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エスペラント入門 - 基礎的な文法理解 -

エスペラントを独習している中級レベルの者(たぶん)が自分用のまとめのつもりで書きかけたものです。作成途中なので、少しづつ内容を充実させていきたいと思っています。間違いがあるかもしれませんので、そのつもりでお読み下さい。訂正すべき点などがありましたら、ご指摘いただけると有難いです

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アルファベット

エスペラントのアルファベットは28文字。

Aa, Bb, Cc, Ĉĉ, Dd, Ee, Ff, Gg, Ĝĝ, Hh, Ĥĥ, Ii, Jj, Ĵĵ, Kk, Ll, Mm, Nn, Oo, Pp, Rr, Ss, Ŝŝ, Tt, Uu, Ŭŭ, Vv, Zz.

そのうち a, e, i, o, u の5 文字が母音で、残りの 23 文字が子音。アルファベットとして読み上げるときは、母音はそのままで、子音はオ段で発音する。すべてのアルファベットの発音をカタカナで表すことは出来ないが、一応カタカナで書くと下のようになる。

A (ア), B (ボ), C (ツォ), Ĉ (チョ), D (ド), E (エ), F (フォ), G (ゴ), Ĝ (ヂョ), H (ホ), Ĥ (ッホ), I (イ), J (ヨ), Ĵ (ジョ), K (コ), L (ロ), M (モ), N (ノ), O (オ), P (ポ), R (ロ), S (ソ), Ŝ (ショ), T (ト), U (ウ), Ŭ (ウォ), V (ヴォ), Z (ゾ)

アルファベットを読み上げるということは文字の名称を読み上げるということ。A(a), B(bo), C(co), Ĉ(ĉo), D(do), E(e), F(fo), G(go) ... Z(zo) の ( ) の中が文字の名称である。

注意して発音する文字

c ツォ [ts]  
ĉ チョ [tʃ]  
g [g]  
ĝ ヂョ [dʒ] 「チョ」を濁らせた音(舌を弾く、比較 ĵo)
ĥ (ッ)ホ [x] 「ゴッホ」の「ッホ」のように喉の奥から発する
j [j]  
ĵ ジョ [ʒ] 「ショ」を濁らせた音。(舌を弾かない、比較 ĝo)
r [r] 少しべらんめー調で「ロ」を素速く発する感じ。
ŝ ショ [ʃ]  
ŭ ウォ [w]  

単語の発音とアクセント

エスペラントは1文字が1音に対応しているので、基本的に同じ文字を異なる音で発することはないし、同じ音を異なる文字で書くこともない。書いてあっても発音しない黙字もないから、書いてある通りをローマ字式にそのまま読む。

ただし、ŭ と j の発音は注意が必要だ。ŭ はアルファベットとして読み上げる時は ŭ(ウォ) とワ行オ段で発音するが、単語の中では必ず母音に続いて現れるので、aŭto(アゥト)eŭropo(エゥローポ)antaŭ(アンタゥ) のように軽く「ゥ」を添えるように半母音で発音する。j は次に母音が続く場合は、jaro(ヤーロ)vojo(ヴォーヨ) のようにヤ行で発音し、ŝajni( シャィニ )tuj( トゥィ ) のように j が母音に続いて現れ、しかも次の文字が子音か次の文字が無い場合、軽く「ィ」を添えるように半母音で発音する。

アクセントは常に後ろから2番目の音節に置かれる。アクセントの方法については、決まりがあるわけではないので強く発音してもいいし、高く発音してもかまわないが、少し強めに伸ばして発音すると説明されていることが多い。

少し注意して発音すべき単語の例:

celo(ツェー)(目的) ĉielo(エー)(空) giganto(ント)(巨人) ĝardeno(ヂャルデー)(庭) ĝis(ヂス)(〜まで) ĥemio(ッヘミー)(化学) jaro(ヤー)(年) ĵurnalo(ジュルナー)(新聞) sidi( スィーディ)(坐っている) ŝerci( シェルツィ)(冗談を言う) honesta(ネースタ) (正直な) ekzemplo(エクムプロ) (例) pingveno(ピングヴェー)(ペンギン) kunnaskita(クンナスキー)(持って生まれた) adjektivo(アドイェクティーヴォ)(形容詞) adiaŭ(ディーアゥ)(さようなら) antaŭa(アンゥア)(前の)

品詞と語尾

エスペラントでは、活用や品詞転換によって語形が変化する単語は、その語尾が決まっている。複数形や目的語に付ける語尾も規則的で例外がない。

名詞語尾 -o
形容詞語尾 -a
副詞語尾 -e
動詞語尾 辞書形・不定形 -i
現在形 -as
過去形 -is
未来形 -os

複数形語尾 -j
対格(目的格)語尾 -n

語尾を取り除いたものを語根と言う。前置詞や接続詞などのように語尾を付けないで語根のまま使われる品詞もあるが、これらはまとめて 小辞、小詞、助辞、語根語などと呼ばれる。このまとめでは「小辞」を使うことにする。

小辞
前置詞、接続詞、間投詞、副詞的小辞(本来副詞)、数詞、相関詞(指示詞・疑問詞など)、限定語(定冠詞、ambaŭ、unu)

小辞の中には副詞的にはたらくものがあり、このまとめではこれを副詞的小辞と呼ぶことにする。副詞的小辞は本来副詞、原形副詞、語根副詞などと呼ばれることが多く、これに対して語尾が -e の副詞は派生副詞と呼ばれることが多い。

形容詞的にはたらく小辞もある。一部の指示詞(こんな、そんな)や数詞などがこれに当たる。

基本文(1)

いきなりだが、英語の SV, SVC, SVO 構文に相当するエスペラントの文を見ていくことにする。エスペラントは文の要素の順序(主語、動詞、目的語などの順序)については基本的に自由とされているので、この順序になるとは限らない。形容詞や副詞も基本的に被修飾語の前後どちらに置いても構わない。しかし、定着した語順や、あるいは語順によって意味が代わるなどといったこともある。

SV 構文

修飾語を除いて名詞と動詞だけで出来ている文。

  1. Muso(ムー) kuras(クーラス) . 鼠が走っている。
  2. Rozo(ロー) aromas(ローマス). バラが香っています。
  3. Parolas(ローラス) Johano(ハー). しゃべっていますよ、ヨハノは。
mus-o 小型の鼠、ハツカネズミ / kur-i 走る / roz-o バラ / arom-i 香る / parol-i 話す

ローマ字方式で素直に読み上げる。kuras の ra() と parolas の la() は、違う音だが残念ながらカタカナでは書き分けられない。

普通名詞は、muso と rozo のように必ず -o で終わる。固有名詞はエスペラント化されていない場合、-o で終わないものもある。

エスペラントでは単数形の名詞の前に英語のように a とか an とかのような不定冠詞を置くことはない。いきなり名詞で OK だ。

動詞の現在時制は kuras, aromas, parolas のようにすべて -as で終わる。エスペラントの動詞現在形は「〜する」という意味も表すが、「〜している」という、英語では現在進行形で表すような場合にも使われる。(エスペラントにも進行形に相当する表現はある。)

過去形にするには、動詞の語尾を -is に変える。

語尾 -is を使う過去時制においても、例えば kuris が「走った」という過去の事実を描写するものか、過去のある時点で「走っていた」という状景を描写するものなのかは文脈で判断する。

“Parolis Johano.” が日本語の「しゃべりましたよ、ヨハノは」に近い語感になるかどうかは分からない。単にこういう語順もある、という例である。

未来形は動詞の語尾を -os にする。

somer-o 夏 / ven-i 来る / edz-in-iĝ-i 結婚する ← 配偶者+女に付ける接尾辞+なる(自動詞化) / re-ven-i 戻る ← 元へ/再び+来る

主語を複数形にしてみる。複数形は名詞の後ろに語尾の -j を付ける。

student-o 学生

-j は、musoj 「ムーソィ」 rozoj 「ローゾィ」 studentoj「ストゥントィ」のように、軽く「ィ」を添えるように発音する。

形容詞や副詞の修飾語を足してみる。形容詞(〜a)は名詞を修飾し、副詞(〜e)は名詞以外を修飾する。形容詞は名詞の前後どちらに置いても構わない。実際「名詞 + 形容詞」の語順になっているのをよく見かける。下の例文中の副詞はすべて動詞を修飾しているが、副詞も動詞の前後どちらに置いても構わない。

mal-grand-a 小さな / rapid-e 速く / ruĝ-a 赤い / agrabl-e 心地よく / gaj-e 陽気に、呑気に / jun-a 若い
*mal- は正反対(否定ではない)の意味を表す接頭辞。

ただし、副詞は動詞を修飾する以外に、形容詞や他の副詞も修飾するが、この場合は修飾する副詞が前で、修飾される形容詞や副詞が後ろというのが据わりのよい語順になることが多いように思える。今例文は挙げないが、「とてもすばしっこく」「とても心地よく」を「すばしっこくとても」「心地よくとても」と言うようなもので、場合によっては据わりが悪くなる。

さらに複数形にしてみる。エスペラントでは形容詞も複数形にするので 形容詞は -aj で終わることになる。

SVC 構文

この構文では多くの場合、動詞 esti を使う。esti は英語の be 動詞に相当するが、英語の am, are, is のように人称や数によって変化することはない。主語が何人称でも、単数でも複数でも esti 1つだ。esti は辞書形なので、実際には estas, estis, estos のように時制語尾を付け替えて使う。なお、esti はこの構文で使う代表的な動詞だが、他にもある。

学校英語では SVC の C を「補語」とか「主格補語」言うが、このまとめでは「叙述語」とか「主語の叙述語」と呼ぶことにする。また、この構文を主語の叙述文と言うことにする。

まず、C が形容詞の場合。

bel-a 美しい / diligent-a 勤勉な

主語を複数形にしてみる。主語を複数形にするとき、それに応じて C の形容詞も複数形にする。

la 定冠詞 / grand-a 大きい

la は英語の the に相当する定冠詞だ。特定の人や物事に限定して話題にする場合は定冠詞の la を付ける。(以下単に冠詞と呼ぶ)。冠詞をつけることで、聞き手は、話し手が他でもなく「あの人」や「あのこと」について話しているということが判断できる。冠詞の具体的な使いどころについては後の項にまとめまてみた。冠詞以外にも指示詞や代名詞など、話題にする人や物事を限定する他の方法がある。

次に C が名詞の場合。

est-i 〜である / best-o 獣 / flor-o 花 / jun-ul-o 若者 ← 若い+人
* -ul- は「人」を表す接尾辞

C が名詞の場合、語順はかなり制限を受ける。S も C も名詞なので、語順を自由にすると SVC か CVS か判断がつかないからだ。

C が名詞の場合、SVC の構文は S=C もしくは S∈C(S は 集合 C の要素) という論理構造を表す。S=C の場合、SVC でも CVS でも違和感はあるかもしれないが誤解が生じることはない。例えば S=C の関係だと「ヨハノは私の一番年長の息子です」は「私の一番年長の息子はヨハノです」と一応言い換えできる。しかし S∈C の関係だとそうはいかない。「ヨハノは私の息子です」は「私の息子はヨハノです」とは厳密には言い換えできない。ヨハノ以外にも息子がいるかもしれないからである。

C が名詞の場合、常識的には SVC の語順にする(S=C, S∈C)。

ただし、この語順が文法上の規則だと謳われているわけではないので、誤解が生じない範囲内なら、その他の語順で表すことも不可能ではないように思われる。

動詞 esti は主語の叙述文を表す際の基本的な動詞で、「繋ぎ動詞」とか「繋辞」と言われたりするが、esti は繋ぎ動詞として使われるだけでなく「〜が(は)ある」「〜が(は)いる」という意味の「存在」を表す普通の自動詞としても使われる。

sur[前]〜の上に(接触している)/ tabl-o テーブル

esti が存在を表す場合、文の構造は SV ということになる。なお、日本語で「〜ある」「〜いる」のニュアンスのときは、 規則ではないが下のように VS の語順がよく使われるように見受けられる。

esti が存在を表す意味でも使われることは、C が形容詞の SVC 構文において、語順に制限を加えることになる。語順に配慮しないと、形容詞が主語を叙述しているのか、名詞を修飾しているのか区別がつかなくなる。常識的なことだが、形容詞とそれが修飾する名詞の間には esti を置かないのが普通である。

SVO 構文

次に目的語のある文を見ていく。目的語は、名詞語尾 -o の後ろに -n を付け、-on とする。主語や目的語は動詞の前語どちらに置いても構わない。

kat-o 猫 / ĉas-i 追う、狩る / rigard-i 見る、注目する / libr-o 本 / leg-i 読む
*rigardi は「視線を向ける」「注視する」という意味。「目で知覚する」という意味では vidi を使う。

エスペラントの学習書などでは、目的語の指標である -n の付いている語句を「目的格」と呼ばないで「対格」と呼ぶ方が多いようだ。多分 -n の付いている語句が常に目的語を指すとは限らないからだろう。「対格」に対して -n の付いていない語句を「主格」とか「名格」と言う。

対格は目的語を表すだけでなく、全く別の意味で使われる場合もある。参照:[目的語以外を表す対格

目的語を形容詞で修飾してみる。エスペラントでは目的語を修飾する形容詞も対格にする。形容詞語尾 -a にさらに対格語尾 -n をつけるので -an となる。

mal-grand-a 小さい ← 反対+大きい / ruĝ-a 赤い / mal-facil-a 難しい ← 反対+易しい

さらに目的語を複数形にしてみる。目的語が複数形の場合、名詞は -ojn、形容詞は -ajn になる。(例文は意味的に自然になるように主語も複数形にしたものがある)

基本文は他にももう少しあるが、別の項目に分けることにする。

人称代名詞と指示代名詞

普通名詞や固有名詞以外の人・物・事の表し方。

人称 人称代名詞 所有代名詞
一人称 単数 mi mia
私達 複数 ni nia
二人称 あなた・あなた達 単複同形 vi via
三人称 単数 li lia
彼女 単数 ŝi ŝia
それ(動物・事物) 単数 ĝi ĝia
彼ら・彼女ら・それら 複数 ili ilia
不定人称 人々 複数 oni onia
再帰代名詞 自分 単複同形 si sia

人称代名詞。2人称の vi は単複同形である。ci という2人称単数形代名詞もある(親しい間柄で使う)が、実際にはほとんど使われていない。ザメンホフの表した「エスペラント基本文法」に ci は載っていないので、このまとめでも表に入れないことにした。「練習文集 」に「普通 ci の代わりに vi を使う」と括弧書きで紹介されている。

エスペラントには誰も変更することが許されていない Fundamento de Esperanto(エスペエラントの基礎)と呼ばれる書物がある。これは英語、フランス語、ドイツ語、ロシア語、ポーランド語の5カ国語で書かれたもので、Antaŭparolo(前言)、Fundamenta Gramatiko de Espernato(エスペラント基本文法、 16条の文法規則とも呼ばれる)、Ekzercaro(練習文集) 、Universala Vortaro(汎用辞書)の4部で構成されている。

三人称単数形の中性名詞 ĝi は、「16条の文法規則」には動物・事物とあるが、「練習文集」では小児に対しても使われている。いくら小児でも「性」はあるはずなので、ĝi は「性に着目しない」という意味で使われるのであろう。エスペラントにはそもそも文法上の性は存在しないので、ĝi を使って何を指示するのかについては、厳格なヨーロッパ言語と違ってあまり杓子定規に考えなくてもよいのではないかと思う。動物でも性に着目するときは li や ŝi を使うこともできるだろうし、中には性的にニュートラルな意味で大人を指す場合にも ĝi が使えるとする人さえいるようだ。とは言え、性に関しては繊細な問題を孕んでいることもあって、性に関して中立の新しい代名詞を提唱する人もいたりして、いろいろ議論がなされているようである。

不定人称の oni は「人」「世間の人」のような意味で、特定の人を指さないで話題にするとき使われる。oni の数については、ポーランド語版の16条の文法規則では、zaimek nieosobisty liczby mnogiéj、ロシア語版では、безличное множественнаго числа となっていて、いずれも「不定人称複数形」という意味のようなので、一応複数形とした。(英語版、フランス語版、ドイツ語版は単に訳語が載っているだけで説明は無い)

instru-ist-o 教師 ← 教える+人 / bel-a 美しい、素晴らしい / hav-i 持っている / frat-o 兄、弟 / citron-o レモン / ĝoj-i 喜ぶ、うれしく思う
* -ist- は従事者、主義者を意味する接尾辞

代名詞は名詞相当なので目的語のときは -n を付けて対格にする。

instru-i 教える / am-i 愛する / respekt-i 尊敬する

人称代名詞に形容詞語尾の -a を付けると所有代名詞(代名詞所有形)になる。mia(私の)、via(あなたの)、ŝia(彼女の)といった具合だ。所有代名詞には形容詞と同じように複数形語尾や対格語尾を付ける。

aŭt-o 自動車 / mal-nov-a 古い ← 反対+新しい / vest-o 服 / nov-a 新しい / instru-ist-in-o 女性の教師 ← 教える+人+女 / pren-i 取る / kaj[接]そして、〜と = and / tir-i 引っ張る / vizaĝ-o 顔

エスペラントには英語の mine, yours, hers のような独立所有格はない。mia ~(私の〜)、via ~(あなたの〜)、ŝia ~(彼女の〜)などの 〜 の部分が暗黙に分かる場合に単に省略するだけだ。ただし、学習書などによっては、こういった場合には冠詞を付け、la mia、la via、la ŝia とするとしているものもあり、実際この形をよく見かける。しかし必ずしもそうしなければならないというわけではない。

下の例文の 1. は、今の段階では難しい文だが、「練習文集」にある比較表現で、「あなたのパン」と「私のパン」を比べている。ここでは「あなたのパン」を via pano とし、「私のパン」を単に mia で表している。しかし例文 2. のように la mia と表すことも可能である。

  1. [...] via pano estas malpli freŝa, ol mia.* ... あなたのパンは私のより新鮮ではない。(練習文集)
    = [...] your bread is less fresh than mine.
  2. Via aŭto estas nova. La mia estas malnova. あなたの車は新しいです。私のは古いです。
    = Your car is new (a new one). Mine is old (an old one).
pan-o パン / mal-pli より少ない、より劣った (= less) / freŝ-a フレッシュな、新鮮な / ol 〜より(= than)/ nov-a 新しい / aŭto 自動車
*pli ~ ol ~ = more ~ than ~、malpli ~ ol ~ = less ~ than ~ 参照:[比較

なお、少しややこしいが、la mia という表現は可能だが、la mia aŭto という表現は誤りということになっている。「冠詞 + 所有代名詞 + 所有物」と3つ続けることはしない。所有代名詞は冠詞と同じように「特定の人や物事に限定して話をする場合に使う。文法用語を使うと冠詞も所有代名詞もどちらも「限定語*」と呼ばれる範疇に属す。通常 la とそれ以外の限定語は重ねないことになっている。なぜなら所有代名詞 mia によってすでに限定されているのだから、さらに la を重ねるのはおかしいという理屈のようだ。ただし、“la mia” のように所有代名詞によって限定される名詞を省略するときだけ、重ねることができるとされている。(しかし、後出の所有指示詞とでも言えそうな “ties”(その人の )に la を付け名詞を省略する表現 “la ties”(その人のもの )は許容されていないようだ。... ちょっと難しい 汗)

*限定語:定冠詞(la)、所有代名詞(mia, via, lia...)、指示詞(tiu, ties)、指示形容詞(tia)、ambaŭ、unu(unu は半限定語)

再帰代名詞:
pentr-i 描く / kun[前]〜と(= with) / lud-i 遊ぶ / infan-o 子ども

この文だと主語の li(彼は) と目的語の lin(彼を)や 所有代名詞の lia(彼の)が主語と同一人物か、主語とは別の男性のことを言っているのかはっきりしない。そこで同一人物の場合は、lin や lia に代えて再帰代名詞の sin や sia を使う。

