため再帰代名詞を実際に扱うのはかなり(ひどく)手こずってしまう。そこで詳細を別の項目 に分けた。
指示代名詞・指示詞
指示代名詞
それ・あれ(物・事)
tio
ĉi を添えて近くのものを指す
指示詞
(指示代名詞)
その・あの(人・物・事)
tiu
tio は指示代名詞で、日本語の「それ」「あれ」にあたる。「これ」のように、近くの物や事を指すには tio の前または後ろに小辞の ĉi を添える。エスペラントでは「それ」と「あれ」を区別しない。
tio は 基本的には人を指すことはない。ただし、日本語で言うと「彼は一体何者だ?」という問いに対して「それ が彼だ(彼はそんな奴だ)」のような意味合いで答えた場合の「それ」のニュアンスを表すために tio を使うようなことはある。
tioj という複数形はほとんど使わない。
tio それ、あれ
tio ĉi、ĉi tio これ
tiu は人に対しても使われ、また、tio と違って頻繁に複数形で使われる。
tiu persono その人、あの人
tiu ĉi persono、ĉi tiu persono この人
tiu studento その学生
tiuj ĉi floroj 、ĉi tiuj floroj これらの花(複数)
tiu laboro その仕事
person-o 人、個人 / flor-o 花 / labor-o 仕事
tiu 自体が特定のものを指し示すので(限定語なので)、la tiu(j) 〜 という表現はない。
tio も tiu も目的語には -n を付ける。
Mi konas tion . 私はそれを知っています。
Mi konas tiun viron. 私はその男性を知っています。
Mi konas ĉi tiujn virinojn. 私はこの女の人達を知っています。
kon-i 経験・見聞として知っている(知識として知っているは sci-i)/ vir-o 大人の男性 / vir-in-o 大人の女性 ← 成人男子+女
tiu は指示するものが分かっていて相手も暗黙に了解できる場合、しばしばそれを省略する。つまり tiu 単独で「それ」「あれ」という意味の指示代名詞としても使われる 。下の例文中の括弧で括られた部分は、暗黙にそれが分かる場合、しばしば省略される。ただし何の脈絡もなくいきなり tiu が単独で出てきたら、「物」や「事」ではなく「人」 を指す。
Tiu (aŭto) estas mia. それ(その車)は私のです。
Ĉi tiu (floro) estas bela. これ(この花)は美しい。
Tiu ĉi (persono) estas sinjoro Davis. こちら(この人)はデービスさんです。
Tiuj (homoj) estas studentoj. あの人達は学生です。
Tiu estas bela. あの人は美しい。
aŭto 自動車 / 美しい、素晴らしい / persono 人 / sinjoro 〜氏・〜さん(男性に対する敬称)/ hom-o 人、人間
tiu は指示代名詞としても使われるので、結局 tio も tiu も日本語にすると「それ」となる。人称代名詞の ĝi も日本語にすると「それ」となる。そこで3者の使い分けを理解しておく必要がある。
指示代名詞としての tiu と tio の違いだが、tiu は指示するものが分かっていて相手も暗黙に了解できる場合(tiu 〜 の 〜 が相手に分かる場合)の省略表現なので、「その車」「この花」のように「その + 名詞」で言い換えができるものを指すときに使う。tio は「そのこと」とか「そのもの」としか言い換えできない場合に使う。
例えばある物やある人が倒れるのを目撃した場合、「私はそれを見た」というとき、「倒れた」という出来事を指すときは tio を使い、倒れた人や倒れた物を指す時は tiu を使う。
目の前に何か知らない物が置いてあって、「それは何ですか」と聞くときは tio を使い、本が何冊か置いてあって(本であることが分かっていて)どれかを指して「それは小説ですか」と聞くときは tiu を使う。
人称代名詞の ĝi も日本語にすると「それ」となるが、 基本的に人称代名詞は話の中に出てきた事物・人をもう一度取り上げるときに使う。それに対して指示代名詞は、例えば目に見えているものや手元にあるものなどを指示するのに使う、つまり文脈から離れた事物・人を指す。難しい用語だが、内部指示/文脈照応、外部指示/外界照応というような言い方があるそうだ。どれほど厳密に使い分けられているかよくは知らないが、原則はそのようである。ただし tio は文脈中のまだ名詞で表現されていないもの(例えば出来事)や、これまでに出てきた会話の内容、人の意見などを指して言う時にも使われる。
Ŝi rakontis belan fabelon. Ĝi estis amuza. 彼女は美しい童話を話してくれた。それ(その童話 ... 童話の名前などに注目)は面白かった。
Ŝi rakontis belan fabelon. Tio estis amuza. 彼女は美しい童話を話してくれた。それ(話してくれたこと、もしくはその童話の内容)は楽しかった。
Heleno - "La floro estis bela. Tio estas vera." ヘレノ - 「あの花は美しかった。それ(私の言ったこと)は本当よ。」
rakont-i 物語る・話す / bela 美しい、すばらしい / fabel-o 童話 / amuz-a 面白い、楽しい / ver-a 本当の
もう1つ、tio は物事をまとめて取り扱い、tiu は個々の物事を指すという違いがある。例えば tio を使って下のような言い方が可能である。何人かで話をしていて、ある人がいろいろアイデアを出したとする。このとき、
Tio estas liaj ideoj . それは彼のアイデアです。
ide-o アイデア、思想、観念
という表現が可能である。tio は彼のいろいろなアイデアをまとめて指している。tio は単複同型と言えそうに思えるが、そうとは言い切れない。実際に使うことはほとんどないと思われるが、 tio kaj tio(それとそれ)の意味で tioj と表現することは理屈としては一応可能だ。(kaj は 英語 の and に相当)
指示形容詞と指示副詞
指示代名詞が出てきたのでついでに指示形容詞と指示副詞を見ておくことにする。下表の上2つ(tio, tiu)はすでにやったので、残りについて。
代名詞的
物・事
tio
それ
指示詞的
(代名詞的)
人・物・事
tiu
その〜、その人、それ
所有
ties
その人の〜、それの〜
形容詞的
性質・状態
tia
そんな
副詞的
場所
tie
そこに
時
tiam
その時
方法・様子
tiel
そのように
理由
tial
そういう理由で
数量
tiom
それほどの
tiu, tio 以外の指示詞についても ĉi を添えることができる。
ties
ties は「その人の〜」「それの〜」という意味の、言わば所有指示詞だが、「〜」の部分が分かっている場合は「その人のもの」「それのもの」という意味で所有物・所属物自体を表すこともできる。
Tio estas ties vesto . それはその人の服です。
Tiu vesto estas ties . その服はその人のものです。
vest-o 服
ties は形容詞相当、もしくは名詞相当であるが、対格語尾を付けることはない。
(誤)Mi surmetis tiesn veston . 私はその人の服を着た。
(正)Mi surmetis ties veston . 私はその人の服を着た。
sur-meti 着る・身につける ← 上・表面 + 置く
所有代名詞では、所有しているものを省略するときは、la mia(私のは)のように冠詞を付けることもあるが、ties の場合、la ties(その人のは)のように冠詞を付けることは誤りとされる。
tia
tia は「そんな〜」という意味で形容詞相当だが、「〜」の部分が分かっている場合、ties と同じように「〜」の部分を省略し、「そんなの」や「そんな人」という意味で代名詞的にも使われる。tia は形容詞相当なので、形容詞と同じように複数形語尾や対格語尾を付ける。
Tia vesto estas multekosta. そんな服は高価です。
Mi volas ĉi tian veston . 私はこんな服が欲しい。
Ŝi havas tiajn vestojn . 彼女はそんな服(複数)を持っています。
Mi ne havas ĉi tiajn . 私はこんなの(複数)は持っていません。
mult-e-kost-a 高価な ← 多い+副詞語尾+費用がかかる / vol-i 欲しい、〜したい・意志を持っている / ne*[副小]〜しない、〜ではない / hav-i 持っている
* ne は否定するための副詞的小辞で、否定対象の語句の直前に置く。動詞の直前に置けば文全体を否定することになる。
ties と同じく、la tia(j)(そんなの)のように la と tia を重ねることはない。
品詞分類上 tia はあくまで形容詞相当であって形容詞ではない(最後の a は形容詞語尾ではない)。tia 全体がこれ以上分割できない語根である。
tie
tie は「そこで」「そこにおいて」という意味で、場所を示す副詞的な指示詞である。
Tie mi aĉetis la veston. そこで私はその服を買いました。
aĉet-i 買う / vest-o 服
「そこへ」「そこから」「そこまで」といったように方向や移動を表す場合は意味に応じた前置詞を置く。
Mi iris al tie* hieraŭ. 昨日私はそこへ私は行きました。
Mi venis de tie . 私はそこから来ました。
Ĝis tie mi akompanos vin. そこまでご一緒します。
al[前] 〜へ / ir-i 行く /[副小]hireaŭ 昨日 / de[前] 〜から(起点) / ven-i 来る、相手のところに行く / ĝis[前・接] 〜まで(時間・空間) / akompan-i[他] 同行する
*al tie(そこへ)は、前置詞の al を使う代わりに tie の後ろに対格語尾 -n を付けて tien で代替することができる。この -n は目的語とは関係なく、方向や移動先を表す。al tie より代替表現の tien の方が多く使われているように見受けられる。参照:[目的語以外を表す対格 ]
Mi iris tien hieraŭ. 昨日私はそこへ私は行きました。
tie は副詞的指示詞だが、形容詞語尾 -a をつけて形容詞的指示詞(そこの)として使える。
Tiea mastrumistino estis afabla. そこの家政婦は愛想が良かった。
mastr-um-ist-in-o 家政婦←家事を切り盛りする+職業の人+女性 / afabl-a 物腰の柔らかい; 親切な; (物が)取り扱いやすい
tiam
tiam は「その時に」という意味で、時を表す副詞的指示詞である。「その時から」「その時まで」「その後」などのような表現には適当な前置詞を置く。
Tiam mi aĉetis la veston. その時私はその服を買いました。
De tiam mi volis la veston. その時から私はその服が欲しかった。
Post* tiam mi aĉetis la veston. その後、私はその服を買いました。
Ĝis tiam mi portos tiun ĉi superveston. その時まで私はこの上着を着ておきます。
aĉet-i 買う / vest-o 服 / de[前] 〜から(起点) / vol-i 欲しい / *post 後(時間)、後ろ(順序)/ port-i 身に付ける、携帯する、持ち運ぶ / super-vest-o 上着・オーバー ← 上+服
*post は、空間的な「後ろ」の意味で使っても間違いではないようだが、主に時間に関して使われる。かつては空間的な意味で広く使われていたらしいが、現在は、並んでいるものの順序を扱う場合に使われ、それ以外では malantaŭ(←反対+前)が使われる。
tiam は副詞的指示詞だが、形容詞語尾 -a をつけて形容詞的指示詞(その時の)として使える。
Ŝi surmetis tiaman robon. 彼女はあの時のドレスを着た。
rob-o ローブ、ワンピース
tiel
tiel は「そのように」という方法や様子を表す指示副詞である。tiel は副詞相当なので動詞にも係るが、形容詞や副詞に係って程度も表す。
Li tiel faris la veston. 彼はそのようにしてその服を作りました。
Li faris tiel belan veston. 彼はあんなに綺麗な服を作りました。
Li tiel lerte faras vestojn. 彼はあんなに上手に服を作ります。
far-i 作る、する / lert-e 巧みに・上手に
tial
tial は「そういう理由で〜」「だから〜」という意味を表す指示副詞である。
Tiu ĉi vesto estas tre bela. Tial mi volas ĝin. この服はとても綺麗だ。だから私はそれ(=この服)が欲しい。
tre[副小]とても / bel-a 美しい / vol-i 欲しい
tiom
tiom は「それほどの数・量の」という意味で、数量に関する副詞的指示である。tiom は単独で tiom multe(沢山)の意味で使われる場合もあり(文脈などから読み取れる場合)、nur tiom で tiom malmulte(少しだけ)の意味で使われているように伺える。(nur は「たった〜だけ」の意味の副詞的小辞)
Ŝi tiom (multe) elspezis. 私はそれほど(沢山)支出した。
Ŝi nur tiom (malmulte) elspezis. 私はたったそれだけ(少しだけ)支出した。
mult-e 沢山・多く / el-spez-i 支出する ← el 〜の中から(出る) + 出納する / nur[副小]たった〜だけ / mal-mult-e 少し
tiom は副詞的指示詞だが、形容詞語尾 -a を付けて形容詞的指示詞として序数(その番の、その回の...)を指示することもある。tioma を副詞的に使うときは(その番に、その回に...)適当な前置詞を置く。
tioma horo(fojo, etaĝo) その時刻(回、階)
je tioma horo(fojo) その時刻(回)に
sur tioma etaĝo その階に
hor-o 時刻 / foj-o 回
ただし実際には tioma の代わりに tiu(その)が使われることの方が多いようだ。
基本文(2)
残りの基本文を見ていくことにする。
SVOO 構文
この項目のタイトルを「SVOO 構文」としたが、実はエスペラントにこの構文はない (汗)。英語では、直接目的語と間接目的語を語順で区別する方法、つまり SVOO 構文と、間接目的語を前置詞句で表す方法の2通りあるが、エスペラントでは間接目的語は常に前置詞句で表す。構文としては「SVO + 前置詞句」とか「SVOA 構文」(A: adverbial 副詞類)と呼ぶことになりそうだ。
Li donis ringon al mi . 彼は私に指輪をくれた。
Mi prezentis la foton al ŝi . 私は彼女にその写真を見せた。
Mi sendis al mia patrino leteron . 私は母に手紙を送った。
Li pruntis al* mi aŭton . 彼は私に車を貸してくれた。
prezent-i 見せる・紹介する / al[前]〜に / don-i 与える / ring-o 指輪、輪 / send-i 送る / patrin-o 母親 / prunt-i 貸す; 借りる / aŭt-o 自動車
*prunti al で「〜に(信用で)貸す」の意
間接目的語が「〜に」と訳せるような場合、多くは前置詞に al を使うが、下の例文のように por(〜のために)を使うこともある。
Mia patrino kuiris* varman supon por mi . 母は私に(のために)温かいスープを作ってくれた。
La patro faris tablon por la filo . 父親は息子に(のために)机を作りました。
kuir-i(加熱して)料理・調理する / varm-a 温かい、熱い、暑い / sup-o スープ / far-i 作る、する / tabl-o テーブル / por[前]〜のために / fil-o 息子
* kuiri は「加熱する」という意味を含んでいる。
下のように de(〜から) を使うこともある。
Mi ricevis ringon de li . 私は彼に(から)指輪をもらった。
Mi pruntis de* li monon. 私は彼に(から)お金を借りている。
Ŝi petis de mi psalmlibron. 彼女は私に(から)聖歌集をねだった。
ricev-i 受ける、もらう / de 〜から / mon-o お金 / pet-i 頼む・請う・招く / psalm-libr-o 聖歌集 ← 聖歌+本 /
prunti de で「〜から(信用で)借りる」の意。
これはしばしば犯しやすい間違いの原因になるので重要なことだが、下のように、日本語だと「〜に」とするところをエスペラントでは直接目的語にする場合がある。
Ili dankis lin pro la helpo. 彼らは彼に 助けを感謝した。
Ŝi demandis lin pri tio. 彼女は彼に それを尋ねた。
Li informis min pri tio. 彼は私に それを知らせた。
Mi regalos vin per trinkaĵo. あなたに 飲み物をおごりましょう(あなたを飲み物でもてなしましょう)。
Mia avo provizas* kelon je vinoj. 私のおじいさんはワインを地下室に 保存している 。
Oni senigis** la muron je fenestroj. 壁の(から) 窓を取り除いた。
dank-i 感謝する / pro[前]〜のために(原因・理由・動機)/ help-o 助け / demandi 尋ねる・聞く / pri[前]〜ついて、〜に関して / inform-i 知らせる / regal-i おごる・もてなす / per[前]〜で(道具、手段)/ trink-aĵ-o 飲み物 ← 飲む+もの / av-o 祖父 / proviz-i 貯蔵する、装備する / kel-o 地下貯蔵庫 / vin-o ワイン / sen-ig-i 取り去る ← 〜を欠いた+他動詞化 / je[前]汎用前置詞 / fenestr-o 窓
* provizi provizi A je B = A に B を貯蔵する/装備する
** senigi A je B = A から B を取り去る
動詞によっては常にこの形をとるものもある。例えば、Ŝi demandis lin pri tio(彼女は彼にそれについて尋ねた)は Ŝi demandis al li tion (彼女は彼にそれを尋ねた)とも表現できるが、Li informis min pri tio(彼は私にそれについて知らせた) は Li informis al mi tion (彼は私にそれを知らせた) とは言わないようである。こういったことがあるので、動詞が何を目的語にとるかを辞書の例文などで確認する必要がある。
SVOC 構文
基本文(1)で 主語の叙述文(SVC)が出てきたが、これは目的語の叙述文である。エスペラントでは O を対格にし、C を主格にする。
Li farbis la muron blanka . 彼はその壁を白く塗った。
Mia patro nomis min Johano . 父が私をヨハノと名付けました。
La ge* patroj faris lin kuracisto . 両親は彼を医者にした。
Oni elektis lin prezidento . 人々は彼を大統領に選んだ。
farb-i ペンキを塗る ← farb-o ペンキ・顔料・絵具 / mur-o 壁 / blank-a 白い / nom-i 名付ける / ge-patr-o-j 両親 ← 男女+親(父) / far-i 作る / kurac-ist-o 医者 ← 治療する+人 / elekt-i 選ぶ / prezident-o 大統領
* ge- は男女による集合を表す接頭辞
これらの文はすべて「S が V することで O estas C の関係にする 」という意味を表す。彼がペンキを塗ることで muro estas blanka(壁は白い)の関係にする。父が名づけることで mi estas Jonano(私はヨハノ)の関係にする、といったような具合だ。
同じ構文で下のような意味を表すこともある。
Mi trovis la vinon bongusta . 私はそのワインが美味しいと分かった。
Ŝi opiniis la ideon bona . 彼女はそのアイデアは良いと思った。
La knabo vidis la patrinon kolera . 男の子は母親が怒っているのを見てとった(分かった)。
La malsanulo sentis sin laca . その病人は自分が疲れているのを感じた。
trov-i 見つける、気づく、思う・評価する / bon-gust-a 旨い ← 良い+味+の / opini-i 〜と考える、意見をもつ / ide-o 考え; 観念; アイデア / bon-a 良い、すばらしい / knab-o 少年 / vid-i 見る、見て気づく、会う / patrin-o 母親 / koler-a 怒っている / mal-san-ul-o 反対+健康な+人 /[他]sent-i 〜を感じる / si 自分 / lac-a 疲れている
これらは文法的に「S が O estas C の関係であるのを V する」という意味を表す。la vino estas bongusta(そのワインは美味しい) ということが分かった。la ideo estas bona(そのアイデアは良い)と思った、といった具合だ。
エスペラントの SVOC 構文は、基本的に語順ではなく語尾(格)が意味を成り立たせているので誤解を生じない範囲であれば、つまり主格の形容詞が主語を修飾しているのか目的語を叙述しているのかが常識的に理解できれば語順は自由だ。
La muron li farbis blanka. 彼はその壁を白く塗った。
La vinon bongusta trovis mi. 私はそのワインが美味しいと分かった。
SV + 前置詞句の構文
自動詞の中には、その意味からして前置詞句がないと意味的に完結しないもの、前置詞句が重要な情報を有しているものなどがあり、SV に前置詞句が加わるものがある。構文としては「SV + 前置詞句」とか 「SVA 構文」(A: adverbial 副詞類)とか言うことになりそうだ。ただしこの構造の文であっても、前置詞句が必須でもそれほど重要でもない場合もある。
La libro apartenas al Petro . その本はペトロのものだ(ペトロに所属する)。
Tiu ŝranko konsistas el lignoj . そのロッカーは木でできている。
La ludo plaĉas al Petro . その遊びはペトロのお気に入りだ。
al[前]〜に / aparten-i al 〜に所属する、〜の所有物である / ŝrank-o 箪笥・ロッカー / el[前]〜で(材料)、〜の中から/ konsist-i el ~から成り立つ、〜でできている / lign-o 木材/ ludo 遊び / plaĉ-i 気に入る
La libro estas de Petro . その本はペトロのものだ。
Mi estas el Usono . 私はアメリカ出身です。
de[前] 〜の(所有・所属)/ el 〜から(出身)/ Usono アメリカ合衆国
Mia filo interesiĝis pri matematiko. 私の息子は数学に興味をもった。
Li loĝas en Romo. 彼はローマに住んでいる。
fil-o 息子 / interes-iĝ-i 興味を持つ ← 興味を持たせる+自動詞化 / pri 〜について(=about) / matematik-o 数学 / loĝ-i 住む
無主語文
最後の基本文である。エスペラントには主語の無い文がある。これには大きく分けて2つの場合がある。その1つは英語で非人称主語の it を使うような場合である。これには、天候や自然現象を表す場合、よく言われる「漠然とした状況」を表す場合、日付・曜日・季節、距離などを表す場合などがある。もう1つは、特殊な自動詞 temi(話題にする)を使う文である。
天候や自然現象を自動詞で表す文:
Pluvas. 雨が降っています。
Neĝos 雪が降るでしょう。
Ventis. 風が吹いた。
Vesperiĝis 夕方になってきた。
Degelas. 雪(氷、霜など)が解ける。雪解けする。
pluvi 雨が降っている / neĝ-i 雪が降る / degel-i 雪(氷、霜など)が解ける / vent-i 風が吹く / vesper-iĝ-i 日が暮れる ← 夕方+なる
これらの文は英語では、“It is raining”, “It will snow” のように it を使って表すが、エスペラントでは無主語文で表す。構文で言うと V ということになる。これらの動詞は、それぞれ pluvo(雨), neĝo(雪), vento(風), vespero(夕方)という名詞に動詞語尾を付けて動詞化したものだ。vespero には「〜になる」という意味の自動詞化のはたらきを持つ接尾辞 -iĝ- が付いている。「動詞が主語を含む文」という言い方で説明されていたりする。5. の degeli の名詞形 degelo は「雪解け」「氷解」の意で現象を表す。
漠然とした状況を表す文:
これには叙述文を使う方法と自動詞を使う方法がある。
Estas malhele . 暗い。
Estas malvarme . 寒いです。
Estas bone .(調子などが)良いです。
Estas bedaŭrinde . 残念です。
mal-hel-e 暗い ← 反対+明るい / mal-varm-e 寒い ← 反対+暖かい / bon-e 良く / bedaŭr-ind-e 残念な ← 残念に思う+べき
例文は叙述文で、VC 構文ということになる。 主語が無くても esti を介して状況を叙述する。実際の会話では、esti が省略されることも多いが、それでは完全な文とは言えない。この構文で大事なことは叙述語が形容詞でなく副詞 になることだ。エスペラントでは主語が名詞以外の場合(主語が無い、主語が不定詞や節の場合)、叙述語を副詞にする。
同じ意味を自動詞を使って表すこともある。
Malhelas(=Estas malhele). 暗いです。
Bonas(=Estas bone).(調子などが)良いです。
mal-hel-i 暗い ← 反対+明るい+動詞語尾 / bon-i 良い(動詞) ← 良い+動詞語尾
叙述語の品詞語尾を動詞語尾に変えるだけで動詞文にすることができる。ただしどんな場合でも叙述文に代えて動詞文で表せるかというとそうでもない。習慣的にどちらかの方が好まれていることがあるので、多くの人が従っている表現にする方がよいと思われる。叙述文と動詞文が全く同じ意味で同じニュアンスだとは限らない。どういったときにこの形が使われているかは、読書や会話を通じて習得していくしかないだろう。
下の2つの文は 一見 SVC の構文に見えるがやはり無主語文である。
Ekstere estas malvarme. 外は寒い。
Hodiaŭ estas serene. 今日は穏やかな日和だ。
ekster-e 外で / hodiaŭ[副小]今日 / seren-e 晴れている、雲や風の無い、うららかな
ekstere や hodiaŭ はそれぞれ副詞、副詞的小辞なので主語ではない。
日付、時間、季節、距離などを表す文:
Hodiaŭ estas dimanĉo 今日は日曜日です。
Jam estas malfrue. もう遅いです。
Nun estas somero. 今は夏です。
Tie estas malproksime de ĉi tie. そこはここから遠い。
hodiaŭ[副小]今日 / dimanĉo 日曜日 / jam 既に、もはや / mal-fru-e 遅い ← 反対+早い / nun[副小]今 / somero 夏 / tie[副小]そこ、そこに / mal-proksim-e ← 反対+近い+副詞語尾 / de[前]〜から(起点)
hodiaŭ, jam, nun, tie は、いずれも名詞ではなく副詞的小辞で、これらの文に主語は無いが完全な文である。
temi を使う文:
無主語文の2番目は特殊な自動詞 temi(話題にする)を使う文である。temi は主語を必要としない動詞である(主語をとることもできる)。構文としては VA ということになりそうだ。
Temas pri gramatiko. 文法の話をしています。
gramatik-o 文法
temi は日本語にすると「問題は〜です」「〜のことを言っている」「〜がポイントです」「〜を扱っている」というような言い方になる場合が多いように思われる。
Temas pri la rezulto. 問題は(言っているのは)結果です。
La frazo estas malĝusta. Temas pri la vorto. その文は間違いです。その単語がポイントです。
rezult-o 結果 / fraz-o 文 / mal-ĝust-a 間違った ← 反対+正しい / vort-o 単語
注意点があって、 temi は自動詞なので何を話題とするかは対格ではなく前置詞の pri(〜について)を使って表す。また、temi は主語を持つこともできるが、話題として取り上げてられているものを主語にとり、話題にしている人(行為者)を主語にとることはない。
Tiu rakonto temas pri unu knabino. その物語は一人の少女を主題にしています。
'probable' temas pri certeco. 'probable'(という単語)は確かさを扱います。
rakont-o 物語 /[数詞]unu 1、一つの、ある(=one) / knab-in-o 女の子 ← 少年+女 / probabl-e おそらく / cert-ec-o 確かさ ← 確か+さ・性
SVC 構文についての補足
SVC 構文では esti 以外の動詞も使われる。以下の文は、すべて SVC の構文である。
Tiu problemo ŝajnas malfacila. その問題は難しそうに思える。
La knabo aspektas matura. その少年は彼は大人びて見える。
Li fariĝis patro. 彼は父親になった。
La domo restas malnova. その家は古いままである。
Ŝi aperas fraŭlino. 彼女は未婚女性のようだ。
problem-o 問題 / ŝajn-i 〜のように思える / ma-lfacil-a 難しい ←反対+易しい / aspekt-i 〜のように見える / matur-a 成人の / far-iĝ-i 〜になる / patr-o 父 / rest-i 留まる、残る、〜のままである / mal-nov-a ← 反対+新しい / aper-i 現れる、〜のように見える / fraŭl-in-o 未婚女性 ← 未婚の男性+女性
esti 以外にも英語の seem(〜のように思える), look(〜のように見える), become(〜になる), remain(〜のままである), appear(〜のように見える)などに相当するような動詞は SVC 構文を作る。
下のような表現もある。
Virino sidas sola. 女性が一人で腰掛けている。
Ŝi kantis malĝoja. 彼女は歌っていて悲しかった。
Li venis la unua. 彼は一番に(一番乗りで)やって来た。
vir-in-o 成人女性 / sid-i 坐っている、腰掛けている / sol-a 一人きりの、唯一の / kant-i 歌う / mal-ĝoj-a 悲しい ← 反対+楽しい / ven-i 来る / la unu-a* 一番の、最初の ; unu-e 一番に、最初に、まず
* unua(一番の)は序数ですが、普通序数には冠詞を付けます。
sidi(腰掛けている), kanti(歌う), veni(来る)は、叙述語がなくても文が成り立つ完全自動詞もしくは他動詞である。しかしこういった動詞(ほとんどの場合自動詞)も主語の叙述文に使うことができる。普通の動詞が繋ぎ動詞の役割を兼ねていると言えそうである。例文中の形容詞を副詞にすると意味が変わったり曖昧になったりする。sola は 「ひとりきりの」とか「唯一の」という意味だが、副詞では「単独で」「独力で」とか「ただ~だけ」という意味もあるので、「することもなくただ座っている」のような意味にも受け取れる。malĝoja を malĝoje にすると「歌っているときの気分が悲しかった」という意味でなく「悲しげに歌った」という意味になり、歌い方を表すことになる。la unua を unue にすると「一番乗りで」という意味ではなく、「何はおいてもまず駆けつけて来た」のような意味にも受け取られる。
少し強引かもしれないが、下のようなニュアンスだと考えればよいのではないか。(kaj は英語の and に相当)
Ŝi kantis kaj estis malĝoja. 彼女は歌った、そして悲しかった。
Unu virino sidas kaj estas sola. ある女性が腰掛けている、そして一人です。
Li venis kaj estis la unua. 彼はやって来た、そして一番乗りでした。
形容詞でも副詞でも意味にほとんど差がない場合もあるし、厳格に区別しなければならない場合もありそうだ。
Tiu vorto sonas stranga(strange). その言葉は奇妙に響く(聞こえる)。
Ili estas bonaj. 彼らは善良です。
Ili estas bone. 彼らはうまくいっている。
Tiu seĝo estas komforta. この椅子は快適だ(この椅子は快適にさせる)。
(a) Mi estas komforta. 「私は快適だ(私は快適にさせる)」の意味
(b) Mi estas komforte. 「快適だ(私は快適な状況の中にいる)」の意味
vort-o 言葉、単語 / son-i 響く、聞こえる / bon-a 良い / seĝ-o 椅子 / komfort-a 心地よい
1. の場合 stranga でも strange でもそれほどニュアンスは変わらないだろう。2. の bonaj は ili(彼ら)の性質を表現している叙述語だが、3. の bone は副詞なので叙述語ではなく、estas(存在する、いる)のあり方を説明している。つまり「良い状態で存在している」といった意味である。4. の komforta は椅子が「心地よくさせる」という意味なので、したがって 5. (a) の文は、そういう場合も無くはないが、あまり使うことのない表現になる。5. (b) の komforte は、「心地よくさせる方法で → 心地よくさせる姿勢で(道具を使って、状況の中で...など)」といった意味を表すものである。
動詞が完全自動詞で叙述語に名詞を使うこともある。(使いどころはよく理解できていない)
Ŝi naskiĝis kristano. 彼女はクリスチャンとして生まれた。
Ŝi mortis islamano. 彼女はイスラム教徒として死んだ。
nask-iĝ-i 生まれる ← 産む+自動詞化 / krist-an-o クリスチャン ← キリスト+構成員 / mort-i 死ぬ / islam-an-o イスラム教徒 ← イスラム教+構成員
以上で基本文、つまり文の骨格をなす「文の要素」と、その使い方を大体見てきたことになる。ここまでに見てきた「文の要素」は主語、動詞、(直接)目的語、叙述語で、構文によっては前置詞句も「文の要素」と言える場合がある。
状況語と修飾語
「状況語」とは、主語、動詞、(直接)目的語、叙述語以外の文の要素である。これは、間接目的語・時間・場所・目的・理由・方法・手段・道具・材料・様子など様々な意味を以って動詞に係る副詞的修飾語 である。状況語は「基本文(2)」の中で出てきた前置詞句のように、それが無くては文が成り立たたない場合もあり、単なる修飾語と違って文の構造を支える重要な要素 となり得る。文を一本の木に例えれば、状況語は主幹から直接分かれた主枝のようなものである。
状況語は、前置詞句、副詞・副詞的小辞、対格 の形をとる。ただし、この場合の対格はいくつかの前置詞からなる前置詞句の代替表現であって目的語とは関係ない。
「修飾語」とは動詞以外の語句に係って何らかの説明を加えるもので、文から取り去っても文自体は完結する。木に例えれば主枝からさらに分かれた側枝のようなものである。状況語も広義には修飾語なのだから、こういった語句は「狭義の修飾語」と言う方が良いのかもしれないが、このまとめでは状況語と修飾語を区別することにする。
修飾語には単語の形で係るものと、句の形で係るものがある。単語の形で係るものには、名詞を修飾する形容詞 、形容詞や他の副詞を修飾する副詞・副詞的小辞 、それに、見かけ上、名詞を修飾している名詞がある(後ろの名詞が直前の名詞に係り、その名前を示すので「指名語」と呼ばれたりする)。句の形で係るものは、前置詞句、対格、不定詞句 の形をとる。
以下に、状況語や修飾語になり得る、前置詞句、副詞・副詞的小辞、目的語以外を表す対格について順に見ていくことにする。(形容詞は省略、指名語は[同格 ]の項目で、不定詞句は[不定詞 ]の項目の中の[同格として][動詞、形容詞、名詞の足りない情報を補足する]で取り扱った。)
前置詞句
前置詞句は、動詞に係る場合と動詞以外に係る場合がある。前置詞句が動詞に係る場合、文の必須要素となる場合もあるが、これについては「基本文(2)」の中の「SV + 前置詞句の構文」で見て来た。
動詞に係る前置詞句(状況語)
Li donis ringon al mi . 彼は私に指輪をくれた。(間接目的語)
La libro apartenas al Petro . その本はペトロのものだ。(帰属)
Tiu ŝranko konsistas el lignoj. そのロッカーは木でできている。(材料)
Ŝi atendis sian amikon ĉe la haltejo . 彼女は友達を停留所のところで待った。(場所)
Ili alvenis antaŭ la vesperiĝo. 彼らは日暮れ前にやって来た。(時間)
Karlo kuŝiĝis por ripozo . カルロは休息のために横になった。(目的)
Ŝiaj dentoj klakadis pro malvarmo . 彼女の歯は寒さでカチカチと音を立て続けた。(原因)
Petro manĝas supon per klero . ペトロはスプーンでスープを食べます。(道具)
Birdoj flugas en granda amaso . 鳥が大きな群れで飛んでいる。(様子・形状)
atend-i 待つ /[前]ĉe 〜のところで / halt-ej-o ← 止まる+場所 / al-ven-i 到来する、到着する ← 〜へ+来る / antaŭ[前]〜の前に(時間・空間)/ kuŝi-iĝ-i 横たわる、横になる ← 横たわっている+なる / por[前]〜するための、〜するために(目的)/ ripoz-o 休息、休憩 / dent-o 歯 / klak-ad-i かちかち音をたて続ける ← かちかち音をたてる+継続 / pro[前]〜のために(理由・原因・動機)/ manĝ-i 食べる / sup-o スープ / per[前] 〜で、〜を使って(道具・手段) / kler-o スプーン / bird-o 鳥 / flug-i 飛ぶ / en[前]〜の形状で、〜の中に、〜の中で(≒in)/ amas-o 群れ
前置詞句以外にも状況語としてはたらくものがあるので、詳細は後にしてざっと見ておく。
Petro parolas rapide . ペトロは速くしゃべる。
Unu tagon fajrego okazis. ある日大火事が起きた。
unu[数詞]1、1つ、ある / tag-o 日 / fajr-eg-o 大火事 ← 火+大きい / okazi 起こる
下線で示した rapide(副詞)、unu tagon(対格)も状況語である。状況語は前置詞句、副詞、対格の形をとって動詞に係る。そもそも動詞に係る副詞的語句を状況語と呼ぶのだから、副詞が状況語としてはたらくのは当然だ。
対格 (unu tagon) も状況語である。状況語としてはたらく対格は、いくつかの前置詞で構成される前置詞句(en 〜, dum 〜, je 〜, al 〜)の代替表現であって目的語とは関係ない。ただしこれらの前置詞句がどんな場合でも対格で代替できるというわけではなく、je 〜 以外は特定の意味を表す場合に限られる。例文中の unu tagon は、en unu tago の代替表現である。
unu tagon = en unu tago ある日に
en[前置詞]〜の中で、〜に、〜で(空間や時間に関して。英語の in に相当)
参照:[目的語以外を表す対格 ][前置詞 je と対格 ]
状況語は基本的に文中のどこに置いても構わないが、据わりの良い位置、誤解を生じにくい位置といったものはあるかもしれない。
動詞以外に係る前置詞句(修飾語)
sako kun tenilo 持ち手付きの袋 ... 名詞の修飾
arboj en la ĝardeno 庭の木 ... 名詞の修飾
estas malseka de* larmoj 涙で濡れている ... 形容詞(叙述語)の補足
ŝtono peza je 10[dek] kilogramoj 10kgの重さの石 ... 形容詞(修飾語)を補足
norde de** la urbo 街の北に ... 副詞を補足
sako 袋 / kun[前] 〜付きの・〜とともに(with) / ten-il-o 持ち手 ← 持つ・支える + 道具 / en 〜の中に、〜に、〜で (=in) / arb-o 木 / mal-sek-a 濡れた、湿った ← 反対+乾いた / de 〜で(起因)/ larm-o 涙のしずく / ŝton-o 石 / pez-a 重い / je[前]汎用前置詞 / kilogram-o キログラム / nord-e 北に、北で
*malseka de larmoj の de は起因を表す。ここでは濡らしている物を表す。
** de la urbo の de は起点を表す
前置詞句が動詞以外を修飾もしくは補足する場合、その語句の直後に置かれるのが普通である。
前置詞の使い方
前置詞の後ろには、基本的に主格 の名詞(句)が来るが、副詞・副詞的小辞が来ることもある。
Li subite aperis de malantaŭe . 彼は突然後ろから現れた。
Mi estas malsana de hieraŭ . 昨日から体調が優れない。
subit-e 突然、急に / aperi 現れる / de 〜から(起点)/ malantaŭ-e 後ろで、後ろに / mal-sana 病気の ← 反対+健康な / hieraŭ[副小] 昨日
その他、前置詞の使い方について知っておくべきこととして、いくつかの前置詞は、後ろに不定詞や名詞相当の従属節(名詞節)を置くことができるということがある。これについては「不定詞は名詞として振る舞う 」や「ke 節と ĉu 節 -- 名詞節 」「疑問詞が導く名詞節 」で取り上げた。
また、いくつかの理由で前置詞の後ろを対格にする場合がある。これについては、「目的語以外を表す対格」の中の「方向や移動先を表す 」「形態・状態の変化を表す 」にまとめまた。
前置詞の後ろの対格については、ある使い方について、対格にする人とそうでない人がいるという実状がある。例えば下のような意味を表す時に前置詞の後ろに置かれる語句を主格にするべきか対格にするべきかはっきりしない。
La patro donis al sia infano monon krom ludilo (?ludilon). 父親は自分の子供におもちゃ以外にお金も与えた。
今、2000円ぐらい持っている。Mi nun portas ĉirkaŭ 2,000 enoj (?enojn).
patr-o 父 / don-i 与える / mon-o お金 / infan-o 子供 / krom 〜の他に(krom は「〜を除いて」の意味も表す)/ lud-il-o 遊具、おもちゃ / port-i 持っている;持ち運ぶ;身につけている / ĉirkaŭ およそ; ~のまわりで / eno 日本円
これについては別のページ で考察してみた。
前置詞の一覧
al ~
〜に(間接目的語);〜へ(方向・移動先);〜に(位置・所属・適用);〜にとって(待遇・応待・主観)
anstataŭ ~
〜の代りに
antaŭ ~
〜の前に、〜の前の(時間・空間);malantaŭ 〜の後ろに(空間)
apud ~
〜の傍らに
ĉe ~
〜のところで
ĉirkaŭ ~
〜のまわり;およそ
da ~
〜分の量の
de ~
〜の(所属他各種関係);〜から、〜で(起点・原因);〜によって(受動文の行為者)
dum ~*
〜の間(時間);〜の一方で
ekster ~
〜の外に
el ~
〜の中から(場所・状態);〜で(材料);〜の内の(抽出)
en ~
〜の中で(場所・時・集合);〜に、〜で(行事・出来事);〜で(状態・形式)
ĝis ~*
〜まで、〜までに
inter ~
〜の間に
je ~
ピッタリする前置詞がないときに使う汎用前置詞(時点、時間、度量、回数、その他)
kontraŭ ~
〜に向かい合って;(自然な動きや方向に)〜に逆らって;〜に対して・〜に敵対して;〜に対して(対価)
krom ~
〜を除いて;〜の他にも
kun ~
〜とともに、〜と;〜付きの
laŭ ~
〜に沿って;〜に従って;〜によれば
malgraŭ ~
〜にもかかわらず
per ~
〜で、〜を以って(道具・手段)
po ~
〜ずつ
por ~
〜のために(目的・用途・受益者);〜にとって(有益性・評価);〜時間の・〜日間の(計画された時間);〜に対して(対価);〜につき・〜あたり(分配)
post ~
〜の後で(時間);後ろに(順序)
preter ~
〜のそばを通って
pri ~
〜に関して
pro ~
〜のために(原因・理由・動機)
sen ~
〜なしで
sub ~
〜の下に
super ~
〜の上方に(非接触)
sur ~
〜上に、表面に(接触)
tra ~
〜を貫いて
trans ~
〜を越えて
*dum, ĝis は接続詞でもある。krom と anstataŭ は前置詞として以外に接続詞のように、ĉirkaŭ, super, po などは本来副詞的にも使われている場合があるのが実情である。 上のリンクしたページ に例文とともにもう少し詳しくまとめてみた。
副詞
副詞は名詞以外を修飾すると基本文(1)の中で荒っぽい表現で触れたが、少し詳しくそのはたらきと使い方を見ていくことにする。副詞には、語尾 -e を付けて使うもの(派生副詞)と語根のまま使うもの(副詞的小辞)がある。
派生副詞
派生副詞は、品詞語尾 -e を持つ副詞だ。はたらきとしては、1. 動詞に係って行為や出来事に関して場所・時間・方法・手段・程度・様子などを表す、2. 形容詞や他の副詞を修飾する、3. 文全体を修飾する、4. 主語(や目的語)が名詞でない場合、それを叙述する、5. 単独で間投詞的に使われる、6. 少数だが名詞も含めて色々な語句に係って意味やニュアンスを添えるものがある。
動詞に係る派生副詞(状況語)
このような副詞はしばしば前置詞句で置き換えることができる。
形容詞や他の副詞を修飾する派生副詞
文全体を修飾する派生副詞
副詞によって文全体が修飾されている文は、文全体を主語に、副詞を叙述語に変えて表現できる。日本語だと「残念なことに彼は試験を通らなかった」は「彼が試験を通らなかったことは残念だ」のように言い換えできる。
叙述語としてはたらく派生副詞
すでに基本文(2)の無主語文で叙述語が形容詞でなく副詞になる例を見てきたが、無主語文だけでなく、主語が名詞以外場合、つまり不定詞や節の場合も叙述語は副詞になる。つまり、SVC 構文で S が無い場合もしくは不定詞や節の場合 C は副詞で表す。これについては、「不定詞 」や「ke 節と ĉu 節 -- 名詞節 」の中で取り上げることにする。
ただし目的語が不定詞や節の場合は、その叙述語は副詞でなく形容詞にすべきだという見解もあって、アカデミオ*も決定的な指針や推奨を示していないという実情がある。つまり、SVOC 構文で O が不定詞や節の場合 C は副詞か形容詞かということが実は曖昧だ。これについては、別のページ で愚考してみた。
*アカデミオ とはエスペラントの基本的な原則を維持することと、エスペラントの言語としての発展状況を調査することを目的とした国際的組織である。
間投詞的に使われる派生副詞
動詞、形容詞、副詞以外に係る特殊な派生副詞
一部の派生副詞は名詞や前置詞句に係る。
Mi ŝatas precipe bananon. 私は特にバナナが好きです。
Japanoj manĝas ĉefe rizaĵon. 日本人は主に米を食べます。
Li alvenis al la domo ĝuste je la 10a[deka] (horo). 彼はちょうど10時にその家にやって来た。
Ŝi demandis sole min. 彼女は私にだけ質問した。
ŝat-i 好む、高く評価する / precip-e ことさら / ĉef-e 主に / riz-aĵ-o 料理した米、米で作られたもの ← 米+もの / al-ven-i やって来る、到着する ← 〜に+来る / ĝust-e ちょうど、ピッタリ / je[前]汎用前置詞...ここでは時刻に関して / 10-a 十番目の ← 10+形容詞語尾 / hor-o 時刻 / al-parol-i 話かける ← 〜に+話す / sol-e ただ〜だけ = nur
こう言った派生副詞は係る語句の直前に置くことで誤解を避けることができる。例えば、'sol' は sola と形容詞で使うと「唯一の」「ただ一つの」「ひとりきりの」といった意味を表すが、副詞で使うと「単独で」「独力で」という意味や「ただ~だけ」という意味を表す。5. は「彼女は私に質問するばかりだった」とも解釈できなくもないが、その意味を表したい場合は、sole を demandis の前に置くことで誤解を避けれらる。
なお、副詞は前置詞句や対格を伴って副詞句を作る。対格を伴うことのできる副詞は動詞から派生した副詞である。
副詞的小辞
副詞的小辞は語根のまま使われる副詞だが、通常の修飾と違って名詞も含めていろいろな語句に係って、それらに「近接」「強調」「否定」「疑問」「比較」「制限」「無差別」「譲歩」「程度」などといった様々な機能的な意味やニュアンスを添えるはたらきをし、場合によってそれが置かれる位置によって文の意味的構造を変えるものがある。例えば、nur は「〜だけ」という意味を、それが係る語句に付与し「私だけ」とか「今だけ」とか「見ただけ」という意味を持つようになる。また、ne(否定語)は置かれる位置によって文全体を否定したり文中のある語句だけ否定したりする。これ以外にも、状況語として派生副詞と同じようにはたらくもの、間投詞や接続詞に近い使われ方をするものなどがある。
機能的意味やニュアンスを添える副詞的小辞
Li tuj (poste) respondis. 彼はすぐに (すぐ後で)返事をした。(近接)
Estas vendejo tuj najbare. すぐ 近所にお店がある。(近接)
Ŝi ja estas bela. 実に 彼女は美しい。(強調)
Petro ne parolis eĉ unu vorton. ペトロは一言たりとも話さなかった。(強調・類推)
Mi ne konas tiun. 私はその人を知らない 。(否定)
Ĉu Petro mem pentris la bildon? ペトロ自身 がその絵を描いたのですか (疑問;〜自身)
Nur mi konas lin. 私だけ が彼を知っている。(制限)
Preskaŭ ĉiuj konas lin. ほとんど すべての人が彼を知っている。(大部分)
Mi nur rigardas. 見ているだけです。(制限)
Mi akceptos iun ajn decidon. どんな 決定でも 受け入れる。(無差別・譲歩)
Tiu ĉi taso estas tre bela. このカップはとても美しい。(程度)
Mi estas tro maljuna. 私はあまりにも老い過ぎている。(程度)
tuj 直ちに、すぐに; すぐ / post-e 後で / respond-i 返答する / vend-ej-o 売店 ← 売る+場所 / najbar-e 近所に / ne[副小]〜しない、〜ではない / eĉ 〜さえ、〜すら / ja 実に、全く / kon-i 経験で知っている / ĉu 〜か?(疑問)/ mem 自身 / pentr-i 描く / bild-o 絵 / paper-o 紙 / nur 〜だけ / kon-i 知っている / preskaŭ ほとんど / rigard-i 見る、視線を向ける / akcept-i 受け入れる / iu ある、どれかの(some)、あるもの(something)、ある人(somebody) / ajn 〜であろうとも / ĉi 空間的・時間的に近い様を表す /decid-o 決定 / tre とても / tro あまりにも...過ぎる
ne は否定のための副詞的小辞で、直後の語句を否定する。動詞の直前に置けば文全体を否定することになる。tuj は poste がなくても単独で「直ちに」という意味で使える。tro は 単に tre を強調したものではなく何らかに関して限度を超えているという意味である。
状況語や修飾語などとしてはたらく副詞的小辞
派生副詞と同じように状況語としてはたらくもの、間投詞や接続詞に近いものなどがある。
Hodiaŭ pluvas. 今日 は雨が降っている。
Nun li estas for . 今 彼は不在 です。
Baldaŭ alvenos la aŭtobuso. もうすぐ バスが到着します。
Ĵus la aŭtobuso foriris. たった今 バスが出たところです。
La vilaĝo estas for de urbo. その村は町から遠い (遠くの場所にある)。
Li plu marŝis en la pluvo. 彼はあの雨の中をさらに(引き続き) 歩いた。
hodiaŭ 今日 / pluv-i 雨が降る / nun 今 / for 離れている、不在の / baldaŭ もうすぐ / al-ven-i 到来する、到着する ←〜に+来る / ĵus たった今 / for-ir-i 去る ← 離れて+行く / vilaĝ-o 村、田舎 / de[前]〜から(起点)/ urb-o 町、都会 / plu 引き続き / marŝ-i (長い距離を)歩いて行く
for を「遠い」と訳すと形容詞のように思えるが、「遠くの場所に」「離れて」という意味で副詞(状況語)である。[SVC 構文についての補足 ]のところで書いたが、エスペラントでは、esti の後ろに状況語として副詞が来ることはあり得る。例文の場合形容詞語尾の -a を加えて for-a とし叙述語にしても意味はそれほど変わらないであろう。
Jen (estas) dolĉa kuko! ほらここに ケーキがあるよ(ケーキだよ)。
Do mi klarigos pri tio. では 、それについて私が説明します。
Li ..., kaj tamen fidas ŝin. 彼は ...,そしてそれでもなお 彼女を信じている。
jen ほら、ここに / dolĉ-a 甘い / kuk-o ケーキ / do それでは、じゃあ / klar-ig-i 説明する ← 明らかな+〜にする+動詞語尾 / tamen それでも、けれども / fid-i 信用する、信頼する
jen は「ほら」というようなニュアンスで相手の注意を引くときに使うので間投詞的である。do は前段の話を受けて「それでは」のような意味で次の文を導くので接続詞的である。tamen は kaj tamen(そして、それでもなお) 、sed tamen(しかし、それでもなお)のように、接続詞の kaj や sed と一緒に使われることが多く、前段と後段の文のコントラストを引き出すはたらきがあるが、接続詞を省略する場合もあるので、tamen 自体を接続詞としている辞書もある。
副詞的小辞の一覧
副詞的小辞は学習書などによってその数は若干違うが約30個ほどある。コチラ に例文を添えて少し詳しくまとめてみた。
ajn
なんでも、どんな〜であろうと(無差別);たとえ何であろうと、たとえどんな〜であろうと(譲歩)
almenaŭ
すくなくとも;せめて
ambaŭ*
その2つとも、その二人とも
ankaŭ
~もまた
ankoraŭ
今もなお;まだ、もっと;ankoraŭ ne 未だ〜ない
apenaŭ*
かろうじて;するや否や(接)
ĉi
近いことを示す
ĉu*
〜か(疑問);〜かどうか(接)
eĉ
~でさえ
ja
まさに、確かに、本当に
ju pli ~ des pli ~
~であればあるほどいっそう〜である(ju malpli ~ des malpli ~)
kvazaŭ*
あたかも;まるで~のように(類比)(接)
mem
~自身
ne
〜ない(否定);いいえ(間投)
nur
たった・~だけ;ただの、〜に過ぎない;まだ、やっと(時間)
plej
最も(比較最上級);malplej(劣等最上級)
pli
より(比較級);malpli(劣等比較級)
preskaŭ
ほとんど(少し足りない);preskaŭ ne ほとんど〜ない
tre
とても
tro
あまりにも、〜過ぎる
tuj
直ちに(時間);すぐ近く(場所)
do
それなら、だったら;では、じゃあ(間投)
jen
ほらここに、この時(その時)(間投)
for
離れている、不在の、消失した;消えろ、立ち去れ(間投)
nun
今、今や;さあ、今こそ(間投)
hieraŭ
昨日
hodiaŭ
今日
morgaŭ
明日
jam
すでに、もう
baldaŭ
まもなく
ĵus
たった今しがた、〜したばかり
plu
さらに、引き続き
tamen*
とは言え、それでいてなお、にも関わらず(接)
ambaŭ は冠詞や代名詞に似たはたらきをするので(ambaŭ 単独で「その二人」「その二つ」の意味を表す)限定語に分類されることもある。apenaŭ, ĉu, kvazaŭ は接続詞でもある。tamen も接続詞的に使われていることがある。
目的語以外を表す対格
この項では、対格が目的語以外を表す場合について、まとめて見ておくことにする。
方向や移動先を表す
対格は方向や移動先を表す。これには3つの使い方がある。1つ目は移動先の名詞を直接対格にする方法である。つまり前置詞句 al ~(〜へ、〜に) の代替表現だ。(移動先を表す意味で対格にすることがあるのであって、al 前置詞句がいつでも対格に置き換え可能という訳ではない。)
Ni iris la urbodomon . 私たちは市役所に行った。
= Ni iris al la urbodomo .
Ŝi vojaĝis Novjorkon en la lasta jaro. 彼女は去年ニューヨークに旅行した。
= Ŝi vojaĝis al Novjorko en la lasta jaro.
urbo-dom-o 市役所 ← 市・町+家 / ir-i 行く / vojaĝ-i 旅行する / en[前]〜に(時間)、〜で、〜の中で(場所)/ last-a 最後の
ただしこのような対格の使い方は減ってきていて、せいぜい固有名詞に使われる程度だそうだ。それも減ってきているようだ。なお当然のことだが、〜n が al 〜 の代替表現なのだから al la urbodomon のように al と -n を同時には使わない。
2つ目は、位置を表す前置詞の目的語を対格にする方法である。位置を表す前置詞:antaŭ(前に), malantaŭ(後ろに), apud(傍らに), ĉe(〜のところに), ekster(外に), en(中に), inter(間に), post(後ろに並んでいる), sur(上に), sub(下に), super(上方に) など。
Birdoj flugas en la ĝardeno. 鳥が庭の中を飛んでいる。
Birdo flugis en la ĉambron . 鳥が部屋の中へ飛んで入って来た(行った)。
Muso kuras sub lito. 鼠がベッドの下を走っている。
Muso kuris sub liton . 鼠がベッドの下へ走って行った(来た)。
Ili iris en Parizo. 彼らはパリの中を行きました。
Ili iris al Parizo. 彼らはパリに行きました。
Ili iris en Parizon . 彼らはパリ(の町)の中へ入って行きました。
sur tablon(muron, korpon,...)テーブルの上に(壁に、体に)
ekster(antaŭ, malantaŭ, apud, super,...) domon 家の外に(前に、後ろに、傍に、上方に)
bird-o 鳥 / flug-i 飛ぶ / en[前] 〜の中で / ĝarden-o 庭 / ĉambr-o 部屋 / kur-i 走る / sub[前]〜の下で / lit-o ベッド、寝床
ただし、al(〜へ), ĝis(〜まで), de(〜から), el(〜の中から) はもともと方向や移動の意味を含んでいるので、これらの前置詞の目的語を対格にすることはない。exster la domon(家の外へ)は可能だが、el la domon(家の中から)は間違いである。
3つ目は、場所や位置・方向を表す副詞や副詞的小辞に -n を付ける方法である。
La baloneto supren forŝvebis. 風船が上に飛んで行ってしまった。
La vojo turniĝas dekstren . その道は右へ曲がる。
Li iris tien . 彼はそこへ行った。
= Li iris al tie.
eksteren(enen, antaŭen, malantaŭen, apuden, maldekstren, suden, malproksimen,...)外へ(中へ、前へ、後ろへ、傍らへ、左へ、南へ、遠くへ)
balon-et-o 風船 ← 気球+小さい / supr-e 上部で / for-ŝveb-i ただよって離れていく ← 遠くに+ただよう / voj-o 道 / turn-iĝ-i 曲がる ← 曲げる+自動詞化 / dekstr-e 右に / tie そこで
3. の tien の tie は正確には副詞ではなく副詞的小辞だが(tie の末尾の e は副詞語尾ではない)、語尾が -e で終わる副詞と同じように -n を付けて方向や移動先を表す。
eksteren, enen, antaŭen, malantaŭen, apuden などはそれぞれ前置詞の eksxter(外で), en(中に), antaŭ(前に), malantaŭ(後ろに), apud(傍らに)に副詞語尾を付けて副詞化し、さらに対格語尾を付けたもの。
形態・状態の変化を表す
これは前置詞の en を使って表される。
Knaboj sidas en rondo. 少年たちが輪になって坐っている。
Knaboj sidiĝis en rondon . 少年たちが輪になって坐った。
Ŝi disŝiris la leteron en pecetojn . 彼女は手紙をバラバラにちぎった。
Oni tradukis la tekston en Esperanton . 人はそのテキストをエスペラントに訳した。
Cirkonstancoj estas en bonordo. 状況は整っている。
Cirkonstancoj fariĝis en bonordon . 状況は整ってきた。
sid-i 坐っている / sid-iĝ-i 坐る ← 坐っている+動作化 / en 〜の形態・状態で / rond-o 輪、円、サークル / dis-ŝir-i バラバラに千切る ← 分散+千切る / pec-et-o 小さな断片 ← 一切れ+小さい / traduk-i 訳す / tekst-o テキスト / cirkonstanc-o 状況 / en bon-ord-o 整った状態、順調な ← 良い + 序列・秩序 + の中
時点・時間
前置詞の je, en, dum によって構成される時点や時間・期間を表す前置詞句の代わりに対格で表すことができる。
la duan horon = je la dua horo2時に
la unuan tagon de la marto = en la unua tago de la marto 3月1日に
la venontan dimanĉon = en la venonta dimanĉo 次の日曜日に
unu vesperon = en unu vespero ある(日の)夕方に
tutan someron = dum tuta somero 夏の間ずっと
du monatojn = dum du monatoj 2ヶ月間
du-a 2番目の / hor-o 時刻、時間 / je 汎用前置詞 / unu-a 1番目の、はじめの / tag-o 日、昼 / ven-onta 来たる、次の ← 来る+〜ようとしている(能動将然相分詞)/ dimanĉ-o 日曜日 / unu 1、1つ、ある / du 2、2つ / dum[前]〜の間(時間) / tut-a 全部の、全体の / somer-o 夏 / monat-o 月
je は時点を表す時に使われ、代表的には je la dua horo(2時に)のように時刻を表す時に使われる。
en は一定の継続する「時間的幅の中で」いう意味で、基本的には時点を表す。en la tago(その日に)という意味は、「その日のうちに」と言う意味である。
dum は専ら時間の継続に焦点をあてた前置詞で、dum は普通「1ヶ月の間」「夏の間」「3時間の間」のような意味で使われる。
こう言った意味で使われる前置詞句を対格を使って言い換えることができる。
en や dum は en la prelego(講義中に)、dum la tajfuno(台風の間)のような使い方もできるが、行事や出来事を扱う場合の en 前置詞句や dum 前置詞句を la prelegon, la tajfunon のように対格で表すことはないようだ。また en は限られた時間的長さを示す場合もあり、例えば「5分で答えることはできない」とか「1時間に20kmずつ進む」といった場合に使われるが、その場合も対格で表すことはないように見受けられる(確信はない)。
なお対格とは関係ないが、dum は前置詞としてだけでなく、接続詞として、節を導く使い方ができる。(〜が〜する間; 〜が〜である一方で)
je 前置詞句の代替表現
対格にはもう1つの使い方がある。つまり特殊な前置詞 je で構成される前置詞句の代替表現だ。つまり je ~o という前置詞句を ~on という表現に言い変えることができる。実は前に挙げた la duan horon = je la dua horo もこの使い方の1つである。je は本来、固有の意味を持たない汎用の前置詞で、これといってピッタリくる前置詞が見つからないときに使うことができるが、定着した表現の1つとして時刻を表すのに使われているということである。
je はこれ以外にも、回数、度量、その他様々な意味を表すのに使われる。参照:[前置詞 je と対格 ]
Mi vizitis la urbon Kobe tri fojojn. 私は神戸の街に3回行った。
= Mi vizitis la urbon Kobe je tri fojoj.