これで同一人物であることがはっきりする ... というか、再帰代名詞を使わないと同一人物ではないと判断される。

再帰代名詞は主語と同一人物を指す。ただし、主語が3人称や不定人称のときに使い、1人称や2人称のときには使わない(使ってはいけない)。

再帰代名詞は主語と同一人物を指すのだから、主語の中自体では特別な場合を除いて使わない。

kaj [接]〜と, = and / amik-o 友達 / promen-i 散歩する / kun-e 一緒に ← 前置詞 + 副詞語尾

「特別な場合を除いて使わない」というのは、例えば「己のものはすべて愛おしい」のように、主語が具体的に誰かを指示しない場合である。ただし、主格の si が主語になることはなく、sia 〜 の形で使われる。

再帰代名詞は主語と同一人物・同一事物を指すとはいうものの、実はその主語は文全体の主語とは限らない。例えば、従属節の中の再帰代名詞はその節の主語を指すし、修飾句の中にある再帰代名詞はその句の範囲内の意味上の主語を指す。そのため再帰代名詞を実際に扱うのはかなり(ひどく)手こずってしまう。そこで詳細を別の項目に分けた。

指示代名詞・指示詞
指示代名詞 それ(物・事) tio ĉi を添えて近くのものを指す
指示詞
(指示代名詞)
その(人・物・事) tiu

tio は指示代名詞で、日本語の「それ」「あれ」にあたる。「これ」のように、近くの物や事を指すには tio の前または後ろに小辞の ĉi を添える。エスペラントでは「それ」と「あれ」を区別しない。

tio は 人を指すことはない。また tioj という複数形はほとんど使わない。

tiu は人に対しても使われ、また、tio と違って頻繁に複数形で使われる。

person-o 人、個人 / flor-o 花 / labor-o 仕事

tiu 自体が特定のものを指し示すので(限定語なので)、la tiu(j) 〜 という表現はない。

tio も tiu も目的語には -n を付ける。

kon-i 経験・見聞として知っている(知識として知っているは sci-i)/ vir-o 大人の男性 / vir-in-o 大人の女性 ← 成人男子+女

tiu は指示するものが分かっていて相手も暗黙に了解できる場合、しばしばそれを省略する。つまり tiu 単独で「それ」「あれ」という意味の指示代名詞としても使われる。下の例文中の括弧で括られた部分は、暗黙にそれが分かる場合、しばしば省略される。ただし何の脈絡もなくいきなり tiu が単独で出てきたら、「物」や「事」ではなく「人」を指す。

aŭto 自動車 / 美しい、素晴らしい / persono 人 / sinjoro 〜氏・〜さん(男性に対する敬称)/ hom-o 人、人間

tiu は指示代名詞としても使われるので、結局 tio も tiu も日本語にすると「それ」となる。人称代名詞の ĝi も日本語にすると「それ」となる。そこで3者の使い分けを理解しておく必要がある。

指示代名詞としての tiu と tio の違いだが、tiu は指示するものが分かっていて相手も暗黙に了解できる場合(tiu 〜 の 〜 が相手に分かる場合)の省略表現なので、「その車」「この花」のように「その + 名詞」で言い換えができるものを指すときに使う。tio は「そのこと」とか「そのもの」としか言い換えできない場合に使う。

例えばある物やある人が倒れるのを目撃した場合、「私はそれを見た」というとき、「倒れた」という出来事を指すときは tio を使い、倒れた人や倒れた物を指す時は tiu を使う。

目の前に何か知らない物が置いてあって、「それは何ですか」と聞くときは tio を使い、本が何冊か置いてあって(本であることが分かっていて)どれかを指して「それは小説ですか」と聞くときは tiu を使う。

人称代名詞の ĝi も日本語にすると「それ」となるが、 基本的に人称代名詞は話の中に出てきた事物・人をもう一度取り上げるときに使う。それに対して指示代名詞は、例えば目に見えているものや手元にあるものなどを指示するのに使う、つまり文脈から離れた事物・人を指す。難しい用語だが、内部指示/文脈照応、外部指示/外界照応というような言い方があるそうだ。どれほど厳密に使い分けられているかよくは知らないが、原則はそのようである。ただし tio は文脈中のまだ名詞で表現されていないもの(例えば出来事)や、これまでに出てきた会話の内容、人の意見などを指して言う時にも使われる。

rakont-i 物語る・話す / bela 美しい、すばらしい / fabel-o 童話 / amuz-a 面白い、楽しい / ver-a 本当の

もう1つ、tio は物事をまとめて取り扱い、tiu は個々の物事を指すという違いがある。例えば tio を使って下のような言い方が可能である。何人かで話をしていて、ある人がいろいろアイデアを出したとする。このとき、

ide-o アイデア、思想、観念

という表現が可能である。tio は彼のいろいろなアイデアをまとめて指している。tio は単複同型と言えそうに思えるが、そうとは言い切れない。実際に使うことはほとんどないと思われるが、 tio kaj tio(それとそれ)の意味で tioj と表現することは理屈としては一応可能だ。(kaj は 英語 の and に相当)

指示形容詞と指示副詞

指示代名詞が出てきたのでついでに指示形容詞と指示副詞を見ておくことにする。下表の上2つ(tio, tiu)はすでにやったので、残りについて。

代名詞的 物・事 tio それ
指示詞的
(代名詞的)
人・物・事 tiu その〜、その人、それ
所有 ties その人の〜、それの〜
形容詞的 性質・状態 tia そんな
副詞的 場所 tie そこに
tiam その時
方法・様子 tiel そのように
理由 tial そういう理由で
数量 tiom それほどの

指示形容詞と指示副詞についても ĉi を添えることができる。

ties

ties は「その人の〜」「それの〜」という意味の、言わば所有指示詞だが、「〜」の部分が分かっている場合は「その人のもの」「それのもの」という意味で所有物・所属物自体を表すこともできる。

vest-o 服

所有代名詞では、所有しているものを省略するときは、la mia(私のは)のように冠詞を付けることもあるが、ties の場合、la ties(その人のは)のように冠詞を付けることは誤りとされる。

tia

tia は「そんな〜」という意味で形容詞相当だが、「〜」の部分が分かっている場合、ties と同じように「〜」の部分を省略し、「そんなの」や「そんな人」という意味で代名詞的にも使われる。tia は形容詞相当なので、形容詞と同じように複数形語尾や対格語尾を付ける。

mult-e-kost-a 高価な ← 多い+副詞+費用がかかる / vol-i 欲しい、〜したい・意志を持っている / hav-i 持っている

ties と同じく、la tia(j)(そんなの)のように la と tia を重ねることはない。

品詞分類上 tia はあくまで形容詞相当であって形容詞ではない(最後の a は形容詞語尾ではない)。tia 全体がこれ以上分割できない語根・小辞である。

tie

tie は「そこで」「そこにおいて」という意味で、場所を示す副詞的な指示詞である。

aĉet-i 買う / vest-o 服

「そこへ」「そこから」「そこまで」といったように移動を表す場合は意味に応じた前置詞を置く。

al[前] 〜へ / ir-i 行く /[副小]hireaŭ 昨日 / de[前] 〜から(起点) / ven-i 来る、相手のところに行く / ĝis[前・接] 〜まで(時間・空間) / akompan-i[他] 同行する

*al tie(そこへ)は、前置詞の al を使う代わりに tie の後ろに対格語尾 -n を付けて tien で代替することができる。この -n は目的語とは関係なく、動きの方向や移動先を表す。al tie より代替表現の tien の方が多く使われているように見受けられる。参照:[目的語以外を表す対格

tie は副詞的指示詞だが、形容詞語尾 -a をつけて形容詞的指示詞(そこの)として使える。

mastr-um-ist-in-o 家政婦←家事を切り盛りする+職業の人+女性
tiam

tiam は「その時に」という意味で、時を表す副詞的指示詞である。「その時から」「その時まで」「その後」などのような表現には適当な前置詞を置く。

aĉet-i 買う / vest-o 服 / de[前] 〜から(起点) / vol-i 欲しい / post 後(時間)、後ろ(順序・列)/ port-i 身に付ける、携帯する、持ち運ぶ / super-vest-o 上着・オーバー ← 上+服

*post は、空間的な「後ろ」の意味で使っても間違いではないようだが、主に時間に関して使われる。かつては空間的な意味で広く使われていたらしいが、現在は、並んでいるものに関して使われ、それ以外では malantaŭ(←反対+前)が使われる。

tiam は副詞的指示詞だが、形容詞語尾 -a をつけて形容詞的指示詞(その時の)として使える。

sur-meti 着る、上に置く ← 上+置く / rob-o ローブ、ワンピース
tiel

tiel は「そのように」という方法や様子を表す指示副詞である。tiel は副詞相当なので動詞にも係るが、形容詞や副詞に係って程度も表す。

far-i 作る、する / lert-e 巧みに・上手に
tial

tial は「そういう理由で〜」「だから〜」という意味を表す指示副詞である。

tre[副小]とても / bel-a 美しい / vol-i 欲しい
tiom

tiom は「それほどの数・量の」という意味で、数量に関する副詞的指示である。tiom はしばしば単独で tiom multe(沢山)の意味で使われ、nur tiom で tiom malmulte(少しだけ)の意味で使われているように伺える。

mult-e 沢山・多く / el-spez-i 支出する ← el 〜の中から(出る) + 出納する / nur[副小]たった〜だけ / mal-mult-e 少し

tiom は副詞的指示詞だが、形容詞語尾 -a を付けて形容詞的指示詞として序数(その番の、その回の...)を指示することもある。tioma を副詞的に使うときは(その番に、その回に...)適当な前置詞を置く。

hor-o 時刻 / foj-o 回

ただし実際には tioma の代わりに tiu(その)が使われることの方が多いようだ。

基本文(2)

残りの基本文を見ていくことにする。

SVOO 構文

タイトルを「SVOO 構文」としたが、実はエスペラントにこの構文はない(汗)。英語では、直接目的語と間接目的語を語順で区別する方法、つまり SVOO 構文と、間接目的語を前置詞句で表す方法の2通りあるが、エスペラントでは間接目的語は常に前置詞句で表す。構文としては「SVO + 前置詞句」とか「SVOA 構文」(A: adverbial 副詞類)と呼ぶことになりそうだ。

prezent-i 見せる・紹介する / al[前]〜に / don-i 与える / ring-o 指輪、輪 / send-i 送る / patrin-o 母親 / prunt-i 貸す、借りる / aŭt-o 自動車
*prunti は信用で物を貸す・借りるの意。

間接目的語が「〜に」と訳せるような場合、多くは前置詞に al を使うが、下の例文のように por(〜のために)を使うこともある。

kuir-i(加熱して)料理・調理する / varm-a 温かい、熱い、暑い / sup-o スープ / far-i 作る、する / tabl-o テーブル / por[前]〜のために / fil-o 息子
* kuiri は「加熱する」という意味を含んでいます。

下のように de(〜から) を使うこともある。

ricev-i 受ける、もらう / de 〜から / prunt-i 借りる、貸す / mon-o お金 / pet-i 頼む・請う・招く / psalm-libr-o 聖歌集 ← 聖歌+本 /
*prunti はここでは借りるの意。prunti de = prunte-preni de。料金を払って借りるときは lu-i を使う

これはしばしば犯しやすい間違いの原因になるので重要なことだが、下のように、日本語だと「に」などを使うところをエスペラントでは直接目的語にする場合がある。

dank-i 感謝する / pro[前]〜のために(原因・理由・動機)/ help-o 助け / demandi 尋ねる・聞く / pri[前]〜ついて、〜に関して / inform-i 知らせる / regal-i おごる・もてなす / per[前]〜で(道具、手段)/ trink-aĵ-o 飲み物 ← 飲む+もの / av-o 祖父 / proviz-i 貯蔵する、装備する / kel-o 地下貯蔵庫 / vin-o ワイン / sen-ig-i 取り去る ← 〜を欠いた+他動詞化 / je[前]汎用前置詞 / fenestr-o 窓
*provizi provizi A je B = A に B を貯蔵する/装備する
**senigi A je B = A から B を取り去る

動詞によっては常にこの形をとるものもある。例えば、Ŝi demandis lin pri tio(彼女は彼にそれについて尋ねた)は Ŝi demandis al li tion(彼女は彼にそれを尋ねた)とも表現できるが、Li informis min pri tio(彼は私にそれについて知らせた) は Li informis al mi tion(彼は私にそれを知らせた) とは言わないようである。こういったことがあるので、動詞が何を目的語にとるかを辞書の例文などで確認する必要がある。

SVOC 構文

基本文(1)で 主語の叙述文(SVC)が出てきたが、これは目的語の叙述文である。エスペラントでは O を対格にし、C を主格にする。

farb-i ペンキを塗る ← farb-o ペンキ・顔料・絵具 / mur-o 壁 / blank-a 白い / nom-i 名付ける / ge-patr-o-j 両親 ← 男女+親(父) / far-i 作る / kurac-ist-o 医者 ← 治療する+人 / elekt-i 選ぶ / prezident-o 大統領
* ge- は男女による集合を表す接頭辞

これらの文はすべて「S が V することで O estas C の関係にする 」という意味を表す。彼がペンキを塗ることで muro estas blanka(壁は白い)の関係にする。父が名づけることで mi estas Jonano(私はヨハノ)の関係にする、といったような具合だ。

同じ構文で下のような意味を表すこともある。

trov-i 見つける、気づく、思う・評価する / bon-gust-a 旨い ← 良い+味+の / opini-i 〜と考える、意見をもつ / ide-o 考え / bon-a 良い、すばらしい / knab-o 少年 / vid-i 見る、見て気づく、会う / patrin-o 母親 / koler-a 怒っている / mal-san-ul-o 反対+健康な+人 /[他]sent-i 〜を感じる / si 自分 / lac-a 疲れている

これらは文法的に「S が O estas C の関係であるのを V する」という意味を表す。la vino estas bongusta(そのワインは美味しい) ということが分かった。la ideo estas bona(その考えは良い)と思った、といった具合だ。

エスペラントの SVOC 構文は、基本的に語順ではなく語尾(格)が意味を成り立たせているので誤解を生じない範囲であれば、つまり主格の形容詞が主語を修飾しているのか目的語を叙述しているのかが常識的に理解できれば語順は自由だ。

SV + 前置詞句の構文

動詞の中には、その意味からして前置詞句がないと完結した文にならないもの、前置詞句を取り除くと文意が全く違ってしまうもの、前置詞句が重要な情報を有しているものなどがあり、SV に前置詞句が加わるものがある。構文としては「SV + 前置詞句」とか 「SVA 構文」(A: adverbial 副詞類)とか言うことになりそうだ。ただしこのような構造の文であっても、前置詞句が必須でもそれほど重要でもない場合もある(たとえば暗黙に分かる場合の省略)。

al[前]〜に / aparten-i al 〜に所属する、〜の所有物である / ŝrank-o 箪笥・ロッカー / el[前]〜で(材料)、〜の中から/ konsist-i el ~から成り立つ、〜でできている / lign-o 木材/ ludo 遊び / plaĉ-i 気に入る
de[前] 〜の(所有・所属)/ el 〜から(出身)/ Usono アメリカ合衆国
fil-o 息子 / interes-iĝ-i 興味を持つ ← 興味を持たせる+自動詞化 / pri 〜について(=about) / matematik-o 数学 / loĝ-i 住む /

無主語文

最後の基本文である。エスペラントには主語の無い文がある。これには大きく分けて2つの場合がある。その1つは英語で非人称主語の it を使うような場合である。これには、天候や自然現象を表す場合、よく言われる「漠然とした状況」を表す場合、日付・曜日・季節、距離などを表す場合などがある。もう1つは、特殊な自動詞 temi(話題にする)を使う文である。

天候や自然現象を自動詞で表す文:

  1. Pluvas. 雨が降っています。
  2. Neĝos 雪が降るでしょう。
  3. Ventis. 風が吹いた。
  4. Vesperiĝis 夕方になってきた。
  5. Degelas. 雪(氷、霜など)が解ける。雪解けする。
pluvi 雨が降っている / neĝ-i 雪が降る / degel-i 雪(氷、霜など)が解ける / vent-i 風が吹く / vesper-iĝ-i 日が暮れる ← 夕方+なる

これらの文は英語では、“It is raining”, “It will snow” のように it を使って表すが、エスペラントでは無主語文で表す。構文で言うと V ということになる。これらの動詞は、それぞれ pluvo(雨), neĝo(雪), vento(風), vespero(夕方)という名詞に動詞語尾を付けて動詞化したものだ。vespero には「〜になる」という意味の自動詞化のはたらきを持つ接尾辞 -iĝ- が付いている。「動詞が主語を含む文」という言い方で説明されていたりする。5. の degeli の名詞形 degelo は「雪解け」「氷解」の意で現象を表す。

漠然とした状況を表す文:

これには叙述文を使う方法と自動詞を使う方法がある。​

mal-hel-e 暗い ← 反対+明るい / mal-varm-e 寒い ← 反対+暖かい / bon-e 良く / bedaŭr-ind-e 残念な ← 残念に思う+べき

例文は叙述文で、VC 構文ということになる。 主語が無くても esti を介して状況を叙述する。実際の会話では、esti が省略されることも多いが、それでは完全な文とは言えない。この構文で大事なことは叙述語が形容詞でなく副詞になることだ。エスペラントでは主語が名詞以外の場合(主語が無い、主語が不定詞や節の場合)、叙述語を副詞にする。

同じ意味を自動詞を使って表すこともある。

mal-hel-i 暗い ← 反対+明るい+動詞語尾 / bon-i 良い(動詞) ← 良い+動詞語尾

叙述語の品詞語尾を動詞語尾に変えるだけで動詞文にすることができる。ただしどんな場合でも叙述文に代えて動詞文で表せるかというと、やはり習慣があるので、多くの人が従っている表現にする方がよいと思われる。叙述文と動詞文が全く同じ意味で同じニュアンスだとは限らない。どういったときにこの形が使われているかは、読書や会話を通じて習得していくしかないだろう。

下の2つの文は 一見 SVC の構文に見えるがやはり無主語文である。

ekster-e 外で / hodiaŭ[副小]今日 / seren-e 晴れている、雲や風の無い

ekstere や hodiaŭ はそれぞれ副詞、副詞的小辞なので主語ではない。

日付、時間、季節、距離などを表す文:

hodiaŭ[副小]今日 / dimanĉo 日曜日 / jam 既に、もはや / mal-fru-e 遅い ← 反対+早い / nun[副小]今 / somero 夏 / tie[副小]そこ、そこに / mal-proksim-e ← 反対+近い+副詞語尾 / de[前]〜から(起点)

hodiaŭ, jam, nun, tie は、いずれも名詞ではなく副詞的小辞で、これらの文に主語は無いが完全な文である。

temi を使う文:

無主語文の2番目は特殊な自動詞 temi(話題にする)を使う文である。temi は主語を必要としない動詞である(主語をとることもできる)。構文としては VA ということになりそうだ。

temi は日本語にすると「問題は〜です」「〜のことを言っている」「〜がポイントです」「〜を扱っている」というような言い方になる場合が多いように思われる。

rezult-o 結果 / fraz-o 文 / mal-ĝust-a 間違った ← 反対+正しい / vort-o 単語

注意点があって、 temi は自動詞なので何を話題とするかは対格ではなく前置詞の pri(〜について)を使って表す。また、temi は主語を持つこともできるが、話題として取り上げてられているものを主語にとり、話題にしている人(行為者)を主語にとることはない。

rakont-o 物語 /[数詞]unu 1、一つの、ある(=one) / knab-in-o 女の子 ← 少年+女 / probabl-e おそらく / cert-ec-o 確かさ ← 確か+さ・性