La monto Fuĵi estas 3,776[tri mil sepcent sepdek ses] metrojn alta. 富士山の高さは3776メートルです。
= La monto Fuĵi estas alta je 3,776 metroj.
Ŝi malsaniĝis je pulminflamo. 彼女は肺炎で健康を損なった。
= Ŝi malsaniĝis pulminflamon.
vizit-i 訪ねる / tri 3 / foj-o 回 / mont-o 山 / mil 1000 / sepcent 700 ← 7x100 / sepdek 70 ← 7x10 / ses 6 / metr-o メートル / alt-a 高い / mal-san-iĝ-i[自]病気になる←反対+健康な+なる / pulm-inflam-o ← 肺+炎症
同格
ある内容のことを別の言葉で言い換えて併記したものを「同格」と言う。同格は文法的には修飾語ではないが、意味的には、ある言葉の意味をより詳しく説明するためのものだ。
Ni japanoj 私達日本人(代名詞・名詞)
Karlo, mia amiko 私の友達のカルロ(名詞・名詞句)
ĉi tie, en Kioto ここ、京都では(副詞・副詞句)
hodiaŭ, en mia naskiĝtago 今日、私の誕生日に(副詞・副詞句)
japano 日本人 / mia amik-o 私の友達 / ĉi tie ここ ← 近い+そこ / hodiaŭ 今日(において) / en[前]〜で、〜の中で(場所)、〜に(時間) / nask-iĝ-tag-o 誕生日 ← 生む+自動詞化+日
1. 2. は名詞もしくは名詞相当句の、3. 4. は副詞もしくは副詞相当句の同格である。
下の2つの表現は似てはいるが、一方は同格ではない。
Karlo mia amiko 私の友達のカルロ
la urbo Kioto 京都という街
urb-o 街、都市
1. は単純な言い換えで 「A つまり B」という意味になる。これがいわゆる同格だ。同格の場合、「つまり」に相当する nome や tio estas といった慣用句を間に補うことができる。
Karlo nome(= tio estas) mia amiko カルロすなわち私の友人
2. は一般名詞を先に言い、具体的な名前を後に続けて「B と呼ばれる A」といった意味になる。2つには大きな違いがあり、対格にするときはっきりする。
Mi amas Karlon , mian amikon 友達のカルロを愛しています。
Mi konas la urbon Kioto 京都という街を知っています。
am-i 愛している / kon-i (見聞として)知っている
1. は同格をなすものが両方とも格の変化に応じる。一方 2. は先行する名詞だけ格が変化する。2. は厳密には 「同格」ではなく「指名語*」と呼ばれる。なぜ後行する名詞が対格にならないかというと、これは関係詞節もしくは分詞形容詞による名詞の修飾の省略表現だからだ。英語で表すと下のようになる。
Mi konas la urbon Kioto 京都という街を知っています。
= I know the town (that is called) Kyoto . (関係詞節修飾)
= I know the town (called) Kyoto . (分詞修飾)
kon-i = know / urbo = town
2. のような表現は、例文の括弧内の文言を省略したものである。対格に語形変化があるエスペラントだから the town に相当する la urbo だけ対格になるというわけだ。指名語の場合、意味的関係が不明瞭と思われれば that is called や called に相当するエスペラントの語句を省略しなければよいわけである。
上に英語で書いた関係詞文もしくは分詞修飾をそのままエスペラントにすると、下のようになる。このような表現は[関係詞文]や[分詞]で取り上げることにする。
Mi konas la urbon, kiu nomiĝas Kioto.
Mi konas la urbon, kiu estas nomata Kioto.
Mi konas la urbon nomatan Kioto.
その他に、英語では下のように名詞を続けることがあるが、エスペラントではこのような表現はしない。もちろん同格でも指名語でもない。
Esperanto club エスペラントクラブ
music festival 音楽祭
これらは前の名詞が後ろの名詞を修飾している。エスペラントでは名詞が名詞を修飾する表現は無いとされるので、このままエスペラントにすると文法的に誤りになる。
この場合は、1.一方の修飾している側の名詞を形容詞にするか、2. 前置詞 de (英語の of に相当)を使うか、3. ハイホンで繋げて1つの名詞にするのが正しいとされる。
(誤)Esperanto klubo
→ Esperanta klubo エスペラントのクラブ
→ klubo de Esperanto エスペラントのクラブ
→ Esperanto-klubo エスペラント・クラブ
(誤)muziko festivalo
→ muzika festivalo 音楽の祭典
→ festivalo de muziko 音楽の祭典
→ muziko-festivalo 音楽祭
場合によってはハイホンを除いて完全な合成語にすることもできるだろう。(例:muziko-festivalo → muzikofestivalo; muzikfestivalo)
*「指名語」は、 “Lernu” というサイトの多言語による文法解説ページにある nominacio の訳として、日本語版で使われている。日本語版は翻訳が完全でないせいか、術語が統一していないようで「修飾名詞 」という用語も使われている。エスペラントでは名詞が名詞を修飾するのは文法的に誤りだが、関係詞節もしくは分詞形容詞による修飾の省略表現によってできたこの形は、見た目には名詞が名詞を修飾する形になっている。名詞が名詞を修飾する特殊な形というほどの意味で使っているのだろう。identiga priskribo(特定するための説明)と呼ばれることもあるようだ(PMEG )。ちなみに「同格」は伝統用語では apozicio だが口語的に apudmeto という用語も使われている。どちらも「傍に位置しているもの」「傍に置かれているもの」というような意味だ。なお、エスペラントで apozicio とか apudmeto という文法用語は、後ろに置かれている言い換える側の語句を指すようだ。
否定文
否定には副詞的小辞の ne を使う。文全体を否定する場合と文中のある語句だけを否定する場合で、ne を置く位置を変える。
文の否定
文全体を否定するには動詞の前に ne を置く。
Mi ne ŝatas kafon. 私はコーヒーが好きではありません。
Mi ne iris al oficejo. 私はオフィスに行きませんでした。
ne 〜ではない / ŝat-i 好む / kaf-o コーヒー / ir-i 行く / ofic-ej-o オフィス ← 執務する、事務を執る+場所
語句の否定
文全体の否定ではなく文中のある語句だけを否定するには ne をその語句の直前に置く。1つの文に否定する語句と否定しない語句を置くこともできる。
Mi ŝatas ne kafon. 私はコーヒーは好きではありません。
Mi iris ne al oficejo. 私はオフィスには行きませんでした。
Mi parolas al li, ne al vi. あなたではなく彼に話しているのです。
3. のような意味を強調するのに、「〜ではなく〜です」という言い方が定番だが、これには ne ~ sed ~ を使う。
Mi ŝatas ne kafon sed teon. 私はコーヒーではなく紅茶が好きです。
Mi iris ne al oficejo sed al fabriko. 私はオフィスに行ったのではなく工場に行きました。
sed[接]しかし / fabrik-o 工場
「〜だけでなく、しかも〜です」という意味を表すには、ne nur ~ sed ankaŭ ~ を使う。
Mi ŝatas ne nur kafon sed ankaŭ teon. 私はコーヒーだけでなく紅茶も好きです。
Mi iris ne nur al oficejo sed ankaŭ al fabriko. 私はオフィスに行っただけでなく工場にも行きました。
nur[副小]〜だけ、たった〜 /[副小]ankaŭ 〜もまた
2つのことを(3つ4つのこともあるだろうが)同時に否定するには nek を使う。
Mi ŝatas ne (nek ) kafon nek teon. 私はコーヒーも紅茶も好きではありません。
Mi iris ne (nek ) al oficejo nek al fabriko. 私はオフィスにも工場にも行きませんでした。
nek[接]〜もまた〜ない
2つのことを否定する場合、両方とも nek を使うこともできる。
「〜も〜ない」は、副詞的小辞の ankaŭ(〜も) を使って ankaŭ ~ ne ...(〜も...ない)とも表現できる。日本人は下のような会話文でこのパターンを使いそうだが、nek を使うこともできる。多分 nek を使う人の方が多いのではないだろうか?
否定の程度など
否定の程度などを ne と副詞や副詞的小辞を組み合わせて表現することができる。ne を置く場所が重要になる。
Mi tute ne scias pri tio. 私はそれについて全く知りません。
Mi ne tute scias pri tio. 私はそれについて全部知ってるわけではありません。
Mi preskaŭ (tute) ne scias pri tio. 私はそれについてほとんど(すべて)知りません。
Mi ne preskaŭ (tute) scias pri tio. 私はそれについてほとんど(すべて)知っているというわけではありません。
Mi ne tre (sufiĉe) scias pri tio. 私はそれについてあまり(十分には)知りません。
Karlo jam ne manĝas. カルロはもう食べていません。
Karlo ne jam(= ankoraŭ ne*) manĝis** tagmanĝon. カルロはまだ昼食を食べていません。
Karlo ne plu *** manĝos. カルロはもうこれ以上(続けて)食べません。
tut-e すべて、全く / preskaŭ[副小]ほとんど~ / tre とても → ne tre あまり / sufiĉ-e 十分に / jam[副小]すでに / ankoraŭ [副小]今だに、もっと、さらに / plu[副小](時間的に)さらに、引き続き
*「まだ〜していない」は ankoraŭ ne の方がよく使われる。
**「まだ食べていない」は、ne jam(= ankoraŭ ne)manĝas と現在形を使ってしまいそうだが、「すでに食べた」という過去の行為を否定するので、過去形にしなければならない。
** plu は「さらに引き続き」という意味で、「さらに沢山」という意味なら pli を使う。
1. の ne は scias を打ち消し、2. の ne は tute を打ち消している。例文中の()は省略可、(=...)は言い換え可という意味である。
全否定
「何も〜ない」「誰も〜ない」「どこにも〜ない」「いつも〜ない」というような全否定には、neni で始まる一連の小辞(否定の相関詞 とも呼ばれる)を使う。
代名詞的
物・事
nenio
何も〜ない
指示詞的
(代名詞的)
人・物・事
neniu
どの〜も〜ない、誰(どれ)も〜ない
所有
nenies
誰(どれ)の〜も〜ない、誰(どれ)のものも〜ない
形容詞的
性質・状態
nenia
どんな〜も〜ない
副詞的
場所
nenie
どこにも〜ない
時
neniam
いつの時も〜ない
方法・様子
neniel
どんな方法でも〜ない
理由
nenial
どんな理由でも〜ない
数量
neniom
全部〜ない
nenio, neniu, nenies:
nenio は「なにも...ない」という意味を表す。neniu は neniu ~ の形で「どの〜も...ない」という意味を表すが、〜 の部分が暗黙に分かる場合はしばしば省略し、「どれも...ない」の意味でも使われる。また何の脈絡もなくいきなり単独で neniu が出て来たときは「誰も...ない」という意味になる。nenies も「だれの〜も...ない」「どれの〜も...ない」という意味だが、しばしば 〜 の部分を省略する。
Nenio estas preta. 何も準備出来ていない。
Neniu (homo) estas en la ĉambro. 部屋には誰もいない。
Esperanto estas nenies (propraĵo). エスペラントは誰の所有物でもない。
pret-a 準備ができている / hom-o 人・人間 / en 〜の中に / ĉambr-o 部屋 / propr-aĵ-o 個人に属すもの、固有のもの、所有物 ← 個人の+物
nenia は「どんな〜も...ない」という意味を表す。nenia も形容されるものが分かる場合しばしば省略し、nenia 単独で「どんなのも〜ない」の意味で使う。
Nenia helpo necesas. どんな助けも要らない。
Mi bezonas nenian. 私はどんなのも要らない。
help-o 助け / neces-i [自]必要である / bezon-i 必要とする
nenie どこにも...ない、neniam いつの時も...ない
Nenie mi trovis koran pacon. どこにも私は心の安らぎを見出さなかった。
Mi neniam fumas. 私はタバコを決して(どんな時でも)吸わない。
trov-i 見つける / kor-a 心の / pac-o 平和、安らぎ / fum-i 喫煙する、煙が出る
neniel どんな方法でも...ない、nenial どんな理由でも...ない、neniom 全部...ない
Li neniel sukcesos. 彼はどうやっても成功しないだろう。
Vi nenial koleriĝis. あなたはどんな理由でも怒らなかった。
Li neniom manĝis. 彼は全く(全量)食べなかった。
sukces-i 成功する / koler-iĝ-i 怒る ← 怒った+なる / manĝ-i 食べる
否定の相関詞自体(neni〜)が否定を表すので、これらを使ったら重ねて ne を使う必要はない。ヨーロッパの言語の中には否定語を重ねることで否定を強調する、ということがあるそうだが、エスペラントにはそういった表現はない。こういった文法的な間違いを犯してしまうことがあるので「エスペラント基本文法」は1条を割いて注意を喚起している。
12. Se en frazo estas alia nea vorto, la vorto ne estas forlasata. Ekz. mi neniam vidis, mi nenion vidis.
もし文の中に他の否定語があれば、否定語の ne は脱落する。例.見たことがない、何も見なかった。
日本人にはこの理屈はすぐに理解できるが、しかし「何も〜ない」の「ない」につられて、うっかり neni-否定語と ne を同時に使う間違いをやってしまいそうだ(汗)。
この条項を以って、「エスペラントには二重否定文は無い」「二重否定文は(とにかく)文法違反だ」という人が稀にいるようだが、自分はこれは誤解だと考えている。
意志法
「意志法」は動詞語尾 -u を使う文である。命令法と呼んでいる学習書もあるかもしれない。
主語を一人称(私、私たち)にすると「〜しよう」という意味の意思の表明、呼びかけ、勧誘、奨励 などを表す。
Mi ekiru. 出発するとしよう。
Mi iru. 私が行きましょう。
Ni ekmanĝu. さあ食べ始めよう。
Ĉu* ni sidiĝu tie? そこに腰掛けましょうか?
Ni penu!努力しようよ。
ek-ir-i 出発する ← 始める+行く / ek-manĝ-i 食べ始める ← 始める+食べる / ĉu[副小] 〜か (疑問を表す副詞的小辞)/ sid-iĝ-i 腰掛ける、坐る ← 掛けている+動作化 / tie そこで(に) / pen-i 努力する、骨を折る
* ĉu は「はい」「いいえ」で答えてもらう疑問文につける副詞的小辞。平叙文の先頭に ĉu を加えるだけで疑問文になる。疑問詞を使う疑問文については別に取り上げる。
主語を省略したり、2人称にすると命令(勧誘、激励)文になる。命令の場合 vi(あなた)を入れるとそれが強調され「他でもなくあなたがやりなさい」といったニュアンスになるのかもしれない。
Venu. 来なさい。
Vi faru tion. あなたがそれをやりなさい。
ven-i 来る / far-i する、作る
人称に限らず「〜しなければならない」「〜すべきである」といった意味、「〜してほしい」といった意味を表すのに意志法を使う。
Ĉeestantoj estu silentaj dum la ceremonio. 列席者は式の間静かにしなければならない。
Oni ne uzu akuzativon post prepozicio. 前置詞の後ろに対格を使ってはならない。
Ŝi estu feliĉa. 彼女には幸せでいてほしい。
Miaj infanoj ne malvarmumu. 子どもたちには風邪を引かないでもらいたい。
ĉe-est-ant-o 出席者、列席者 ← 〜のところに+居る+人 / silent-a 静かな / dum[前]〜 の間 / ceremoni-o 儀式 / uz-i 使う / akuzativ-o 対格 / post[前]〜の後ろに、〜の後で / prepozic-o 前置詞 / infan-o 子ども / mal-varm-um-i 風邪を引く ← 反対+暖かい+汎用接尾辞
このような意味で使う意志法は、命令・要求・使役・意志・願望・嘆願・目的などを表す従属節の中でよく使われる。参照:「意志法と ke 節 」
叙想法
「叙想法」は動詞語尾 -us を使う文である。-us は「もし私が鳥だったらあなたのところに飛んで行くのに」というような仮定の条件を表す節の中でよく使われるので、しばしば「仮定法」とか「条件法」とも呼ばれる。しかし、-us 自体は「仮にそうだとすると」といった仮定や条件を表すというよりも「事実を表すのではない」と捉える方が、使い方を理解しやすいように思われる。「鳥である」も「飛んで行く」も事実ではないというところがポイントで、そのため「反実法」と呼ばれることもある。また、そのような表現は想像や主観的な「思い」に基づくものなので「仮想法」とか「叙想法」とも呼ばれる。ここでは、そう言う意味で「叙想法」という用語を使うことにした。
-us は憶測、満たされない願望、後悔、実際には行わない行為、はっきり断言しないで言うときなど、色々なニュアンスで使われる。
Iu helpus min. だれか助けてくれないだろうか。(そんな人はいない)
Mi dirus tion(tiel). 私ならそう言うでしょう。(当事者ではないので実際には言わない)
"Estus tre bele." 「それほど素晴らしいことだかどうだか。」(自分には素晴らしいとは思えない)
iu ある、どれか(=some)、ある人、だれか(=somebody)、何か(something) [
不定の指示詞(相関詞) ]/ help-i 助ける / dir-i 言う / tio それ / tiel そのように / tre[副小]とても / bel-e 美しく、すばらしく
-us は、しばしば仮定の条件を表す従属節で使われる。例文中の se は条件節を導く接続詞である。
Se mi estus riĉa, mi ne laborus. もし金持ちだったら、働かないのに。
Mi ne erarus, se li antaŭe dirus al mi la veron. もしも彼が以前に本当のことを話してくれていたら、私は間違いをすることはなかったのに。
se[接]もし〜なら / riĉ-a 豊かな、金持ちの / labor-i 働く / erar-i 誤る、道に迷う / antaŭ-e 以前に、前もって / dir-i 言う / ver-o 真実
なお、se は「〜だったらなあ」という強い願望の気分を表す意味で、主節の中で副詞的に使うこともできる 。したがって、上の例文中の条件節だけでも完結した文になる。(希求法)
Se mi estus riĉa. 金持ちだったらいいのに。
Se li antaŭe dirus al mi la veron. もしも彼が以前に本当のことを話してくれていたらよかったのに。
-us 自体は「今、金持ちだったらいいのに」「あのとき、金持ちだったらよかったのに」「将来、金持ちになれたらいいのに」のような過去の仮定、現在の仮定、将来の仮定を区別しないので、これらを動詞で区別することはできない。これらの区別は文脈や時間に関係する副詞的語句に依存する。(-us と分詞を組み合わせて区別する 方法もあるようだが、いくらか正確さは増すものの、それでも完全には言い表せないし、表現が重くなるといった理由で実際にはほとんど使われていないので、このまとめでは扱わない )
条件節であっても、充分にあり得る条件や願望などの主観的ニュアンスがない場合、-us ではなく -as, -is, -os が使われる。
Se pluvo ĉesos, mi ekiros. 雨があがったら出かけます。
Se li jam venis, petu* lin al mi. 彼がすでにお越しになっているなら、彼を私のところにお呼びして下さい。
ĉes-i 止む / ek-ir-i 出発する ← 始める+行く / jam[副小]すでに / ven-i 来る、相手のところに行く / pet-i 頼む、人を招く / al[前] 〜へ
*peti は「頼む」「請う」という意味だが、日本語の「〜さんをお願いします」というのと同じ使い方ができる。
-us は婉曲な依頼などの表現にも使われる。
Ĉu vi donus al mi akvon? お水をいただけますか?
ĉu[副小]〜か; 通常文頭に付けて疑問文を作る / akv-o 水 / don-i 与える、渡す
不定詞
語尾に -i のついた形の動詞は不定形とか不定詞と呼ばれる。不定詞はいろいろなはたらきをするが、私は自分なりに大きく4つに分けて整理している。1. 不定詞は名詞として振舞う。2. 不定詞は動詞・形容詞・名詞の足りない情報を補足する、3. 不定詞は述語動詞の主語以外の行為や状態を表す、4. 不定詞は時に述語動詞のように振舞う、の4つである。
不定詞は名詞として振舞う
不定詞は「〜するということ」という意味で名詞として振舞う。ただし動詞としての性格が残っているので、「急いで食べること」「エスペラントを学ぶこと」のように、副詞によって修飾を受けたり目的語を持つことができる。名詞は、主語、叙述語、目的語、前置詞の目的語になるが、不定詞や不定詞句もそれらの要素になる。また、名詞と並べて同格表現を作ることができる(言い換えであって厳密な意味では同格といえない場合もある)。
主語として
Resti kun leono estas danĝere . ライオンと一緒にいるのは危険だ。
Kritiki estas facile . 批判するのは易しい。
resti ~のままである、留まる / kun ~と一緒に / denĝer-e 危険な / kritik-i 批判する / facil-e 容易に
下線で示している語句が主語。facile や danĝere が叙述語である。エスペラントでは主語が名詞以外の場合(主語が無い、主語が不定詞や節の場合)、叙述語には副詞を使う。
Manĝi rapide ne estas rekomendinde . 急いで食べるのは推奨できません。
Lerni Esperanton estas rekomendinde . エスペラントを学ぶのは推奨できます。
rapid-e 速く、急いで / manĝ-i 食べる / rekomend-ind-e 推奨できる ← 推奨する+価値のある
不定詞は例文のように副詞によって修飾されたり目的語を含むものを主語にすることができる。
叙述語として
Praktiki estas lerni . 実践することは学ぶことだ。
Mia hobio estas ludi tenison . 私の趣味はテニスをすることです。
praktik-i 実践する、実行する / lern-i 学ぶ / hobi-o 趣味 / lud-i 遊ぶ、演奏する、演じる
目的語として
Mi amas promeni en arbareto. 私は林の中を散歩するのが好きです。
Mi komencis lerni Esperanton. 私はエスペラントを学習することを始めた。
Mi volis danci kun ŝi. 私は彼女と踊りたかった。
Mi volas esti riĉulo. 私は金持ちでいたい。
Ni ĝuis kanti . 私たちは歌を歌うことを楽しんだ。
Maturuloj rajtas voĉdoni . 成人は投票する権利がある。
La knabino kuraĝis rajdi sur biciklo al sia amikino. その女の子は勇気を出して自転車に乗って友達のところへ行った。
La knabeto povas trairi la mallarĝan enirejon. その小さな男の子はその狭い入り口を通り抜けることができる。
Vi devas diri al ŝi la veron. あなたは彼女に本当のことを話さなければならない。
am-i 愛する、好きである / promen-i 散歩する / arb-ar-et-o 林 ← 木+集合+小さい / komenc-i 始める / lern-i 学ぶ / vol-i 〜したい、〜が欲しい / danc-i 踊る / riĉ-ul-o 金持ち ← 裕福な+人 / ĝu-i 楽しむ、享受する / kanti 歌う / kun[前]〜と一緒に / matur-ul-o 成人 ← 成熟した+人 / rajt-i[他]権利がある / voĉ-don-i 投票する ← 声+与える / kuraĝ-i[他]〜する勇気を持つ、あえて〜する / rajd-i 乗って行く / bicikl-o 自転車 / knab-et-o 小さな男の子 ← 男の子+小さい / povi 能力がある、可能性がある / tra-ir-i[他]通り抜ける ← 貫いて+行く / en-ir-ej-o 入り口 ← 中+行く+場所 / devi 〜しなければならない / dir-i 言う / al[前]〜に、〜へ / ver-o 真実
なお、不定詞を目的語にとれるのは他動詞に限られるが、上のリストの中でも辞書によって自動詞としたり、どちらでもないとしているものがある。例えば kuraĝi は、ReVo(Reta Vortaro) *1 や Pejv(実用エスペラント小辞典)*2 は他動詞としてるが、PIV(Plena Ilustrita Vortaro) *3 は (+ inf.) と括弧書きしてある(「kuraĝas/is/os + 不定詞」の形を取る」いう意味であろう)。devi は、ReVo は他動詞とし、Pejv は自動詞とし、PIV は (+ inf.) としている。なお、動詞が自動詞であっても「動詞 + 不定詞」の形をとることは可能である。これについては後に出てくる。
*1 オンライン専用のエスペラント-エスペラント/多国語辞典、Revo のデータを使った辞書アプリもある。
*2 登録単語数が最大のエスペラント-エスペラント辞典。オンライン辞書もある。
*3 広高正昭氏が編纂し、無料で配布されているエスペラント-日本語辞典。オンライン辞書もある。配布されているのは、基本的にテキスト・データだが、各種辞書アプリケーション用データファイルもある。
前置詞の目的語として
すべての前置詞で不定詞が使えるわけではない。por(〜のために), anstataŭ(〜の代わりに), krom(〜を除いて、〜の他にも), sen(〜なしに) の4つで使えるということになっている。「なっている」というのは変な言い方だが、通常はそれ以外の前置詞の目的語には使われていないのが実状だという意味である。例えば antaŭ(〜の前に)を使って「行く前に」を “antaŭ iri” のようには言わない。
Mi jam estas tro maljuna por edziniĝi kun viro. 私は男の人と結婚するにはあまりにも年を取り過ぎている。
Ŝi kantis anstataŭ ludi pianon. 彼女はピアノを弾く代わりに歌った。
Li ne parolis eĉ unu vorton krom saluti . 彼は挨拶をした以外は一言も話さなかった。
Ili ankaŭ dancis krom kanti . 彼らは歌う以外にダンスもした。
Li foriris sen adiaŭi . 彼は別れを告げずに去っていった。
jam[副小] すでに / tro[副小]あまりに〜、〜過ぎる / mal-jun-a 年長の、老いた ← 反対+若い / por[前]〜するために / edz-in-iĝ-i 結婚する ← 配偶者+女+なる / kani 歌う / lud-i 演奏する / anstataŭ[前]〜の代わりに / eĉ[副小]〜でさえ、〜ですら / unu 1つ、1つの / vort-o 単語、言葉 / salut-i 挨拶する / ankaŭ[副小]〜もまた / danc-i 踊る / krom[前]〜を除いて、〜以外に / for-ir-i 去る、遠くに行く、出発する ← 離れて+行く / adiaŭ-i 別れを告げる
同格として
ここでの「同格」は「言い換え」という意味であって、厳密には同格と言えない場合もある。
La knabino malŝatas la kutimon iri al la fonto ĉiumatene . その女の子は毎朝泉に行く(という)習慣(決まってやる仕事)が嫌いだ。
Mi havas la deziron vojaĝi al Tokio . 私は東京に旅行する(という)望みがあります。
La kapablo paroli la anglan (lingvon*) necesas. 英語を話す(という)能力が必要です。
knab-in-o 少女 ← 少年 + 女 / mal-ŝat-i 嫌いである ← 反対 + 好む / kutim-o 習慣 / font-o 泉 / ĉiu-maten-e 毎朝 ← どの〜も + 朝 + 副詞語尾 /dezir-o 望み / vojaĝ-i 旅行する / kapabl-o 能力 / angl-a イギリスの、イギリス人の / lingv-o 言葉 / neces-i[自]必要がある
* 「〜語」というとき、習慣的に lingvo を省略することが多い。la anga 英語、la japana 日本語、la germana ドイツ語
la kutimon と iri al la fonto ...、la deziron と vojaĝi al Tokio、la kapablo と paroli la anglan (linvon) がそれぞれ同格(言い換え)である。文法的には名詞の後ろに置かれた不定詞句は名詞の修飾句なのだろうが、自分は個人的に deziro = vojaĝi al Tokio つまり「希望、言い換えると東京に行くということ」と理解する方が何かと都合が良いように思う。
例えば、英語では something to eat(何か食べるもの = 食べるためのもの)と言えるが、エスペラントではこういう言い方は間違いになる。なぜなら something(何か)≠ to eat(食べること)ではないからである。この場合は、io manĝi(io: something; manĝi: to eat)ではなく前置詞の por(〜するための)を挟んで、io por manĝi と言わなければならない。名詞が不定詞の目的語(manĝi ion の関係)の場合や、不定詞が表す目的のための手段、道具、材料、行為者などの場合、前置詞の por を入れる必要がある。
rooms to live in (?不自然な英語かも)
→(誤)ĉambroj loĝi 住む(ための)部屋
→(正)ĉambroj por loĝi
someone to fix it
→(誤)iu (homo) ripari ĝin それを修理する(ための)人
→(正)iu (homo) por ripari ĝin(正)
ĉambr-o 部屋 / loĝ-i 住む / iu ある(人)、だれか / ripar-i 修理する
不定詞が直接名詞に係る場合、不定詞は名詞の後ろに置かれて「名詞 + 不定詞」の形をとる。この場合(前置詞が間に入らない場合)、名詞は必ず無形のものを表す抽象的なもので、具体的な物や人を指すものではない。「名詞 + 不定詞」が常に同格(言い換え)であるとは限らず、不定詞が名詞の意味上の目的語の場合などもある(deziron vojaĝi も不定詞が名詞の意味上の目的語と見做すことも可能ではある)。その場合でも名詞は抽象的なものである。
ここで「同格」という言葉を使ったが、ここで挙げた例のうち 2. は厳密には同格とは言えない。同格は同じ事柄を表す文の要素の併記 なので、 “havas deziron vojaĝi al Tokio” が同格表現だとすると havi という動詞が、“deziron と “vojaĝi al Tokio” という同じ事柄を表す2つの目的語を持っていることになる。しかし意味から言って deziro は havas の目的語だが、vojaĝi は havas の目的語ではないから同格とは言えず、“deziron” が 目的語の主たる語であって “vojaĝi al Tokio” はそれを言い換えの関係で補足説明するものと捉えるのが本来文法的だと思われる。
動詞、形容詞、名詞の足りない情報を補足する
不定詞は名詞として振舞う以外に、動詞・形容詞・名詞の足りない情報を補足するはたらきがある。通常、不定詞が動詞に係る時は、前に出て来た4つの前置詞(por, anstataŭ, krom, sen)を介してであり、これらの前置詞句は状況語としてはたらく。形容詞・名詞に係る場合は「por + 不定詞」の形を介してであり、この場合は句修飾としてはたらく。
Johano alparolis al Heleno por proponi promenon. ヨハノはヘレノに散歩に誘うために話しかけた。(目的を表す状況語)
Tiu ilo estas oportuna por purigi ĉambron. その道具は部屋を掃除するのに都合がよい。(叙述語を補足する句修飾)
Mi volas ion por manĝi . 何か食べるものが欲しい。(目的語を修飾する句修飾))
al-parol-i 話しかける ← 〜に+話す / propon-i 提案する / promen-i 散歩する / il-o 道具(道具を表す接尾辞+名詞語尾) / oportun-a 便利な / pur-ig-i 掃除をする ← きれいな+他動詞化 / ĉambr-o 部屋 / io ある、何か(=something) / manĝ-i 食べる
しかし、以下のように前置詞を介さず「動詞 + 不定詞」「形容詞 + 不定詞」「名詞 + 不定詞」の形で直接係る場合もある。
動詞の補足
動詞の例から見ていくことにする。不定詞が単独では意味が完結しない動詞、意味が不足する動詞を補足する場合がある。
Oni hezitis alparoli familiare al la virino. 人々は気安くその女性に話しかけるのをためらった。
Mi sukcesis trapasi arbareton. 私は林を通り抜けることができた。
Ĉu vi aŭdacos forĵeti la admonojn de via patro? 君は敢えてお父さんの戒めを捨て去るのか?
Mi fieras havi bonan filon. 良い息子を持っていることが自慢だ。
La aferoj ŝajnas esti en bonordo. その件は順調なようだ。
hezit-i 躊躇する / al-parol-i 話しかける ← 〜へ+話す / familiare 心やすく、気安く / sukces-i 成功する / tra-pas-i 通り抜ける ← 貫いて+通る / arb-ar-et-o 林 ← 木+集合+小さい / aŭdac-i[自]果敢に~する、ずうずうしくも~する、敢えて〜する / forĵet-i[他]投げ捨てる / admon-o 訓戒 / fier-i 自慢する / fil-o 息子 / afer-o 用件、件、事業 / ŝajn-i 〜に思える / bon-ord-o 順調、秩序のある状態 ← よい+秩序
「動詞 + 不定詞」の形を複合動詞と呼ぶ人もいる(群動詞と呼ぶのはどうだろう)。この場合の不定詞は状況語ではなく、動詞1語では表せない何らかの意味やニュアンスを不定詞の形で補足している。「動詞 + 不定詞」の形で、動詞が他動詞の場合があるが、その場合不定詞は、動詞を補足していると捉えるよりも、目的語(不定詞は名詞相当)と捉える方が文法的と言える場合もあるように思える。
不定詞が状況語として動詞にかかる場合、それが行為の目的なら、通常は por(〜ために)を使って「動詞 + por 不定詞句」の形にするが、iri, veni などの移動を表す動詞の場合 por を省略し、不定詞単独で「動詞 + 不定詞句」形をとる場合がある。この場合の不定詞句が、動詞の足りない情報を補足しているのか、行為の目的を表す状況語なのかの判断は別れるかもしれない。状況語と捉えるのなら、1種の例外と言えるのではないか?
La knabino iras al fonto ĉerpi akvon. その少女は水を汲みに泉に行きます。
Ŝi veturis renkonti la avon al la urbo. 彼女はその(自分の)おじいさんに会いに町に(乗り物で)行きました。
knab-in-o 少女 ← 少年+女 / font-o 泉 / ĉerp-i 汲む / akv-o 水 / renkont-i[他]〜に会う / av-o 叔父・伯父 /[前]〜へ / urb-o 町、都市
*tien (tie + n) は al tie の代替表現で、この -n は目的語とは関係なく、方向や移動先を表すためのものです。(
目的語以外を表す対格 )
移動を表す動詞に限って目的を表す意味で不定詞が使えるというのは奇妙に感じられるし、例外的な表現のようで気になる。しかし、この表現は「練習文集」にも例文があって、ごく普通に使われている。
形容詞の補足
次に形容詞を補足説明する例。
Li estas kapabla paroli Esperanton. 彼はエスペラントを話す能力がある。
Ŝi jam estas preta reiri. 彼女はすでに帰る準備ができている。
La hundo eastas ema dormi . その犬はうとうとしている。(眠る傾向だ)
kapabl-a 能力のある / [副小] すでに、もう / pret-a 準備のできている / re-ir-i 帰って行く、再び行く / hund-o 犬 / em-a* 〜の傾向の / dorm-i 眠っている
*ema は接尾辞の em(傾向のある)に 形容詞語尾 -a を付けたものである。
不定詞は形容詞を補足説明してはいるが、考えようによっては、「estas + 形容詞」に係っているとも言える。エスペラントは「estas + 形容詞」を状態を表す動詞1語で表すことができるので(例:estas kapabla → kapablas)、意味的には前に書いた「動詞の補足」と同じではないかと思われる。ただし理屈上そうであっても表現の習慣として、もしくは意味的に、「estas + 形容詞」を動詞1語で表せない場合もあるので、全ての場合、動詞の補足と同じであるとは言い切れないであろう。 上に例文に挙げたものは動詞を補足する形に言い換えることができる。
Li kapablas paroli Esperanton. 彼はエスペラントを話す能力がある。
Ŝi jam pretas reiri . 彼女はすでに帰る準備ができている。
La hundo emas dormi . その犬はうとうとしている。
名詞の補足
次に名詞を補足説明する例。前に「名詞 + 不定詞」の形は同格(言い換え)を表すと書いたが、同格でないのにこの形をとることがある。その1つ目は不定詞が名詞の意味上の目的語の場合である。
malpermeso paroli 会話禁止
la firma decido servi sub vi あなたの下で仕える固い決意
mal-permes-o 禁止 ← 反対+許可 / firm-a 硬い / serv-i 仕える / sub[前]〜の下で
前者の malpermeso paroli は「話をすることの禁止」という意味である。つまり paroli が malpermeso の意味上の目的語に当たる (malpermesas parolon の関係 )。後者は「仕えるという決意」と解釈して同格と捉えることもできるが、「仕えることを決意する」わけだから「仕えること」を目的語と捉えることも可能である (decidas servon の関係)。
他にも下のような場合がある。
tempo preĝi 祈りの時
maniero paroli 話し方
tempo-o 時 / preĝ-i 祈る / hezit-i 躊躇する / kial 理由
不定詞が名詞の意味上の目的語でもないし、同格(言い換え)でもない。この場合の名詞と不定詞の関係をうまく言語化できないが、不定詞ではなく名詞を使って前置詞句で表せば de(〜の)を使って表される関係と言えそうだ(tempo de preĝo、maniero de parolo)。
「名詞 + 不定詞」の形の不定詞を、名詞の同格(もしくは言い換え)と名詞を補足説明する場合の2つに分けたが、いずれの場合も、動詞以外に係る句修飾*と理解することもできそうだ。(不定詞は実際には単語の形で被修飾語に係る場合もあるが、不定詞自体は必要に応じて句になり得るので句修飾と考える)。どうやら「名詞 + 不定詞」の形を取れるのは、不定詞が意味的に de 前置詞句に置き換えできる場合のようである。また、この形で使われる名詞は常に無形のものを指し具体的な物を指すことはない。コチラのサイト に「名詞+不定詞」の形が使える動詞や詳しい説明が載っている。
deziro vojaĝi 旅行するという望み → deziro de vojaĝo 旅行の希望
malpermeso paroli 会話禁止 → malpermeso de parolo 会話の禁止
tempo preĝi → tempo de preĝo 祈りの時
* 動詞以外を「句」の形で修飾するもので(つまり名詞を修飾する形容詞、形容詞や他の副詞を修飾する副詞もしくは副詞的小辞を除いて)、前置詞句に言い換えできるものを suplemento と呼んだりする。広くは「節」の形で動詞以外を修飾するものもこれに含める。
主語以外の行為や状態を表す不定詞
不定詞は文法上の主語を持たないので、不定詞が示す行為や動きの主体は、通常は述語動詞(文の主要動詞)の主語で示される人や物である。しかし、不定詞が述語動詞の主語でなく目的語(対格で示される人や物)や与格(al ~ で示される人や物)の行為や動き、状態を表すことがある。
よく使われるのは、「何かが〜しているのを見る(聞く・感じる)」といった知覚を表す動詞とともに知覚対象の行為・動き・状態を表す場合である。
Mi vidis la turon fali . 塔が倒れるのを見た。
Mi aŭdis la pordon fermiĝi . ドアが閉まるのが聞えた。
Mi sentis la koron bati . 私は心臓が打つのを感じた。
vid-i 見る / tur-o 塔 / fal-i 倒れる、落ちる / aŭd-i 聞く / pord-o ドア / ferm-iĝ-i 閉まる / sent-i 感じる / kor-o 心臓、心 / bat-i 打つ、叩く / rapid-e 速く
観察行為を表す動詞と説明されていたりもするので、これ以外の動詞も応用できるのかもしれない。imagi(想像する)も同じ使い方ができると書かれているものもある。
述語動詞が「命令する」「許す」「強いる」「放っておく」「手助けする」「邪魔をする」「助言する」「咎める」「請う」…といったような他者の行為に影響を及ぼす意味を持つ場合、他者(対格や al 前置詞句で示される人)の行為を表す場合がある。
La instruisto ordonis al li starigxi . その教師は彼に立つように命じた。
Ŝi permesis al mi ekiri . 彼女は私が出発するのを許した。
Li devigis min labori ankaŭ nokte. 彼は私を夜も働かせた。
Li lasis ŝin paroli . 彼は彼女がしゃべるのをそのままにしておいた。
Li helpis al mi ordigi la ĉambron. 彼は私が部屋を片付けるのを手伝ってくれた。
Bruo ĝenis nin interparoli . 物音が私たちが会話するのを邪魔した。
La kuracisto konsilis al mi iri en ŝvitbanejon. 医者は私にサウナ風呂に入るよう助言した。
Mi malrekomendis al ili iri tien, .... 私は彼らがそこに行くことに反対した, ...
Mi petas vin kredi pri tio. 頼むからそれを(それについて)信じて頂戴。
ordon-i 命じる / star-iĝ-i 立つ / permes-i 許す、許可する / ek-ir-i 出発する ← 始める+行く / dev-ig-i 強いる、〜させる ← 義務+使役化 / ankaŭ[副小]〜もまた / las-i ~するに任せる、手放す / help-i 助ける、手助けする / ord-ig-i 片付ける ← 整理された+他動詞化 / bruo 騒音 / ĝen-i 邪魔する・難しくする・手間を取らせる / inter-parol-i 会話する ← 〜の間で+話す / konsil-i 助言する / ŝvit-ban-ej-o サウナ風呂 ← 汗+水浴させる+場所 / mal-rekomend-i 反対する ← 反対+推奨する / pet-i 請う / kred-i 信じる / pri[前]〜について
ザメンホフは「練習文集」の中で下のような意味でもこの形を使っている。
[...] por doni trinki al tiu ĉi sinjorino! この夫人に飲ませてあげるために...「練習文集」
por[前]〜のために / don-i 与える / trink-i 飲む
この文は少し長いので主語を示していないが、主語つまり doni の行為者は文全体の主語の “Mi(私)” である。しかし trinki の行為者は “Mi” ではなく与格で示された “tiu ĉi sinjorino” である。doni 自体は他者の行為に影響を及ぼす動詞ではないが、ここでは不定詞 trinki が述語動詞の主語ではない人物の行為を表していて、日本語の「〜飲ませてあげる」とそっくりな意味的関係を表している。ただし doni が日本語の「〜させてあげる」と同じように行為に関する授受動詞として広く使えるというわけではなく、一種のレトリックとして使っているのだろうと想像する。
不定詞は時に述語動詞のように振舞う
述語動詞(-as, -is, -os, -us, -u の付けられた動詞)は主要動詞とも呼ばれ、文には必ず存在するものだ。しかし、述語動詞が無く不定詞だけで文や節を構成することがある(述語動詞がなくても完結した文もしくは節と見做される)。なおこのとき主語は除かれる(不定詞は文法上の主語をとらない)。
Kion paroli ? 何を話そうか。何を話すべきか。
Ĉu esti aŭ ne esti , ... 生きるべきか死すべきか、〜
Se malkaŝe diri , ... 隠さずに言うと、〜
Ne fumi . 喫煙を禁じる(禁煙のこと)
est-i 存在する / mal-kaŝ-e 隠さずに ← 反対+隠す+副詞語尾 / dir-i 言う / fum-i [他]喫煙する、[自]煙が出る
このような表現がなぜ可能なのか、何を表現しているのかを理解するのはとても難しそうである。個人的な理解だがコチラで 愚考してみた。
分詞 -- 相と態
能動分詞
分詞とは動詞から派生した形容詞、副詞、名詞で、「〜している(しつつある)」「〜し終わっている」「〜しようとしている」といった意味合いを含むものを言う。例えば paroli(話す)を例にすると、「話しつつある」「話し終わっている」「話そうとしている」といった形容詞や、「話しながら」「話し終わって」「話そうとして」といった副詞、「話している人」「話し終わった人」「話そうとしている人」といった名詞のことである。
行為や動きを時間の流れとの関係から区別する表現形式を「相」と言うが、エスペラントでは分詞を使って、継続相、完了相、将然相を区別することができる 。これらの相は過去、現在、未来を表現する「時制」とは違う。ある時点で行為を、これから行うのか、行っているところか、すでに行ったのか、という視点から見た表現だ。1時間前の時点で「話していた」と今「話している」は、動詞の時制はそれぞれ過去時制と現在時制になるが、どちらもその時点で行為を継続中なので継続相ということになる。
どのようにして動詞から分詞が作られるか形容詞で示す。
動詞
語根
相
分詞語尾
分詞形容詞
意味
paroli
話す
parol
継続相
-ant-
parolanta
話している
完了相
-int-
parolinta
話し終わっている
将然相
-ont-
parolonta
話そうとしている
「将然相」という言葉は「〜まさに〜しようとしているところ」のように、これから行おうとしている動作・行為が「間近な」というニュアンスのように受け取れるかもしれないが、必ずしもそういう意味ではない。未然相という言い方もあるかも知れないが、それだと「まだ〜していない」という否定的なニュアンスが濃くなるので、このまとめでは肯定的なニュアンスの用語を使ってみただけである。
-ant-, -int-, -ont- を分詞接尾辞と言う。分詞接尾辞に -a, -e, -o の品詞語尾を付けて形容詞、副詞、名詞を派生させる。これを使って実際に文を作ってみる。
形容詞の例。
Antaŭ unu horo li estis parolanta. 1時間前に彼は話していた。
Nun li estas parolanta. 今彼は話している。
Post unu horo li estos parolanta. 1時間後に彼は話しているでしょう。
antaŭ[前] 〜の前に / nun[副小]今 / hor-o 時間、時刻 / post 後、後ろ(時間・順序・列)
Antaŭ unu horo li estis parolonta. 1時間前に彼は話そうとしていた。
Nun li estas parolanta. 今彼は話している。
Post unu horo li estos parolinta. 1時間後には彼は話し終えている。
上の分詞形容詞は叙述語に使われているが、修飾語にもなる。
parolinta studento 話し終えた学生
parolanta studento 話している学生
parolonta studento 話そうとしている学生
下は分詞副詞の例。
Parolinte li trinkis akvon. 話し終わると彼は水を飲んだ。
Parolante li trinkis akvon. 話しながら彼は水を飲んだ。
Li parolonte trinkis akvon. 話そうとして彼は水を飲んだ。
名詞にすると行為や状態ではなく人を表す。
parolinto 話し終わった人
parolanto 話している人
parolonto 話そうとしている人
こういった意味で分詞名詞を使うこともあるが、しばしば一般名詞化する。例えば parolanto は「今話している人」という意味でもあるが、一般化され「話者」というような固定した意味でも使われる。
lernanto 学んでいる人 → 生徒、学生
loĝanto 住んでいる人 → 住人
aŭskultanto(j) 聞いている人 → 聞き手、聴衆
受動分詞
受け身表現の分詞がある。例えば「掴まえられつつある」「掴まえられてしまっている」「掴まえられようとしている」といった意味を表す分詞である。これを受動分詞と言う。受動分詞は接尾辞の -it-, -at-, -ot- を付けることで作られる。受動分詞に対して -int-, -ant-, -ont- によって作られる分詞を能動分詞と言う。
動詞
語根
相
分詞語尾
分詞形容詞
意味
kapti
掴まえる
kapt
継続相
-at-
kaptata
掴まえられつつある
完了相
-it-
kaptita
掴まえられてしまっている
将然相
-ot-
kaptota
掴まえられようとしている
形容詞の例。受動分詞の行為者は前置詞 de を使って表す(英語の by に相当)。これは英語の受動態文に相当する。
La muso estas kaptita de kato. その鼠は猫に掴まえられて(しまって)いる。
La muso estas kaptata de kato. その鼠は猫に掴まえられつつある。
La muso estas kaptota de kato. その鼠は猫に掴まえらようとしている。
kapt-i 掴まえる
kaptita muso 掴まえられた鼠
kaptata muso 掴まえられつつある鼠
kaptota muso 掴まえられようとしている鼠
mia, via などの所有代名詞とともに使われる受動分詞形容詞は、使い方が日本語のそれとは違うので注意が必要だ。
mia amata virino 私に愛されている女性 = 私が愛している女性
via legita libro あなたに読まれた本 = あなたが読んだ本
am-i 愛する / leg-i 読む
副詞の受動分詞の例。
Kaptite de kato la muso mortis. その鼠は猫に掴まえられて死んだ。
Kaptate de kato la muso baraktis. その鼠は猫に掴まえられながら鼠はもがいた。
La muso kaptote de kato forkuris. その鼠は猫に掴まえられそうになって走って逃げた。
kat-o 猫 / mort-i 死ぬ / barakt-i じたばたする / for-kur-i 走り去る ← 遠くに+走る
名詞の受動分詞の例。
amatino 愛されている女性 → 恋人(女性)
parolato 話されている人 → 聞き手
dungito 雇われた人 → 被雇用者
arestito 逮捕された人 → 逮捕者
分詞の副詞的用法について
分詞の副詞的用法は英語の分詞構文と同じような構造をしているが、同じように使えない場合もある。
(誤)Konsiderante lian aĝon, li estas saĝa. 彼の年齢を考えると、彼は賢い。...という意味にならない
(誤)Malkaŝe dirante, li ne estas respektinda. 率直に言って彼は尊敬されるべきではない。...という意味にならない
konsider-i 考える / aĝ-o 年齢 / saĝ-a 賢い / mal-kaŝ-e 隠さず、率直に / respekt-ind-a 尊敬されるべき ← 尊敬する+値する
エスペラントでは、分詞の意味上の主語は、述語動詞の主語と同じでなければならない。また、"〜ante" は「〜しながら」という意味にしかならない。最初の例文は「彼(男A)は彼(男B)の年齢を考えながら、彼(男A)は賢い」というナンセンスな文になる。
例文の日本語の意味を表したい場合、エスペラントでは「se 不定詞」を使う。例:Se konsideri lian aĝon(彼の年齢を考えると)、Se malkaŝe diri(率直に言って)。このような不定詞の使い方については、「文や節に単独で使う不定詞 」にまとめてみた。
相について
相については自分自身よく呑み込めていないので、相とは何かをうまく言語化できない。他にも起動相、終了相、結果相、習慣相、反復相、などといった用語を目にすることもある。分詞だけが「相」を表現するわけではなく、接頭辞や接尾辞によって区別することもあるし、適当な副詞を加えることで区別できる場合もある。
動詞語尾と接辞 -ig-, -iĝ-, ek-, el-, -ad-
エスペラントの動詞には他の品詞の語尾を動詞語尾に変えたり加えただけのものがある。またエスペラントの使用者は語根から自由に動詞を造語することができる。ただし誰かが動詞化した単語がすでに定着していて自分の表したい意味と違っているかもしれないので、動詞に限らないが造語においてはすでに定着している単語があるか、それはどういう概念を表すのかを確認する必要がある。
floro 花 → floras 開花する、花開く、栄える
rapida 速い → rapidi 急ぐ
jes はい → jesi 肯定する
adiaŭ さようなら → adiaŭi 別れを告げる
Lilio estas bela. → Lilio belas. 百合は美しい。
La frazo estas ĝusta. → La frazo ĝustas. その文は正しい。
Li kapjesis. 彼は頷いた(頭を動かして肯定した)。
jes[間投]はい / fraz-o 文、句 / ĝust-a 正しい / kap-jes-i 肯定する、肯首する ← 頭+はい+動詞語尾
単純に他の品詞を動詞語尾にするだけでも動詞を造語することはできるが、接尾辞の -ig-, -iĝ-, -ad- や 接頭辞の ek-, el- などを加えることで簡単な手順でより詳細な概念を持つ動詞を作ることができる。
これらの接辞は、動詞以外の品詞から動詞を作るだけでなく、自動詞を他動詞に変えたり他動詞を自動詞に変えたりする。また動詞の意味を変えるものもある。例えば sidi は「座っている」「腰掛けている」という状態を表す動詞だが、-iĝ- という節尾を付けて sidiĝi とすると「座る」「腰掛ける」という瞬間的もしくは短時間の動作を表すようになる。以下にそういった使い方をする接辞の例を挙げてみる。
-ig-
-ig- は動詞以外の品詞や自動詞の後ろに付けて他動詞を作る接尾辞である。
形容詞などに -ig- を付けて他動詞にする。
La ĉambro estas pura. 部屋はきれいです。
La patrino purigis la ĉambron. 母は部屋を掃除した。
La supo estas varma. そのスープは温かい。
La patrino varmigis supon. 母はスープを温めました。
nul(o) ゼロ・零
Li nuligis la mendon. 彼はその注文をキャンセルしました。
pur-a きれいな、清潔な / ĉambr-o 部屋 / varm-a 暖かい、温かい / sup-o スープ / nul-o ゼロ / mend-o 注文
自動詞を他動詞にする。
La libro kuŝas sur la tablo. 本はテーブルの上に横にしておいてある(横たわっている)。
Ŝi kuŝigis la libron sur la tablo. 彼女はテーブルの上の本を(横にして)置いた。
Leteroj brulas. 手紙が燃えている。
Li bruligis la leterojn. 彼は手紙を燃やした。
La muro falis. 壁が倒れた。
Oni faligis la muron. 人々はその壁を倒した。
kuŝ-i[自]横たわっている / libr-o 本 / tabl-o テーブル / brul-i[自]燃えている / leter-o 手紙 / fal-i[自]落ちる、倒れる / mur-o 壁
使役や強制の意味をもった他動詞を作る。もともと他動詞の場合もある。
Ia infano ridis. 子どもは笑った。
La patro ridigis la infanon. 父親は子どもを笑わせた。
Li staras. 彼は立っている。
La intruisto starigis lin. その教師は彼を立たせた。
Ŝi aranĝis manĝaĵojn rapide. 彼女は食事を急いで(速く)用意した。
Li aranĝigis manĝaĵojn rapide. 彼は食事を急いで速く用意させた。
rid-i[自]笑う / star-i[自]立っている / aranĝ-i[他]手配する、配置する / manĝ-aĵ-o 食べ物 ← 食べる+物
-iĝ-
-iĝ- は自動詞を作る接尾辞だ。色々な意味合いで使われる。
動詞以外の品詞から自動詞を作る。
La ĉambro estas pura. 部屋は綺麗です。
La ĉambro puriĝis. 部屋は綺麗になった。
Mia patro estas sana. 父は元気です。
Mia patro saniĝis. 私の父は元気になりました。
Ili estas geedzoj. 彼らは夫婦です。
Ili geedziĝis. 彼らは結婚しました。
gracio 氷
Akvo graciiĝas. 水は氷る。
san-a 健康な / ge-edz-o 夫婦 ← 男女+配偶者 / graci-o 氷
他動詞から自動詞を作る。
Vento fermis la pordon. 風がドアを閉めた。
La pordo fermiĝis pro vento. 風でドアが閉まった。
Mia patrino naskis min en la vilaĝo. 母は私をその村で産んだ。
Mi naskiĝis en la vilaĝo. 私はその村に生まれた。
Oni finis la konkurson. 人々は競技会を終えた。
La konkurso finiĝis. 競技会が終わった。
Mi renkontis ŝin sur strato. 通りで彼女と会った。
Ni renkontiĝis sur strato. 私たちは通りで会った。
pord-o ドア / ferm-i[他]閉める / pro[前]〜のために(原因・理由)/ nask-i[他]生む / vilaĝ-o 村 / konkurs-o 競技会 / fin-i[他]終える
状態を表す自動詞から動作・行為を表す自動詞を作る。
Li staris. 彼は立っている。
Li stariĝis. 彼は立った。
Mi kulpas. 私は罪がある。
Mi kulpiĝis. 私は罪を犯した。
star-i[自]立っている / kulp-i[自]罪がある
他動詞から受け身的な意味を表す自動詞を作る。
Oni punis la viron. 人はその男を罰した。
La viro puniĝis. その男は罰せられた。
Iu ĵetis lin. 誰かが彼を突き飛ばした。
Li ĵetiĝis. 彼は突き飛ばされた。
pun-i 罰する[他]/ iu ある人、ある物 / ĵet-i[他]投げる、突き飛ばす
自動詞の意味を変える。本来自動詞だから、iĝi を付ける必要はないのだが、何らかのニュアンスを加えるために付けることがある。
Li mortis. 彼は死んだ。
Li tiamanere mortiĝis. 彼はそのようにして死んでいった。
mort-i[自]死ぬ
mortiĝi は mori(死ぬ)という元来の自動詞の意味を変えたものだ。morti は生から死への変化を結果として捉えるが、mortiĝi にすると生から死への変化を経過として捉えることになる。ザメンホフは -iĝi- を付けて「偶発の何かで予期せず死ぬことになった」のようなニュアンスで使っていたとのことである。
ek-
ek- は動作の開始や瞬間的な動きを表す接頭辞である。
paroli 話す → ekparoli 話しはじめる
kuri 走る → ekkuri 駆け出す
bruligi 燃やす → ekbruligi 点火する
scii 知っている → ekscii 知る
vidi 見る → ekvidi 目に入る、分かる
brli 輝くekbrili → 輝き始める、キラッと光る
ridi 笑う ekridi → 笑い始める、にこっとする
* vidi は「目で知覚する」の意味。「視線を向けて見る」の意は rigardi で表す。目撃する、認める、分かる、気づく、会うの意味もある。
-ad-
-ad- は動作や行為の継続や繰り返しを表す接尾辞である。しばしば 〜ado の形で一定の時間や期間をかける行為を表す名詞を作る時にも使われる。
paroli 話す → paroladi 話し続ける
ridi 笑う → ridadi 笑い続ける
konstrui → 構築する、建築する → konstruado 建造、建設
skribi 書く → skribado 筆記、書法
studi 研究する → studado 研究、研究事業
serĉi 探す → serĉado 捜索、探求
reĝo 王 → reĝi 統治する → reĝado 統治、支配、君臨
servi 奉仕する → servado 奉仕、サービス、勤務、奉公
el-
el は本来「〜の中から」という意味を表す前置詞だが、接頭辞としてもよく使われる。接頭辞の el- は何かが「外に出てくる」というニュアンスを表すためにも使われるが、「行為が完了する」「目的を達成する」「〜しつくす」といった意味を表すためにも使われる。
trinki 飲む → eltrinki 飲み終える、飲み干す
lerni 学ぶ → ellerni 学び終える、習得する
kreski 成長する → elkreski 完全に成長する、成熟する
uzi 使う → eluzi 使い切る、使い古す
teni 支える、持つ、維持する、耐える → elteni 耐え抜く
pensi 考える → elpensi 考えて結果を得る、発案する、発明する
疑問文
「はい」「いいえ」で答える疑問文
「はい」「いいえ」で答えてもらう疑問文は普通の文の先頭に副詞的小辞の ĉu を加えて作られる。
Ĉu vi ŝatas kafon? あなたはコーヒーが好きですか?
ŝat-i 好む、高く評価する
実際の会話では、文の最後に ĉu を付けたり、確認の語句を追加したりすることもある。.... 実際の会話では ĉu を付けないでイントネーションだけで質問する場合もあるだろうが...
Vi ŝatas kafon, ĉu? あなたはコーヒーが好きですよね、そうでしょ?
Vi ŝatas kafon, ĉu ne? あなたはコーヒーが好きですよね、違いますか?
「〜か、それとも〜か」という意味の場合、接続詞 aŭ を使う。
Ĉu vi ŝatas kafon, aŭ ne? あなたはコーヒーが好きですか、それとも違いますか?
Ĉu vi ŝatas kafon, aŭ teon? あなたはコーヒーが好きですか、それともお茶が好きですか?
aŭ[接] あるいは / te-o お茶(紅茶)
Ĉu で尋ねられた質問に対して丁寧に返事をするときは、まず間投詞的に Jes(はい)または Ne(いいえ)を言い、さらに肯定または否定する文を簡潔に繰り返すのが普通ではなかろうか。
Ĉu vi ŝatas kafon?