SVC 構文についての補足

SVC 構文では esti 以外の動詞も使われる。以下の文は、すべて SVC の構文である。

problem-o 問題 / ŝajn-i 〜のように思える / ma-lfacil-a 難しい ←反対+易しい / aspekt-i 〜のように見える / matur-a 成人の / far-iĝ-i 〜になる / patr-o 父 / rest-i 留まる、残る、〜のままである / mal-nov-a ← 反対+新しい / aper-i 現れる、〜のように見える / fraŭl-in-o 未婚女性 ← 未婚の男性+女性

esti 以外にも英語の seem(〜のように思える), look(〜のように見える), become(〜になる), remain(〜のままである), appear(〜のように見える)などに相当するような動詞は SVC 構文を作る。

下のような表現もある。

vir-in-o 成人女性 / sid-i 坐っている、腰掛けている / sol-a 一人きりの、唯一の / kant-i 歌う / mal-ĝoj-a 悲しい ← 反対+楽しい / ven-i 来る / la unu-a* 一番の、最初の ; unu-e 一番に、最初に、まず
*unua(一番の)は序数ですが、普通序数には冠詞を付けます。

sidi(腰掛けている), kanti(歌う), veni(来る)は、叙述語がなくても文が成り立つ完全な自動詞である。しかしこういった動詞も主語の叙述文に使うことができる。普通の自動詞が繋ぎ動詞の役割を兼ねていると言えそうである。例文中の形容詞を副詞にすると意味が変わったり曖昧になったりする。sola は 「ひとりきりの」とか「唯一の」という意味だが、副詞では「単独で」「独力で」とか「ただ~だけ」という意味もあるので、「することもなくただ座っている」のような意味にも受け取れる。malĝoja を malĝoje にすると「歌っているときの気分が悲しかった」という意味でなく「悲しげに歌った」という意味になり、歌い方を表すことになる。la unua を unue にすると「一番乗りで」という意味ではなく、「何はおいてもまず駆けつけて来た」のような意味にも受け取られる。

少し強引かもしれないが、下のようなニュアンスだと考えればよいのではないか。(kaj は英語の and に相当)

形容詞でも副詞でも意味にほとんど差がない場合もあるし、厳格に区別しなければならない場合もありそうだ。

  1. Tiu vorto sonas stranga(strange). その言葉は奇妙に響く(聞こえる)。
  2. Ili estas bonaj. 彼らは善良です。
  3. Ili estas bone. 彼らはうまくいっている。
  4. Tiu seĝo estas komforta. この椅子は快適だ(この椅子は快適にさせる)。
  5. (a)(誤)Mi estas komforta. 私は快適だ。...という意味ではなく「私は快適にさせる」の意味
    (b)(正)Mi estas komforte. 私は快適だ(私は快適な状況の中にいる)。
vort-o 言葉、単語 / son-i 響く、聞こえる / bon-a 良い / seĝ-o 椅子 / komfort-a 心地よい

1. の場合 stranga でも strange でもそれほどニュアンスは変わらないだろう。2. の bonaj は ili(彼ら)の性質を表現している叙述語だが、3. の bone は副詞なので叙述語ではなく、estas(存在する、いる)のあり方・様子を説明している。つまり「良い状態で存在している」といった意味である。4. の komforta は椅子が「心地よい」「心地よくさせる」という意味なので、したがって 5. (a) の文は意味的に奇妙になる(そういう場合も無くはないが...)。5. (b) の komforte も estas のあり方を説明している。

動詞が完全自動詞で叙述語に名詞を使うこともある。(使いどころはよく理解できていない)

nask-iĝ-i 生まれる ← 産む+自動詞化 / krist-an-o クリスチャン ← キリスト+構成員 / mort-i 死ぬ / islam-an-o イスラム教徒 ← イスラム教+構成員

以上で基本文、つまり文の骨格をなす「文の要素」と、その使い方を一通り見てきたことになる。「文の要素」とは主語、動詞、目的語、叙述語で、構文によっては前置詞句も文に必須の要素となることがある。

状況語と修飾語

「状況語」とは、主語、動詞、直接目的語、叙述語以外の文の要素である。これは、間接目的語・時間・場所・目的・理由・方法・手段・道具・材料・起点・帰属・様子など様々な意味を以って動詞に係る副詞的修飾語である。状況語は「基本文(2)」の中で出てきた前置詞句のように、それが無くては文が成り立たたない場合もあり、修飾語とは違って文の構造を支える重要な要素となり得る。文を一本の木に例えれば、状況語は主幹から直接分かれた側枝のようなものである。状況語は、前置詞句、副詞・副詞的小辞、体格の形をとる。ただし、この場合の対格はいくつかの前置詞からなる前置詞句の代替表現であって目的語とは関係ない。

「修飾語」とは動詞以外の語句に係って何らかの説明を加えるもので、文から取り去っても文自体は完結する。状況語も動詞を修飾するのだから、こういった語句は「狭義の修飾語」と言う方がより正確かもしれないが、このまとめでは状況語と修飾語を区別することにする。修飾語には単語の形で係るものと、句の形で係るものがある。前者には名詞を修飾する形容詞、形容詞や他の副詞を修飾する副詞もしくは副詞的小辞がある。その他に、見かけ上、名詞による名詞の修飾形式(指名語と呼ばれる)がある。後者は、前置詞句、対格、不定詞句の形をとる。

以下に、状況語や修飾語になり得る、前置詞句、副詞、目的語以外を表す体格について順に見ていくことにする。(形容詞は省略、不定詞と指名語は別の項目にまとめた。)

前置詞句

前置詞句は、動詞に係る場合と動詞以外に係る場合がある。前置詞句が動詞に係る場合、文の必須要素となる場合もある。

動詞に係る前置詞句(状況語)
atend-i 待つ /[前]ĉe 〜のところで / halt-ej-o ← 止まる+場所 / al-ven-i 到来する、到着する ← 〜へ+来る / antaŭ[前]〜の前に(時間・空間)/ kuŝi-iĝ-i 横たわる、横になる ← 横たわっている+なる / por[前]〜するための、〜するために(目的)/ ripoz-o 休息、休憩 / dent-o 歯 / klak-ad-i かちかち音をたて続ける ← かちかち音をたてる+継続 / pro[前]〜のために(理由・原因・動機)/ manĝ-i 食べる / sup-o スープ / per[前] 〜で、〜を使って(道具・手段) / kler-o スプーン / bird-o 鳥 / flug-i 飛ぶ / en[前]〜の形状で、〜の中に、〜の中で(≒in)/ amas-o 群れ

前置詞句以外にも状況語としてはたらくものがある。

unu[数詞]1、1つ、ある / tag-o 日 / fajr-eg-o 大火事 ← 火+大きい / okazi 起こる

下線で示した rapide(副詞)、unu tagon(対格)が状況語である。状況語は前置詞句、副詞、対格の形をとって動詞に係る。そもそも動詞に係る副詞的語句を状況語と呼ぶのだから、副詞が状況語としてはたらくのは当然だ。

対格 (unu tagon) も状況語である。状況語としてはたらく対格は、いくつかの前置詞で構成される前置詞句(en 〜, dum 〜, je 〜, al 〜)の代替表現であって目的語とは関係ない。ただしこれらの前置詞句がどんな場合でも対格で代替できるというわけではなく、je 〜 以外は特定の意味を表す場合に限られる。例文中の unu tagon は、en unu tago の代替表現である。参照:[目的語以外を表す対格][前置詞 je と対格

状況語は文中のどこに置いても構わないが、据わりの良い位置といったものはあるのかもしれない。

動詞以外に係る前置詞句
sako 袋 / kun[前] 〜付きの・〜とともに(with) / ten-il-o 持ち手 ← 持つ・支える + 道具 / en 〜の中に、〜に、〜で (=in) / arb-o 木 / mal-sek-a 濡れた、湿った ← 反対+乾いた / de 〜で(起因)/ larm-o 涙のしずく / ŝton-o 石 / pez-a 重い / je[前]汎用前置詞 / kilogram-o キログラム / nord-e 北に、北で
*malseka de larmoj の de は起因を表す。ここでは濡らしている物を表す。
**de la urbo の de は起点を表す

前置詞句が動詞以外を修飾もしくは補足する場合、その語句の直後に置かれるのが普通である。

前置詞の使い方

前置詞の後ろには、基本的に主格の名詞(句)が来るが、副詞、副詞的小辞、前置詞句が来ることもある。

  1. Li subite aperis de malantaŭe. 彼は突然後ろから現れた。
  2. Mi estas malsana de hieraŭ. 昨日から体調が優れない。
  3. Mi pruntis monon de lia frato anstataŭ de li. 私は彼からお金を借りる代わりに彼の兄弟から借りた。
subit-e 突然、急に / aperi 現れる / de 〜から(起点)/ malantaŭ-e 後ろで、後ろに / mal-sana 病気の ← 反対+健康な / hieraŭ[副小] 昨日 / prunt-i 貸す、借りる / mon-o お金 / anstataŭ[前]〜の代わりに

その他、前置詞の使い方について知っておくべきこととして、いくつかの前置詞は、後ろに不定詞や名詞相当の従属節(名詞節)を置くことができるということがある。これについては「不定詞は名詞として振る舞う」や「ke 節と ĉu 節 -- 名詞節 」「疑問詞が導く名詞節」で取り上げた。また、いくつかの理由で前置詞の後ろに対格の名詞が来ることがあるといったことがある。これについては、「目的語以外を表す対格」の中の「動きの方向や移動先を表す」「形態・状態の変化を表す」にまとめまた。

前置詞の後ろの対格については、ある使い方について、対格にする人とそうでない人がいるという実状がある。例えば下のような意味を表す時に前置詞の後ろに置かれる語句を主格にするか対格にするかはっきりしない。

これについては別のページで考察してみた。

前置詞の一覧
al ~
〜に(間接目的語);〜へ(方向・移動先);〜に(位置・所属・適用);〜にとって(待遇・応待・主観)
anstataŭ ~
〜の代りに
antaŭ ~
〜の前に、〜の前の(時間・空間);malantaŭ 〜の後ろに(空間)
apud ~
〜の傍らに
ĉe ~
〜のところで
ĉirkaŭ ~
〜のまわり;およそ
da ~
〜分の量の
de ~
〜の(所属他各種関係);〜から、〜で(起点・原因);〜によって(受動文の行為者)
dum ~*
〜の間(時間);〜の一方で
ekster ~
〜の外に
el ~
〜の中から(場所・状態);〜で(材料);〜の内の(抽出)
en ~
〜の中で(場所・時・集合);〜に、〜で(行事・出来事);〜で(状態・形式)
ĝis ~*
〜まで、〜までに
inter ~
〜の間に
je ~
ピッタリする前置詞がないときに使う汎用前置詞(時点、時間、度量、回数、その他)
kontraŭ ~
〜に向かい合って;(自然な動きや方向に)〜に逆らって;〜に対して・〜に敵対して;〜に対して(対価)
krom ~
〜を除いて;〜の他にも
kun ~
〜とともに、〜と;〜付きの
laŭ ~
〜に沿って;〜に従って;〜によれば
malgraŭ ~
〜にもかかわらず
per ~
〜で、〜を以って(道具・手段)
po ~
〜ずつ
por ~
〜のために(目的・用途・受益者);〜にとって(有益性・評価);〜時間の・〜日間の(計画された時間);〜に対して(対価);〜につき・〜あたり(分配)
post ~
〜の後で(時間);後ろに(順序)
preter ~
〜のそばを通って
pri ~
〜に関して
pro ~
〜のために(原因・理由・動機)
sen ~
〜なしで
sub ~
〜の下に
super ~
〜の上方に(非接触)
sur ~
〜上に、表面に(接触)
tra ~
〜を貫いて
trans ~
〜を越えて

*dum, ĝis は接続詞でもある。

上のリンクしたページに例文とともにもう少し詳しくまとめてみた。

副詞

副詞は名詞以外を修飾すると基本文(1)の中で荒っぽい表現で触れたが、少し詳しくそのはたらきと使い方を見ていくことにする。副詞には、語尾 -e を付けて使うもの(派生副詞)と語根のまま使うもの(副詞的小辞)がある。

派生副詞

派生副詞は、品詞語尾 -e を持つ副詞だ。はたらきとしては、1. 動詞に係って行為や出来事に関して場所・時間・方法・手段・程度・様子などを表す、2. 形容詞や他の副詞を修飾する、3. 文全体を修飾する、4. 主語(や目的語)が名詞でない場合、それを叙述する、5. 単独で間投詞的に使われる、6. 名詞も含めて色々な語句に係って意味やニュアンスを添えるものがある。

動詞に係る派生副詞(状況語)

このような副詞はしばしば前置詞句で置き換えることができる。

形容詞や他の副詞を修飾する派生副詞
文全体を修飾する派生副詞

副詞によって文全体が修飾されている文は、文全体を主語に、副詞を叙述語に変えて表現できる。日本語だと「残念なことに彼は試験を通らなかった」は「彼が試験を通らなかったことは残念だ」のように言い換えできる。

叙述語としてはたらく派生副詞

基本文(2)の無主語文で叙述語が形容詞でなく副詞になる例を見てきたが、無主語文だけでなく、主語が名詞以外場合、つまり不定詞や節の場合も叙述語は副詞になる。つまり、SVC 構文で S が無い場合もしくは不定詞や節の場合 C は副詞で表す。これについては、「不定詞 」や「ke 節と ĉu 節 -- 名詞節 」の中で取り上げることにする。

ただし目的語が不定詞や節の場合は、その叙述語は副詞でなく形容詞にすべきだという見解もあって、アカデミオ*も決定的な指針や推奨を示していないという実情がある。つまり、SVOC 構文で O が不定詞や節の場合 C は副詞か形容詞かということが実は曖昧だ。これについては、別のページで愚考してみた。

*アカデミオとはエスペラントの基本的な原則を維持することと、エスペラントの言語としての発展状況を調査することを目的とした国際的組織である。

間投詞的に使われる派生副詞
特殊なはたらきをする派生副詞

これ以外に、多くはないが一部の派生副詞には色々な語句に係るが名詞にも係るものもある。

ŝat-i 好む、高く評価する / precip-e ことさら / ĉef-e 主に / riz-aĵ-o 料理した米、米で作られたもの ← 米+もの / al-ven-i やって来る、到着する ← 〜に+来る / ĝust-e ちょうど、ピッタリ / je[前]汎用前置詞...ここでは時刻に関して / 10-a 十番目の ← 10+形容詞語尾 / hor-o 時刻 / al-parol-i 話かける ← 〜に+話す / sol-e ただ〜だけ = nur

なお、副詞は前置詞句や対格を伴って副詞句を作る。対格を伴うことのできる副詞は動詞から派生した副詞である。

副詞的小辞

副詞的小辞は語根のまま使われる副詞だが、通常の修飾と違って名詞も含めていろいろな語句に係って、それらに「近接」「強調」「否定」「疑問」「比較」「制限」「無差別」などといった様々な機能的な意味やニュアンスを添えるはたらきをし、場合によってそれが置かれる位置によって文の意味的構造を変えるものがある。例えば、nur は「〜だけ」という意味を、それが係る語句に付与し「私だけ」とか「今だけ」とか「見ただけ」という意味を持つようになる。また、ne(否定語)は置かれる位置によって文を否定したり語句だけ否定したりする。これ以外にも、状況語や修飾語として派生副詞と同じようにはたらくもの、間投詞や接続詞に近い使われ方をするものなどがある。

機能的意味やニュアンスを添える副詞的小辞
tuj 直ちに、すぐに / post-e 後で / respond-i 返答する / vend-ej-o 売店 ← 売る+場所 / najbar-e 近所に / eĉ 〜さえ、〜すら / ja 実に、全く / kon-i 経験で知っている / ĉu 〜か?(疑問)/ mem 自身 / pentr-i 描く / bild-o 絵 / paper-o 紙 / nur 〜だけ / kon-i 知っている / preskaŭ ほとんど / rigard-i 見る、視線を向ける / akcept-i 受け入れる / iu ある、どれかの(some)、あるもの(something)、ある人(somebody) / ajn 〜であろうとも / decid-o 決定

tuj は単独で「直ちに」という意味でも使える。

状況語や修飾語などとしてはたらく副詞的小辞

派生副詞と同じように状況語や修飾語としてはたらくもの、間投詞や接続詞に近いものなどがある。

hodiaŭ 今日 / pluv-i 雨が降る / nun 今 / for 離れている、不在の / baldaŭ もうすぐ / al-ven-i 到来する、到着する ←〜に+来る / ĵus たった今 / for-ir-i 去る ← 離れて+行く / vilaĝ-o 村、田舎 / de[前]〜から(起点)/ urb-o 町、都会 / plu 引き続き / marŝ-i (長い距離を)歩いて行く / kaj[接]そして / tamen それでも、けれども / fid-i 信用する、信頼する / jen ほら、ここに / dolĉ-a 甘い / kuk-o ケーキ / do それでは、じゃあ / klar-ig-i 説明する ← 明らかな+〜にする+動詞語尾

jen は「ここに」「そのとき」「ここにある」といったような意味だが、相手の注意を引くときに使われる。temen は kaj tamen(そして、それでもなお) 、sed tamen(しかし、それでもなお)のように、接続詞の kaj (=and) や sed (=but) と一緒に使われるのが普通だが、接続詞を省略する場合もあるので、tamen 自体を接続詞としている辞書などもある。

副詞的小辞の一覧

副詞的小辞は学習書などによってその数は若干違うが約30個ほどある。コチラに例文を添えて少し詳しくまとめてみた。

ajn
なんでも、どんな〜であろうと(無差別);たとえ何であろうと、たとえどんな〜であろうと(譲歩)
almenaŭ
すくなくとも;せめて
ambaŭ*
その2つとも、その二人とも
ankaŭ
~もまた
ankoraŭ
今もなお;まだ、もっと;ankoraŭ ne 未だ〜ない
apenaŭ*
かろうじて;するや否や(接)
ĉi
近いことを示す
ĉu*
〜か(疑問);〜かどうか(接)
~でさえ
ja
まさに、確かに、本当に
ju pli ~ des pli ~
~であればあるほどいっそう〜である(ju malpli ~ des malpli ~)
kvazaŭ*
あたかも;まるで~のように(類比)(接)
mem
~自身
ne
〜ない(否定);いいえ(間投)
nur
たった・~だけ;ただの、〜に過ぎない;まだ、やっと(時間)
plej
最も(比較最上級);malplej(劣等最上級)
pli
より(比較級);malpli(劣等比較級)
preskaŭ
ほとんど(少し足りない);preskaŭ ne ほとんど〜ない
tre
とても
tro
あまりにも、〜過ぎる
tuj
直ちに(時間);すぐ近く(場所)
do
それなら、だったら;では、じゃあ(間投)
jen
ほらここに、この時(その時)(間投)
for
離れている、不在の、消失した;消えろ、立ち去れ(間投)
nun
今、今や;さあ、今こそ(間投)
hieraŭ
昨日
hodiaŭ
今日
morgaŭ
明日
jam
すでに、もう
baldaŭ
まもなく
ĵus
たった今しがた、〜したばかり
plu
さらに、引き続き
tamen*
とは言え、それでいてなお、にも関わらず(接)

ambaŭ は冠詞や代名詞に似たはたらきをするので(ambaŭ 単独で「その二人」「その二つ」の意味を表す)限定語に分類されることもある。apenaŭ, kvazaŭ, ĉu は接続詞でもある。tamen も接続詞的に使われていることがある。