Jes, mi ŝatas (kafon).
Ne, mi ne ŝatas (kafon).
Ĉu vi trinkos kafon aŭ teon? コーヒーか紅茶を飲みますか?
Jes, (mi trinkos) kafon. はい、コーヒーを。
否定文で質問することもある。
Ĉu vi ne ŝatas kafon? コーヒーはお好きではないですか?
このときの答えの Jes、Ne は2通りあるようだ。答えが「好きです」という肯定文だから Jes と答える場合と、疑問文の中の「好きではない 」を肯定する意味で Jes とする場合である。どちらが正しいとか間違っているとかは断言できない。多分の前者の答え方をする人の方が多いのだろうが ...
「ĉu ~, ĉu ~」の形は「〜であろうと、〜であろうと」という意味の譲歩を表す。
Ĉu li estas amiko, ĉu li estas malamiko, mi iros al li. 彼が友人であろうと敵であろうと私は彼のとろこに行きます。
amik-o 友人 / mal-amk-o 敵
疑問詞を使う疑問文
疑問詞を表にしてみた。
代名詞的
物・事
kio
何?
指示詞的
(代名詞的)
人・物・事
kiu
誰?どの?どれ?
所有
kies
誰の?どれの?だれ(どれ)のもの?
形容詞的
性質・状態
kia
どんな?
副詞的
場所
kie
どこ?
時
kiam
いつ?
理由
kial
なぜ?
方法・様子
kiel
どのように?
数量
kiom
どのくらい?
kio
kio は日本語の「何」にあたる。
Kio estas tio? それは何ですか?
Kio estas la Unua Libro? 「最初の本」とは何ですか?
Kio estas vi? あなたは何者ですか?
Mi estas instruisto. 私は教師です。
Mi estas japano. 私は日本人です。
Mi estas lia onklo? 私は彼のおじです。
Kio estas via ŝatokupo? あなたの趣味は何ですか?
unu-a 1番目の ← 1 + a(形容詞語尾): Unua libro エスペラントが提言された最初の本 / instru-ist-o 教師 ← 教える+人 / japan-o 日本人 / onkl-o 伯父、叔父 / ŝat-okup-o 趣味 ← 好き+仕事
必要に応じて対格語尾や前置詞を付ける。
Kion vi manĝis? あなたは何を食べましたか?
Pri kio vi parolas? あなた達は何について話していますか?
Por kio oni uzas tiun ilon? その道具は何のために使うのですか?
Per kio vi vestos vin por la ceremonio? セレモニーのために何を着ますか?
pri 〜について、〜に関して(話題)/ por 〜のために(目的)/ uz-i 使う / il-o 道具 ← 道具・手段を表す接尾辞+名詞語尾 / per 〜で、〜を使って(道具、手段)/ vesti 着せる、〜で装う / ceremoni-o 儀式、儀礼 /
kiu
kiu は本来「どの〜」にあたる疑問詞だが、「だれ」「どれ」の意味でも使われる。
Kiu pakaĵo apartenas al vi? どの荷物があなたのものですか?
Kiuj libroj sur la breto estas interesaj? 棚の上のどの本が面白いですか?
Kiu estas tiu virino? あの女性は誰ですか?
Ŝi estas Heleno. 彼女はヘレノです。
Kiu estas via filino? 誰が(どの人が)あなたの娘さんですか?
Tiu estas mia filino. それが私の娘です。
Kiu estas via ĉapo? どれがあなたの帽子ですか?
pak-aĵ-o 荷物 ← 包装する+もの / aparten-i 所属する / bret-o 棚 / fil-in-o 娘 ← 息子+女 / ĉap-o 縁のない帽子
必要に応じて対格語尾、前置詞を付ける。
Kiun koloron vi ŝatas? あなたはどの色が好きですか?
En kiu ĉambro estas Johano? ヨハノはどの部屋にいますか?
Kiujn vi konas? あなたは誰を知っていますか?
Al kiu vi donos la floron? その花を誰にあげるのですか?
Kiun vi aĉetos? どれを買いますか?
kolor-o 色 / en 〜の中に / ĉambr-o 部屋 / kon-i 知っている / al 〜に(与格、方向)/ don-i 与える、渡す、もたらす / aĉet-i 買う
kies
kies は「誰の〜」「どれの〜」という意味の所有を尋ねる疑問詞だが、「誰のもの」「どれのもの」という意味でも使われる。
Kies patro li estas? 彼は誰のお父さんですか?
Kies estas la libro? その本は誰のものですか?
patr-o 父親 / libr-o 本
kia
kia は「どんな」という意味で性質や状態を尋ねる。必要に応じて複数形語尾、対格語尾を付ける。
Kia supo tiu estas? それはどんなスープですか?
Kian aŭton vi aĉetis? どんな車を買いましたか?
Kiajn novelojn vi legas? どんな小説を読みますか?
Kia estis la ventego? 大風はどんなふうでしたか?
sup-o スープ / aŭt-o 自動車 / novel-o 中編小説 / ventego 大風 ← 風+大きい
kie
kie は「どこで(に)」という意味で場所を尋ねるときに使われる。
Kie vi loĝas? あなたはどこに住んでいますか?
Kie estas via urbo? あなたの町はどこにありますか?
loĝ-i 住む / urb-o 町、都市
「どこへ」「どこから」「どこまで」といった移動を表す場合は意味に応じた前置詞を付ける。
Al kie(=Kien) vi veturis hieraŭ? あなたは昨日どこに行きましたか?
De kie vi venis. あなたはどこから来ましたか?
Ĝis kie iros la buso? そのバスはどこまで行きますか?
al[前] 〜へ(方向・移動先) / de[前]〜から(起点・始点) / ĝis[前]〜まで(到達)
al kie は、代替表現の kien (kie + 対格語尾) で表す方が多いように見受けられる。この対格語尾は目的語を表すためのものではなく、方向や移動先を表す。参照:[目的語以外を表す対格 ]
kiam
kiam は時間を尋ねる疑問詞で、「いつ」に当たる。「いつから」「いつまで」といった表現には意味に応じた前置詞を置く。
Kiam vi ellitiĝis? いつ起床しましたか?
De kiam oni konstruas ĉi tiun domon? いつからこの家を立てているのですか?
Ĝis kiam vi lernados hodiaŭ nokte? 今夜はいつまで勉強するの?
el-lit-iĝ-i 起床する ← 〜の中から+寝床+自動詞化 / konstru-i 造る、構築する / dom-o 家 / lern-ad-i 続けて勉強する ← 勉強する+継続を表す接尾辞 / 学ぶ / nokt-e 夜に
kiam は副詞的な疑問詞である。kiam に形容詞語尾 -a をつけて形容詞的に使うことが可能である(いつの時の)。
En(ĉe, je) kiama kunsido, ni interparolis laste? 最近私達、いつの時の会合で話しをしたかしら?
ĉe 〜のところで / je 汎用前置詞 / kun-sid-o 会合、集会 ← 一緒に+座る / inter-parol-i 会話する ← 〜の間で+話す / last-e 最後に、終わりに、最近
kial
kial は「なぜ」という意味で理由・原因・動機を尋ねるときに使われる。
Kial vi ploras. なぜ泣いているの?
Kial vi ne respondas al mi? なぜ私に返事をしないの?
plor-i 泣く / respond-i 答える、返事をする
kiel
kiel は「どのように」という意味で、方法や様子、程度を尋ねるときに使われる。
Kiel bongusta ĝi estas? それはどんな風においしいですか?
Kiel vi kuiras ĉi tiun manĝaĵon? どうやってこの食べ物を料理するのですか?
Kiel malvarme estis hieraŭ? 昨日はどれほど寒かったですか?
Kiel vi fartas? どんな健康状態ですか? =ご機嫌いかが?=調子はどう?
bon-gust-a 美味しい ← 良い+味がする / kuiri(加熱して)料理する / manĝ-aĵ-o 食べ物 ← 食べる+物 / malvarme 寒く ← 反対+暖かい / fart-i 健康状態である
kiom
kiom は数量を尋ねるときに使われる。
Kiom vi volas, ĉu du aŭ tri? どれだけ欲しいの?2つそれとも3つ?
Kiom kostas la ringo? この指輪はどれぐらいの値段がするの?
Kiom longe vi atendis? どれぐらい長く待っていたのですか?
vol-i 欲しがる / du 2 / tri 3 / kost-i 費用がかかる / ring-o 指輪、輪 / long-e 長く / atend-i 待つ
「何人」「何個」「何杯」のように具体的な数で答えてもらいたいときは、前置詞の da を使って尋ねることもできる。参照:[前置詞 da ]
Kiom da infanoj vi havas? お子さんは何人いますか?
Kiom da glasoj estas sur la tablo? テーブルの上にグラスがいくつありますか?
Kiom da glasoj da biero vi trinkis? ビールをグラス何杯飲みましたか?
infan-o 子供 / glas-o グラス / trink-i* 飲む
*trinki とよく似た動詞に drinki(酒を飲む)がありますが、これは「嗜好で沢山飲む」というニュアンスがあります。ここで drinki を使うこともできますが、ニュアンスによります。
「〜 da 名詞」の形の中心となる語は da の前の 「〜」 なので「〜 da 名詞」が目的語のとき 「〜」の部分が対格になる。しかし「kiom da 名詞」の場合 kiom は対格にならない。これは kiom の最後が子音で n を付けれられないからという理由ではなく kiom が副詞だからだ。「〜 da 名詞」の「〜」の部分には副詞を使うことができ、multe da biero(沢山のビール)、 sufiĉe da amo(十分な愛)のような表現が可能だが、このとき da の前の副詞は目的語であっても対格にしないのと同じである。
時刻や回数を尋ねるときなどに kioma と形容詞語尾を付けて尋ねる言い方がある。kioma は「何番目の」という意味で序数を尋ねる時に使う。「何時に」「何回目に」などように尋ねるときは前置詞の je やその他の前置詞を付ける。
Kioma horo estas nun? 今何時ですか?
Je kioma horo ni atingos Tokion? 私たちは何時に東京に着きますか?
Je kioma fojo li sukcesis en la ekzameno? 彼は何回目に試験に合格したのですか?
Sur kioma(kiu) etaĝo estas la oficejo? オフィスは何階ですか?
hor-o 時刻、時間 / je[汎用前置詞] / ating-i[他]到着する / foj-o 回数 / sukces-i 成功する / ekzamen-o 試験
je は、本来固有の意味を持たない汎用的な前置詞で、ピッタリくる前置詞がないときに使えるが、定着した使い方として時刻や回数を表す時に使われる。なお je 前置詞句は対格に言い変えることができるので(je ~ → ~on)、je kioma horo, je kioma fojo は kioman horon, kioman fojon のように言うことができる。
Kioman horon (= Je kioma horo) ni atingos Tokion? 私たちは何時に東京に着きますか?
階数を尋ねるときは kioma etaĝo より kiu etaĝo を使うことが多いのではないかと思われる。
疑問の相関詞・普遍の相関詞・不定の相関詞
疑問の相関詞
前項で取り上げた疑問詞は、疑問の相関詞とも呼ばれる。相関詞とは、日本語の「こそあど」に相当する一群の単語で[相関詞表 ]、tio, tiu, tie などの指示詞も相関詞の1つだ。相関詞は語の前半部と後半部で規則的な組み合わせになっているが、接頭辞や語尾の組み合わせではなく、これ以上分割できない小辞(語根語)である。
疑問の相関詞は疑問詞として使われるだけでなく、下に示したようないろいろな役割で使われる。この項では 2 〜 4 の使い方を取り上げる。
疑問詞(何、どの、どんな....)
感嘆文における指示詞(まあなんとそんな、まあなんとそんなにも、...)
時や場所を表す副詞節を導く接続詞(〜するとき...kiam, 〜するところで...kie)
譲歩節を導く接続詞(〜であろうとも)
関係詞節を導く接続詞(〜である, その、〜する, その)
比較従属節を導く接続詞(〜であるのと同じくらい ... kiel, ...kiom)
名詞節を導く接続詞(〜であるかということ)
感嘆文における指示詞
kia, kiel, kiom は感嘆文において感嘆のニュアンスを含む指示詞(指示形容詞的、指示副詞的)として使われる。
Kia ĝoja festo! 何と楽しいお祝いか!(まあ、なんとそんな)
Ho kiel tio min malĝojigas! おお、なんと私を悲しませることか!(まあ、なんとそんなにも)
Ha, kiel agrable! なんと心地良いことか!(まあ、なんとそんなにも)
Kiom ofte li tion ripetis! 彼は何度繰り返したことか!(まあ、なんとそれほど)
ĝoj-a 楽しい / fest-o お祝い / mal-ĝoj-ig-i 悲しませる ← 反対+楽しい+させる / agrabl-a 心地良い / oft-e 度々、しばしば / ripet-i 繰り返す
2. の kia は形容詞相当なので文法的には ĝoja(楽しい)に係っているのでははなく、ĝoja festo(楽しいお祝い)に係っているはずで、ĝoja に係るように kiel を使うこともできるが、意味的にはほとんど差がないように思われる。3. は漠然とした状況を表す無主語文だが、感嘆文では動詞が省略されることが多い。
時や場所を表す副詞節
kiam や kie は、時や場所を表す副詞的節を導く(〜が〜するとき、〜が〜するところで)。
Mi revis pri multaj deziroj, kiam mi estis juna. 若いときはたくさんの希望を夢想したものだ。
Kiam oni estas riĉa, oni havas multajn amikojn. 金のある時は友人が多い。
Elizabeto nun laboras, kie mi antaŭe laboris. エリザベートは今、私が以前働いていた場所で今働いています。
jun-a 若い / rev-i 夢見る、夢想する / pri[前]〜について / dezir-o 望み / riĉ-a 金持ちの / mult-a 多い / amik-o 友達 / nun[副小]今 / labor-i 働く / antaŭ-e 以前に
実は、これらは先行詞が省略された関係詞文と捉えることが可能である。参照:「先行詞の省略 」
譲歩節を導く接続詞
疑問の相関詞は無差別を表す小辞の ajn(〜であろうとも)とともに使って譲歩節を導く。譲歩節とは条件節において無差別に条件を許容する」という意味で「たとえ〜であろうと」といった意味を表す。
Kion (Kiel) ajn vi diros, mi ne kredos vin. お前が何を(どのように)言おうと私はお前を信じない。
Kiu ajn vokos min, mi venos(iros) al li. 誰が私を呼ぼうと私はその人のところへ行く。
Kia(j)n ajn manĝaĵo(j)n vi preparus, mi volonte manĝus ĝin(ilin). どんな食べ物であっても用意してくれれば私は喜んでそれを食べるだろうに。
Kiam ajn (Kien ajn vi iros) , mi sekvos vin. 何時だって(どこにあなたが行こうと)私はあなたについて行きます。
Kiom ajn vi ripetos, vi malsukcesos. 何度繰り返してもお前は失敗するだろう。
kred-i 信じる / vok-i 呼ぶ、来させる / ven-i 来る、相手のところへ行く / manĝ-aĵ-o 食べ物 ← 食べる+物 / sekv-i 後に続く / vol-ont-e 喜んで 〜したい+将然文詞 / mal-sukces-i 失敗する ← 反対+成功する
ajn は後に出てくる普遍の相関詞(ĉio, ĉiu, ...) や不定の相関詞(io, iu, ...) とも組み合わせて使われるが、条件節を導く接続詞として使えるのは疑問の相関詞である。
2. の venos al li の venos は「相手のところに行く」という意味である。確信はないが、「自分のところから出かける」というニュアンスでは iros も使えると思うが、一般に venos の方がよく使われているように見うけられる。
なお、話が主題から逸れるが、この文の li は、女性も含めた「誰であれその人」という意味である。エスペラントでは li は性に関係なく3人称の代名詞としても使われる。「練習文集 」の中にこのような li の使い方の例が見える。エスペランチストの中にはこのような li の使い方に反対する人もいるだろうが...
以下にその例文を示し少し説明を加えますが、このまとめでまだ扱っていない、普遍の相関詞や関係詞文に関わっていて、理解するのが難しいと思われます。その場合とりあえず読み飛ばして、関連する項目を読み終えてから読み返してみてください。
「練習文集」では li が指示代名詞 ĉiu(だれしも)を使って話題にした人物を再度取り上げるのに使われている。
Ĉar ĉiu amas ordinare personon, kiu estas simila al li, ... なぜなら、だれしも普通自分に似た人が好きなので、...
ĉar [接続詞]なぜなら、というのは / ĉiu どの〜も;どれも;だれでも / ordinar-e 通常、普通 / kiu 関係代名詞 (= who);ここでは kiu 以下の関係詞節が先行詞の ĉiu を説明している / person-o 人 / simil-a 似ている
「だれしも」には当然女性も含まれるから、その人を指し示すには性に関してニュートラルな代名詞を使うべきという考えもあるかもしれないが、「エスペラントの基礎」中の「練習文集」にある例文なので、この例に倣って li をこのように使うことがある。
なお、「だれしも自分に似た人」という意味を表したのだから、再帰代名詞 si を使えば、性に関してもニュートラルな代名詞なので問題ないようだが、この文の構造では「自分に似た」を表すのに si を使うことができないので、代わりに li が使われている。その理由は kiu estas simila al li の節の主語 kiu は 先行詞 personon を指している。つまり「好かれる人」を指しているから、li の代わりに si を使うと「好かれる人が自分に似ている」という意味になってしまうからである。「好かれる人」は「好く人」に似ているという意味の文にしなければならない。
普遍の相関詞
下表は普遍の相関詞である。これらは「何もかも」「だれもかれも」「どの〜も」「どこでも」「いつでも」... といった意味を表す。すべて ĉi- で始まる(ĉi は接頭辞ではない)。
代名詞的
物・事
ĉio
何もかも
指示詞的
(代名詞的)
人・物・事
ĉiu
どの〜も、どの人も、どれも
所有
ĉies
誰(どれ)の〜も、誰(どれ)のものも
形容詞的
性質・状態
ĉia
どんな〜も
副詞的
場所
ĉie
どこにでも
時
ĉiam
いつも
方法・様子
ĉiel
あらゆる方法で
理由
ĉial
あらゆる理由で
数量
ĉiom
全部、全量
Ĉio estis mensogo! すべて 嘘だった。
Ĉiu en mia familio parolas la anglan. 私の家族は皆 英語を話します。
Ĉiuj hundoj apartenas al li. それらの 犬は全部 彼のものです。
mensog-o 嘘 / angl-a 英国の、英国人の / hund-o 犬 / aparten-i 所属する
Ĉies amiko estas nenies amiko. 誰もの 友達は誰一人の友達でもない。
amik-o 友人
En ĉia okazo, li tenas sin bone. どんな 場合でも彼は自分を正しく律します。
Ili devis obei ĉian ajn ordonon de sia mastro. 彼らは自分の主人のあらゆる(種類の) 命令に従わなければならなかった。
ten-i 維持する、保持する→ teni sin 態度を取る / dev-i 〜しなけらばならない / ajn[副小] 無差別を表す / obe-i 従う、服従する / ordon-o 命令 / mastr-o 主人、雇い主
Ĉie estas varme, sed hejme estas plej ĉarme. どこも 暖かいが、家庭が一番魅力的だ。
La filino ĉiam murmuras. その娘はいつも ブツブツ言っています。
plej [副小]最も / varme 暖かく、温かく / fil-in-o 娘 ← 息子+女 / murmur-i ブツブツ言う / ĉarm-e 魅力的な
Vi demandas, kial mi amas vin. Mi respondas: "ĉial !" あなたは私が何故あなたを愛すのかと尋ねます。私は答えます。「あらゆる理由で 」と。
Ili ĉiel helpis al mi. 彼らはあらゆる方法で 助けてくれました。
Ŝi ĉiom manĝis. 彼女が全部 食べました。
demand-i 質問する / respond-i 答える / manĝ-aĵ-o 食べ物 ← 食べる+物
普遍の相関詞に無差別を表す ajn を加えることがある(例:ĉiam ajn; ĉie ajn)。普遍の相関詞自体が「すべての」という意味だから、無くても構わないと思うが強調することになるのだろう。
不定の相関詞
不定の相関詞を見ていく。不定の相関詞は「あるもの」「ある人」「ある〜」「ある時」「ある場所で」... のような意味を表す。すべて i- で始まる(i は接頭辞ではない)。
代名詞的
物・事
io
あること、あるもの、何か
指示詞的
(代名詞的)
人・物・事
iu
ある〜、ある人、あるもの、何かの、何か
所有
ies
ある人の、あるものの、だれかの、どれかの
形容詞的
性質・状態
ia
ある性質の、ある状態の
副詞的
場所
ie
ある所で、どこかで
時
iam
ある時、いつか
方法・様子
iel
ある方法で、どうにか
理由
ial
ある理由で、なぜか
数量
iom
ある程度、いくらか
Io terura okazus. 何か 恐ろしいことが起こるかもしれない。
Iu ploras ĉe la pordo. 誰か がドアのところで泣いている。
Bonvolu doni al mi iun trinkaĵon. 何か 飲み物をください。
Sur la tablo restas ies ĉapelo. テーブルの上に誰かの 帽子が残っている。
Kiu ĝoja(u)s pri ies malfeliĉo! だれが(ある)人の 不幸を喜ぶ(ということがあろう)か。
terur-a 恐ろしい / okaz-i 起る / plor-i 泣く / pord-o ドア / ĉapel-o 縁無し帽 / mal-feliĉ-o 不幸 ← 反対+幸福
Tiu vino estas nur ia acida trinkaĵo. そのワインは何か 酸っぱい飲み物に過ぎない。
Mi volas farbi la vandon per ia hela koloro. 私は間仕切りを何か 明るい色で塗りたい。
vin-o ワイン / nur 〜だけ、ほんの / acid-a 酸っぱい / farb-i ペンキを塗る ← farb-o ペンキ / vand-o 間仕切り / hel-a 明るい / kolor-o 色
Ŝi loĝas ie en Novjorko. 彼女はニューヨークのあるところに 住んでいます。
Vi povas trovi ie ajn* feliĉon. あなたはどこで あろうと幸福を見つけることができます。
Iam mi vizitis ŝin. あるとき 彼女を訪ねて行きました。
loĝ-i 住んでいる / trov-i 見つける / vizit-i 訪れる
副詞的小辞の ajn は不定の相関詞にも使える。ie は「あるところで」「どこかに」という意味だが、ie ajn とすると「どこであろうと」「どこであっても」という意味になる。ajn は ĉie にも使われているのを見かける。
Tiam mia patrino estis ial malgaja. その時母はなぜか ふさぎ込んでいた。
Ili iom parolas la hispanan (lingvon). 彼らはスペイン語をいくらか 話します
Ŝi aĉetis iom da butero. 彼女はいくらか のバターを買いました。
mal-gaj-a 陰気な、気分の沈んだ ← 反対+陽気な / hispan-a スペインの、スペイン人の / buter-o バター / da 参照:[
数と前置詞 da ]
iom は本来の意味である不定の数量を表すこともあるが、日本語と同じで「いくらかの」「数個の」のような「それほど多くない」というニュアンスを表すこともある。
話法
直接話法は会話の内容を引用符で括って表す。
Karlo diris al Eva: “Mi portis donacaĵon al vi.”
カルロはエヴァに「僕は君へのプレゼントを持って来たんだ」と言いました。
Eva demandis: “Kio estas ĝi?”
エヴァは「それは何?」と尋ねました。
Karlo prezentis ĝin kaj demandis: “Ĉu vi volas ĉi tiun?”
カルロはそれを見せ「君はこれが欲しい?」と尋ねました。
Eva prenis ĝin kaj diris: “Kia bela kolĉeno (ĉi tiu estas)!.”
エヴァはそれを手に取り「(これって)何て綺麗なネックレスだこと」と言いました。
dir-i 言う / port-i 携帯する、身に付ける、持っている、運ぶ / donac-aĵ-o 贈り物 ← 贈る+物 / demand-i 質問する / prezent-i 差し出す、見せる / kol-ĉen-o ネックレス ← 首+鎖
例文のように引用符の前にコロンを入れることが多い。
贈り物を指して、地の文では ĝi を使い、引用符の中では ĉi tiu を使っているものがある。これは、ĝi は文脈中のものごとを再び取り上げるときに使い、目に見えているものや手元にあるものなどを指すときは ĉi tiu などを使うのが原則だからである。おそらく実際の会話では ĝi と tiu/ĉi tiu を自然と区別すると思われるが、作文では混同してしまいそうだ。ただし、どれほど厳密に区別されているのかよくは知らない。
間接話法は会話の内容を従属節を使って表す。従属節を導く接続詞には、平叙文なら ke、疑問文なら ĉu または 疑問詞を使う。
Karlo diris al Eva, ke li portis donacaĵon al ŝi.
カルロは自分は彼女へのプレゼントを持って来たんだと言いました。
Eva demandis, kio estas ĝi.
エヴァはそれは何と尋ねました。
Karlo prezentis ĝin kaj demandis, ĉu ŝi volas ĝin.
カルロはそれを見せ彼女はそれが欲しいのか尋ねました。
Eva prenis ĝin kaj diris, ke ĝi estas tre bela kolĉeno.
エヴァはそれを手に取り、それはとても綺麗なネックレスだ、と言いました。
例文の様に、従属節の前にコンマを入れることが多い。
贈り物を指すのにすべて ĝi を使ってあるのは、文脈中に出て来たものを指すからである。
以下は間接話法による簡単な例文。
Ŝi diris al li, ke lia domo estas tre granda. 彼女は彼に彼の家はとても大きいと言った。
Ŝi demandis al li, ĉu lia domo estas granda. 彼女は彼に彼の家は大きいのか聞いた。
Ŝi demandis lin, kion li aĉetis. 彼女は彼に何を買ったのか聞いた。
Ŝi demandis al li, kie li loĝas. 彼女は彼にどこに住んでいるのか聞いた。
Ŝi demandis lin, kiel li fartas. 彼女は彼にどんな調子かと聞いた。
Ŝi diris al li, kiom multe ŝi klopodis. 彼女は彼に自分がどれほど多く尽力したか話した。
Ŝi demandis lin, kial li ne venis. 彼女は彼になぜ来なかったのか聞いた。
grand-a 大きい / dom-o 家 / tre[副小」とても / aĉet-i 買う / dom-o 家 / loĝ-i 住んでいる / fart-i ~の健康状態である / klopod-i 尽力する、奔走する
直接話法と間接話法では人称が変わる。直接話法では引用符内は人称が独立しているが(引用符内の話し手が mi)、従属節では主節の主語(文の書き手、話し手が mi)から見た人称にする。
エスペラントの間接話法では時制の一致は無いので、動詞の時制語尾は基本的にそのまま保たれる。
直接話法と間接話法では時の表し方が変わる。hodiaŭ(今日)、hieraŭ(昨日)、morgaŭ(明日)などを、相対的な表現の la antaŭa tago(前の日)、tiu tago(その日)、posta tago(次の日)などに変える必要がある。
Li diris hieraŭ: "Mi estas malsana hodiaŭ.” 彼は昨日「今日は調子が悪い」と言った。
Li diris hieraŭ, ke li estas malsana en tiu tago. 彼は昨日、その日は調子が悪いと言った。
mal-san-a 病気の ← 反対+健康な / ver-ŝajn-e きっと ← 本当の+らしい
nun(今)は変更せずにそのまま使える。laste(最近)ĵus(さっき)baldaŭ(もうじき)などもそのまま使える。
Hieraŭ li diris: “Mi volas fari tion nun, ne poste!” 昨日彼は「後ではなくて今それをやりたい」と言った。
Hieraŭ li diris, ke li volas fari tion nun, ne poste. 昨日彼は、後ではなくて今それをやりたいと言った。
vol-i 〜したい / far-i する / post-e 後で
hieraŭa(昨日の=前の日の)、hodiaŭa(今日の=その日の)、morgaŭa(明日の=次の日の)もそのまま使える。
Li ĉiam legas hieraŭan ĵurnalon. 彼はいつも前日の新聞を読みます。
Li ordonis hieraŭ, ke alportu hodiaŭan ĵurnalon. 彼は昨日その日の新聞を持って来いと言った。
leg-i 読む / al-port-i 持って来る、もたらす ← 〜へ+運ぶ
場所を表すのに指示詞を使うと、直接話法と間接話法で表し方が変わる。あるとき誰かとニューヨークについて話をしたとする。そして今自分は旅行でニューヨークに来ているとすると、その時の会話は下のような表現になる。
Li demandis: “Ĉu vi deziras vojaĝi tien(= al Novjorko)?”
彼は「君はそこに行きたい?」と尋ねた。
Li demandis, ĉu mi deziras vojaĝi ĉi tien(= al Novjorko).
彼は私がここに来たいのかと尋ねた。
dezir-i 希望する / vojaĝ-i 旅行する
会話の内容が kia, kiel, kiom を使った感嘆文の場合、間接話法で、それらを引用のための接続詞として使うことはできない。
Eva prenis ĝin kaj diris: “Kia bela kolĉeno ĉi tiu estas!.”
エヴァはそれを手に取り「まあ、これって何て綺麗なネックレスでしょう」と言いました。
(誤)Eva prenis ĝin kaj diris, kia bela kolĉeno ĝi estas!.
エヴァはそれを手に取り「まあ、これって何て綺麗なネックレスでしょう」と言いました。.... という意味にならない
(正)Eva prenis ĝin kaj diris, ke ĝi estas tre bela kolĉeno.