目的語以外を表す対格

この項では、対格が目的語以外を表す場合について、まとめて見ておくことにする。

動きの方向や移動先を表す

対格は動きの方向や移動先を表す。これには3つの使い方がある。1つ目は移動先の名詞を直接対格にする方法である。つまり前置詞句 al ~(〜へ、〜に) の代替表現だ。(移動先を表す意味で対格にすることがあるのであって、al 前置詞句がいつでも対格に置き換え可能だという訳ではない。)

urbo-dom-o 市役所 ← 市・町+家 / ir-i 行く / vojaĝ-i 旅行する / en[前]〜に(時間)、〜で、〜の中で(場所)/ last-a 最後の

ただしこのような対格の使い方は減ってきていて、せいぜい固有名詞に使われる程度だそうだ。それも減ってきているようだ。なお当然のことだが、〜nal 〜 の代替表現なのだから al la urbodomon のように al と -n を同時には使わない。

2つ目は、位置を表す前置詞の目的語を対格にする方法である。位置を表す前置詞:antaŭ(前に), malantaŭ(後ろに), apud(傍らに), ĉe(〜のところに), ekster(外に), en(中に), inter(間に), post(後ろに並んでいる), sur(上に), sub(下に), super(上方に) など。

bird-o 鳥 / flug-i 飛ぶ / en[前] 〜の中で / ĝarden-o 庭 / ĉambr-o 部屋 / kur-i 走る / sub[前]〜の下で / lit-o ベッド、寝床

ただし、al(〜へ), ĝis(〜まで), de(〜から), el(〜の中から) はもともと方向や移動の意味を含んでいるので、これらの前置詞の目的語を対格にすることはない。exster la domon(家の外へ)は可能だが、el la domon(家の中から)は間違いである。

3つ目は、場所や位置・方向を表す副詞や副詞的小辞に -n を付ける方法である。

  1. La baloneto supren forŝvebis. 風船が上に飛んで行ってしまった。
  2. La vojo turniĝas dekstren. その道は右へ曲がる。
  3. Li iris tien. 彼はそこへ行った。
    = Li iris al tie.
  4. eksteren(enen, antaŭen, malantaŭen, apuden, maldekstren, suden, malproksimen,...)外へ(中へ、前へ、後ろへ、傍らへ、左へ、南へ、遠くへ)
balon-et-o 風船 ← 気球+小さい / supr-e 上部で / for-ŝveb-i ただよって離れていく ← 遠くに+ただよう / voj-o 道 / turn-iĝ-i 曲がる ← 曲げる+自動詞化 / dekstr-e 右に / tie そこで

3. の tien の tie は正確には副詞ではなく副詞的小辞だが(tie の末尾の e は副詞語尾ではない)、語尾が -e で終わる副詞と同じように -n を付けて動きの方向や移動先を表す。

eksteren, enen, antaŭen, malantaŭen, apuden などはそれぞれ前置詞の eksxter(外で), en(中に), antaŭ(前に), malantaŭ(後ろに), apud(傍らに)に副詞語尾を付けて副詞化し、さらに対格語尾を付けたもの。

形態・状態の変化を表す

これは前置詞の en を使って表される。

sid-i 坐っている / sid-iĝ-i 坐る ← 坐っている+動作化 / en 〜の形態・状態で / rond-o 輪、円、サークル / dis-ŝir-i バラバラに千切る ← 分散+千切る / pec-et-o 小さな断片 ← 一切れ+小さい / traduk-i 訳す / tekst-o テキスト / cirkonstanc-o 状況 / en bon-ord-o 整った状態、順調な ← 良い + 序列・秩序 + の中
時点・時間

je, en, dum によって構成される時点や時間・期間を表す前置詞句の代わりに対格で表すことができる。

du-a 2番目の / hor-o 時刻、時間 / je 汎用前置詞 / unu-a 1番目の、はじめの / tag-o 日、昼 / ven-onta 来たる、次の ← 来る+〜ようとしている(能動将然相分詞)/ dimanĉ-o 日曜日 / unu 1、1つ、ある / du 2、2つ / dum[前]〜の間(時間) / tut-a 全部の、全体の / somer-o 夏 / monat-o 月

je は時点を表す時に使われ、代表的には je la dua horo(2時に)のように時刻を表す時に使われる。en や dum は、時間や期間を表すのに使われ、tago(日)、montao(月)、jaro(年)、午前中(antaŭ-tagmez-o)、夜(nokto)、夏(somero)、tri horoj(3時間)などを後ろにおく。en は「その日に」「夏に」「3時間で」のように使われ、dum は普通「1ヶ月の間」「夏の間」「3時間」のように使われる。こう言った意味で使われる前置詞句を対格を使って言い換えることができる。

en や dum は en la prelego(講義で)、dum la tajfuno(台風の間)のような使い方もできるが、行事や出来事を扱う場合の en 前置詞句や dum 前置詞句を la prelegon, la tajfunon のように対格で表すことは基本的にないようだ。

なお、dum は前置詞としてだけでなく、接続詞としても使われる。

je 前置詞句の代替表現

対格にはもう1つの使い方がある。つまり特殊な前置詞 je で構成される前置詞句の代替表現だ。つまり je ~o という前置詞句を ~on という表現に言い変えることができる。実は前に挙げた la duan horon = je la dua horo もこの使い方の1つである。je は本来、固定した意味を持たない汎用の前置詞で、これといってピッタリくる前置詞が見つからないときに使うことができるが、定着した表現の1つとして時刻を表すのに使われているということである。

je はこれ以外にも、回数、度量、その他様々な意味を表すのに使われる。参照:[前置詞 je と対格

vizit-i 訪ねる / tri 3 / foj-o 回 / mont-o 山 / mil 1000 / sepcent 700 ← 7x100 / sepdek 70 ← 7x10 / ses 6 / metr-o メートル / alt-a 高い / mal-san-iĝ-i[自]病気になる←反対+健康な+なる / pulm-inflam-o ← 肺+炎症

同格

ある内容のことを別の言葉で言い換えて併記したものを「同格」と言う。同格は文法的には修飾語ではないが、意味的には、ある言葉の意味をより詳しく説明するためのものだ。

  1. Ni japanoj 私達日本人(代名詞・名詞)
  2. Karlo, mia amiko 私の友達のカルロ(名詞・名詞句)
  3. ĉi tie, en Kioto ここ、京都では(副詞・副詞句)
  4. hodiaŭ, en mia naskiĝtago 今日、私の誕生日に(副詞・副詞句)
japano 日本人 / mia amik-o 私の友達 / ĉi tie ここ ← 近い+そこ / hodiaŭ 今日(において) / en[前]〜で、〜の中で(場所)、〜に(時間) / nask-iĝ-tag-o 誕生日 ← 生む+自動詞化+日

1. 2. は名詞もしくは名詞相当句の、3. 4. は副詞もしくは副詞相当句の同格である。

下の2つの表現は似てはいるが、一方は同格ではない。

  1. Karlo mia amiko 私の友達のカルロ
  2. la urbo Kioto 京都という街
urb-o 街、都市

1. は単純な言い換えで 「A つまり B」という意味になる。これがいわゆる同格だ。同格の場合、「つまり」に相当する nome や tio estas といった慣用句を間に補うことができる。

2. は上位概念の名詞を先に言い、具体的な名前を後に続けて「B と呼ばれる A」といった意味になる。2つには大きな違いがあり、対格にするときはっきりする。

  1. Mi amas Karlon, mian amikon 友達のカルロを愛しています。
  2. Mi konas la urbon Kioto 京都という街を知っています。
    am-i 愛している / kon-i (見聞として)知っている

1. は同格をなすものが両方とも格の変化に応じる。一方 2. は先行する名詞だけ格が変化する。2. は厳密には 「同格」ではなく「指名語*」と呼ばれる。なぜ後行する名詞が対格にならないかというと、これは関係詞節もしくは分詞形容詞による名詞の修飾の省略表現だからだ。英語で表すと下のようになる。

2. のような表現は、例文の括弧内の文言を省略したものである。対格に語形変化があるエスペラントだから the town に相当する la urbo だけ対格になるというわけだ。指名語の場合、意味的関係が不明瞭と思われれば that is called や called に相当するエスペラントの語句を省略しなければよいわけである。

上に英語で書いた関係詞文もしくは分詞修飾をそのままエスペラントにすると、下のようになる。このような表現は「関係詞文」や「分詞」で取り上げることにする。

その他に、英語では下のように名詞を続けることがあるが、これは同格とは関係ない。

  1. Esperanto club エスペラントクラブ
  2. music festival 音楽祭

これらは前の名詞が後ろの名詞を修飾している。エスペラントでは名詞が名詞を修飾する表現は無いとされるので、このままエスペラントにすると文法的に誤りになる。

この場合は、1.一方の修飾している側の名詞を形容詞にするか、2. 前置詞 de (英語の of に相当)を使うか、3. ハイホンで繋げて1つの名詞にするのが正しいとされる。

  1. (誤)Esperanto klubo
    → Esperanta klubo エスペラントのクラブ
    → klubo de Esperanto エスペラントのクラブ
    → Esperanto-klubo エスペラント・クラブ
  2. (誤)muziko festivalo
    → muzika festivalo 音楽の祭典
    → festivalo de muziko 音楽の祭典
    → muziko-festivalo 音楽祭

場合によってはハイホンを除いて完全な合成語にすることもできるだろう。(例:muziko-festivalo → muzikofestivalo; muzikfestivalo)

*「指名語」は、 “Lernu” というサイトの多言語による文法解説ページにある nominacio の訳として使った。日本語版では「修飾名詞」という用語が使われている。エスペラントでは名詞が名詞を修飾するのは文法的に誤りだが、関係詞節もしくは分詞形容詞による修飾の省略表現によってできたこの形は、見た目には名詞が名詞を修飾する形になっている。名詞が名詞を修飾する特殊な形というほどの意味で使っているのだろう。他にも、広義の意味で使うのだろうが identiga priskribo(特定するための説明)と呼ばれることもあるようだ。ちなみに「同格」は伝統用語では apozicio だが口語的に apudmeto という用語も使われている。どちらも「傍に位置しているもの」「傍に置かれているもの」というような意味だ。

否定文

否定には副詞的小辞の ne を使う。文全体を否定する場合と文の中のある語句だけ否定する場合で、ne を置く位置を変える。
文の否定

文全体を否定するには動詞の前に ne を置く。

ne 〜ではない / ŝat-i 好む / kaf-o コーヒー / ir-i 行く / ofic-ej-o オフィス ← 執務する、事務を執る+場所
語句の否定

文全体の否定ではなく文の中のある語句だけを否定するには ne をその語句の直前に置く。1つの文に否定する語句と否定しない語句を置くこともできる。

  1. Mi ŝatas ne kafon. 私はコーヒーは好きではありません。
  2. Mi iris ne al oficejo. 私はオフィスには行きませんでした。
  3. Mi parolas al li, ne al vi. あなたではなく彼に話しているのです。

3. のような意味を強調するのに、「〜ではなく〜です」という言い方が定番だが、これには ne ~ sed ~ を使う。

sed[接]しかし / fabrik-o 工場

「〜だけでなく、しかも〜です」という意味を表すには、ne nur ~ sed ankaŭ ~ を使う。

nur[副小]〜だけ、たった〜 /[副小]ankaŭ 〜もまた

2つのことを(3つ4つのこともあるだろうが)同時に否定するには nek を使う。

2つのことを否定する場合、両方とも nek を使うこともでる。

「〜も〜ない」は、副詞的小辞の ankaŭ(〜も) を使って ankaŭ ~ ne ...(〜も...ない)とも表現できる。日本人は下のような会話文でこのパターンを使いそうだが、nek を使うこともできる。多分 nek を使う人の方が多いのではないだろうか?

否定の程度など

否定の程度などを ne と副詞や副詞的小辞を組み合わせて表現することができる。ne を置く場所が重要になる。

tut-e すべて、全く / preskaŭ[副小]ほとんど~ / tre とても → ne tre あまり / sufiĉ-e 十分に / jam[副小]すでに / ankoraŭ [副小]今だに、もっと、さらに / plu[副小](時間的に)さらに、引き続き
*「まだ〜していない」は ankoraŭ ne の方がよく使われる。
** plu は「さらに引き続き」という意味で、「さらに沢山」という意味なら pli を使う。
全否定

「何も〜ない」「誰も〜ない」「どこにも〜ない」「いつも〜ない」というような全否定には、neni で始まる一連の小辞(否定の相関詞とも呼ばれる)を使う。

代名詞的 物・事 nenio 何も〜ない
指示詞的
(代名詞的)
人・物・事 neniu どの〜も〜ない、誰(どれ)も〜ない
所有 nenies 誰(どれ)の〜も〜ない、誰(どれ)のものも〜ない
形容詞的 性質・状態 nenia どんな〜も〜ない
副詞的 場所 nenie どこにも〜ない
neniam いつの時も〜ない
方法・様子 neniel どんな方法でも〜ない
理由 nenial どんな理由でも〜ない
数量 neniom 全部〜ない

nenio, neniu, nenies:

nenio は「なにも...ない」という意味を表す。neniu は neniu ~ の形で「どの〜も...ない」という意味を表すが、〜 の部分が暗黙に分かる場合はしばしば省略し、「どれも...ない」の意味でも使われる。また何の脈絡もなくいきなり単独で neniu が出て来たときは「誰も...ない」という意味になる。nenies も「だれの〜も...ない」「どれの〜も...ない」という意味だが、しばしば 〜 の部分を省略する。

pret-a 準備ができている / hom-o 人・人間 / en 〜の中に / ĉambr-o 部屋 / propr-aĵ-o 個人に属すもの、固有のもの、所有物 ← 個人の+物

nenia は「どんな〜も...ない」という意味を表す。nenia も形容されるものが分かる場合しばしば省略し、nenia 単独で「どんなのも〜ない」の意味で使う。

help-o 助け / neces-i [自]必要である / bezon-i 必要とする

nenie どこにも...ない、neniam いつの時も...ない

trov-i 見つける / kor-a 心の / pac-o 平和、安らぎ / fum-i 喫煙する、煙が出る

neniel どんな方法でも...ない、nenial どんな理由でも...ない、neniom 全部...ない

sukces-i 成功する / koler-iĝ-i 怒る ← 怒った+なる / manĝ-i 食べる

否定の相関詞自体(neni〜)が否定を表すので、これらを使ったら重ねて ne を使う必要はない。ヨーロッパの言語の中には否定語を重ねることで否定を強調する、ということがあるそうだが、エスペラントにはそういった表現はない。こういった文法的な間違いを犯してしまうことがあるので「エスペラント基本文法」は1条を割いて注意を喚起している。

12. Se en frazo estas alia nea vorto, la vorto ne estas forlasata. Ekz. mi neniam vidis, mi nenion vidis.
もし文の中に他の否定語があれば、否定語の ne は脱落する。例.見たことがない、何も見なかった。

日本人にはこの理屈はすぐに理解できるが、しかし「何も〜ない」の「ない」につられて、うっかり neni-否定語と ne を同時に使う間違いをやってしまいそうだ(汗)。

この条項を以って、「エスペラントには二重否定文は無い」「二重否定文は(とにかく)文法違反だ」という人が稀にいるようだが、自分はこれは誤解だと考えている。

意志法

「意志法」は動詞語尾 -u を使う文である。命令法と呼んでいる学習書もあるかもしれない。

主語を一人称(私、私たち)にすると「〜しよう」という意味の意思の表明、呼びかけ、勧誘、奨励 などを表す。

ek-ir-i 出発する ← 始める+行く / ek-manĝ-i 食べ始める ← 始める+食べる / ĉu[副小] 〜か (疑問を表す副詞的小辞)/ sid-iĝ-i 腰掛ける、坐る ← 掛けている+動作化 / tie そこで(に) / pen-i 努力する、骨を折る

* ĉu は「はい」「いいえ」で答えてもらう疑問文につける副詞的小辞。平叙文の先頭に ĉu を加えるだけで疑問文になる。疑問詞を使う疑問文については別に取り上げる。

主語を省略したり、2人称にすると命令(勧誘、激励)文になる。命令の場合 vi(あなた)を入れるとそれが強調され「他でもなくあなたがやりなさい」といったニュアンスになるのかもしれない。

ven-i 来る / far-i する、作る

人称に限らず「〜しなければならない」「〜すべきである」といった意味、「〜してほしい」といった意味を表すのに意志法を使う。

ĉe-est-ant-o 出席者、列席者 ← 〜のところに+居る+人 / silent-a 静かな / dum[前]〜 の間 / ceremoni-o 儀式 / uz-i 使う / akuzativ-o 対格 / post[前]〜の後ろに、〜の後で / prepozic-o 前置詞 / infan-o 子ども / mal-varm-um-i 風邪を引く ← 反対+暖かい+汎用接尾辞

このような意味で使う意志法は、命令・要求・使役・意志・願望・嘆願・目的などを表す従属節の中でよく使われる。参照:「意志法と ke 節

叙想法

「叙想法」は動詞語尾 -us を使う文である。-us は「もし私が鳥だったらあなたのところに飛んで行くのに」というような仮定の条件を表す節の中でよく使われるので、しばしば「仮定法」とか「条件法」とかも呼ばれる。しかし、-us 自体は「仮にそうだとすると」といった仮定や条件を表すというよりも「事実を表すのではない」と捉える方が、使い方を理解しやすいように思われる。「鳥である」も「飛んで行く」も事実ではないというところがポイントで、そのため「反実法」と呼ばれることもある。また、そのような表現は想像や主観的な「思い」に基づくものなので「仮想法」とか「叙想法」とも呼ばれる。ここでは、そう言う意味で「叙想法」という用語を使うことにした。

-us は憶測、満たされない願望、後悔、実際には行わない行為、はっきり断言しないで言うときなど、色々なニュアンスで使われる。

iu ある、どれか(=some)、ある人、だれか(=somebody)、何か(something) [不定の指示詞(相関詞)]/ help-i 助ける / dir-i 言う / tio それ / tiel そのように / tre[副小]とても / bel-e 美しく、すばらしく

-us は、しばしば仮定の条件を表す従属節で使われる。例文中の se は条件節を導く接続詞である。

se[接]もし〜なら / riĉ-a 豊かな、金持ちの / labor-i 働く / erar-i 誤る、道に迷う / antaŭ-e 以前に、前もって / dir-i 言う / ver-o 真実

なお、se は「〜だったらなあ」という強い願望の気分を表す意味で、主節の中で副詞的に使うこともできる。したがって、上の例文中の条件節だけでも完結した文になる。(希求法)

-us 自体は「今、金持ちだったらいいのに」「あのとき、金持ちだったらよかったのに」「将来、金持ちになれたらいいのに」のような過去の仮定、現在の仮定、将来の仮定を区別しないので、これらを動詞で区別することはできない。これらの区別は文脈や時間に関係する副詞的語句に依存する。(分詞と -us を組み合わせて区別する方法もあるようだが、実際にはほとんど使われていないようなので、このまとめでは扱わない )

条件節であっても、充分にあり得る条件や願望などの主観的ニュアンスがない場合、-us ではなく -as, -is, -os が使われる。

ĉes-i 止む / ek-ir-i 出発する ← 始める+行く / jam[副小]すでに / ven-i 来る、相手のところに行く / pet-i 頼む、人を招く / al[前] 〜へ

*peti は「頼む」「請う」という意味だが、日本語の「〜さんをお願いします」というのと同じ使い方ができる。

-us は婉曲な依頼などの表現にも使われる。

ĉu[副小]〜か; 疑問を表す / akv-o 水 / don-i 与える、渡す

不定詞

語尾に -i のついた形の動詞は不定形とか不定詞と呼ばれる。不定詞はいろいろなはたらきをするが、私は自分なりに大きく4つに分けて整理している。1. 不定詞は名詞として振舞う。2. 不定詞は動詞・形容詞・名詞の足りない情報を補足する、3. 不定詞は述語動詞の主語以外の行為や状態を表す、4. 不定詞は時に述語動詞のように振舞う、の4つである。