エヴァはそれを手に取り、とても綺麗なネックレスだと言いました。
dezir-i 希望する / vojaĝ-i 旅行する
2. の kia 以下は上のような訳文にならず、「それがどんな綺麗なネックレスなのかについて話しました」という意味になる。つまり kia, kiel, kiom 以下は引用ではなく疑問の従属節になる。
間接話法の中の ke で始まる節(ke 節)や疑問詞で始まる節(疑問節)は全体で名詞相当(名詞節)と捉えることができる(〜ということ、〜かということ)。"demandis al li, ke ..." のような文だと ke 節は文の要素としては目的語と捉えることができる。しかし "demandis lin, kial ..." の kial 疑問節を目的語と捉えると文中に “lin” と “kial ...” の2つの目的語が存在することになって、文法的にはありえないことになる。実はこのような文の疑問節は pri 前置詞句の省略表現だと捉えることで、文法的にあり得る構造だということになる。つまり
"demadis lin, kial ..." = "demandis pri tio, kial ...."
の pri tio を省略したもので、疑問節(kial ....)は 指示代名詞 tio の言い換えと考える。これについては、次の「名詞節」の項目中の「同格として」を参照してください。
名詞節
ke 節、ĉu 節、疑問の相関詞が導く従属節は名詞相当の従属節としてはたらく。
ke 節と ĉu 節 -- 名詞節
ke 節 と ĉu 節は「〜ということ」「〜かどうかということ」といった意味の名詞節を導く。名詞節は名詞と同じように主語、目的語、叙述語、前置詞の目的語になる。また名詞と並べて同格表現(言い換え)を作ることができる。
主語として
ke 節 や ĉu 節は主語になる。
Okazis, ke la reĝino mortis. 女王が亡くなるという出来事が起こった。
Estos grave, ĉu pluvos aŭ ne. 雨が降るかどうかが重要になるだろう。
Estas bone, ke vi sidiĝos sur tiu seĝo. その椅子に掛けるといいよ(その椅子に腰掛けることは良い)。
Estas konsiderate, ke Esperanto estas la plej facila lingvo en la mondo. エスペラントは世界でもっとも易しい言語だと考えれている。
mort-i 死ぬ / grav-e 重要な / sid-iĝ-i 坐る ← 坐っている+動作化 / sur[前]〜の上に / konsiderat-e 考えられる ← 考察する+受け身 / plej 最も / mondo 世界 / ebl-i 可能である、あり得る / streb-o 奮闘、努力
動詞が最初に来て、主語が後ろに来ているが、主語が従属節のときこのような語順の文をよく見かける。もちろん規則ではない。1. は SV の構文である。2. 〜 4. は主語の叙述文つまり SVC の構文である。主語が ĉu 節または ke 節で、grave, bone, konsiderate が叙述語である。主語が ĉu 節または ke 節の場合(主語が名詞節や不定詞句の場合)叙述語は副詞になる。
ke 節や ĉu 節を主語として使う文として、下のような確かさを表す表現がよく使われる。
Ŝajnas (= estas ŝajne), ke pluvos. 雨が降りそうだ(雨が降るように思える)。
Ŝajnas (= estas ŝajne), ke la japana lingvo estas malfacila. 日本語は難しいように思える。
Ŝajnas (= estas ŝajne) al mi, ke el ŝia buŝo elsaltas perloj kaj diamantoj. 私には彼女の口から真珠やダイヤモンドが飛び出しているように思える。
Certas (= estas certe), ke li mortis. 彼が死んだのは確かです。
Ne certas (= estas ne certe), ĉu li mortis aŭ ne. 彼が死んだのかどうか確かではありません。
Veras (= estas vere), ke li mortis. 彼が死んだのは本当です。
Ĉu veras (= Ĉu estas vere), ke vi renkontis lin hieraŭ? あなたが昨日彼に会ったのは本当ですか?
ŝajn-i おそらく〜だ、〜のように思える / ŝajn-e おそらく、見かけ上(≒ ver-ŝhajn-e きっと ← 真実+おそらく+副詞語尾)、見かけ上 / mal-facil-a 難しい ← 反対+易しい / buŝ-o 口 / el-salt-i 飛び出す ← 〜から+跳ねる / perl-o 真珠 / diamant-o ダイヤモンド / cert-i(=esti certe 確かである)/ mort-i 死ぬ / ver-i 本当である(=esti vere) / renkont-i 会う
ŝajnas, certas, veras のように、動詞1語で estas ŝajne, estas certe, estas vere と同じ意味を表すこともある。
Povas esti, ke la infaneto estas malsata. その子はお腹が空いていそうだ(あり得る)。
Povus esti, ke la infaneto estas malsata. その子はお腹が空いているのかもしれない(ひょっとしたら...たぶん空いてない)。
Devas esti, ke mi venis ĉi tien en mia infaneco. 私は子供の時にここに来たことがあるに違いない。
pov-i 可能性がある / infan-et-o 子ども、幼児 ← 小さい+子ども / mal-sat-a 空腹の ← 反対+満腹の / aspekt-i 見える / dev-i 違いない / ven-i 来る / infan-ec-o 幼児期、子供らしさ ←子供+性・さ
名詞節とは関係ないが povas esti, devas esti は、それぞれ「〜である(いる)ことができる」「〜であらねば(いなければ)ならない」という意味のときもある。
こういった ke 節が主語の文は、実際には ke 節内の主語を節の外に移動して簡潔に表せる場合が多い。
Ŝajnas, ke pluvos. 雨が降りそうだ。
= Ŝajne pluvos.
Ŝajnas, ke la japana lingvo estas malfacila. 日本語は難しそうだ。
= La japana lingvo ŝajnas malfacila.
= La japana lingvo ŝajne estas malfacila.
Certas, ke li mortis. 彼が死んだのは確かです。
= Li certe mortis.
Povas esti, ke la infaneto estas malsata. その子はお腹が空いているようだ。
= La infano povas esti malsata.
Aspektas, ke la geedzoj estas feliĉaj. その夫婦は幸せそうだ
= La geedzoj aspketas feliĉaj.
叙述語として
La raporto estis, ke li sukcesis. 知らせは彼が成功したというものだった。
Nia problemo estas, ĉu li helpos nin aŭ ne. 私達の問題は彼が協力してくれるかどうかということです。
raport-o 報告 / problem-o 問題
目的語として
Mi sciigis al li, ke mi baldaŭ translokiĝos. 私は彼に自分がもうすぐ引っ越しすると知らせた。
La patrino permesis al mi, ke mi restos tie longe. 母は私がそこに長く留まることを許してくれた。
Mi dubis, ĉu li vere venos. 私は彼が本当に来るかどうかを疑った。
trans-lok-iĝ-i 引っ越す ← 向こう側+場所+自動詞化 / permes-i 許す / dub-i 疑う / ven-i 来る、相手のところへ行く
前置詞の目的語として
すべての前置詞で使われるわけではなく、por(〜のために), anstataŭ(〜の代わりに), malgraŭ(〜にも関わらず), krom(〜を除いて、〜の他にも), sen(〜なしに) の目的語にできるということになっているようだ。
Anstataŭ ke ĉiu lernas diversajn lingvojn, ĉiuj lernu unu saman lingvon.
それぞれが違う言葉を勉強する代わりに、みんな1つの同じ言葉を勉強しましょう。
Li penis daŭrigi laboron, malgraŭ ke li estis tre laca.
彼は疲れているにも関わらず一生懸命仕事を続けた。
Mi nenion pli postulus, krom ke oni montru al mi sindonecon kaj estimon... 私は献身と尊敬を見せてくれという以外に何も要求しないのに...
Vi ne povas tuŝi ĝin, sen ke ĝi rompiĝus.
おまえはそれが壊れないように触ることはできない。
anstataŭ[前]〜の代わりに / ĉiu それぞれ(の人)/ mal-sam-a 違う ← 反対+同じ / lingv-o 言葉 / pen-i 努力する / daŭr-ig-i 続ける ← 続く+他動詞化語尾 / postul-i 要求する / montr-i 示す / sindon-ec-o 献身 ← 自分を+与える+性 / estim-o 尊敬 / tuŝ-i[他]触れる / romp-i 壊す
意志法と ke 節
ke 節が命令・要求・使役・意志・願望・嘆願などの中身を表す場合には、節内の述語動詞に意志法(-u)が使われる。
Hieraŭ la laborestro ordonis, ke ni elfaru la laboron ĝis la vespero. 昨日仕事の長は我々がその仕事をその日の夕方までにやり終えるように命令した。
La patro trudis al sia filino, ke ŝi ekzercu sin pri ludado de piano en ĉiu tago. 父親は自分の娘に毎日ピアノの演奏を練習することを強いた。
Mi volas, ke vi laboru. 私はあなたに働いてほしい。
La patro deziras, ke lia filino feliĉe edziniĝu. その父親は娘が幸せに結婚してほしいと願っている。
Li petis, ke mi estu atenta. 彼は私に気をつけるように頼んだ。
ordon-i 命令する / el-far-i 〜完遂する+する / vesper-o 夕方 / trud-i 強要する、押し付ける / ekzerc-i 練習・訓練して鍛える / lud-ad-o 演奏、上演、遊び、ゲームなどをすること ← 演奏+継続 / vol-i 欲する、〜したい / labor-i 働く / dezir-i 望む / feliĉ-e 幸福に / edz-in-iĝ-i 妻になる ← 夫+女+自動詞化 / hieraŭ 昨日 / labor-estr-o 仕事の長 / pet-i 頼む / atent-a 注意深い
「願望の中身」と書いたが、なぜか esperi(希望する)の中身を表す ke 節では ?あまり ?ほとんど 意志法を使わないようだ。(PIV というエスエス辞書によると esperi は Atendi kun fido la realiĝon de tio, kion oni deziras(人々が望むことが実現することを信じて待つ)と説明されているが、いまいちニュアンスが分からない。)
Mi esperas, ke vi konfesos [...] あなたが告白することを望む。
konfes-i 告白する、白状する、懺悔する
目的を表す従属節でも意志法が使われる。por ke ~(〜が〜するために)がこれに当たる。
Ŝi donis al ŝi akvon, por ke la virino trankviligu soifon. 彼女はその女が喉の渇きを癒やすために水をあげた。
don-i 与える / akv-o 水 / por[前]〜のために(目的)/ trankvil-ig-i 落ち着かせる ← 落ち着いた+他動詞化(使役)/ soif-o 喉の渇き、渇望
同格として
ke 節や ĉu 節は名詞相当なので、名詞と並べて同格を表すことができる。例文の太字と下線部が同格である。ただし、「言い換え」という意味での同格で、厳密には同格と言えない場合もあるかもしれない。
la espero , ke la afero sukcesos 事業が成功するだろうという希望
la neceseco , ke ni forĵetu la oportunan vorton 私たちがその便利な言葉を放棄するべきだという必要性
la demando , ĉu tio estas necesa それは必要かどうかという疑問
esper-o 希望 / afer-o 物事、要件、事業 / necese-ec-o 必要性 ← 必要な+性 / for-ĵet-i 投げ捨てる、放棄する / oportun-a 好都合な / vort-o 言葉、単語 / demand-o 質問、疑問
例えば前に出て来た例文は同格を使って下のように表すこともできる。
Okazis, ke la reĝino mortis. 女王が亡くなるという出来事が起こった。
= Tio okazis, ke la reĝino mortis .
(It happened that the queen died. )
例文は tio を形式名詞として使っている。つまり tio = ke la reĝino mortis(そのこと = 王女が死んだこと) である。このような同格表現は主語に限らず叙述語、目的語、前置詞の目的語でも使える。
La raporto estis tio , ke li sukcesis . 知らせは彼が成功したというものだった。(叙述語)
Mi sciigis al li tion , ke mi baldaŭ transloĝiĝos . 私は彼に自分がもうすぐ引っ越しすることを知らせた。(目的語)
raport-o 報告 / sukces-i 成功する / sci-ig-i 知らせる ← 知る+使役 / baldaŭ[副小]やがて、もうすぐ / trans-loĝ-iĝ-i 引っ越しする ← 向こう側+場所+自動詞化
このような構造にすることの利点は、主語についていえば、従属節が主語だと叙述語を副詞にしなければならないが、同格を使うことで形容詞にすることができる点である。
Ĉu estas vere , ke li mortigis sin? 彼が自殺したというのは本当ですか?
= Ĉu tio estas vera , ke li mortigis sin?
ver-e 本当に / mort-ig-i 殺す ← 死ぬ+他動詞化
また前置詞の目的語についていうと、por, anstataŭ, malgraŭ, krom, sen 以外の前置詞では ke 節を直接その目的語にすることはないが、従属節が表す内容を名詞や形式名詞に持たせることで、その目的語にすることができるようになる。また、ĉu 節(〜かどうかということ)を前置詞の目的語にすることもできる。
Tiam ŝi ekploris pro tio , ke ŝi estas tiel malbela .
そのとき彼女は自分がこんなにも醜いので泣き出しました。
Ŝi estis plena de timo , ke la infano mortos(mortus) .
彼女は自分の子が死ぬという恐れで一杯だった。
Li vekiĝis per tio , ke la frato lin skuis .
彼は兄(弟)が揺すったことで目を覚ました。
La ekspliko temis pri tio , ĉu artikolo necesas aŭ ne en tiu ĉi frazo . その説明はこの文に冠詞が必要かそうでないかということを話題にした。
tiam そのとき / mal-bel-a 醜い / plena de 〜で一杯の / tim-o 恐れ / vek-iĝ-i 目が覚める ← veki 目覚めさせる / eksplik-o 説明 / artikol-o 冠詞 / fraz-o 文
pro tio, ke ~ は、pro ke ~ のように直接 ke 節をその目的語にする人もいるようだ。
疑問詞が導く名詞節
疑問詞が導く従属節は、ke 節や ĉu 節と同じように、名詞節(〜のかということ)としてはたらく。したがって、ke 節や ĉu 節と同じように主語、目的語、叙述語、前置詞の目的語になり得る。また名詞と並べて同格表現を作ることができる。ただし「言い換え」という意味での同格で、厳密には同格と言えない場合もあるかもしれない。
以下に主語、叙述語、目的語として使われる例を挙げてみる。意味が汲み取りにくければ、demando, problemo などの名詞や tio(形式名詞)を補って同格表現にしてみると文の構造が理解しやすく、汲み取りやすいかもしれない。ただし実際には tio はそれほど使われないようだ。
Estas tre malfacile, kion ni nun faru . 私たちが今何をすべきかはとても難しい。(主語)
= Tio (La demando) , kion ni nun faru , estas tre malfacila. 私たちが今何をすべきかということ(問題)はとても難しい。(主語)
La demando estas (tio) , kiel longe ni restu ĉi tie ? 質問は私たちがどれぐらい長くここにいるかということです。(叙述語)
Ŝi pripensis (la problemon/tion ), kiom kostos al ŝi la nokta restado . 彼女は夜過ごすのにどれぐらい費用がかかるか考えた。(目的語)
Mi ne scias (tion) , ĝis kiam ili restos ĉi tie . 私は彼等がいつまでここにいるのか知らない。(目的語)
rest-i 留まる / pri-pens-i[他]思案する ← について+考える / kost-i 値がする、代償を要する / nokt-a 夜の / rest-ad-o 滞在 ← 滞在する+続ける / sci-i 知っている
1. は疑問詞節が直接主語になっているので、叙述語は副詞になる。2番目のように同格表現を使って名詞を主語にすると叙述語を形容詞にすることができる。
形式名詞などと同格を作ることで、疑問詞が導く従属節を前置詞の目的語にすることができる。
Temas nun pri tio , kiel ni solvu la problemon plej bone . 今どのようにして最善の方法でその問題を解決しようかということについて話題にされています。
Mi interesiĝas pri tio , kial vi venis ĉi tien . 私はなぜあなたがここに来たのかということについて興味がある。
Ni ŝanĝu la temon al tio , kiom tio kostos . 話題をどれぐらい費用がかかるかに変えましょう。
manier-o 方法 / solv-i 解決する / problem-o 問題 / interes-iĝ-i ← 興味を持たせる+自動詞化 / ŝanĝ-i 変える
ke 節の説明的用法
ke 節は名詞相当の従属節として使われる以外に形容詞・副詞・動詞の足りない情報を幅広く補足説明する機能がある。形容詞や副詞には指示形容詞の tia(そんな) や指示副詞の tiel(そのように)、 tiom(それほど)、tial(そういう理由で)なども含まれる。
名詞の説明は同格表現(言い換え)と捉えることができるので、ここでは除いている。参照:[ke 節と ĉu 節 -- 名詞節 ]の中の[同格として ]
形容詞や副詞の説明
形容詞の説明
Mi estas feliĉa , ke mi vin gastigas . 私は貴方をおもてなしできて幸せです。
La ventego estis tia , ke la tegoloj deflugis de la tegmentoj . 大風は屋根瓦が屋根から飛んでいくほどだった。
feliĉa 幸せな / gast-ig-i もてなす; 泊める ← 客+他動詞化 / vent-eg-o 大風 ← 風+大きい / tegom-o 屋根瓦 / tegment-o 屋根
1. は「幸せだ」について補足しているが、なぜ幸せなのか、もしくは何について幸せと感じているのかを説明していて、どのように幸せなのかを説明しているわけではない。2. は tia(そんな)とはどんなだったかを説明している。このように説明内容がどういった方面からなのかが 1. と 2. で全く異なる。
副詞の説明
Ĉion mi permesis al vi escepte , ke vi ne faru tion ĉi . 私は貴方にこの事をするなという以外なんでも許した。
Li faris tion spite , ke oni malpermesis . 彼は人が禁止したことに逆らってそれをした。
Li batis ilin tiel , ke ili ne leviĝos plu . 彼は彼らがもう起き上がってこないように叩いた。
Ili foriris tial , ke mi foriris . 彼らは私がいなくなったので去っていった。
Veturigi aŭton estas tiel malfacile por la maljunulo, ke liaj membroj fariĝas tute rigidaj . その老人にとって車を運転することは手足が完全に強張ってしまうほど難しい。
Ni drinkis bieron tiom multe, ke ĉiuj boteloj fariĝis malplenaj . 私たちは全部の瓶が空になるほど沢山ビールを飲んだ。
escepte 例外的に / far-i する、作る / permes-i 許可する / spit-e 逆らって / mal-permes-i 禁止する / ubati 叩く / lev-iĝ-i 起き上がる ← 起こす+自動詞化 / for-iri 去る ← 行く+離れる / vertur-ig-i 乗り物を運転する、(乗り物で)運ぶ / mal-facil-e 困難な ← 反対+簡単な / membr-o 四肢、メンバー / rigid-a 硬直した、融通のきかない / drink-i (酒を)飲む / bier-o ビール / botel-o 瓶 / mal-plen-a 空の ← 反対+満ちた /
1. 2. は、副詞の escepte(〜を除いて)、spite(〜に逆らって)の内容(何を除いて、何に逆らって)を説明している。
3. 4. は、「tiel, ke」「tial, ke」のような形になっていて、tiel(そのように)、tial(そういう理由で)の内容を説明している。
5. 6. は、「tiel 副詞, ke」「tiom 副詞, ke」のような形になっていて、それぞれの副詞の程度を説明している。
ke 節は下のように文の構造は全く同じなのに、役割が全く異なる場合があるので注意する必要がある。
Estas tre strange , ke ni antaŭe neniam aŭdis pri tio . 私たちがそれについて全く聞いていないというのはとても奇妙だ。
Estis tiel malvarme, ke miaj dentoj klakadis . 歯がカタカタと音を鳴らすほど寒かった。
strang-e 奇妙な / antaŭ-e 前に / neniam 一時たりとも〜ない / aŭd-i 聞く / mal-varm-e 寒い / dent-o 歯 / klak-ad-i かちかち音をたて続ける ← 叩いて乾いた音をたてる+続ける
1. の ke 節は名詞節で主語としてはたらいている。2. の ke 節は tiel に係って、malvarme の程度を説明してる。(実際には tiel が省略される場合もあるかもしれない)
ke 節が tia, tiel, tial, tiom のような指示詞とともに現れる場合は、ke 節が tia(そんな)とはどんなのか、tiel(そのように)とはどのようになのか...を表していることが容易に分かるが、それが無い場合、どの方面から説明しているのかが分かりにくい。ke 節は情報が足りない何かについて補足説明するはたらきを持っているが、ke 節自体はどの方面からの説明なのかという情報は全く持っていない(意味的関係を示す語や標識が無い)。このような場合、省略表現と捉えて隠された意味的関係を示す前置詞や対格と、 tio と ke 節の同格表現(言い換え)を使って表せる場合が多い。ただし、実際にこれを作文でやると文が堅苦しく感じられるかもしれない。
feliĉa, ke vi min akceptas.
→ feliĉa pro tio, ke vi min akceptas. 〜なので幸せです
→ feliĉa pri tio, ke vi min akceptas. 〜に関して幸せです
→ feliĉa de tio, ke vi min akceptas. 〜することから来る幸せを感じています
escepte, ke vi ne faru tion ĉi...
→ escepte de tio, ke vi ne faru tion ĉi ... これをするなということを除いて
→ escepte tion, ke vi ne faru tion ĉi ... 〃
spite, ke oni malpermesis
→ spite al tio, ke oni malpermesis ... 人が許さないということに逆らって
→ spite tion, ke oni malpermesis ... 〃
動詞の説明
Ŝi tute certas , ke tio plenumiĝos *. 彼女はそれが満たされる(成し遂げられる)であろうことを確信している。
La maljunulo fieras , ke li estas la plej riĉa en la vilaĝo . その老人は自分が村で一番金持ちなのを自慢します。
Mi ĝojas , ke vi havas tian saman opinion kiel mi . あなたが私と同じ考えを持っていることが嬉しい。
cert-i 確かである / plen-um-iĝ-i 果たされる、遂行される ← 満ちた+汎用接尾辞+自動詞化 / fier-i 誇る、自慢する / vilaĝ-o 村 / ĝoj-i 喜ぶ / sam-a 同じ /
*um は適当な接尾辞が無いときに応用できる汎用の接尾辞。palpebr-um-i まぶた+um → 瞬きする、cerb-um-i 脳+um → 頭をひねる、熟慮する
certas は estas certa と言い換えることができる。また、fieras は estas fiera に、ĝojas は estas ĝoja に言い換えることができる。つまり意味的には形容詞を補足説明しているのと同じである(無主語文などの場合は副詞を補足説明するのと同じになる)。
あまり多くはないようだが、ke 節が目的の内容を表す場合は、本来 “por ke 〜” の形になるはずだが、por を省略した文を見かけることがある。
Ŝi bone lin kovris, ke li ne malvarmumu denove. 彼女は彼がまた風邪を引くことがないように、ちゃんと覆った(毛布などを掛けた)。(ザメンホフ訳「アンデルセン童話」)
= Ŝi bone lin kovris, por ke li ne malvarmumu denove.
kovr-i 覆う、被せる / mal-varm-um-i 風邪を引く ← 反対+暖かい+汎用接尾辞 / de-nov-e 再び ← 〜から+新た
関係詞文
関係詞文は下のような構造をしている。
関係詞文とは文中の語句を従属節(関係詞節)が修飾する構造をした複文の1つだ。例文は2つとも、kiu 以下の下線部で示した従属節が virino(女性)を修飾している。
En la kafejo sidas virino , kiu legas ĵurnalon . カフェに新聞を読んでいる女性が掛けている。
Virino , kiu en la kafejo sidas , legas ĵurnalon. カフェで腰掛けている女性が本を読んでいる。
kaf-ej-o カフェ ← コーヒー+場所 / sid-i 坐っている / vir-in-o 大人の女性 ← 大人の男+女性 / leg-i 読む / ĵurnal-o 新聞
関係詞節は修飾される語句の代用形である疑問詞によって導かれる(例文では kiu)。 代用形と修飾節を導く接続詞の一人二役を兼ねた疑問詞を関係詞と言う。修飾を受ける語句を先行詞と言う。ただし典型的な関係詞文では先行詞が関係詞の前に来るが、そうでない場合もしばしばある。
例文は人が先行詞なので、関係詞にはそれに応じる疑問詞の kiu が使われているが、kiu は人以外に個々の物事について修飾する場合にも使われる。具体的な名詞で言い表せない物や事についてであれば kio を使う。関係詞節が先行詞の所有関係を表す場合には kies、状態や性質を表すものであれば kia、場所・時間・方法/様子・理由・数量を表すものであれば kie、kiam、kiel、kial、kiom を使う。
以下、関係詞文を見ていくが、必要に応じて先行詞と関係詞の数を一致させる、関係詞を対格にする、関係詞の前に前置詞を置くといったことが必要になる。また先行詞に ti-、ĉi-、i-、neni- で始まる相関詞が頻繁に使われる。なお、kial の先行詞については注意すべき点がある。
kiu
kiu は人や個々の事・物を修飾する場合に使う。先行詞と関係詞の数は一致させる。また従属節において kiu が目的語のときは対格にし、前置詞の目的語の場合は kiu の前に前置詞を置く。
En unu vilaĝo loĝis du viroj, kiuj ambaŭ* havis la saman** nomon. ある村に二人とも同じ名前を持つ男がいた。
La knabo, kiun Karlo batis, ploras. カルロがぶった男の子が泣いている。
En ĉi tiu malgranda vilaĝo oni salutas iun ajn, kiun ili renkontas sur strato. この小さな村では人々は通りで会う人にはだれであろうと挨拶する。
Jen venas la viro, pri kiu ni babiladis. ほら私たちが(その人について)おしゃべりしていた男がやって来る。
Tiu knabino, kun kiu Heleno parolas, estas mia fratino. ヘレノが話している女の子は僕の姉(妹)です。
vilaĝ-o 村 / loĝ-i 住んでいる / ambaŭ[限定語]その二人・二つとも(= ĉiuj du)/ hav-i 持っている / sam-a 同じ / nom-o 名前 / knab-o 少年 / bat-i 打つ,たたく / plor-i 泣く / salut-i 挨拶する、お辞儀する / renkont-i[他動]会う / strat-o 通り / jen ほらここ(そこ)に / ven-i 来る / babil-ad-i おしゃべりする(-ad- は継続・反復する行為を示す)/ knab-in-o 少女 ← 少年+女 / frat-in-o 姉・妹 ← 兄・弟+女
* ambaŭ は、冠詞のように “ambaŭ knaboj”(その二人の少年とも)のような形で名詞の前に置かれ、「その二人の〜とも」「その二つの〜とも」という意味を表すこともあるし、代名詞のように “ambaŭ” だけで「その二人とも」「その二つとも」という意味を表すこともある。また “ili ambaŭ” のように名詞や代名詞の後ろに置かれることもある。この場合は名詞・代名詞と ambaŭ が同格を作っていると見做すこともできるし、また ambaŭ が名詞・代名詞に「〜とも」という機能的な意味を添えているとも見做せる。
** sama にはほとんどの場合 la や tia が付けられる。
Mi aĉetis la libron, kiu estas interesa. 私は面白い本を買った。
Mi aĉetis la librojn, kiujn vi rekomendis. あなたが薦めてくれた本(複数)を買いました。
Mi aĉetis la libron, pri kiu gazetoj laŭdas. 雑誌が賞賛している本を買った。
interes-a 興味深い / rekomend-i 推奨する / pri[前]〜について / gazet-o 雑誌 / laŭd-i 称賛する
kio
-o で終わる相関詞 は「そのこと」とか「そのもの」のような表現しかできないものを指すときに使うので、先行詞には多くの場合 tio, ĉio, io, nenio などの相関詞がくる。必要に応じて対格にしたり、kio の前に前置詞を置く。
Mi donos ĉion, kio plaĉas al vi. お前が気に入るすべてのものを与えよう。
Mi faros nur tion, kion mi povos (fari). 私はできることだけやります。
Li parolis nenion, pri kio li scias. 彼は知っていることを何も話さなかった。
don-i 与える / plaĉ-i 気に入る / pov-i[他]できる、~する能力がある / far-i する、作る
しかし先行詞に具体的な名詞がくることもある。
Ili alvenis per aŭto, kion mi ankoraŭ ne havas, sed ja planas aĉeti. 彼らは、私はまだ持っていないが買うつもりでいる自動車というものでやって来た。
aut-o 自動車 / ja[副小]まさに、実に / plan-i 計画する、つもりでいる / aĉet-i 買う
この場合もし kiu を使うと、従属節 は「この車」と「あの車」とを区別するための情報を説明することになり、kio を使うと「車という物」についての説明になる。
kies
kies は先行詞の所有・所属関係にあるものを説明する従属節を導く。
Ŝi serĉas unu* knabon, kies nomo estas Karlo. 彼女はカルロという名前のある少年を探している。
Mi malfermis pordon, kies anso estas el arĝento. 銀の(でできている)取手のドアを開けました。
Mi studas en universitato ĉe certa* profesoro, kun kies filino mi loĝas en la samaj ĉambroj de apartamento. 私は大学である教授のもとで学んでいますが、その娘さんとアパートの同室に住んでいます。
serĉ-i 探す / unu[数詞・半限定詞]1、一つの、ある / nom-o 名前 / mal-ferm-i 開ける ← 反対+閉める / pord-o ドア / ans-o 取っ手 / arĝent-a 銀の、銀色の / stud-i 学ぶ、研究する / ĉe 〜の下で、〜のところで / cert-a ある、確かな / fil-in-o 娘 ← 子息+女 / loĝ-i 住む / sama 同じ / apartament-o アパート
*unu や certa(ある)は特定の人や物事を話題にするが、聞き手がそれが具体的に何か分かるほど言及しないときに使う。
kia
kia は性質、状態などを説明する場合に使う。先行詞と関係詞の数は一致させる。また必要に応じて対格にする。
Restu ĉiam tia, kia vi estas nun. いつも(いつまでも)今のあなたのようでいて下さい。
Mi aĉetis por vi diverskoloran veston, kian vi verŝajne ŝatas. あなたがきっと好きなカラフルな服を買ってきてあげたわよ。
Tiuj ĉi libroj estas malnovaj, kiajn oni ne povas trovi nuntempe. これらの本は今どき見つけることのできないほど(そんなに)古い。
rest-i 〜のままでいる、留まる / ĉiam[相関詞]いつも / nun 今 / divers-kolor-a 色とりどりの・カラフルな ← さまざまな+色の / ver-ŝajn-e きっと ← 本当の+〜に思える / mal-nov-a 古い ← 反対+新しい / trvov-i 見つける / nun-temp-e 現在では ← 今+時代
kie
kie は場所に関して説明する従属節を導く。
Ŝi loĝas en la urbo, kie estas la fama parko. 彼女はあの有名な公園のある街に住んでいます。
Mi ŝatas legi libron en ĉambro, kie estas senbrue. 私は静かな部屋で本を読むのが好きです。
Mi deziras veturi al la urbo, kie(=en kiu) vi loĝas. あなたの住んでいる街に行ってみたい。
Mi ne trovas la manĝejon, al kie(=kien) miaj amikoj jam iris. 友達が先に行った食堂が分からない。
Jen ĉi tie estas la loko, de kie venas la bruo. ほら、ここがあの騒音が来ている(騒音を起こしている)場所よ。
loĝ-i 住む / fam-a 有名な / park-o 公園 / sen-bru-e 静かな ← 無い+騒音 / mang-ej-o 食堂 ← 食べる+場所 / jam[副小]すでに / lok-o 場所
先行詞が場所に関わる名詞の場合、kie を使うこともできるが en kiu など「前置詞 + kiu」が使える場合がある。4. の al kie は kien と対格を使って表すことができる。
kiam
kiam は時に関して説明する従属節を導く。
La patro revenis en malfrua nokto, kiam miaj familianoj jam dormis. 父は家族がもう寝てしまった夜遅くに帰って来た。
Mi skias en vintraj ferioj, kiam neĝas. 私は雪の降る冬の休日にスキーをします。
Mi atendas la tagon, kiam li alvenos. 私は彼が到着する日を待っています。
patr-o 父 / re-ven-i 帰る ← 再び+来る / mal-fru-a 遅い ← 反対+早い / famili-an-o 家族の一人 / ski-i スキーをする / vintr-a 冬の / feri-o 休日(複数日の休みは複数形にする) / neĝ-i 雪が降る / atend-i 待つ / tag-o 日 / al-ven-i 到着する ← 〜へ+来る
kiel
kiel は方法や様子など説明する。また形容詞や副詞に係ってその程度を表すので、等級比較の定型的表現としても使われる。参照:「等級 」
La knabino kuiris supon tiameniere(=tiel), kiel ŝia patrino kuiris. 少女は母親が作ったようにスープを作りました。
La virino tiel bele ludis pianon, kiel neniu alia povus ludi. その女性は他の誰だって弾くことができない(だろう)ほど美しくピアノを弾いた。
kuir-i 料理を作る / sup-o スープ / tia-manier-e そんな+方法+副詞語尾 / lud-i 演奏する、遊ぶ、演じる / ali-a 他の
kiel の先行詞はほとんどの場合 tiel や tiel を含む語句になる。
kiom
kiom は数量、あるいは数量に関する程度に関して説明する従属節を導く。
Li laboris tiom multe, kiom li neniam ĝis nun laboris. 彼は今まで働いたことがないほど沢山働いた。
Nun vi ricevos tiom multe da mono, kiom vi volas havi. 今やあなたは欲しいだけ沢山の金を受け取るだろう。
labor-i 働く / ĝis[前]〜まで、〜までに / ricev-i 受け取る / mon-o 金(かね)
kial
kial は理由を表す従属節を導くが、注意する点がある。kial を使って関係詞文を作るときは、先行詞に kaŭzo(原因)・motivo(動機)・kialo(理由) などをとり、tial を使うことはほとんどない。
Mi scias la kialon, kial la knabino iras al fonto en ĉiu tago. 私はなぜ女の子が毎日泉に行くかその理由を知っています。
La motivo, kial mi iras al tie, estas por vi. 私がそこに行く動機はあなたのためですよ。
下の例文の日本語の意味を表すとき、先行詞に tial を使うことはできない。[参照 ]。
彼らは私がいなくなったので去っていった。→(誤)Ili foriris tial, kial mi foriris.
for-ir-i 去る、いなくなる ← 離れた+行く
tial, kial ~ の形にすると、「彼らは、私が去っていった理由(、その理由)で去っていった」言い換えると「彼らは、私が去っていったのと同じ理由で去っていった」という意味になり、「彼らは、私がいなくなったので去っていった」という意味にならない。
この意味を表すには、接続詞の ĉar(〜なので、なぜならば)や tial, ke ~(〜という理由で)などを使う。ただ、この構造だと当然だがもはや関係詞文とは言えない。
Ili foriris, ĉar (=tial, ke) mi foriris. 彼らは私がいなくなったので去っていった。
tial, ke ~ の形については「ke 節の説明的用法 」の項を参照。
先行詞の省略
先行詞が ti- で始まる指示詞の場合、先行詞を省略することが可能な場合があり、しばしば先行詞を欠いた関係詞文を見かける。特に kie, kiam による関係詞節の先行詞を欠いた形は、そのまま場所・時を表す普通の副詞節になる。
kio
Prenu [tion], kion vi volas. ほしいものを取りなさい。
Jam mi forgesis [tion], kion mi revis en mia juneco. もう私が若い頃に夢見ていたことを忘れてしまった。
pren-i 手に取る、得る / forges-i 忘れる / rev-i 夢想する / jun-ec-o 若い頃、若さ ← 若い+特性を表す接尾辞
上の文の tion は具体的なものを指しているわけではないので省略することができる。つまり関係詞の kio に対応する先行詞のデフォルトは tio ということのようだ。言葉は省けるものはできるだけ省くものなので、デフォルトは省略するということのようだ。しかし、対格語尾のついた tion を省略すると、何が目的語が一目で分からないので、意味を即座に理解しにくくなると思う。しかし省略した文をよく見かける。
kiu
Kiuj ne faras, [tiuj] ne eraras.(何も)しない人は間違いを犯さない。
erar-i 誤る
この文は先行詞が関係詞の後ろに来ている(同じ構造の主節と関係節が並列に配置されている関係詞文)。 語順を変えて Tiuj, kiuj ne faras, ne eraras. のようにすると関係詞文であることがはっきりする。1種の諺なのでリズムを気にしてこの順にしてあるのだろう。tiu は具体的な個人を指すものではないので、省略することが可能だ。tiuj は主節の主語なので省略しない方が良いと思うのだが、実際には省略されることも多いようだ。
kia
Mi aĉetis por vi veston [tian], kian vi verŝajne ŝatas. あなたが好きそうな服を買ってきてあげたよ。
Tiu ĉi libro estas tia, kian oni ne povas trovi nuntempe. この本は今どき見つけることのできないようなものだ。
ver-ŝajn-e 多分・おそらく ← 本当+〜のような / trov-i 見つける
1. の文の tia は特定のもの指さないのでしばしば省略可能だ。2. の文の tia は省略できないように思える。なぜなら主節は繋ぎ動詞による主語の叙述文だが、繋ぎ動詞は叙述語(主格の形容詞・名詞もしくは副詞)を必要とするからである。しかし省略されることもあるのかもしれない。
kie
Geknaboj*, ne ludu [tie,] kie estas danĝere. 子供達、危ないところで遊んではダメですよ。
Kie fumo leviĝas, [tie] fajro troviĝas. 煙が昇るところには火がある。
Metu medikamentojn tien, kie infanoj ne trovos ilin. 薬は子供達が見つけられないところに置きなさい。
ge-knab-o-j 子供達(両性+少年+複数形語尾)/ lud-i 遊ぶ / danĝer-e 危険な / fum-o 煙 / lev-iĝ-i 上がる、昇る ← 上げる+自動詞化 / fajr-o 火、火事 / trov-iĝ-i 存在する ← 見つける+自動詞化 / met-i 置く / medikament-o 薬 / infan-o 子供 / trov-i 見つける
* ge は男性女性が混じったペアや複数の人を指すので、複数形語尾を付ける。
1. の文は特定の場所に言及していないので tie は省略できる。2. の文は先行詞が関係詞の後ろに来ている。Fajro troviĝas [tie], kie fumo leviĝas. と語順を変えると関係詞文であることがはっきりする。2. も tie を省略することができる。一種の諺だろうから、リズムを配慮して残す方が調子が良いかもしれないが... 。 1. や 2. の tie を省略すると、kie 以下は普通の場所を表す副詞節になる。リズムや語順などを気にするのでなければ、tie を残すと冗長な表現と言えるのかも知れない。
3. は別の場所からどこかに移動して置くので tien と対格になっている。従属節の方は「その場所で見つける」ので対格にする必要がない。この場合は tien を省略すべきでないと思われるがどうであろう。
kiam
Kiam mi iris al li, [tiam] li forestis. 彼のところに行った時、彼は不在だった。
= Li forestis [tiam], kiam mi iris al li.
Ĝuste [tiam, ] kiam mi eliris el la preĝejo, mi renkontis la gantiston Erik. 教会を出て行くちょうどその時、手袋職人のエリックに出会った。
De [tiam, ] kiam mortis lia edzino, li vivas tute sola. 彼は夫人が亡くなって以降全く孤独に暮らした。
Ni atendu ĝis [tiam, ] kiam li alvenos. 彼がやって来るまで待ちましょう。
for-est-i 不在である ← 離れて+居る / ĝust-e ちょうど / el-ir-i 出る ← 〜の中から+行く / gant-ist-o 手袋+職業人 / mort-i 死ぬ / viv-i 生きる、暮らす / sol-a 一人の、一人で、たった一つの / atend-i 待つ / ĝis[前]〜まで、〜までに / alven-i やって来る、到着する ← 〜に+来る
tiam も省略されることが多く、普通の時を表す副詞節として使われる。
最後の ĝis [tiam, ] kiam li alvenis の場合、ĝis 自体が接続詞なので「〜が〜するまで」というように節を従えることができる。したがって、 [tiam, ] kiam ごと省いて単に、ĝis li alvenis とするのが普通で、入れると冗長になる。
kie, kiam についての注意点
kie 従属節や kiam 従属節を使う文は、二通りの意味に解釈できる場合がある。
Li demandis ŝin, kie ŝi sidis. ? 彼は彼女が坐っていたところで尋ねた。? 彼は彼女がどこに坐っていたのか尋ねた。
Li demandis ŝin, kiam ŝi alvenis. ? 彼は彼女がやって来た時尋ねた。? 彼は彼女に何時やって来たのか尋ねた。
sid-i 坐っている、腰掛けている / al-ven-i やって来る、到着する ← 〜へ+来る
文脈で判断できることが多いだろうが、下のように書くなどして正確に意味を伝えなければならないこともあるだろう。
Li demandis ŝin tie, kie ŝi sidis. 彼は彼女が坐っていたところで尋ねた。
Li demandis ŝin pri tio, kie ŝi sidis. 彼は彼女がどこに坐っていたのか(ということについて)尋ねた。
Li demandis ŝin tiam, kiam ŝi alvenis. 彼は彼女がやって来た時尋ねた。
Li demandis ŝin pri tio, kiam ŝi alvenis. 彼は彼女に何時やって来たのか(ということについて)尋ねた。
pri[前]〜ついて
1. と 3. は関係詞節(副詞節)で、2. と 4. は疑問の名詞節である。
kiel, kiom
kiel は動詞に係って方法や様子を説明するが、形容詞や副詞に係ってその程度も説明する。kiom は数量を説明するが、多さや少なさを強調したり比較する意味でも使う。そういった場合は tiel や tiom を省略しない方が良い場合もありそうに思える。それらがあるのとないのとでは意味合いが違ってくように思える。
なお、kiel はしばしば節内の重要でないとか繰り返すことになる文の要素がしばしば省略されるという特徴がある。
La knabo grimpis sur arboj [tiel], kiel simio (grimpis). その少年は猿が登るように(猿のように)木に登った。(方法?)
La knabo grimpis sur arboj tiel rapide, kiel simio (grimpis rapide). その少年は猿と同じぐらい素早く木に登った。(程度?)
Manĝu tiom, kiom vi volas. 欲しいだけ沢山食べなさい。
grimp-i よじ登る / simio 猿 / vol-i 欲する / manĝ-i 食べる
kial
kial 関係詞節の場合、そもそも tial が先行詞になることはほとんどないことについては、すでに書いた。
kiel の特殊な用法
kiel が導く従属節では、節内の重要でない、もしくは繰り返されることになる文の要素がしばしば省略されることはすでに書いたが、その他に(関係詞節とは限らないが)、特殊な意味を表したり(本来 kiel が表す内容つまり方法や様子ではない)、特殊な使い方をすることがある。
役割、立場、認識などを表す。
Li venis kiel gvidanto. 彼は案内人としてやって来た。
Mi lernas la anglan lingvon kiel ŝatokupon. 英語を趣味として勉強している。
Mi ne ŝatas lin kiel patron. 彼を父としては好きではない。
La hundo estas por ŝi kiel familiano. その犬は彼女にとって家族のようなものだ。
[...] ili rigardas la ideon de lingvo internacia kiel sensencan infanan fantazion. 彼らは国際語のアイデアを意味のない子供の夢物語と見做す。
Goo estas konsiderata kiel la plej malnova tabuloludo en la mondo. 碁は世界でもっとも古いテーブル・ゲームと考えられている。
gvid-ant-o 案内人 ← 案内する+している人 / ŝat-okup-o 趣味 ← 好きな+仕事 / ŝat-i 好む、価値を認める / hund-o 犬 / por[前]〜とって / famili-an-o 家族 ← 家族+構成員 / rigard-i 見る、見做す、考える / ide-o アイデア、観念 / inter-naci-a 国際的な ← 間+国、民族 / sen-senc-a 無意味な ← 欠けた+意味 / fantazi-o 夢想 / go-o 囲碁 / konsider-i 見做す、考察する / tabulo-lud-o テーブル・ゲーム ← 盤+遊び
このような使い方では、2. 3. 5. のように kiel ~ によって説明されるものが主節の動詞の目的語の場合、kiel ~ の「〜」も対格にする必要がある。
例や典型、時間、書かれている場所などを示すことで、ある内容全体を漠然と指示する。
kiel li 彼のように ...
kiel li jam diris 彼がすでに言ったように...
kiel en la lasta jaro 去年の(場合の)ように...
kiel ĉi-sube 以下のように(次のように)...
jam[副小]すでに / last-a 最後の、最近の / jar-o 年 / ĉi-sub-e 以下に ← 近くの+下に
上のような使い方の場合、先行詞と関係詞が対にならないことがある。
Mi ne ŝatas (tian) homon, kiel li. (≒ kia li estas) 彼のような人は好きではありません。
Ŝi vestis sin per tia(la) sama vesto, kiel tiam. 彼女はその時と同じような(同じ)服を着た。
La uzado de "la" estas tia sama, kiel en la aliaj lingvoj. "la"(冠詞)の使用は他の言語(の場合)と同じである。
La knabo manĝas tiom multe, kiel lia patro(≒ kiom multe lia patro manĝas). その男の子は父親のように沢山食べる。
vest-i (服を)着せる、装う / uz-ad-o 使用 ← 使う+継続 / ali-a 他の
例えば、tia の内容を関係詞節で示す時(先行詞である tia はしばしば省略される)、本来なら関係詞に kia を使うところだが、関係詞節の動詞を省略すると kiel が使われるようである。この場合(役割を示す場合と違って) 1. のように kiel ~ によって説明されるものが主節の動詞の目的語であっても、kiel ~ の「〜」は主格のままである。つまり kiel lin とはしない。
このような kiel の使い方を挙げてみたが、細かく言うともっと多彩な使われ方をするのかもしれない。
比較
比較級、最上級、等級などの比較表現を見ていくことにする。エスペラントでは英語の bigger とか biggest のように比較表現のために形容詞や副詞の語形が変化するということはない。
比較級
granda(大きい)の比較級は pli granda になる。multe(多く)の比較級は pli multe になる。比較級は、常に形容詞や副詞の前に pli(もっと)を置く。pli が直接動詞に係る場合もある。比較対象には接続詞の ol(〜より) や前置詞の el(〜のうちで) を使う。
Oro estas kara, sed diamanto estas pli kara. 金は高価だがダイヤモンドはもっと高価だ。
or-o 金(きん)/ kara 高価な、貴重な / diamant-o ダイヤモンド
「〜より」という表現には ol(接続詞)が使われる。厳密に2つのものを較べると、一方が特定のものに限定されるので、pli に冠詞を付けるとされている。
Rato estas pli granda, ol muso. ドブネズミはハツカネズミより大きい。
Du homoj povas pli multe fari, ol unu (homo). 二人は一人より多く為すことができる。
Tiu ĉi pomo estas la pli bongusta, ol tiu pomo. このりんごはあのリンゴよりおいしい。
rat-o ドブネズミ / du 2、2つの、2人の / pom-o りんご / bon-gust-a おいしい ← 良い+味
pli bongusta は名詞を修飾しているのではなく、叙述しているのだから、la を付ける必要はなさそうに思われるが、付けるのが普通のようだ。
比較対象に前置詞の el(〜のうちで)を使うこともある。下のような例でも pli に冠詞を付けるべきだろう。
Tiu aŭto estas la pli nova el la du (aŭtoj). その2台のうち、そちら車の方がより新しい。
aŭto 自動車 / el [前]〜の内から(から取り出す) / nova 新しい
副詞の比較と ol のはたらき:
Ŝi lernas la anglan (lingvon)* pli diligente, ol mi. 彼女は私より英語を一生懸命学習する。
Ŝi lernas la anglan pli diligente, ol ŝia fratino. 彼女は彼女の(自分の)姉(妹)より英語を一生懸命学習する。
Ŝi lernas la anglan pli diligente, ol la hispanan. 彼女はスペイン語より英語をより一生懸命学習する。
lern-i 学ぶ / angl-a 英国の、英国人の / lingv-o 言語 / diligent-e 勤勉に / hisapan-a スペインの、スペイン人の
*「英語」は la angla lingvo(= language) と表せるが、言語名を表す際、 lingvo は省略されることが多い。
ol は接続詞なので後ろに置かれているものは文である(ol が導く従属節)。ol 節では、節内の暗黙に了解される語句や繰り返されることになる語句はしばしばしば省略される。例文は それらを省略したものである。
例文 1. の ol mi の mi は ol 節の主語である。
Ŝi lernas la anglan (lingvon) pli diligente, ol mi . 彼女は私より英語を一生懸命学習する。
= Ŝi lernas la anglan pli diligente, ol mi (lernas la anglan diligente).
例文2. は、彼女と自分の姉妹を比べているので、ol sia fratino と再帰代名詞を使ってしまいそうだが、ol ŝia fratino でなければならない。なぜなら ol ŝia fratino の ŝia fratino は ol 節の主語なので、再帰代名詞は使えない。
Ŝi lernas la anglan pli diligente, ol ŝia fratino . 彼女は彼女の(自分の)姉(妹)より英語を一生懸命学習する。
= Ŝi lernas la anglan pli diligente, ol ŝia fratino (lernas la anglan diligente).
例文3. は目的語を比較しているので、比較対象にされているものは ol 節内でも対格で表される。
Ŝi lernas la anglan pli diligente, ol la hispanan . 彼女はスペイン語より英語をより一生懸命学習する。
= Ŝi lernas la anglan pli diligente, ol (ŝi lernas) la hispanan (diligente).
pli が動詞に係る場合:
行為を評価するような場合、pli が動詞に係る場合がある。「〜するより〜する方をより好む」といった表現である。この場合、比較される行為にはしばしば不定詞が使われることになる。ol の後ろに置かれているものは単なる語句ではなく文であるが、ol 節の主語が主節の主語と同じで、かつ主語を省略する場合、ol 節の動詞にはしばしば不定詞が使われる。(なぜそんなことが可能なのかよく分からない)
Mi pli rekomendas al vi ekzerci vian korpon per sporto ol dieti. あなたには食事療法をするよりスポーツをして体を鍛えることをお薦めします。
... la junulo pli ŝatis ĉion toleri prefere ol perfidi sian amatinon, ... その若者は愛する人を裏切るよりも全てを耐え忍ぶ方がましだと思った。
ekzerc-i 練習させる、訓練する / korp-o 体 / isport-o スポーツ / diet-i 食事療法をする / ŝat-i 好む、価値を認める / toler-i 辛抱する,耐え忍ぶ / perfid-i 裏切る / prefer-e むしろ、好んで、なるべく
何かをより好むとか、何かを好みや評価によって選択する場合、pli を使わず preferi(〜の方を好む、〜の方を選ぶ)という動詞を使ったり、ol の代わりに prefere ol や prefere al(〜よりも好んで) として pli を省略する言い方がある。prefere al の al は奇妙な使い方に思えるが、語源的に「〜を〜の前に運んでくる」という意味から来ているからそうなるようだ。
... la junulo preferis toleri ol perfidi sian amatinon, ... 若者は恋人を裏切るより耐える方を選んだ
... uzu aviadilon prefere al ŝipo... 船よりも飛行機を使え
aviad-il-o 飛行機 ← 飛行機で飛ぶ+道具 / ŝip-o 船
典型的な比較の文ではないが、「〜するより前に」には、「antaŭ ol 不定詞」の形が習慣的によく使われる。ちなみに「〜した後に(で)」には “post kiam 〜” がよく使われる(〜の部分は不定詞ではなく文が来る)。「post ol 不定詞」が全くと言っていい程使われないのは、初期の頃からの慣習によると思われる。
「antaŭ ol 不定詞」が使えるのは、例文のように主節の主語と、ol 節内の不定詞の意味上の主語が同じでかつ ol 節の主語を省略する場合である(不定詞は文法上の主語を持たない)。
Antaŭ ol foriri li ŝlosis la pordon. 出かける前に彼はドアの鍵をかけた。
Li foriris post kiam li ŝlosis la pordon. 彼はドアの鍵をかけた後出かけた。
for-ir-i[自]場所から離れる、出かける ← 離れて+行く / ŝlos-i 鍵をかける / pord-o ドア
劣等比較級には pli の代わりに malpli を使う。
Via pano estas malpli freŝa, ol mia. あなたのパンは私のより古い。(Ekzercaro)
= Via pano estas pli malfreŝa, ol mia.
Biciklo malpli rapide veturas, ol aŭto. 自転車は自動車よりも遅く走る
= Biciklo pli malrapide veturas, ol aŭto.
pan-o パン / freŝ-a 新鮮な / bicikl-o 自転車 / vetur-i 乗り物で行く、運行する
比較表現ではないが、plimulto(より大きな部分、より多くの数量、過半数、マジョリティ)といったよく使われる表現(pli を使った合成語)がある。
Plimulto de loĝantaro aprobas tion. 住民の過半数がそれに賛成しています。
loĝ-ant-ar-o 住民 ← 住む+している+集合 / aprob-i 賛成する、是認する
pli kaj pli, pli aŭ malpli, pli-malpli といった慣用句や合成語がある。
Li iris pli kaj pli profunden en la arbaro. 彼は段々と森の奥深く(入って)行った。
pli aŭ malpli(pli-malpli) unu horon poste ざっと1時間後
pli kaj pli 段々と、ますます / pli aŭ malpli, pli-malpli 多かれ少なかれ、多少とも、だいたい
最上級
最上級は形容詞や副詞の前に plej を置く。比較の範囲には前置詞 en(〜の中で) を、比較対象(〜のうちで)には前置詞 el を使う。
La patro estas la plej maljuna en mia familio. 家族のなかで父が一番年上です。
Li estas la plej juna el miaj fratoj. 彼が私の兄弟のうちで一番年下(若い)です。
Ŝi lernas plej diligente en la klaso. 彼女はクラスの中で一番勤勉に学ぶ。
mal-jun-a 年長の、年老いた / jun-a 若い / frat-o 兄まはた弟 / diligent-e 勤勉に / klas-o クラス、階級、生物学上の綱
通常、最上級の形容詞には普通、la を付け la plej ~ とするようだ。(形容詞が名詞の修飾語でなく、叙述語であっても la を付ける理由はよく分からないが、とにかくそうするようだ。)ただし plej には常に la が付けられるという訳でもない。
Tiu ĉi supo estas plej bongusta. このスープは最高に美味しい。
bon-gust-a 美味しい ← 良い+味
この場合は具体的に何かと比較しているわけではなく、「最高に」「これ以上ないほど」といったような意味合いで最大限に強調しているだけである。
「2番目に最も」と言うときは、la due plej ~(due: 2番目に)もしくは la dua plej ~ (dua: 2番目の)とする。「2番目に」は直接名詞に係るのではなく「最も」にかかるので、due の方が合理的に思えるが、どうやら一部の国の人は dua の方を好むようだ。
La monto Kitadake estas la due(dua) plej alta en japanujo. 北岳は日本で2番目に高い。
mont-o 山 / alt-a 高い / japan-uj-o 日本 ← 日本人+容れ物(japanio という言い方もある)
劣等最上級は plej の代わりに malplej を使う。
Tiu estas la malplej taŭga el ĉiuj. その人は皆んなのうちで最も不適任です。
= Tiu estas la plej maltaŭga el ĉiuj.
taŭg-a 適している、有用な
比較表現ではないが、plej を使った合成語や慣用句がある。
plejmulto (大部分、大多数)といった表現がよく使われる。
Plejmulto de loĝantaro aprobas tion. 住民の大多数がそれに賛成しています。
loĝ-ant-ar-o 住民 ← 住む+している+集合 / aprob-i 賛成する、是認する
kiel eble plej, plejeble, laŭeble plej (できるだけ)といった慣用句や合成語がある。
Iru kiel eble plej rapide. できるだけ速く行け。
... diris mi laŭeble trankvile. 私はできるだけ落ち着いて言った。
ebl-e 可能な、ありえる / laŭ[前]~に従って、〜に沿って
等級
等級は、tiel ~, kiel ~ (〜のように、そのように〜)で表す。
Tio estas tiel malmola, kiel ŝtono. それは石のように(と同じくらい)固い。
Li lernis Esperanton tiel diligente, same kiel ŝi. 彼は彼女と同じぐらいエスペラントを真面目に勉強した。
mal-mol-a 固い ← 反対+柔らかい
同等さを強調する意味で same kiel, samkiel などとすることもある。
La knabino estas tiel malafabla, kiel ŝia patrino. その女の子は自分のお母さんと同じぐらい愛想が悪い。
Mia onklino tiel amas ŝin, kiel sian filinon. 私のおばは彼女を自分の娘と同じように愛しています。
mal-afabl-a 愛想が悪い ← 反対+愛想のよい / onkl-in-o 叔母、伯母
例文 1. の kiel ŝia patrino は kiel sia patrino と再帰代名詞を使ってしまいそうだが、ŝia でなければならない。これは比較級の場合の ol と同じで、kiel が導く従属節の主語に再帰代名詞を使うことができない からである。1. は下の文の省略表現である。
La knabino estas tiel malafabla, kiel ŝia patrino. その女の子は自分のお母さんと同じぐらい愛想が悪い。
= La knabino tiel malafabla, kiel ŝia patrino (estas malafabla).