不定詞は名詞として振舞う

不定詞は「〜するということ」という意味で名詞として振舞う。ただし動詞としての性格が残っているので、「急いで食べること」「エスペラントを学ぶこと」のように、副詞によって修飾を受けたり目的語を持つことができる。名詞は、主語、叙述語、目的語、前置詞の目的語になるので、不定詞や不定詞句もそれらの要素になる。また、名詞と並べて同格表現を作ることができる。

主語
resti ~のままである、留まる / kun ~と一緒に / denĝer-e 危険な / kritik-i 批判する / facil-e 容易に

下線で示している語句が主語。facile や danĝere が叙述語である。エスペラントでは主語が名詞以外の場合(主語が無い、不定詞や節の場合)叙述語には副詞を使う。

manĝ-i 食べる / rekomend-ind-e 推奨できる ← 推奨する+価値のある

不定詞は名詞とは違うので、例文のように副詞によって修飾されたり目的語を持ったものを主語にすることができる。

叙述語
praktik-i 実践する、実行する / lern-i 学ぶ / hobi-o 趣味 / lud-i 遊ぶ、演奏する、演じる
目的語
am-i 愛する、好きである / promen-i 散歩する / arb-ar-et-o 林 ← 木+集合+小さい / komenc-i 始める / lern-i 学ぶ / vol-i 〜したい、〜が欲しい / danc-i 踊る / riĉ-ul-o 金持ち ← 裕福な+人 / ĝu-i 楽しむ、享受する / kanti 歌う / kun[前]〜と一緒に / matur-ul-o 成人 ← 成熟した+人 / rajt-i[他]権利がある / voĉ-don-i 投票する ← 声+与える / kuraĝ-i[他]〜する勇気を持つ、あえて〜する / rajd-i 乗る / bicikl-o 自転車 / knab-et-o 小さな男の子 ← 男の子+小さい / povi 能力がある、可能性がある / tra-ir-i[他]通り抜ける ← 貫いて+行く / en-ir-ej-o 入り口 ← 中+行く+場所 / devi 〜しなければならない / dir-i 言う / al[前]〜に、〜へ / ver-o 真実

なお、不定詞を目的語にとれるのは他動詞に限られるが、上のリストの中でも辞書によって自動詞としたり、どちらでもないとしているものがある。例えば kuraĝi は、ReVo(Reta Vortaro) *1 や Pejv(実用エスペラント小辞典)*2 は他動詞としてるが、PIV(Plena Ilustrita Vortaro) *3は (+ inf.) と括弧書きしてある(「kuraĝas/is/os + 不定詞」の形を取る」いう意味であろう)。devi は、ReVo は他動詞とし、Pejv は自動詞とし、PIV は (+ inf.) としている。なお、動詞が自動詞であっても「動詞 + 不定詞」の形をとることは可能である。これについては後に出てくる。

*1 オンライン専用のエスペラント-エスペラント辞典、Revo のデータを使った辞書アプリもある。
*2 登録単語数が最大のエスペラント-エスペラント辞典。オンライン辞書もある。
*3 広高正昭氏が編纂し、無料で配布されているエスペラント-日本語辞典。オンライン辞書もある。配布されているのは、基本的にテキスト・データだが、各種辞書アプリケーション用データファイルもある。

前置詞の目的語

すべての前置詞で不定詞が使えるわけではない。por(〜のために), anstataŭ(〜の代わりに), krom(〜を除いて、〜の他にも), sen(〜なしに) の4つで使えるということになっている。「なっている」というのは変な言い方だが、通常はそれ以外の前置詞の目的語には使われていないのが実状だという意味である。例えば antaŭ(〜の前に)を使って「行く前に」を “antaŭ iri” のようには言わない。

jam[副小] すでに / tro[副小]あまりに〜、〜過ぎる / mal-jun-a 年長の、老いた ← 反対+若い / por[前]〜するために / edz-in-iĝ-i 結婚する ← 配偶者+女+なる / kani 歌う / lud-i 演奏する / anstataŭ[前]〜の代わりに / eĉ[副小]〜でさえ、〜ですら / unu 1つ、1つの / vort-o 単語、言葉 / salut-i 挨拶する / ankaŭ[副小]〜もまた / danc-i 踊る / krom[前]〜を除いて、〜以外に / for-ir-i 去る、遠くに行く、出発する ← 離れて+行く / adiaŭ-i 別れを告げる
同格

同格として使われる例。(「言い換え」という意味での同格で、厳密には同格と言えない場合もあるかもしれない。)

dezir-o 望み / vojaĝ-i 旅行する / kapabl-o 能力 / angl-a イギリスの、イギリス人の / lingv-o 言葉 / neces-i[自]必要がある

* 「〜語」というとき、習慣的に lingvo を省略することが多い。la anga 英語、la japana 日本語、la germana ドイツ語

la deziron と vojaĝi al Tokio、la kapablo と paroli la anglan (linvon) がそれぞれ同格(言い換え)である。文法的には不定詞は名詞の修飾句なのだろうが、自分は個人的に deziro = vojaĝi al Tokio つまり「希望、言い換えると東京に行くということ」と理解する方が何かと都合が良いように思う。

例えば、英語では something to eat(何か食べるもの = 食べるためのもの)と言えるが、エスペラントではこういう言い方は間違いになる。なぜなら something ≠ to eat だからである。この場合は、io manĝi(io = something; manĝi = to eat)ではなく前置詞の por(〜するための)を挟んで、io por manĝi と言わなければならない。名詞が不定詞の目的語(manĝi ion の関係)の場合や、不定詞が表す目的のための手段、道具、材料、行為者などの場合、前置詞の por を入れる必要がある。

ĉambr-o 部屋 / loĝ-i 住む / iu ある(人)、だれか / ripar-i 修理する

不定詞が直接名詞に係る場合、不定詞は名詞の後ろに置かれて「名詞 + 不定詞」の形をとる。この場合(前置詞が間に入らない場合)、名詞は必ず無形のものを表すもので、具体的な物や人を指すものではない。「名詞 + 不定詞」が常に同格であるとは限らず、不定詞が名詞の意味上の目的語の場合などもある(deziron vojaĝi も不定詞が名詞の意味上の目的語と見做すことも可能ではある)。その場合でも名詞は抽象的なものである。

ここで「同格」という言葉を使ったが、これは「言い換え」ではあるが、厳密には同格ではない。同格は「同じ事柄を表す文の要素の併記」なので、 “havas deziron vojaĝi” が同格表現だとすると havi という動詞が、deziron と vojaĝi という同じ事柄を表す2つの目的語を持っていることになる。しかし意味から言って deziro は havas の目的語だが、vojaĝi は havas の目的語ではないから同格とは言えず、“deziron vojaĝi” 全体で1つの要素(目的語)と捉えるのが本来文法的だと思われる。

動詞、形容詞、名詞の足りない情報を補足する

不定詞は名詞として振舞う以外に、動詞・形容詞・名詞の足りない情報を補足説明するはたらきがある。不定詞が動詞・形容詞・名詞に係る場合、通常は前置詞 por(〜のための)を介す(por 以外の前置詞を介す場合もあるかも知れないが...)。

al-parol-i 話しかける ← 〜に+話す / propon-i 提案する / promen-i 散歩する / il-o 道具(道具を表す接尾辞+名詞語尾) / oportun-a 便利な / pur-ig-i 掃除をする ← きれいな+他動詞化 / ĉambr-o 部屋 / io ある、何か(=something) / manĝ-i 食べる

しかし、以下のように前置詞を介さず「動詞 + 不定詞」「形容詞 + 不定詞」「名詞 + 不定詞」の形で直接係る場合もある。

動詞の補足説明

動詞の例から見ていくことにする。不定詞が単独では意味が完結しない動詞、意味が不足する動詞を補足する場合がある。

hezit-i 躊躇する / al-parol-i 話しかける ← 〜へ+話す / familiare 心やすく、気安く / sukces-i 成功する / tra-pas-i 通り抜ける ← 貫いて+通る / arb-ar-et-o 林 ← 木+集合+小さい / aŭdac-i[自]果敢に~する、ずうずうしくも~する、敢えて〜する / forĵet-i[他]投げ捨てる / admon-o 訓戒 / fier-i 自慢する / fil-o 息子 / afer-o 用件、件、事業 / ŝajn-i 〜に思える / bon-ord-o 順調、秩序のある状態 ← よい+秩序

「動詞 + 不定詞」の形を複合動詞と呼ぶ人もいる。「動詞 + 不定詞」の形で、動詞が他動詞の場合があるが、その場合不定詞は、動詞を補足していると捉えるよりも、目的語(不定詞は名詞相当)と捉える方が文法的と言える場合もあるように思える。

不定詞が動詞の目的を表すことがある。通常は por(〜ために)を使って「動詞 + por + 不定詞」とするところだが、特に iri, veni などの移動を表す動詞の場合 por を省略することが多い。

knabi-in-o 少女 ← 少年+女 / font-o 泉 / ĉerp-i 汲む / akv-o 水 / renkont-i[他]〜に会う / av-o 叔父・伯父 /[前]〜へ / urb-o 町、都市 / rapid-i 急ぐ
*tien (tie + n) は al tie の代替表現で、この -n は目的語とは関係なく、動きの方向や移動先を表すためのものです。(目的語以外を表す対格

移動を表す動詞に限って目的を表す意味で不定詞が使える、というのは奇妙に感じられるし、例外的な表現のようで気になる。個人的には「por + 不定詞」とするべきではないかと思ったりもする。しかし、この表現は「練習文集」にも例文があって、ごく普通に使われている。

形容詞の補足説明

次に形容詞を補足説明する例。

kapabl-a 能力のある / [副小] すでに、もう / pret-a 準備のできている / re-ir-i 帰って行く、再び行く / hund-o 犬 / em-a 〜の傾向の / dorm-i 眠っている

形容詞を補足説明してはいるが、考えようによっては、「esti + 形容詞」に係っているとも言える。エスペラントは「esti + 形容詞」を「形容詞語根部 + 動詞語尾」に置き換えて(例:estas kapabla → kapablas)、状態を表す動詞1語で表すことができるので、意味的には前に書いた「動詞の補足」と同じではないかと思われる。上の例文は動詞を補足する形に言い換えることができる。ただし理屈上そうであっても表現の習慣として違和感があったり、ニュアンス的に微妙な差異が出ることがあるのかもしれない。

名詞の補足説明

次に名詞を補足説明する例。前に「名詞 + 不定詞」の形は同格を表すと書いたが、同格でないのにこの形をとることがある。その1つ目は不定詞が名詞の意味上の目的語の場合である。

mal-permes-o 禁止 ← 反対+許可 / firm-a 硬い / serv-i 仕える / sub[前]〜の下で

前者の malpermeso paroli は「話をすることの禁止」という意味である。つまり paroli が malpermeso の意味上の目的語に当たる (malpermesas parolon の関係 )。後者は「仕えるという決意」と解釈して同格と捉えることもできるが、「仕えることを決意する」わけだから「仕えること」を目的語と捉えることも可能である (decidas servon の関係)。

他にも下のような場合がある。

tempo-o 時 / preĝ-i 祈る / hezit-i 躊躇する / kial 理由

不定詞が名詞の意味上の目的語でもないし、同格関係でもない。この場合の名詞と不定詞の関係をうまく言語化できないが、不定詞ではなく名詞を使って前置詞句で表せば de(〜の)を使って表される関係と言えそうだ(tempo de preĝo、maniero de parolo)。

「名詞 + 不定詞」の形の不定詞を、名詞として同格に使われる場合と名詞を補足説明する場合の2つに分けたが、文法的にはいずれの場合も、動詞以外に係る修飾句*と理解するのが本来ではないかと思われる(不定詞は実際には単語の形で被修飾語に係る場合もあるが、不定詞自体は必要に応じて句になり得るので句修飾と考える)。「名詞 + 不定詞」の形を取れるのは、不定詞が意味的に de 前置詞句に置き換えできる場合のようである。また、この形で使われる名詞は無形のものを表すものであって具体的なものを表すものでない。

* 動詞以外を「句」の形で修飾するもので(名詞を修飾する形容詞、形容詞や他の副詞を補足説明する副詞以外の修飾語)、前置詞句に言い換えできるものを suplemento と呼んだりする。広くは「節」の形で動詞以外を修飾するものもこれに含める。

コチラのサイトに「名詞+不定詞」の形が使える動詞や詳しい説明が載っている(自分の理解と少し違うが...)。

主語以外の行為や状態を表す不定詞

不定詞が述語動詞(文の主要動詞)の主語でなく目的語(対格で示された人や物)や与格(al ~ で示された人や物)の行為や動き、状態を表すことがある。

よく使われるのは、「何かが〜しているのを見る(聞く・感じる)」といった知覚を表す動詞とともに知覚対象の行為・動き・状態を説明する場合である。

vid-i 見る / tur-o 塔 / fal-i 倒れる、落ちる / aŭd-i 聞く / pord-o ドア / ferm-iĝ-i 閉まる / sent-i 感じる / kor-o 心臓、心 / bat-i 打つ、叩く / rapid-e 速く

観察行為を表す動詞と説明されていたりもするので、これ以外の動詞も応用できるのかもしれない。imagi(想像する)も同じ使い方ができると書かれているものもある。

動詞が「命令する」「許す」「強いる」「放っておく」「手助けする」「邪魔をする」「助言する」「咎める」「請う」…といったような他者に影響を及ぼす意味を持つ場合、他者(対格や al 前置詞句で示される人)の行為を表す場合がある。

ordon-i 命じる / star-iĝ-i 立つ / permes-i 許す、許可する / ek-ir-i 出発する ← 始める+行く / dev-ig-i 強いる、〜させる ← 義務+使役化 / ankaŭ[副小]〜もまた / las-i ~するに任せる、手放す / help-i 助ける、手助けする / ord-ig-i 片付ける ← 整理された+他動詞化 / bruo 騒音 / ĝen-i 邪魔する・難しくする・手間を取らせる / inter-parol-i 会話する ← 〜の間で+話す / konsil-i 助言する / ŝvit-ban-ej-o サウナ風呂 ← 汗+水浴させる+場所 / mal-rekomend-i 反対する ← 反対+推奨する / pet-i 請う / kred-i 信じる / pri[前]〜について

ザメンホフは「練習文集」の中で下のような意味でもこの形を使っている。

por[前]〜のために / don-i 与える / trink-i 飲む

ただし doni が日本語の「〜してあげる」と同じように授受動詞として広く使えるというわけではなく、特殊な一種のレトリックとして使っているのだろうと想像する。

不定詞は時に述語動詞のように振舞う

述語動詞は主要動詞とも呼ばれ、文には必ず存在するものだ。しかし、述語動詞が無く不定詞だけで文や節を構成することがある(完結した文もしくは節と見做される)。なおこのとき主語は除かれる(不定詞は文法上の主語をとらない)。

est-i 存在する / mal-kaŝ-e 隠さずに ← 反対+隠す+副詞語尾 / dir-i 言う / fum-i [他]喫煙する、[自]煙が出る

このような表現がなぜ可能なのか、何を表現しているのかを理解するのはとても難しそうである。個人的な理解だがコチラで愚考してみた。

分詞 -- 相と態

能動分詞

分詞とは動詞から派生した形容詞、副詞、名詞で、「〜している(しつつある)」「〜し終わっている」「〜しようとしている」といった意味合いを含むものを言う。例えば paroli(話す)を例にすると、「話しつつある」「話し終わっている」「話そうとしている」といった形容詞や、「話しながら」「話し終わって」「話そうとして」といった副詞、「話している人」「話し終わった人」「話そうとしている人」といった名詞のことである。

行為や動きを時間の流れとの関係から区別する表現形式を「相」と言うが、エスペラントでは分詞を使って、継続相、完了相、将然相を区別することができる。これらの相は過去、現在、未来を表現する「時制」とは違う。ある時点で行為を、これから行うのか、行っているところか、すでに行ったのか、という視点から見た表現だ。1時間前の時点で「話していた」と今「話している」は、動詞の時制はそれぞれ過去時制と現在時制になるが、どちらもその時点で行為を継続中なので継続相ということになる。

どのようにして動詞から分詞が作られるか形容詞で示す。

動詞 語根 分詞語尾 分詞形容詞 意味
paroli
話す
parol
継続相 -ant- parolanta 話している
完了相 -int- parolinta 話し終わっている
将然相 -ont- parolonta 話そうとしている

「将然相」という言葉は「〜まさに〜しようとしているところ」のように、これから行おうとしている動作・行為が「間近な」というニュアンスのように受け取れるかもしれないが、必ずしもそういう意味ではない。未然相という言い方もあるかも知れないが、それだと「まだ〜していない」という否定的なニュアンスが濃くなるので、このまとめでは肯定的なニュアンスの用語を使ってみただけである。

-ant-, -int-, -ont- を分詞接尾辞と言う。分詞接尾辞に -a, -e, -o の品詞語尾を付けて形容詞、副詞、名詞を派生させる。これを使って実際に文を作ってみる。

形容詞の例。

antaŭ[前] 〜の前に / nun[副小]今 / hor-o 時間、時刻 / post 後、後ろ(時間・順序・列)

上の分詞形容詞は叙述語に使われているが、修飾語にもなる。

下は分詞副詞の例。

名詞にすると行為や状態ではなく人を表す。

こういった意味で分詞名詞を使うこともあるが、しばしば一般名詞化する。例えば parolanto は「今話している人」という意味でもあるが、一般化され「話者」というような固定した意味でも使われる。

受動分詞

受け身表現の分詞がある。例えば「掴まえられつつある」「掴まえられてしまっている」「掴まえられようとしている」といった意味を表す分詞である。これを受動分詞と言う。受動分詞は接尾辞の -it-, -at-, -ot- を付けることで作られる。受動分詞に対して -int-, -ant-, -ont- によって作られる分詞を能動分詞と言う。

動詞 語根 分詞語尾 分詞形容詞 意味
kapti
掴まえる
kapt
継続相 -at- kaptata 掴まえられつつある
完了相 -it- kaptita 掴まえられてしまっている
将然相 -ot- kaptota 掴まえられようとしている

形容詞の例。受動分詞の行為者は前置詞 de を使って表す(英語の by に相当)。これは英語の受動態文に相当する。

kapt-i 掴まえる

mia, via などの所有代名詞とともに使われる受動分詞形容詞は、使い方が日本語のそれとは違うので注意が必要だ。

am-i 愛する / leg-i 読む

副詞の受動分詞の例。

kat-o 猫 / mort-i 死ぬ / barakt-i じたばたする / for-kur-i 走り去る ← 遠くに+走る

名詞の受動分詞の例。

分詞の副詞的用法について

分詞の副詞的用法は英語の分詞構文と同じような構造をしているが、同じように使えない場合もある。

konsider-i 考える / aĝ-o 年齢 / saĝ-a 賢い / mal-kaŝ-e 隠さず、率直に / respekt-ind-a 尊敬されるべき ← 尊敬する+値する

エスペラントでは、分詞の意味上の主語は、述語動詞の主語と同じでなければならない。また、"〜ante" は「〜しながら」という意味にしかならない。最初の例文は「彼(男A)は彼(男B)の年齢を考えながら、彼(男A)は賢い」というナンセンスな文になる。

例文の日本語の意味を表したい場合、エスペラントでは「se 不定詞」を使う。例:Se konsideri lian aĝon(彼の年齢を考えると)、Se malkaŝe diri(率直に言って)。このような不定詞の使い方については、「文や節に単独で使う不定詞」にまとめてみた。

相について

相については自分自身よく呑み込めていないので、相とは何かをうまく言語化できない。他にも起動相、終了相、結果相、習慣相、反復相、などといった用語を目にすることもある。分詞だけが「相」を表現するわけではなく、接頭辞や接尾辞によって区別することもあるし、適当な副詞を加えることで区別できる場合もある。

動詞語尾と接辞 -ig-, -iĝ-, ek-, el-, -ad-

エスペラントの動詞には他の品詞の語尾を動詞語尾に変えたり加えただけのものがある。またエスペラントの使用者は語根から自由に動詞を造語することができる。ただし誰かが動詞化した単語がすでに定着していて自分の表したい意味と違っているかもしれないので、動詞に限らないが造語においてはすでに定着している単語があるか、それはどういう概念を表すのかを確認する必要がある。

jes[間投]はい / fraz-o 文、句 / ĝust-a 正しい / kap-jes-i 肯定する、肯首する ← 頭+はい+動詞語尾

単純に他の品詞を動詞語尾にするだけでも動詞を造語することはできるが、接尾辞の -ig-, -iĝ-, -ad- や 接頭辞の ek-, el- などを加えることで簡単な手順でより詳細な概念を持つ動詞を作ることができる。

これらの接辞は、動詞以外の品詞から動詞を作るだけでなく、自動詞を他動詞に変えたり他動詞を自動詞に変えたりする。また動詞の意味を変えるものもある。例えば sidi は「座っている」「腰掛けている」という状態を表す動詞だが、-iĝ- という節尾を付けて sidiĝi とすると「座る」「腰掛ける」という瞬間的もしくは短時間の動作を表すようになる。以下にそういった使い方をする接辞の例を挙げてみる。

-ig-

-ig- は動詞以外の品詞や自動詞の後ろに付けて他動詞を作る接尾辞である。

形容詞などに -ig- を付けて他動詞にする。

pur-a きれいな、清潔な / ĉambr-o 部屋 / varm-a 暖かい、温かい / sup-o スープ / nul-o ゼロ / mend-o 注文

自動詞を他動詞にする。

kuŝ-i[自]横たわっている / libr-o 本 / tabl-o テーブル / brul-i[自]燃えている / leter-o 手紙 / fal-i[自]落ちる、倒れる / mur-o 壁

使役や強制の意味をもった他動詞を作る。もともと他動詞の場合もある。

rid-i[自]笑う / star-i[自]立っている / aranĝ-i[他]手配する、配置する / manĝ-aĵ-o 食べ物 ← 食べる+物
-iĝ-

-iĝ- は自動詞を作る接尾辞だ。色々な意味合いで使われる。

動詞以外の品詞から自動詞を作る。

san-a 健康な / ge-edz-o 夫婦 ← 男女+配偶者 / graci-o 氷

他動詞から自動詞を作る。

pord-o ドア / ferm-i[他]閉める / pro[前]〜のために(原因・理由)/ nask-i[他]生む / vilaĝ-o 村 / konkurs-o 競技会 / fin-i[他]終える

状態を表す自動詞から動作・行為を表す自動詞を作る。

star-i[自]立っている / kulp-i[自]罪がある

他動詞から受け身的な意味を表す自動詞を作る。

pun-i 罰する[他]/ iu ある人、ある物 / ĵet-i[他]投げる、突き飛ばす

自動詞の意味を変える。本来自動詞だから、iĝi を付ける必要はないのだが、何らかのニュアンスを加えるために付けることがある。

mort-i[自]死ぬ

mortiĝi は mori(死ぬ)という元来の自動詞の意味を変えたものだ。morti は生から死への変化を結果として捉えるが、mortiĝi にすると生から死への変化を経過として捉えることになる。ザメンホフは -iĝi- を付けて「偶発の何かで予期せず死ぬことになった」のようなニュアンスで使っていたとのことである。

ek-

ek- は動作の開始や瞬間的な動きを表す接頭辞である。

el-

el は本来「〜の中から」という意味を表す前置詞だが、接頭辞としてもよく使われる。接頭辞の el- は何かが「外に出てくる」というニュアンスを表すためにも使われるが、「行為が完了する」「目的を達成する」「〜しつくす」といった意味を表すためにも使われる。

-ad-

-ad- は動作や行為の継続や繰り返しを表す接尾辞である。しばしば 〜ado の形で一定の時間や期間をかける行為を表す名詞を作る時にも使われる。

疑問文

「はい」「いいえ」で答える疑問文

「はい」「いいえ」で答えてもらう疑問文は普通の文の先頭に副詞的小辞の ĉu を加えて作られる。

ŝat-i 好む、高く評価する

実際の会話では、文の最後に ĉu を付けたり、確認の語句を追加したりすることもある。.... 実際の会話では ĉu を付けないでイントネーションだけで質問する場合もあるだろうが...

「〜か、それとも〜か」という意味の場合、接続詞 aŭ を使う。

aŭ[接] あるいは / te-o お茶(紅茶)

Ĉu で尋ねられた質問に対して丁寧に返事をするときは、まず間投詞的に Jes(はい)または Ne(いいえ)を言い、さらに肯定または否定する文を簡潔に繰り返すのが普通ではなかろうか。

否定文で質問することもある。

このときの答えの Jes、Ne は2通りあるようだ。答えが「好きです」という肯定文だから Jes と答える場合と、疑問文の中の「好きではない」を肯定する意味で Jes とする場合である。どちらが正しいとか間違っているとかは断言できない。多分の前者の答え方をする人の方が多いのだろうが ...

「ĉu ~, ĉu ~」の形は「〜であろうと、〜であろうと」という意味の譲歩の意味を表す。

amik-o 友人 / mal-amk-o 敵

疑問詞を使う疑問文

疑問詞を表にしてみた。

代名詞的 物・事 kio 何?
指示詞的
(代名詞的)
人・物・事 kiu 誰?どの?どれ?
所有 kies 誰の?どれの?だれ(どれ)のもの?
形容詞的 性質・状態 kia どんな?
副詞的 場所 kie どこ?
kiam いつ?
理由 kial なぜ?
方法・様子 kiel どのように?
数量 kiom どのくらい?
kio

kio は日本語の「何」にあたる。

Unua libro エスペラントの最初の本 / instru-ist-o 教師 ← 教える+人 / japan-o 日本人 / onkl-o 伯父、叔父 / ŝat-okup-o 趣味 ← 好き+仕事

必要に応じて対格語尾や前置詞を付ける。

pri 〜について、〜に関して(話題)/ por 〜のために(目的)/ uz-i 使う / il-o 道具 ← 道具・手段を表す接尾辞+名詞語尾 / per 〜で、〜を使って(道具、手段)/ vesti 着せる、〜で装う / ceremoni-o 儀式、儀礼 /
kiu

kiu は本来「どの〜」にあたる疑問詞だが、「だれ」「どれ」の意味でも使われる。

pak-aĵ-o 荷物 ← 包装する+もの / aparten-i 所属する / bret-o 棚 / fil-in-o 娘 ← 息子+女 / ĉap-o 縁のない帽子

必要に応じて対格語尾、前置詞を付ける。

kolor-o 色 / en 〜の中に / ĉambr-o 部屋 / kon-i 知っている / al 〜に(与格、方向)/ don-i 与える、渡す、もたらす / aĉet-i 買う
kies

kies は「誰の〜」「どれの〜」という意味の所有を尋ねる疑問詞だが、「誰のもの」「どれのもの」という意味でも使われる。

patr-o 父親 / libr-o 本
kia

kia は「どんな」という意味で性質や状態を尋ねる。必要に応じて複数形語尾、対格語尾を付ける。

sup-o スープ / aŭt-o 自動車 / novel-o 中編小説 / ventego 大風 ← 風+大きい
kie

kie は「どこで(に)」という意味で場所を尋ねるときに使われる。

loĝ-i 住む / urb-o 町、都市

「どこへ」「どこから」「どこまで」といった移動を表す場合は意味に応じた前置詞を付ける。

al[前] 〜へ(方向・移動先) / de[前]〜から(起点・始点) / ĝis[前]〜まで(到達)

al kie は、代替表現の kien (kie + 対格語尾) で表す方が多いように見受けられる。この対格語尾は目的語を表すためのものではなく、動きの方向や移動先を表す。参照:[目的語以外を表す対格

kiam

kiam は時間を尋ねる疑問詞で、「いつ」に当たる。「いつから」「いつまで」といった表現には意味に応じた前置詞を置く。

el-lit-iĝ-i 起床する ← 〜の中から+寝床+自動詞化 / konstru-i 造る、構築する / dom-o 家 / lern-ad-i 続けて勉強する ← 勉強する+継続を表す接尾辞 / 学ぶ / nokt-e 夜に

kiam は副詞的な疑問詞である。kiam に形容詞語尾 -a をつけて形容詞的に使うことが可能である(いつの時の)。

ĉe 〜のところで / je 汎用前置詞 / kun-sid-o 会合、集会 ← 一緒に+座る / inter-parol-i 会話する ← 〜の間で+話す / last-e 最後に、終わりに、最近
kial

kial は「なぜ」という意味で理由・原因・動機を尋ねるときに使われる。

plor-i 泣く / respond-i 答える、返事をする
kiel

kiel は「どのように」という意味で、方法や様子を尋ねるときに使われる。

bon-gust-a 美味しい ← 良い+味がする / kuiri(加熱して)料理する / manĝ-aĵ-o 食べ物 ← 食べる+物 / malvarme 寒く ← 反対+暖かい / fart-i 健康状態である
kiom

kiom は数量を尋ねるときに使われる。

vol-i 欲しがる / du 2 / tri 3 / kost-i 費用がかかる / ring-o 指輪、輪 / long-e 長く / atend-i 待つ

「何人」「何個」「何杯」のように具体的な数で答えてもらいたいときは、前置詞の da を使って尋ねることもできる。参照:[前置詞 da

infan-o 子供 / glas-o グラス / trink-i* 飲む
*trinki とよく似た動詞に drinki(酒を飲む)がありますが、これは「嗜好で沢山飲む」というニュアンスがあります。ここで drinki を使うこともできますが、ニュアンスによります。

「〜 da 名詞」の形の中心となる語は da の前の 「〜」 なので「〜 da 名詞」が目的語のとき 「〜」の部分が対格になる。しかし「kiom da 名詞」の場合 kiom は対格にならない。これは kiom の最後が子音で n を付けれられないからという理由ではない。「〜 da 名詞」の「〜」に副詞を使い multe da biero(沢山のビール)、 sufiĉe da amo(十分な愛)のような表現が可能だが、このとき da の前の副詞は目的語であっても対格にしない。

時刻や回数を尋ねるときなどに kioma と形容詞語尾を付けて尋ねる言い方がある。kioma は「何番目の」という意味で序数を尋ねる時に使う。「何時に」「何回目に」などように尋ねるときは前置詞の je やその他の前置詞を付ける。

hor-o 時刻、時間 / je[汎用前置詞] / ating-i[他]到着する / foj-o 回数 / sukces-i 成功する / ekzamen-o 試験

je は、本来固有の意味を持たない汎用的な前置詞で、ピッタリくる前置詞がないときに使えるが、定着した使い方として時刻や回数を表す時に使われる。なお je 前置詞句は対格に言い変えることができるので(je ~ → ~on)、je kioma horo, je kioma fojo は kioman horon, kioman fojon のように言うことができる。

階数を尋ねるときは kioma etaĝo より kiu etaĝo を使うことが多いのではないかと思われる。

疑問の相関詞・普遍の相関詞・不定の相関詞

疑問の相関詞

前項で取り上げた疑問詞は、疑問の相関詞とも呼ばれる。相関詞とは、日本語の「こそあど」に相当する一群の単語で[相関詞表]、tio, tiu, tie などの指示詞も相関詞の1つだ。相関詞は語の前半部と後半部で規則的な組み合わせになっているが、接頭辞や語尾の組み合わせではなく、これ以上分割できない小辞(語根語)である。

疑問の相関詞は疑問詞として使われるだけでなく、下に示したようないろいろな役割で使われる。この項では 2 〜 4 の使い方を取り上げる。

  1. 疑問詞(何、どの、どんな....)
  2. 感嘆文における指示詞(まあなんとそんな、まあなんとそんなにも、...)
  3. 時や場所を表す副詞節を導く接続詞(〜するとき...kiam, 〜するところで...kie)
  4. 譲歩節を導く接続詞(〜であろうとも)
  5. 関係詞節を導く接続詞(〜である, その、〜する, その)
  6. 比較従属節を導く接続詞(〜であるのと同じくらい ... kiel, ...kiom)
  7. 名詞節を導く接続詞(〜であるかということ)
感嘆文における指示詞

kia, kiel, kiom は感嘆文において感嘆のニュアンスを含む指示詞(指示形容詞的、指示副詞的)として使われる。

  1. Kia ĝoja festo! 何と楽しいお祝いか!(まあ、なんとそんな)
  2. Ho kiel tio min malĝojigas! おお、なんと私を悲しませることか!(まあ、なんとそんなにも)
  3. Ha, kiel agrable! なんと心地良いことか!(まあ、なんとそんなにも)
  4. Kiom ofte li tion ripetis! 彼は何度繰り返したことか!(まあ、なんとそれほど)
ĝoj-a 楽しい / fest-o お祝い / mal-ĝoj-ig-i 悲しませる ← 反対+楽しい+させる / agrabl-a 心地良い / oft-e 度々、しばしば / ripet-i 繰り返す

2. の kia は形容詞相当なので ĝoja(楽しい)に係っているのでははなく、ĝoja festo(楽しいお祝い)に係っている。ĝoja に係るように kiel を使うこともできる。3. は漠然とした状況を表す無主語文だが、感嘆文では動詞が省略されることが多い。

時や場所を表す副詞節

kiam や kie は、時や場所を表す副詞的節を導く(〜が〜するとき、〜が〜するところで)。

jun-a 若い / rev-i 夢見る、夢想する / pri[前]〜について / dezir-o 望み / riĉ-a 金持ちの / mult-a 多い / amik-o 友達 / nun[副小]今 / labor-i 働く / antaŭ-e 以前に

実は、これらは先行詞が省略された関係詞文と捉えることが可能である。参照:「先行詞の省略

譲歩節を導く接続詞

疑問の相関詞は無差別を表す小辞の ajn(〜であろうとも)とともに使って譲歩節を導く。譲歩節とは条件節において無差別に条件を許容する」という意味で「たとえ〜であろうと」といった意味を表す。

kred-i 信じる / vok-i 呼ぶ、来させる / ven-i 来る、相手のところへ行く / manĝ-aĵ-o 食べ物 ← 食べる+物 / sekv-i 後に続く / vol-ont-e 喜んで 〜したい+将然文詞 / mal-sukces-i 失敗する ← 反対+成功する

ajn は後に出てくる普遍の相関詞(ĉio, ĉiu, ...) や不定の相関詞(io, iu, ...) とも組み合わせて使われるが、条件節を導く接続詞として使えるのは疑問の相関詞である。

venos al li の venos は「相手のところに行く」という意味である。確信はないが、「自分のところから出かける」というニュアンスでは iros とも言えると思う。なお、li は、ここでは女性も含める。エスペラントでは li は性に関係なく3人称の代名詞としても使われる。「練習文集」の中にこのような li の使い方の例が見える。「練習文集」では指示代名詞 ĉiu(だれしも)を使って話題にした人物を再度取り上げるときに li を使っている。エスペランチストの中にはこのような li の使い方に反対する人もいるが...

普遍の相関詞

下表は普遍の相関詞である。これらは「何もかも」「だれもかれも」「どの〜も」「どこでも」「いつでも」... といった意味を表す。すべて ĉi- で始まる(ĉi は接頭辞ではない)。

代名詞的 物・事 ĉio 何もかも
指示詞的
(代名詞的)
人・物・事 ĉiu どの〜も、どの人も、どれも
所有 ĉies 誰(どれ)の〜も、誰(どれ)のものも
形容詞的 性質・状態 ĉia どんな〜も
副詞的 場所 ĉie どこにでも
ĉiam いつも
方法・様子 ĉiel あらゆる方法で
理由 ĉial あらゆる理由で
数量 ĉiom 全部、全量
mensog-o 嘘 / angl-a 英国の、英国人の / hund-o 犬 / aparten-i 所属する
amik-o 友人
ten-i 維持する、保持する→ teni sin 態度を取る / dev-i 〜しなけらばならない / ajn[副小] 無差別を表す / obe-i 従う、服従する / ordon-o 命令 / mastr-o 主人、雇い主
plej [副小]最も / varme 暖かく、温かく / fil-in-o 娘 ← 息子+女 / murmur-i ブツブツ言う / ĉarm-e 魅力的な
demand-i 質問する / respond-i 答える / manĝ-aĵ-o 食べ物 ← 食べる+物

普遍の相関詞に無差別を表す ajn を加えることがある(例:ĉiam ajn; ĉie ajn)。普遍の相関詞自体が「すべての」という意味だから、無くても構わないと思うが強調することになるのだろう。

不定の相関詞

不定の相関詞を見ていく。不定の相関詞は「あるもの」「ある人」「ある〜」「ある時」「ある場所で」... のような意味を表す。すべて i- で始まる(i は接頭辞ではない)。

代名詞的 物・事 io あること、あるもの、何か
指示詞的
(代名詞的)
人・物・事 iu ある〜、ある人、あるもの、何かの、何か
所有 ies ある人の、あるものの、だれかの、どれかの
形容詞的 性質・状態 ia ある性質の、ある状態の
副詞的 場所 ie ある所で、どこかで
iam ある時、いつか
方法・様子 iel ある方法で、どうにか
理由 ial ある理由で、なぜか
数量 iom ある程度、いくらか
terur-a 恐ろしい / okaz-i 起る / plor-i 泣く / pord-o ドア / ĉapel-o 縁無し帽 / mal-feliĉ-o 不幸 ← 反対+幸福
vin-o ワイン / nur 〜だけ、ほんの / acid-a 酸っぱい / farb-i ペンキを塗る ← farb-o ペンキ / vand-o 間仕切り / hel-a 明るい / kolor-o 色
loĝ-i 住んでいる / trov-i 見つける / vizit-i 訪れる

副詞的小辞の ajn は不定の相関詞にも使える。ie は「あるところで」「どこかに」という意味だが、ie ajn とすると「どこであろうと」「どこであっても」という意味になる。ajn は ĉie にも使われているのを見かける。

mal-gaj-a 陰気な、気分の沈んだ ← 反対+陽気な / hispan-a スペインの、スペイン人の / buter-o バター / da 参照:[数と前置詞 da

iom は本来の意味である不定の数量を表すこともあるが、日本語と同じで「いくらかの」「数個の」のような「それほど多くない」というニュアンスを表すこともある。

話法

直接話法は会話の内容を引用符で括って表す。

dir-i 言う / port-i 携帯する、身に付ける、持っている、運ぶ / donac-aĵ-o 贈り物 ← 贈る+物 / demand-i 質問する / prezent-i 差し出す、見せる / kol-ĉen-o ネックレス ← 首+鎖

例文のように引用符の前にコロンを入れることが多い。

贈り物を指して、地の文では ĝi を使い、引用符の中では ĉi tiu を使っているものがある。これは、ĝi は文脈中のものごとを再び取り上げるときに使い、目に見えているものや手元にあるものなどを指すときは ĉi tiu などを使うのが原則だからである。おそらく実際の会話では ĝi と tiu/ĉi tiu を自然と区別すると思われるが、作文では混同してしまいそうだ。ただし、どれほど厳密に区別されているのかよくは知らない。

間接話法は会話の内容を従属節を使って表す。従属節を導く接続詞には、平叙文なら ke、疑問文なら ĉu または 疑問詞を使う。

例文の様に、従属節の前にコンマを入れることが多い。

贈り物を指すのにすべて ĝi を使ってあるのは、文脈中に出て来たものを指すからである。

以下は間接話法による簡単な例文。

grand-a 大きい / dom-o 家 / tre[副小」とても / aĉet-i 買う / dom-o 家 / loĝ-i 住んでいる / fart-i ~の健康状態である / klopod-i 尽力する、奔走する