例文 2. は 目的語を比較しているから、sian filinon と再帰代名詞が使われる。
Mia onklino tiel amas ŝin, kiel sian filinon. 私のおばは彼女を自分の娘と同じように愛しています。
= Mia onklino tiel amas ŝin, kiel (ŝi amas) sian filinon.
kiel 節や ol 節の再帰代名詞についてはコチラにまとめた 。
tiel ~, kiel ~ 以外に、数量や程度について比較する場合、tiom (da) 〜, kiom (da) 〜 も使える。ただし、kiom 節を比較対象とする場合、通常の完全な文では、kiel 節のように節内の述語動詞まで省略することはない。前置詞 da の使い方については、[数と前置詞 da ]にまとめた。
La knabo laboris tiom multe, kiom (multe) lia patro laboras. その男の子は父親と同じくらい沢山働きました。
≒ La knabo laboris tiom multe, kiel lia patro. 男の子は父親のように沢山働きました。
Hodiaŭ la knabo laboris tiom multe, kiom (multe) li laboris hieraŭ. その男の子は昨日と同じくらい沢山働きました。 ≒ Hodiaŭ la knabo laboris tiom multe, kiel hieraŭ. その男の子は昨日のように沢山働きました。
Mi havas tiom multe da libroj, kiom (multe da libroj) vi havas. 私はあなたが持っているのと同じぐらいの(数の)本を持っています。
≒ Mi havas tiom multe da libroj, kiel vi. 私はあなたのように沢山の本を持っています。
Kiom da kapoj, tiom da opinioj. 頭の数だけ意見がある。
labor-i 働く / hav-i 持っている / kap-o 頭 / opini-o 考え、見解
4. は諺なので調子を整えるために存在を表す述語動詞を省略している(Estas tiom da opinioj, kiom da kapoij estas.)。
実際には後ろの kiom 節(比較対象)の代わりに kiel 節が使われることもよくある。つまり “tiom 〜, kiel 〜” の形が可能である。ただし、厳密に同等さを表すニュアンスは減ると思われる。
La knabo laboris tiom multe, kiel lia patro. その男の子は父親のようにそんなに沢山働きました。
Hodiaŭ la knabo laboris tiom multe, kiel hieraŭ. その男の子は昨日のようにそんなに沢山働きました。
Mi havas tiom multe da libroj, kiel vi 私はあなたのように沢山の本を持っている。
再帰代名詞
再帰代名詞は主語と同一の人物・同一の事物を指す。したがって特殊な場合を除いて主語の中では使われることはない。単純な文ではこの原則を知っていれば済むのだが、実際にはなかなか手こずる。その理由は、複文などでは節ごとに独立した主語が複数存在し、再帰代名詞はそれを含んでいる節の主語を指す、また修飾句の中にある再帰代名詞はその句の範囲内の意味上の主語を指す、といったことがあるからである。修飾句の中の再帰代名詞はともかく、従属節の中の再帰代名詞が何を指すかは簡単に分かりそうだが、実際は間違えることも多い。
日本語で、「彼女は自分を 描いている男に話しかけた」という文の全体の主語(主節の主語)は「彼女」だが、「自分を 」が「彼女」のことを言っているのか「男」のことを言っているのか曖昧である。この文をエスペラントの複文(関係詞文)で表してみる。
Ŝi alparolis al la viro , kiu pentras sin . 彼女は自分を描いている男に話しかけた。
Ŝi alparolis al la viro, kiu pentras ŝin . 彼女は彼女を描いている男に話しかけた。
al-parol-i 話しかける ← 〜へ+話す
再帰代名詞と3人称代名詞を使った2通りの文ができる。どちらの文も関係詞節の主語(pentras の主語)は kiu で、これは先行詞の la viro のことである。再帰代名詞は「再帰代名詞を含んでいる節の主語を指す」ので 1. の文の sin は kiu つまり 先行詞 la viro を指す。2. の ŝin は la viro からみた第三者の女性、つまり主節の主語の Ŝi を指すことになる。(厳密に言えば主節の主語以外の他の女性を指している可能性もあるはずだが、常識的にそう判断するのであろう。)また、同じ内容の文を修飾句を使って表すと、
Ŝi alparolis al la viro pentranta sin . 彼女は自分を描いている男に話しかけた。
Ŝi alparolis al la viro pentranta ŝin . 彼女は彼女を描いている男に話しかけた。
pentr-ant-a[分詞形容詞] 描いている ← 描く+〜している
のように表せる。pentranta sin という分詞形容詞句は la viro に係るので、この句の意味上の主語(pentri の行為者)は la viro である。再帰代名詞は「修飾句内の意味上の主語を指す」ので 1. の文の sin は la viro を指す。2. の ŝin は la viro からみた第三者の女性、つまり文全体(主節)の主語の ŝi を指すことになる。
上の例は比較的分かりやすい例で、実際にはもっと紛らわしい場合がある。注意すべき点を別ページ にまとめてみた。
目的語の叙述文 -- 目的語が不定詞句や従属節の場合
主語の叙述文つまり SVC の構文では、 S が不定詞句や従属節なら C は副詞になる。では目的語の叙述文つまり SVOC の構文で、O が不定詞句や従属節でも C は副詞でよいのか、ということについて。少しややこしいのでコチラにまとめてみた 。
接続詞
接続詞には等位接続詞と従属接続詞がある。
等位接続詞
等位接続詞は文法上対等の関係にある「 語と語 」 「 句と句 」 「 節と節 」 を結び付ける。等位接続詞には、kaj(〜と、そして)、aŭ(または、もしくは)、sed(しかし、けれど)、nek(〜でもない、〜もまた〜ない)の4つがある。
Mi bezonas krajonon kaj kajeron. 鉛筆とノートが必要です。
Mi bezonas plumon aŭ krajonon. ペンまたは鉛筆が必要です。
Mi bezonas ne plumon sed kajeron. ペンではなくノートが必要です。
Mi bezonas ne plumon nek kajeron. ペンもノートも必要ありません。
krajon-o 鉛筆 / kajer-o ノート / plum-o ペン
Infanoj ludas en la domo kaj ekster la domo. 子ども達が家の中でも外でも遊んでいる。
Infanoj ludas en ĝardeno aŭ en parko. 子ども達は庭か公園で遊んでいる。
Mi legas tiun ĉi libron ne por lerno sed por amuzo. 私はこの本を学習のためではなく楽しみで読んでいる。
Aŭto ne naĝas en akvo nek flugas en aero. 車は水の中を行くことはないし空を飛ぶこともない。
park-o 公園 / lern-o 学習 / amuz-o 楽しみ / naĝ-i 泳ぐ / akv-o 水 / flug-i 飛ぶ / aer-o 空気
Rozo estas floro, kaj kolombo estas birdo. バラは花であり、そして鳩は鳥である。
Mi vizitos Karlon, aŭ Karlo vizitos min. 私がカルロを訪ねるか、カルロが私を訪ねて来る。
Tiun problemon mi ne solvis, sed li solvis. その問題を私は解かなかったが、彼は解いた。
Ŝi ne dormis lastnokte, nek mi dormis. 彼女は昨夜眠らなかったが、私も眠らなかった。
bird-o 鳥 / vizit-i 訪ねる / problem-o 問題 / solv-i 解く / dorm-i眠る
kaj, aŭ, nek は、kaj ~ kaj ~、aŭ 〜 aŭ 〜、nek ~ nek ~ のように繰り返す言い方ができる。
Kaj Petro kaj Karlo laboras. ペトロもカルロも働いている。
Oni aŭ koleriĝis aŭ ekploris. 人々はあるいは怒りあるいは泣きだした。
Petro nek fumas nek drinkas. ペトロはタバコも吸わないし酒も飲も飲まない。
labor-i 働く / koler-iĝ-i 怒り出す ← koreli 怒っている / ek-plor-i 泣き出す ← 始める+泣く / fum-i タバコを吸う(他動詞)、煙が出る(自動詞)/ drink-i 酒を飲む
否定語と一緒に使われる aŭ は「〜も〜ないし、〜も〜ない」という意味になるので注意が必要だ。
Nenie en la domo estas manĝaĵo aŭ trinkaĵo. 家の中には食べ物も飲み物もない。
= Estas nek manĝaĵo nek trinkaĵo en la domo.
ここで kaj を使うと、「食べ物と飲み物の両方がある」の否定になるので、どちらかが存在していることを意味することもあり得る。
kaj と aŭ は「そうすれば」「さもなくば」という意味でも使われる。
Penu, kaj vi sukcesos. 頑張りなさい, そうすれば君は成功するだろう。
Demandu ilin, kaj vi aŭdos, kion ili diros al vi. 彼らに尋ねなさい、そうすれば彼らは君に話してくれるよ。
Enŝaltu la radion, aŭ ni maltrafos la novaĵojn. ラジオのスイッチをいれなさい、そうしないと私たちはニュースを聞き逃すよ。
Ne ploru plu, aŭ mi batos vin. もう泣くのはお止めなさい、でなければぶつわよ。
pen-i 苦労する / sukces-i 成功する / demand-i 質問する / aŭd-i 聞く(耳で近くする)/ en-ŝalt-i スイッチを入れる ← 入れる+スイッチの操作をする / mal-traf-i 弾などがはずれる、不正確に捉える ← 反対+当たる / nov-aĵ-o ニュース ← 新しい + もの(ここでは出来事)/ plor-i 泣く / plu さらに、引き続き / bat-i 叩く
従属接続詞
従属接続詞は従属節を導くが、従属節は主節と対等ではなく、文の主旨は主節にあり、従属節は主旨を導くにあたって色々な意味的関係における状況を提示したり、主節中の言葉を説明するはたらきを持つ。従属接続詞には以下のようなものがある。
apenaŭ ~するやいなや(時間的制約)
dum ~する間に(時間的制約)、〜する一方で(対比)
ĝis ~するまで、〜するまでに(時間的制約)、〜まで(場所)
ĉar ~なので(理由)
kvankam ~だけれども、〜にもかかわらず(逆説)、malgraŭ ke と同じ(malgraŭ は前置詞)
kvazaŭ まるで~であるかのように(類比)
ol 〜よりも(ekz. pli ~ ol ~)、〜と較べて(ekz. alia ol, antaŭ ol)(比較)
se もし~なら(条件・仮定)
ke ということ、〜と(名詞節)、他多用途
ĉu かどうかということ、〜かと(名詞節)、〜であれ〜であれ(ĉu ~, ĉu ~ 譲歩)
Apenaŭ tondris, ekpluvis. 雷が鳴るやいなや、雨が降り始めた。
La infano dormis, dum mi ludis pianon. 私がピアノを弾いている間、子どもは眠っていた。
Dum li estis kontenta, ŝi estis ne kontenta. 彼は満足したが一方彼女は不満だった。
Mi atendos, ĝis via patro revenos. あなたのお父さんが帰ってくるまで私は待っています。
Hieraŭ mi ne ludis tenison, ĉar mi estis okupita. 昨日は忙しかったので、テニスをしなかった。
Kvankam li estis malsana, li iris al sia laborejo. 彼は体調が悪かったけれど、職場に行った。
Li parolis, kvazaŭ li vidis(vidus)* la scenon. 彼はまるで現場を見たかのように話した。
Li ekiris antaŭ ol la patro revenis. 彼は父親が帰って来る前に出かけた。
Neĝo estas pli blanka ol papero. 雪は紙よりも白い。
Se mi estus birdo, mi flugus al vi. もし私が鳥だったら、あなたのところへ飛んで行くのに。
Eĉ se** pluvos, mi ludos golfon morgaŭ. 例え雨でも、私は明日ゴルフをします。
Mi sciigis al li, ke mi ne iros al la kunsido. 私は会合には行かないと彼には知らせていた。
Li havas dubon, ĉu tio estas vera. 彼はそれが本当かどうか疑いをもっている。
tondr-i 雷鳴する(無主語)/ ek-pluv-i 雨が降り始める(無主語) / infan-o 幼児 / dorm-i 眠る / pian-o ピアノ / kontent-a 満足している / lern-i 学ぶ / prakt-i 実践する / pov-i できる / atend-i 待つ / reven-i 帰る / hieraŭ [小辞]昨日 / mal-san-a 不健康な / ir-i 行く / labor-ej-o 仕事場 / vid-i 見る、目に入る / scen-o シーン / golf-o ゴルフ / sci-ig-i 知らせる / kun-sid-o 会合 / hav-i 持っている / dub-o 疑念 / ver-a 本当の
* vidis(vidus): 実際には見てないので -us を使いそうだが、直接法もしばしば使われるようだ。
** eĉ は se とともに eĉ se, se eĉ のように使われ、「例え〜であろうとも」という意味を表す。
数と前置詞 da
da は数量に関わる前置詞である。準備として数に関することをザッと。
数詞と数名詞
数を表すには 0 〜 9, 十, 百, 千 の数詞*と千進単位の(千の階乗)の数名詞を使う。
数詞
0 nul, 1 unu, 2 du, 3 tri, 4 kvar, 5 kvin, 6 ses, 7 sep, 8 ok, 9 naŭ, 十 dek, 百 cent, 千 mil
数名詞
10002 百万 miliono/ miliono / miliono
10003 十億 biliono / miliardo / miliardo
10004 一兆 triliono / biliono / duiliono
10005 千兆 kvadriliono / biliardo / duiliardo
...
*このまとめでは、0nul を含めて数量を表す単語のうち、語根のまま使われる小辞を数詞と呼び、千進桁を表す名詞を数名詞と呼んでいる。 0 はもともと数名詞 nulo の形で使われていたが、今日では名詞語尾を脱落させて数詞 nul の形でも使われているという実状がある。
実は数名詞は、いくつかの異なる名詞が使われているようだ。[参照 ]。前記参照サイトには一番右側が推奨されていると書かれているが、誰が推奨しているのか分からない。アカデミオの公式語根には milion(10002 ) と miliard(10003 )が登録されているだけだ。10004 以上の数名詞については公式語根はないようだ。-ilion- や -iliard- といった接尾辞っぽいものの付いた数名詞が見られるが、これも公式の接尾辞ではない。なんだか頼りないが、これ以上のことははっきり言えないようだ。大多数が支持する表記がいずれ定着するというのが自然な流れだと思うのだが、巨大な数字を扱う機会が少ないこともあってか、どの表記にするか確立していないのかもしれない。このあたりのことについてはあまり良く知らないのでご教示いただけると有難い。
科学用語レベルのマクロやミクロの数字についても省略した。[参照 ]
999,999 までの数字は、数詞を単純に繋げて表す。
dek du krajonoj 12本の鉛筆
tricent dudek kvin aliĝintoj 325人の加入者
du mil naŭcent okdek enoj 2,980 円
tricent sesdek sep mil sescent kvindek sep loĝantoj 367,657人の住民
al-iĝ-int-o 加入者、参加者 ← 加入する+完了+人 / eno 円 / loĝ-ant-o 住民・住人
通常 10 は dek、100 は cent と言ったり書いたりする。つまり unudek とか unucent のように unu(1) を付けないのが普通のようだ。
通常桁ごとに、スペース入れる。13 は dek tri(2桁 [スペース] 1桁)、365 は tricent sesdek kvin(3桁 [スペース] 2桁 [スペース] 1 桁)のように書く。千の桁を表す数詞 mil の前にもスペース入れる。7,654 は sep mil sescent kvindek kvar と書く。
1,000,000 以上の数は数詞と数名詞を組み合わせて表す。数名詞は名詞なので必要に応じて複数形にする。千の階乗桁を表す数名詞の前にもスペースを入れる。
14,367,657 → dek kvar milionoj (kaj) tricent sesdek sep mil sescent kvindek sep
ただし、多くはないが、10,000 の桁を dekmil, 100,000 の桁を centmil のようにくっつけて表記されているのを見かける。著名なエスペランチストや雑誌のテキストのデータベースである Tekstaro で検索できる)。例えば、kvin dekmil(50,000)、kvin centmil(500,000) といった表記である。場合によっては sesdekmil homoj(6万人)というような表記も検索でヒットする。しかしこれは区切りよくその桁で終わる場合に使われるようだ。(おそらく初期の頃は数の表記が、統一されていなかったせいもあるのではないか?今も完全ではないだろうが、かなり統一されているのではないか?)
ちなみに、3桁ごとの区切り記号や小数点はもともと各国によって違っているが、エスペラントではどの方式が公式に採用されているのかはっきりしない(アカデミオの推奨を知らない)。例えば「小数点」を Plena Ilustrita Vortaro という辞書で調べると、decimala punkto(小数点) decimala komo(少数コンマ)の両方が載っている。ただしフランス式がよく使われているように伺える。
日本・米国
123,456.789
ドイツ
123.456,789
フランス
123 456,789
数詞と語尾
数詞に名詞語尾を付けて名詞として使うこともある。また、合成語を作ったりもする。
trio トリオ
dekduo ダース
cento 百
du centoj 二百
unuo de longeco 長さの単位
jarcento 世紀(jaro: 年、cento 百)
long-ec-o 長さ ← 長い+性質
数詞に形容詞語尾や副詞語尾をつけると序数として使える。序数を形容詞で使うときは多くの場合 la を付ける。
La tria(3a) monato de jaro estas marto. 1年の3番目の月はマルトです。
la sepa(7a) horo 7時
Ni vizitis unue Parizon. 私たちはまずパリを訪れた。
mart-o 3月 / hor-o 〜時、1時間 / al-ven-i 到着する / unu-e 第1に、まず
前置詞 da
液体、気体、粒子状のものなど1つ2つと数えられない名詞(不加算名詞)は容れ物などを使って数量を表すことができる。この場合、前置詞 da を使う。可算名詞であっても、群れなどの集合を表す名詞を使って数量を表すことができる。この場合も da を使う。
taso da kafo 一杯のコーヒー(容器)
boteloj da vino 何本(瓶)かのワイン(容器)
du glasoj da biero グラス2杯のビール(容器)
tri pecoj da papero 3枚の紙(切片)
maso da negxo 1塊りの雪(塊り)
amasoj da birdoj いくつかの鳥の群れ(群れ)
kvar kilogramoj da akvo 4kg の水(単位)
kvin metroj da sxtofo 5メートルの布(単位)
kelkaj centoj da jaroj = kelkaj jarcentoj 数百年 = 数世紀(数量名詞)
dekduo da krajonoj 1ダースの鉛筆(数量名詞)
monto da oro 山ほどの金(比喩)
tas-o カップ / botel-o 瓶 / glas-o グラス / pec-o 切片 / mas-o 塊り / amas-o 群れ / kvar 4 / kilogram-o キログラム / akv-o 水 / kvin 5 / metr-o メートル / ŝtof-o 布 / kelk-a いくつかの / cent-o 10(名詞)/ jar-o 年 / dek-du-o ダース krajon-o 鉛筆 / mont-o 山 / or-o 金(きん)
上の例のように、「〜 + da + 名詞」 の 〜 の部分には普通、容れ物、切片、塊り、群れ、集合名詞、単位、数量名詞(数詞に -o を付けたもの)などの名詞が来る。ときに比喩的に使える名詞が来ることもある。
「〜 + da + 名詞」の形をした句が目的語のとき、da の後ろの名詞は対格にしない。この句の中心になる語句、つまり da の前の名詞(句)を対格にする。
Mi trinkis du botelojn da biero. 私はビールを2本飲んだ。
Ili gajnis monton da oro. 彼らは山ほどの金を得た。
botel-o 瓶 / bier-o ビール / gajn-i 勝ち取る、(運や偶然によって)手に入れる / mont-o 山 / or-o 金(きん)
「〜 + da + 名詞」 の 〜 の部分には、multe, kelke, sufiĉe などの副詞、iom, tiom などの副詞的小辞がよく使われる。このとき「〜 + da + 名詞」の形の句は全体として名詞としてはたらくので、主語や目的語にすることができる。この句の中心となる語は da の前の副詞もしくは副詞的小辞であるが、この形の句が目的語であっても副詞や副詞的小辞を目的語だからという理由で対格にすることはない。
multe da aŭtoj 沢山の車(名詞相当)
kelke da mono いくらかの金銭(名詞相当)
tiom da laŭdo それほどの賞賛(名詞相当)
Kelke da homoj estas en la ĉambro. 数人の人が部屋にいます。(主語)
Li trinkis malmulte da akvo . 彼は少しの水を飲んだ。(目的語)
Ŝi ricevis sufiĉe da amo de li. 彼女は彼から充分な愛をもらった。(目的語)
Mi klarigis tion al li per multe da vortoj . 私は彼に沢山の言葉を使ってそれを説明した。(前置詞の目的語)
mult-e[副]多く / kelk-e[副] いくらか / mal-mult-e[副] 少し / kelk-e[副]いくらか / mon-o お金 / tiom[副小]それほどの数量の / laŭd-o 賞賛 / rice-v-i 受ける / sufiĉ-e[副]十分な / klar-ig-i 説明する ← 明らかな+他動詞化 / mult-e[副]多く / vort-o 単語、言葉
「数量を表す副詞・副詞的小辞 + da + 名詞」の形は全体として名詞相当なので、この形を副詞的に使う場合は適当な前置詞を加えなければならない。
... ni ne scias, dum kiom da tempo ili paciencos. 私たちは彼らがどのぐらいの時間耐えられるか知らない。
Je kiom da kilometroj vi kuras ĉiutage? 毎日何キロメートル走るの?
pacienc-i 我慢する、辛抱する / minut-o 分 / ĉiu-tag-e 毎日
液体などは1つ2つと数えられないが、biero(ビール)とか vino(ワイン)を「種類」という点に着目すると実は複数形を使って数えることができる。
La patro metis multajn vinojn sur la breton. 父は棚の上に沢山の(種類の)ワインを置きました。
met-i 置く / sur[前]〜の上に / mult-a 多くの / vin-o ワイン
po, -op-, -obl-, -on-
da 以外に数に関連してよく使われる前置詞や接辞があるので見ておくことにする。
po
po は均等な配分を表す時に使う前置詞で「〜あたり〜ずつ」の「ずつ」に相当する言葉である。
... al ĉiuj li donis dolarojn po kvin. 彼はみんなに5ドルずつ与えた。
Mi legos tiun ĉi libron en ĉiu tago po kvin paĝoj. 私はこの本を毎日5ページずつ読みます。
ili estis starigitaj en vicoj, po ses en unu vico. 彼らは1列6人で列になって立たされた。
Ni ricevas monon por ĉiu tago po kvin frankoj. 私たちはお金を1日あたり5フランずつ受け取る。
paĝ-o ページ / vic-o 並び; 順番 / franko フラン
po は、しばしば誤って「〜あたり〜ずつ」の「〜あたり」の意味で使われやすい。po の後ろには必ず数量を表す言葉が来る点に注意する必要がある。
「〜あたり」には例文に示したように “ĉiu”、 “en”、“por” がよく使われる。“je” も使われることがある。他に tage(1日に)、hore(1時間に)のように副詞の形で表すこともできる。
ところで、po は前置詞なので、po の後ろには主格の名詞が来るはずだが、例文の 1 や 4 を下のように対格を使って表すのは文法的に誤りになるであろうか?
... al ĉiuj li donis po kvin dolarojn . 彼はみんなに5ドルずつ与えた。
Ni ricevas por ĉiu tago po kvin frankojn . 私たちは1日あたり5フランを受け取る。
厳密に言えば間違いで、ザメンホフも “Lingvaj respondoj ” の中で主格を使うことを薦めているが、実際問題として、このような表現が使われている現状がある。つまり po は副詞的小辞のように使われ出し、徐々にその利用が受け入れられるようになって来ていると言えそうである。
-op-
-op- は集合を表す接尾辞である。
Tiuj ĉi du amikoj promenas ĉiam duope. この2人の友人達はいつも2人組で散歩する。
Kvinope ili sin ĵetis sur min. 彼らは5人組で私に体当たりしてきた(自分自身を投げ出してきた)。
promen-i 散歩をする / ĵet-i 投げる
-obl-
-obl- は倍数を表す接尾辞である。
trioblo 3倍
Hodiaŭ mi ricevis duoblan pagon. 今日は2倍の支払いを受け取った。
-on-
-on- は分数を表す接尾辞である。
kvarono 4分の1
tri kvaronoj 4分の3
Tri estas duono de ses. 3は6の2分の1である。
簡単な四則演算の日常的な表現
未稿
前置詞 je と対格
je はピッタリくる前置詞が無いとき汎用的に使える前置詞で、「汎用前置詞」とか「融通前置詞」と呼ばれる。長い年月をかけて je を使う場面は徐々に固定してきているが、それでも je がないと困る場面もある。
時点、回数、度量
Li ellitiĝis je la sepa(7a) horo. 彼は7時に起床した。
La knabino iras al la fonto je du(2) fojoj en ĉiu tago. その少女は毎日2回泉に行きます。
Kvar(4) metroj da tiu ĉi ŝtofo kostas je naŭ(9) frankoj. この布は4メールあたり9フラン(の値段が)する。
La domo estas distanca de la busohaltejo je ducent(200) metroj その家はバス停から200メートル離れている。
Ŝia pakaĵo estas peza je kvin(5) kilogramoj. 彼女の荷物は5キログラムの重さがある。
ellitiĝi 起床する ← 中から+寝床+自動詞化 / hor-o 時刻、時間 / foj-o 回 / metr-o メートル / ŝtof-o 布地 / distanc-a 離れた / buso-halt-ej-o バス停 ← バス+止まる+場所 / pak-aĵ-o 荷物 ← 梱包する+物 / pez-a 重い / kilogram-o キログラム
je を使うその他の表現
Ventego senigis arbojn je folioj. 大風が木々から葉っぱを無くした。
Arboj fariĝis plenaj je(de) novaj folioj. 木々は新しい葉でいっぱいになった。
Li estas riĉa je(per) mono kaj amikoj. 彼は金にも友人にも恵まれている。
Ŝi sopiras je belo. 彼女は美に憧れる。
Mi kredas je magio. 私は魔術を信じている。
Li malsaniĝis je melankolio. 彼は抑鬱で伏した(病になった)。
Li suferas je kapdoloro. 彼は頭痛に苦しんでいる。
Li estas kontenta je(pri) sia sorto. 彼は自分の運に満足している。
La virino okupiĝas je(pro, pri, por) je kudrado. その女は縫い物で手一杯です。
Ŝi estas malsana je brusto. 彼女は胸を病んでいます。
Li kaptis min je(sur, ĉe) la brako. 彼は私の手を掴まえた(私の手を掴んで掴まえた)。
sen-ig-i 無くす、取り去る / arb-o 木 / foli-o 葉 / riĉ-a 豊かな / sopir-i 憧れる / bel-o 美 / kred-i 信じる / mal-san-iĝ-i 病気になる ← 反対+健康な+なる / sufer-i[自]苦しむ / kap-dolor-o 頭痛 / kontent-a 満足している / sort-o 運、巡り合わせ / okup-iĝ-i 専念している / kudr-ad-o 縫製 / brust-o 胸 / kapt-i 掴む、掴まえる / brak-o 腕
je 前置詞句は対格で言い換えることができる。例えば je la sepa horo(7時に) は la sepan horon と言い換えることができる。この対格は目的語とは全く関係がない。上の例文中の je 前置詞句は理論上すべて対格に置き換えることができる。下の例文に出て来る動詞はどちらも自動詞なので文中に目的語はないが、文中に対格に語形変化した名詞がある。
Mi kuris dudek(20) kilometrojn. 私は20キロメートル走った。
= Mi kuris je dudek(20) kilometroj.
Li suferas kapdoloron. 彼は頭痛に苦しんでいる。
= Li suferas je kapdoloro.
sufer-i 苦しむ / kap-dolor-o 頭痛
冠詞
日本人にとって冠詞を使いこなすのは難しいことだが、実は「エスペラントの基礎 」に下のように書かれている。
La personoj, kiuj ne komprenas la uzadon de la artikolo (ekzemple rusoj aŭ poloj, kiuj ne scias alian lingvon krom sia propra), povas en la unua tempo tute ne uzi la artikolon, ĉar ĝi estas oportuna sed ne necesa.
冠詞の使い方を理解できない人たち(例えば自国語以外の他の言語を知らないロシア人やポーランド人)は、始めのうちは冠詞を全く使わなくても構わない。なぜならそれは便利だが必要ではないからである。
学習書や学習サイトでこのことに触れていないものが多いように思われる。しかし「エスペランの基礎」にこう書かれているのだから、だれでも承知しておくべきではないだろうか。
エスペラントの冠詞はがんじがらめの規則ではなく、物事を正確に伝えたり、あるいは冗長な言い回し、非効率な繰り返しをさけるための便利な道具として使えばよい、という意味に受け取るべきではないかと思われる。
自分もうまく使えてはいないのだが、冠詞を使う場面を一応まとめてみた。
話題に出てきたものを指して言う
la viro(その男)
状況から特定のものと判断できる場合
Bonvolu fermi la fenestron, kiu enlasas venton. 風が入って来る窓を閉めてください。
Hieraŭ mi iris al la kafejo. 昨日例のカフェに行ったよ。(相手の知っている特定のカフェ)
「ここで言う」「ここで使われている」という意味。
la beleco(例:ここで言う美しさ)
La "la" ne necesas(例 ここで使われているその la は(=その冠詞は)不要です。)
特別な意味を込める
la amo(例:他でもなく私と貴方の間の愛)、Ĝis la revido (例:次の再会まで → さようなら)、la mono(例:特定のあることのために使う金、ある特定の理由で得た金など)
1つしかない存在や地位など
la suno(太陽)、la lernejestro(校長)、la japana (lingvo) (日本語)
「唯一の」という意味で
la motivo(その唯一の動機)、la taŭga persono(唯一の適任者)
「同じ〜」という言い方
la sama libro(同じ本)
最上級
la plej juna(最も年下の)
比較級でも厳密に2つのものを比較する場合
la pli juna el la du(その2人の内の年下の)
序数・順序などによって限定されるもの(付けない場合もある)
la tria tago(3日目)、la lasta vojaĝo(直近の旅行)、la sekvanta tago 次の日
「残りの〜」「その他の」という言い方
la lasta(j) frato(j) (残りの兄弟)、a restaj 40% da vortoj(残りの40%の言葉)、unu la alia (二人で)お互いに(慣用句)
普通名詞を固有名詞化する
la Blanka Domo(ホワイトハウス)
固有名詞の前に一般名詞を前置する(指名語)
la monto Fuĵi(富士山)
特定の属性に注目して(複数形名詞)
la familianoj (例:その家族)
「自分の」という意味。しばしば身体の1部や家族・親族、衣服、持ち物などについて。
Ŝi levis la mano(j)n. 彼女は(自分の)手を挙げた。
Mi iros al la avino. 私は(自分の)おばあさんのところへ行きます。
総称、典型、種類
la japano(j) (日本人という民族・国民)、la aromo de pomo (りんご独特の匂い)
時制と相
これについては、いんみ〜氏の「時制の一致 」や阪直氏の「時制」「動詞の相(アスペクト) 」のページを参照にさせていただいた。(両氏のページはいずれも代用文字が使ってあって読みにくにかったり、HTMLの文字コード指定の不備で文字化けを起こしていたりするので、自分のサイトに符号付き文字に変換したものを設置させていただいた。当該ページは加工してあるものの引用であることを明記しオリジナルへのリンクを貼ってあるが、著作権上の問題があったらお知らせください。)
造語法 -- 接辞
よく整理された、接頭辞・接尾辞・語尾はエスペラントの優れた点のひとつだと思われる。少ない語根から多くの単語が生み出されているので、1つの単語を知ればそれに付随して関連する単語群を同時に習得することができる。また、エスペラントの使用者は新たに合成語を作り出すことが許されている。
造語を扱う上で注意しなければならないことは、2つ以上の単語や接辞を合成して1語にしたら、多くの場合新しく定義されるべき固有の意味を持つようになるということである。例えば、homaro ← homo(人)+ ar(集合)+ o は、たまたまの「群衆」の意味ではなく「人類」という固定した意味で定着している。特に、形容詞 + 名詞 を1語にするときは注意が必要である。dikfingro ← dik-a(太い)+ fingro(指)は「太い指」を指すのではなく「親指」を指す。
コチラ に接辞の一覧をまとめてみた。
以下未稿。