直接話法と間接話法では人称が変わる。直接話法では引用符内は人称が独立しているが(引用符内の話し手が mi)、従属節では主節の主語(文の書き手、話し手が mi)から見た人称にする。

エスペラントの間接話法では時制の一致は無いので、動詞の時制語尾は基本的にそのまま保たれる。

直接話法と間接話法では時の表し方が変わる。hodiaŭ(今日)、hieraŭ(昨日)、morgaŭ(明日)などを、相対的な表現の la antaŭa tago(前の日)、tiu tago(その日)、posta tago(次の日)などに変える必要がある。

mal-san-a 病気の ← 反対+健康な / ver-ŝajn-e きっと ← 本当の+らしい

nun(今)は変更せずにそのまま使える。laste(最近)ĵus(さっき)baldaŭ(もうじき)などもそのまま使える。

vol-i 〜したい / far-i する / post-e 後で

hieraŭa(昨日の=前の日の)、hodiaŭa(今日の=その日の)、morgaŭa(明日の=次の日の)もそのまま使える。

leg-i 読む / al-port-i 持って来る、もたらす ← 〜へ+運ぶ

場所を表すのに指示詞を使うと、直接話法と間接話法で表し方が変わる。あるとき誰かとニューヨークについて話をしたとする。そして今自分は旅行でニューヨークに来ているとすると、その時の会話は下のような表現になる。

dezir-i 希望する / vojaĝ-i 旅行する

会話の内容が kia, kiel, kiom を使った感嘆文の場合、間接話法で、それらを引用のための接続詞として使うことはできない。

  1. Eva prenis ĝin kaj diris: “Kia bela kolĉeno ĉi tiu estas!.”
    エヴァはそれを手に取り「まあ、これって何て綺麗なネックレスでしょう」と言いました。
  2. (誤)Eva prenis ĝin kaj diris, kia bela kolĉeno ĝi estas!.
    エヴァはそれを手に取り「まあ、これって何て綺麗なネックレスでしょう」と言いました。.... という意味にならない
  3. (正)Eva prenis ĝin kaj diris, ke ĝi estas tre bela kolĉeno.
    エヴァはそれを手に取り、とても綺麗なネックレスだと言いました。
dezir-i 希望する / vojaĝ-i 旅行する

2. の kia 以下は上のような訳文にならず、「それがどんな綺麗なネックレスなのかについて話しました」という意味になる。つまり kia, kiel, kiom 以下は引用ではなく疑問の従属節になる。

間接話法の中の ke で始まる節(ke 節)や疑問詞で始まる節(疑問節)は全体で名詞相当(名詞節)と捉えることができる(〜ということ、〜かということ)。"demandis al li, ke ..." のような文だと ke 節は文の要素としては目的語と捉えることができる。しかし "demandis lin, kial ..." の kial 疑問節を目的語と捉えると文中に “lin” と “kial ...” の2つの目的語が存在することになって、文法的にはありえないことになる。実はこのような文の疑問節は pri 前置詞句の省略表現だと捉えることで、文法的にあり得る構造だということになる。つまり

"demadis lin, kial ..." = "demandis pri tio, kial ...."

の pri tio を省略したもので、疑問節(kial ....)は 指示代名詞 tio の言い換えと考える。これについては、次の「名詞節」の項目中の「同格表現」を参照してください。

名詞節

ke 節、ĉu 節、疑問の相関詞が導く従属節は名詞相当の従属節としてはたらく。

ke 節と ĉu 節 -- 名詞節

ke 節 と ĉu 節は「〜ということ」「〜かどうかということ」といった意味の名詞節を導く。名詞節は名詞と同じように主語、目的語、叙述語、前置詞の目的語になる。また名詞と並べて同格表現(言い換え)を作ることができる。

主語として

ke 節 や ĉu 節は主語になる。

  1. Okazis, ke la reĝino mortis. 女王が亡くなるという出来事が起こった。
  2. Estos grave, ĉu pluvos aŭ ne. 雨が降るかどうかが重要になるだろう。
  3. Estas bone, ke vi sidiĝos sur tiu seĝo. その椅子に掛けるといいよ(その椅子に腰掛けることは良い)。
  4. Estas konsiderate, ke Esperanto estas la plej facila lingvo en la mondo. エスペラントは世界でもっとも易しい言語だと考えれている。
mort-i 死ぬ / grav-e 重要な / sid-iĝ-i 坐る ← 坐っている+動作化 / sur[前]〜の上に / konsiderat-e 考えられる ← 考察する+受け身 / plej 最も / mondo 世界 / ebl-i 可能である、あり得る / streb-o 奮闘、努力

動詞が最初に来て、主語が後ろに来ているが、主語が従属節のときこのような語順の文をよく見かける。もちろん規則ではない。1. は SV の構文である。2. 〜 4. は主語の叙述文つまり SVC の構文である。主語が ĉu 節または ke 節で、grave, bone, konsiderate が叙述語である。主語が ĉu 節または ke 節の場合(従属節の場合、つまり名詞以外の場合)叙述語は副詞になる。

ke 節や ĉu 節を主語として使う文として、下のような確かさを表す表現がよく使われる。

ŝajn-i おそらく〜だ、〜のように思える / ŝajn-e おそらく、見かけ上(≒ ver-ŝhajn-e きっと ← 真実+おそらく+副詞語尾)、見かけ上 / mal-facil-a 難しい ← 反対+易しい / buŝ-o 口 / el-salt-i 飛び出す ← 〜から+跳ねる / perl-o 真珠 / diamant-o ダイヤモンド / cert-i(=esti certe 確かである)/ mort-i 死ぬ / ver-i 本当である(=esti vere) / renkont-i 会う

ŝajnas, certas, veras のように、動詞1語で estas ŝajne, estas certe, estas vere と同じ意味を表すこともある。

pov-i 可能性がある / infan-et-o 子ども、幼児 ← 小さい+子ども / mal-sat-a 空腹の ← 反対+満腹の / aspekt-i 見える / dev-i 違いない / ven-i 来る / infan-ec-o 幼児期、子供らしさ ←子供+性・さ

名詞節とは関係ないが povas esti, devas esti は、それぞれ「〜である(いる)ことができる」「〜であらねば(いなければ)ならない」という意味のときもある。

こういった ke 節が主語の文は、実際には ke 節内の主語を節の外に移動して簡潔に表せる場合が多い。

叙述語として
raport-o 報告 / problem-o 問題
目的語として
trans-lok-iĝ-i 引っ越す ← 向こう側+場所+自動詞化 / permes-i 許す / dub-i 疑う / ven-i 来る、相手のところへ行く
前置詞の目的語として

すべての前置詞で使われるわけではなく、por(〜のために), anstataŭ(〜の代わりに), malgraŭ(〜にも関わらず), krom(〜を除いて、〜の他にも), sen(〜なしに) の目的語にできるということになっているようだ。

anstataŭ[前]〜の代わりに / ĉiu それぞれ(の人)/ mal-sam-a 違う ← 反対+同じ / lingv-o 言葉 / pen-i 努力する / daŭr-ig-i 続ける ← 続く+他動詞化語尾 / postul-i 要求する / montr-i 示す / sindon-ec-o 献身 ← 自分を+与える+性 / estim-o 尊敬 / tuŝ-i[他]触れる / romp-i 壊す
意志法と ke 節

ke 節が命令・要求・使役・意志・願望・嘆願などの中身を表す場合には、節内の述語動詞に意志法(-u)が使われる。

ordon-i 命令する / el-far-i 〜完遂する+する / vesper-o 夕方 / trud-i 強要する、押し付ける / ekzerc-i 練習・訓練して鍛える / lud-ad-o 演奏、上演、遊び、ゲームなどをすること ← 演奏+継続 / vol-i 欲する、〜したい / labor-i 働く / dezir-i 望む / feliĉ-e 幸福に / edz-in-iĝ-i 妻になる ← 夫+女+自動詞化 / hieraŭ 昨日 / labor-estr-o 仕事の長 / pet-i 頼む / atent-a 注意深い

「願望の中身」と書いたが、なぜか esperi(希望する)の中身を表す ke 節では?あまり?ほとんど意志法を使わないようだ。(esperi の持つ意味合いがよく分からない)

konfes-i 告白する、白状する、懺悔する

目的を表す従属節でも意志法が使われる。por ke ~(〜が〜するために)がこれに当たる。

don-i 与える / akv-o 水 / por[前]〜のために(目的)/ trankvil-ig-i 落ち着かせる ← 落ち着いた+他動詞化(使役)/ soif-o 喉の渇き、渇望
同格表現

ke 節や ĉu 節は名詞相当なので、名詞と並べて同格を表すことができる。例文の太字と下線部が同格である。ただし、「言い換え」という意味での同格で、厳密には同格と言えない場合もあるかもしれない。

esper-o 希望 / afer-o 物事、要件、事業 / necese-ec-o 必要性 ← 必要な+性 / for-ĵet-i 投げ捨てる、放棄する / oportun-a 好都合な / vort-o 言葉、単語 / demand-o 質問、疑問

例えば前に出て来た例文は同格を使って下のように表すこともできる。

例文は tio を形式名詞として使っている。つまり tio = ke la reĝino mortis(そのこと = 王女が死んだこと) である。このような同格表現は主語に限らず叙述語、目的語、前置詞の目的語でも使える。
raport-o 報告 / sukces-i 成功する / sci-ig-i 知らせる ← 知る+使役 / baldaŭ[副小]やがて、もうすぐ / trans-loĝ-iĝ-i 引っ越しする ← 向こう側+場所+自動詞化

このような構造にすることの利点は、主語についていえば、従属節が主語だと叙述語を副詞にしなければならないが、同格を使うことで形容詞にすることができる点である。

ver-e 本当に / mort-ig-i 殺す ← 死ぬ+他動詞化

また前置詞の目的語についていうと、por, anstataŭ, malgraŭ, krom, sen 以外の前置詞では ke 節を直接その目的語にすることはないが、従属節が表す内容を名詞や形式名詞に持たせることで、その目的語にすることができるようになる。また、ĉu 節(〜かどうかということ)を前置詞の目的語にすることもできる。

tiam そのとき / mal-bel-a 醜い / plena de 〜で一杯の / tim-o 恐れ / vek-iĝ-i 目が覚める ← veki 目覚めさせる / eksplik-o 説明 / artikol-o 冠詞 / fraz-o 文

pro tio, ke ~ は、pro ke ~ のように直接 ke 節をその目的語にする人もいるようだ。

疑問詞が導く名詞節

疑問詞が導く従属節は、ke 節や ĉu 節と同じように、名詞節(〜のかということ)としてはたらく。したがって、ke 節や ĉu 節と同じように主語、目的語、叙述語、前置詞の目的語になり得る。また名詞と並べて同格表現を作ることができる。ただし「言い換え」という意味での同格で、厳密には同格と言えない場合もあるかもしれない。

以下に主語、叙述語、目的語として使われる例を挙げてみる。意味が汲み取りにくければ、demando, problemo などの名詞や tio(形式名詞)を補って同格表現にしてみると文の構造が理解しやすく、汲み取りやすいかもしれない。ただし実際には tio はそれほど使われないようだ。

  1. Estas tre malfacile, kion ni nun faru. 私たちが今何をすべきかはとても難しい。(主語)
  2. = Tio (La demando), kion ni nun faru, estas tre malfacila. 私たちが今何をすべきかということ(問題)はとても難しい。(主語)
  3. La demando estas (tio), kiel longe ni restu ĉi tie? 質問は私たちがどれぐらい長くここにいるかということです。(叙述語)
  4. Ŝi pripensis (la problemon/tion), kiom kostos al ŝi la nokta restado. 彼女は夜過ごすのにどれぐらい費用がかかるか考えた。(目的語)
  5. Mi ne scias (tion), ĝis kiam ili restos ĉi tie. 私は彼等がいつまでここにいるのか知らない。(目的語)
rest-i 留まる / pri-pens-i[他]思案する ← について+考える / kost-i 値がする、代償を要する / nokt-a 夜の / rest-ad-o 滞在 ← 滞在する+続ける / sci-i 知っている

1. は疑問詞節が直接主語になっているので、叙述語は副詞になる。2番目のように同格表現を使って名詞を主語にすると叙述語を形容詞にすることができる。

形式名詞などと同格を作ることで、疑問詞が導く従属節を前置詞の目的語にすることができる。

manier-o 方法 / solv-i 解決する / problem-o 問題 / interes-iĝ-i ← 興味を持たせる+自動詞化 / ŝanĝ-i 変える

ke 節の説明的用法

ke 節は名詞相当の従属節として使われる以外に形容詞・副詞・動詞の足りない情報を幅広く補足説明する機能がある。形容詞や副詞には指示形容詞の tia(そんな) や指示副詞の tiel(そのように)、 tiom(それほど)、tial(そういう理由で)なども含まれる。

名詞の説明は同格表現と捉えることができるので、ここでは除いている。

形容詞や副詞の説明

形容詞の説明

  1. Mi estas feliĉa, ke mi vin akceptas. 私は貴方をお迎えできて幸せです。
  2. La ventego estis tia, ke la tegoloj deflugis de la tegmentoj. 大風は屋根瓦が屋根から飛んでいくほどだった。
feliĉa 幸せな / akcept-i 受け入れる / vent-eg-o 大風 ← 風+大きい / tegom-o 屋根瓦 / tegment-o 屋根

1. は「幸せだ」について補足しているが、なぜ幸せなのか、もしくは何について幸せと感じているのかを説明していて、どのように幸せなのかを説明しているわけではない。2. は tia(そんな)とはどんなだったかを説明している。このように説明内容がどういった方面からなのかが 1. と 2. で全く異なる。

副詞の説明

  1. Ĉion mi permesis al vi escepte, ke vi ne faru tion ĉi. 私は貴方にこの事をするなという以外なんでも許した。
  2. Li faris tion spite, ke oni malpermesis. 彼は人が禁止したことに逆らってそれをした。
  3. Li batis ilin tiel, ke ili ne leviĝos plu. 彼は彼らがもう起き上がってこないように叩いた。
  4. Ili foriris tial, ke mi foriris. 彼らは私がいなくなったので去っていった。
  5. Veturigi aŭton estas tiel malfacile por la maljunulo, ke liaj membroj fariĝas tute rigidaj. その老人にとって車を運転することは手足が完全に強張ってしまうほど難しい。
  6. Ni drinkis bieron tiom multe, ke ĉiuj boteloj fariĝis malplenaj. 私たちは全部の瓶が空になるほど沢山ビールを飲んだ。
escepte 例外的に / far-i する、作る / permes-i 許可する / spit-e 逆らって / mal-permes-i 禁止する / ubati 叩く / lev-iĝ-i 起き上がる ← 起こす+自動詞化 / for-iri 去る ← 行く+離れる / vertur-ig-i 乗り物を運転する、(乗り物で)運ぶ / mal-facil-e 困難な ← 反対+簡単な / membr-o 四肢、メンバー / rigid-a 硬直した、融通のきかない / drink-i (酒を)飲む / bier-o ビール / botel-o 瓶 / mal-plen-a 空の ← 反対+満ちた /

1. 2. は、副詞の escepte(〜を除いて)、spite(〜に逆らって)の内容(何を除いて、何に逆らって)を説明している。

3. 4. は、「tiel, ke」「tial, ke」のような形になっていて、tiel(そのように)、tial(そういう理由で)の内容を説明している。

5. 6. は、「tiel 副詞, ke」「tiom 副詞, ke」のような形になっていて、それぞれの副詞の程度を説明している。

ke 節は下のように文の構造は全く同じなのに、役割が全く異なる場合があるので注意する必要がある。

  1. Estas tre strange, ke ni antaŭe neniam aŭdis pri tio. 私たちがそれについて全く聞いていないというのはとても奇妙だ。
  2. Estis tiel malvarme, ke miaj dentoj klakadis. 歯がカタカタと音を鳴らすほど寒かった。
strang-e 奇妙な / antaŭ-e 前に / neniam 一時たりとも〜ない / aŭd-i 聞く / mal-varm-e 寒い / dent-o 歯 / klak-ad-i かちかち音をたて続ける ← 叩いて乾いた音をたてる+続ける

1. の ke 節は名詞節で主語としてはたらいている。2. の ke 節は tiel に係って malvarme の程度を説明しているが、tiel が省略されることはあり得る。

ke 節が tia, tiel, tial, tiom のような指示詞とともに現れる場合は、ke 節が tia(そんな)とはどんなのか、tiel(そのように)とはどのようになのか...を表していることが容易に分かるが、それが無い場合、どの方面から説明しているのかが分かりにくい。ke 節は情報が足りない何かについて補足説明するはたらきを持っているが、ke 節自体はどの方面からの説明なのかという情報は全く持っていない(意味的関係を示す語や標識が無い)。このような場合、省略表現と捉えて隠された意味的関係を示す前置詞と、その目的語を tio と ke 節の同格表現を使って表せる場合が多い。

動詞の説明
cert-i 確かである / plen-um-iĝ-i 果たされる、遂行される ← 満ちた+汎用接尾辞+自動詞化 / fier-i 誇る、自慢する / vilaĝ-o 村 / ĝoj-i 喜ぶ / sam-a 同じ /
*um は適当な接尾辞が無いときに応用できる汎用の接尾辞。palpebr-um-i まぶた+um → 瞬きする、cerb-um-i 脳+um → 頭をひねる、熟慮する

certas は estas certa と言い換えることができる。また、fieras は estas fiera に、ĝojas は estas ĝoja に言い換えることができる。つまり意味的には形容詞を補足説明しているのと同じである。

あまり多くはないようだが、前置詞の por(〜のために)を省略した文を見かけることがある。

kovr-i 覆う、被せる / mal-varm-um-i 風邪を引く ← 反対+暖かい+汎用接尾辞 / de-nov-e 再び ← 〜から+新た

関係詞文

関係詞文は下のような構造をしている。

関係詞文とは文中の語句を従属節(関係詞節)が修飾する構造をした複文の1つだ。例文は2つとも、kiu 以下の下線部で示した従属節が virino(女性)を修飾している。

kaf-ej-o カフェ ← コーヒー+場所 / sid-i 坐っている / vir-in-o 大人の女性 ← 大人の男+女性 / leg-i 読む / ĵurnal-o 新聞

関係詞節は修飾される語句の代用形である疑問詞によって導かれる(例文では kiu)。 代用形と修飾節を導く接続詞の一人二役を兼ねた疑問詞を関係詞と言う。修飾を受ける語句を先行詞と言う。ただし典型的な関係詞文では先行詞が関係詞の前に来るが、そうでない場合もしばしばある。

例文は人が先行詞なので、関係詞にはそれに応じる疑問詞の kiu が使われているが、kiu は人以外に個々の物事について修飾する場合にも使われる。具体的な名詞で言い表せない物や事についてであれば kio を使う。関係詞節が先行詞の所有関係を表す場合には kies、状態や性質を表すものであれば kia、場所・時間・方法/様子・理由・数量を表すものであれば kie、kiam、kiel、kial、kiom を使う。

以下、関係詞文を見ていくが、必要に応じて先行詞と関係詞の数を一致させる、関係詞を対格にする、関係詞の前に前置詞を置くといったことが必要になる。また先行詞に ti-、ĉi-、i-、neni- で始まる相関詞が頻繁に使われる。なお、kial の先行詞については注意すべき点がある。

kiu

kiu は人や個々の事・物を修飾する場合に使う。先行詞と関係詞の数は一致させる。また従属節において kiu が目的語のときは対格にし、前置詞の目的語の場合は kiu の前に前置詞を置く。

vilaĝ-o 村 / loĝ-i 住んでいる / ambaŭ[限定語]その二人・二つとも(= ĉiuj du)/ hav-i 持っている / sam-a 同じ / nom-o 名前 / knab-o 少年 / bat-i 打つ,たたく / plor-i 泣く / salut-i 挨拶する、お辞儀する / renkont-i[他動]会う / strat-o 通り / jen ほらここ(そこ)に / ven-i 来る / babil-ad-i おしゃべりする(-ad- は継続・反復する行為を示す)/ knab-in-o 少女 ← 少年+女 / frat-in-o 姉・妹 ← 兄・弟+女

* ambaŭ は、冠詞のように “ambaŭ knaboj”(その二人の少年とも)のような形で名詞の前に置かれ、「その二人の〜とも」「その二つの〜とも」という意味を表すこともあるし、代名詞のように “ambaŭ” だけで「その二人とも」「その二つとも」という意味を表すこともある。また “ili ambaŭ” のように名詞や代名詞の後ろに置かれることもある。この場合は名詞・代名詞と ambaŭ が同格を作っていると見做すこともできるし、また ambaŭ が名詞・代名詞に「〜とも」という機能的な意味を添えているとも見做せる。
** sama にはほとんどの場合 la や tia が付けられる。
interes-a 興味深い / rekomend-i 推奨する / pri[前]〜について / gazet-o 雑誌 / laŭd-i 称賛する
kio

-o で終わる相関詞 は「そのこと」とか「そのもの」のような表現しかできないものを指すときに使うので、先行詞には多くの場合 tio, ĉio, io, nenio などの相関詞がくる。必要に応じて対格にしたり、kio の前に前置詞を置く。

don-i 与える / plaĉ-i 気に入る / pov-i[他]できる、~する能力がある / far-i する、作る

しかし先行詞に具体的な名詞がくることもある。

aut-o 自動車 / ja[副小]まさに、実に / plan-i 計画する、つもりでいる / aĉet-i 買う

この場合もし kiu を使うと、従属節 は「この車」と「あの車」とを区別するための情報を説明することになり、kio を使うと「車という物」についての説明になる。

kies

kies は先行詞の所有・所属関係にあるものを説明する従属節を導く。

serĉ-i 探す / unu[数詞・半限定詞]1、一つの、ある / nom-o 名前 / mal-ferm-i 開ける ← 反対+閉める / pord-o ドア / ans-o 取っ手 / arĝent-a 銀の、銀色の / stud-i 学ぶ、研究する / ĉe 〜の下で、〜のところで / cert-a ある、確かな / fil-in-o 娘 ← 子息+女 / loĝ-i 住む / sama 同じ / apartament-o アパート
*unu や certa(ある)は特定の人や物事を話題にするが、聞き手がそれが具体的に何か分かるほど言及しないときに使う。
kia

kia は性質、状態などを説明する場合に使う。先行詞と関係詞の数は一致させる。また必要に応じて対格にする。

rest-i 〜のままでいる、留まる / ĉiam[相関詞]いつも / nun 今 / divers-kolor-a 色とりどりの・カラフルな ← さまざまな+色の / ver-ŝajn-e きっと ← 本当の+〜に思える / mal-nov-a 古い ← 反対+新しい / trvov-i 見つける / nun-temp-e 現在では ← 今+時代
kie

kie は場所に関して説明する従属節を導く。

  1. Ŝi loĝas en la urbo, kie estas la fama parko. 彼女はあの有名な公園のある街に住んでいます。
  2. Mi ŝatas legi libron en ĉambro, kie estas senbrue. 私は静かな部屋で本を読むのが好きです。
  3. Mi deziras veturi al la urbo, kie(=en kiu) vi loĝas. あなたの住んでいる街に行ってみたい。
  4. Mi ne trovas la manĝejon, al kie(=kien) miaj amikoj jam iris. 友達が先に行った食堂が分からない。
  5. Jen ĉi tie estas la loko, de kie venas la bruo. ほら、ここがあの騒音が来ている(騒音を起こしている)場所よ。
loĝ-i 住む / fam-a 有名な / park-o 公園 / sen-bru-e 静かな ← 無い+騒音 / mang-ej-o 食堂 ← 食べる+場所 / jam[副小]すでに / lok-o 場所

先行詞が場所に関わる名詞の場合、kie を使うこともできるが en kiu など「前置詞 + kiu」が使える場合がある。4. の al kie は kien と対格語尾で表すことができる。

kiam

kiam は時に関して説明する従属節を導く。

patr-o 父 / re-ven-i 帰る ← 再び+来る / mal-fru-a 遅い ← 反対+早い / famili-an-o 家族の一人 / ski-i スキーをする / vintr-a 冬の / feri-o 休日(複数日の休みは複数形にする) / neĝ-i 雪が降る / atend-i 待つ / tag-o 日 / al-ven-i 到着する ← 〜へ+来る
kiel

kiel は方法や様子など説明する。また形容詞や副詞に係ってその程度を表すので、等級比較の定型的表現としても使われる。参照:「等級

kuir-i 料理を作る / sup-o スープ / tia-manier-e そんな+方法+副詞語尾 / lud-i 演奏する、遊ぶ、演じる / ali-a 他の

kiel の先行詞はほとんどの場合 tiel や tiel を含む語句になる。

kiom

kiom は数量、あるいは数量に関する程度に関して説明する従属節を導く。

labor-i 働く / ĝis[前]〜まで、〜までに / ricev-i 受け取る / mon-o 金(かね)
kial

kial は理由を表す従属節を導くが、注意する点がある。kial を使って関係詞文を作るときは、先行詞に kaŭzo(原因)・motivo(動機)・kialo(理由) などをとり、tial を使うことはほとんどない。

下の例文の日本語の意味を表すとき、先行詞に tial を使うことはできない。[参照]。

for-ir-i 去る、いなくなる ← 離れた+行く

tial, kial ~ の形にすると、「彼らは、私が去っていった理由(、その理由)で去っていった」言い換えると「彼らは、私が去っていったのと同じ理由で去っていった」という意味になり、「彼らは、私がいなくなったので去っていった」という意味にならない。

この意味を表すには、接続詞の ĉar(〜なので、なぜならば)や tial, ke ~(〜という理由で)などを使う。ただ、この構造だと当然だがもはや関係詞文とは言えない。

tial, ke ~ の形については「ke 節の説明的用法」の項を参照。

先行詞の省略

先行詞が ti- で始まる指示詞の場合、先行詞を省略することが可能な場合があり、しばしば先行詞を欠いた関係詞文を見かける。特に kie, kiam による関係詞節の先行詞を欠いた形は、そのまま場所・時を表す普通の副詞節になる。

kio
pren-i 手に取る、得る / forges-i 忘れる / rev-i 夢想する / jun-ec-o 若い頃、若さ ← 若い+特性を表す接尾辞

上の文の tion は具体的なものを指しているわけではないので省略することができる。つまり関係詞の kio に対応する先行詞のデフォルトは tio ということのようだ。言葉は省けるものはできるだけ省くものなので、デフォルトは省略するということのようだ。しかし、対格語尾のついた tion を省略すると、何が目的語が一目で分からないので、意味を即座に理解しにくくなると思う。しかし省略した文をよく見かける。

kiu
erar-i 誤る

この文は先行詞が関係詞の後ろに来ている(同じ構造の主節と関係節が並列に配置されている関係詞文)。 語順を変えて Tiuj, kiuj ne faras, ne eraras. のようにすると関係詞文であることがはっきりする。1種の諺なのでリズムを気にしてこの順にしてあるのだろう。tiu は具体的な個人を指すものではないので、省略することが可能だ。tiuj は主節の主語なので省略しない方が良いと思うのだが、実際には省略されることも多いようだ。

kia
  1. Mi aĉetis por vi veston [tian], kian vi verŝajne ŝatas. あなたが好きそうな服を買ってきてあげたよ。
  2. Tiu ĉi libro estas tia, kian oni ne povas trovi nuntempe. この本は今どき見つけることのできないようなものだ。
ver-ŝajn-e 多分・おそらく ← 本当+〜のような / trov-i 見つける

1. の文の tia は特定のもの指さないのでしばしば省略可能だ。2. の文の tia は省略できないように思える。なぜなら主節は繋ぎ動詞による主語の叙述文だが、繋ぎ動詞は叙述語(主格の形容詞・名詞もしくは副詞)を必要とするからである。しかし省略されることもあるかもしれない。

kie
  1. Geknaboj*, ne ludu [tie,] kie estas danĝere. 子供達、危ないところで遊んではダメですよ。
  2. Kie fumo leviĝas, [tie] fajro troviĝas. 煙が昇るところには火がある。
  3. Metu medikamentojn tien, kie infanoj ne trovos ilin. 薬は子供達が見つけられないところに置きなさい。
ge-knab-o-j 子供達(両性+少年+複数形語尾)/ lud-i 遊ぶ / danĝer-e 危険な / fum-o 煙 / lev-iĝ-i 上がる、昇る ← 上げる+自動詞化 / fajr-o 火、火事 / trov-iĝ-i 存在する ← 見つける+自動詞化 / met-i 置く / medikament-o 薬 / infan-o 子供 / trov-i 見つける

* ge は男性女性が混じったペアや複数の人を指すので、複数形語尾を付ける。

1. の文は特定の場所に言及していないので tie は省略できる。2. の文は先行詞が関係詞の後ろに来ている。Fajro troviĝas [tie], kie fumo leviĝas. と語順を変えると関係詞文であることがはっきりする。2. も tie を省略することができる。一種の諺だろうから、リズムを配慮して残す方が調子が良いかもしれないが... 。 1. や 2. の tie を省略すると、kie 以下は普通の場所を表す副詞節になる。リズムや語順などを気にするのでなければ、tie を残すと冗長な表現と言えるのかも知れない。

3. は別の場所からどこかに移動して置くので tien と対格になっている。従属節の方は「その場所で見つける」ので対格にする必要がない。この場合は tien を省略すべきではないと思われる。

kiam
for-est-i 不在である ← 離れて+居る / ĝust-e ちょうど / el-ir-i 出る ← 〜の中から+行く / gant-ist-o 手袋+職業人 / mort-i 死ぬ / viv-i 生きる、暮らす / sol-a 一人の、一人で、たった一つの / atend-i 待つ / ĝis[前]〜まで、〜までに / alven-i やって来る、到着する ← 〜に+来る

tiam も省略されることが多く、普通の時を表す副詞節として使われる。

最後の ĝis [tiam, ] kiam li alvenis の場合、ĝis 自体が接続詞なので「〜が〜するまで」というように節を従えることができる。したがって、 [tiam, ] kiam ごと省いて単に、ĝis li alvenis とするのが普通で、入れると冗長になる。

kie, kiam についての注意点

kie 従属節や kiam 従属節を使う文は、二通りの意味に解釈できる場合がある。

sid-i 坐っている、腰掛けている / al-ven-i やって来る、到着する ← 〜へ+来る

文脈で判断できることが多いだろうが、下のように書くなどして正確に意味を伝えなければならないこともあるだろう。

  1. Li demandis ŝin tie, kie ŝi sidis. 彼は彼女が坐っていたところで尋ねた。
  2. Li demandis ŝin pri tio, kie ŝi sidis. 彼は彼女がどこに坐っていたのか(ということについて)尋ねた。
  3. Li demandis ŝin tiam, kiam ŝi alvenis. 彼は彼女がやって来た時尋ねた。
  4. Li demandis ŝin pri tio, kiam ŝi alvenis. 彼は彼女に何時やって来たのか(ということについて)尋ねた。
pri[前]〜ついて

1. と 3. は関係詞節(副詞節)で、2. と 4. は疑問の名詞節である。

kiel, kiom

kiel は動詞に係って方法や様子を説明するが、形容詞や副詞に係ってその程度も説明する。kiom は数量を説明するが、多さや少なさを強調したり比較する意味でも使う。そういった場合は tiel や tiom を省略しない方が良い場合もありそうに思える。

なお、kiel はしばしば節内の重要でない文の要素がしばしば省略されるという特徴がある。

grimp-i よじ登る / simio 猿 / vol-i 欲する / manĝ-i 食べる
kial

kial 関係詞節の場合、そもそも tial が先行詞になることはほとんどないことについては、すでに書いた。

kiel の特殊な用法

kiel が導く従属節では、節内の重要でない文の要素がしばしば省略されることはすでに書いたが、その他に(関係詞節とは限らないが)、特殊な意味を表したり(本来 kiel が表す内容つまり方法や様子ではない)、特殊な使い方をすることがある。

役割、立場、認識などを表す。

  1. Li venis kiel gvidanto. 彼は案内人としてやって来た。
  2. Mi lernas la anglan lingvon kiel ŝatokupon. 英語を趣味として勉強している。
  3. Mi ne ŝatas lin kiel patron. 彼を父としては好きではない。
  4. La hundo estas por ŝi kiel familiano. その犬は彼女にとって家族のようなものだ。
  5. [...] ili rigardas la ideon de lingvo internacia kiel sensencan infanan fantazion. 彼らは国際語のアイデアを意味のない子供の夢物語と見做す。
  6. Goo estas konsiderata kiel la plej malnova tabuloludo en la mondo. 碁は世界でもっとも古いテーブル・ゲームと考えられている。
gvid-ant-o 案内人 ← 案内する+している人 / ŝat-okup-o 趣味 ← 好きな+仕事 / ŝat-i 好む、価値を認める / hund-o 犬 / por[前]〜とって / famili-an-o 家族 ← 家族+構成員 / rigard-i 見る、見做す、考える / ide-o アイデア、観念 / inter-naci-a 国際的な ← 間+国、民族 / sen-senc-a 無意味な ← 欠けた+意味 / fantazi-o 夢想 / go-o 囲碁 / konsider-i 見做す、考察する / tabulo-lud-o テーブル・ゲーム ← 盤+遊び

このような使い方では、2. 3. 5. のように kiel ~ によって説明されるものが主節の動詞の目的語の場合、kiel ~ の「〜」も対格にする必要がある。

例や典型、時間、書かれている場所などを示すことで、ある内容全体を漠然と指示する。

jam[副小]すでに / last-a 最後の、最近の / jar-o 年 / ĉi-sub-e 以下に ← 近くの+下に

上のような使い方の場合、先行詞と関係詞が対にならないことがある。

  1. Mi ne ŝatas (tian) homon, kiel li. (≒ kia li estas) 彼のような人は好きではありません。
  2. Ŝi vestis sin per tia(la) sama vesto, kiel tiam. 彼女はその時と同じような(同じ)服を着た。
  3. La uzado de "la" estas tia sama, kiel en la aliaj lingvoj. "la"(冠詞)の使用は他の言語(の場合)と同じである。
  4. La knabo manĝas tiom multe, kiel lia patro(≒ kiom multe lia patro manĝas). その男の子は父親のように沢山食べる。
vest-i (服を)着せる、装う / uz-ad-o 使用 ← 使う+継続 / ali-a 他の

例えば、tia の内容を関係詞節で示す時(先行詞である tia はしばしば省略される)、本来なら関係詞に kia を使うところだが、関係詞節の動詞を省略すると kiel が使われるようである。この場合(役割を示す場合と違って) 1. のように kiel ~ によって説明されるものが主節の動詞の目的語であっても、kiel ~ の「〜」は主格のままである。つまり kiel lin とはしない。

このような kiel の使い方を挙げてみたが、細かく言うともっと多彩な使われ方をするのかもしれない。

比較

比較級、最上級、等級などの比較表現を見ていくことにする。エスペラントでは英語の bigger とか biggest のように比較表現のために形容詞や副詞の語形が変化するということはない。

比較級

granda(大きい)の比較級は pli granda になる。multe(多く)の比較級は pli multe になる。比較級は、常に形容詞や副詞の前に pli(より、もっと)を置く。pli が直接動詞に係る場合もある。比較対象には接続詞の ol(〜より) や前置詞の el(〜のうちで) を使う。

or-o 金(きん)/ kara 高価な、貴重な / diamant-o ダイヤモンド

「〜よりもっと〜だ」という表現には ol(接続詞)が使われる。厳密に2つのものを較べると、一方が特定のものに限定されるので、pli に冠詞を付けるとされている。

rat-o ドブネズミ / du 2、2つの、2人の / pom-o りんご / bon-gust-a おいしい ← 良い+味

pli bongusta は名詞を修飾しているのではなく、叙述しているのだから、la を付ける必要はなさそうに思われるが、付けるのが普通のようだ。

比較対象に前置詞の el(〜のうちで)を使うこともある。下のような例でも pli に冠詞を付けるべきだろう。

aŭto 自動車 / el [前]〜の内から(から取り出す) / nova 新しい

副詞の比較と ol のはたらき:

  1. Ŝi lernas la anglan (lingvon)* pli diligente, ol mi. 彼女は私より英語を一生懸命学習する。
  2. Ŝi lernas la anglan pli diligente, ol ŝia fratino. 彼女は彼女の(自分の)姉(妹)より英語を一生懸命学習する。
  3. Ŝi lernas la anglan pli diligente, ol la hispanan. 彼女はスペイン語より英語をより一生懸命学習する。
lern-i 学ぶ / angl-a 英国の、英国人の / lingv-o 言語 / diligent-e 勤勉に / hisapan-a スペインの、スペイン人の

*「英語」は la angla lingvo(= language) と表せるが、言語名を表す際、 lingvo は省略されることが多い。

ol は接続詞なので後ろに置かれているものは文である(ol が導く従属節)。ol 節では、節内の暗黙に了解される語句はしばしば省略される。

例文 1. の ol 節は下の例文の ol 節を省略したものである。つまり、ol mi の mi は ol 節の主語である。

  1. Ŝi lernas la anglan (lingvon) pli diligente, ol mi. 彼女は彼女の(自分の)姉(妹)より英語を一生懸命学習する。
    = Ŝi lernas la anglan pli diligente, ol mi (lernas la anglan diligente).

例文2. は、彼女と自分の姉妹を比べているので、ol sia siratino と再帰代名詞を使ってしまいそうだが、ŝia でなければならない。なぜなら ol ŝia fratino の ŝia fratino は ol 節の主語なので、再帰代名詞は使えない。

  1. Ŝi lernas la anglan pli diligente, ol ŝia fratino. 彼女は彼女の(自分の)姉(妹)より英語を一生懸命学習する。
    = Ŝi lernas la anglan pli diligente, ol ŝia fratino (lernas la anglan diligente).

例文3. は目的語を比較しているので、比較対象にされているものは ol 節内でも対格で表される。

  1. Ŝi lernas la anglan pli diligente, ol la hispanan. 彼女はスペイン語より英語をより一生懸命学習する。
    = Ŝi lernas la anglan pli diligente, ol (ŝi lernas) la hispanan (diligente).

pli が動詞に係る場合:

行為の評価をするような場合、pli が動詞に係る場合がある。「〜するより〜する方をより好む」といった表現である。この場合、比較される行為にはしばしば不定詞が使われることになる。ol の後ろに置かれているものは単なる語句ではなく文であるが、ol 節の主語が主節の主語と同じで、かつ主語を省略する場合、ol 節の動詞にはしばしば不定詞が使われる。

ekzerc-i 練習させる、訓練する / korp-o 体 / isport-o スポーツ / diet-i 食事療法をする / ŝat-i 好む、価値を認める / toler-i 辛抱する,耐え忍ぶ / perfid-i 裏切る / prefer-e むしろ、好んで、なるべく

何かをより好むとか、何かを好みや評価によって選択する場合、pli を使わず preferi(〜の方を好む、〜の方を選ぶ)という動詞を使ったり、ol の代わりに prefere ol や prefere al(〜よりも好んで) として pli を省略する言い方がある。prefere al の al は奇妙な使い方に思えるが、語源的に「〜を〜の前に運んでくる」という意味から来ているからそうなるようだ。

aviad-il-o 飛行機 ← 飛行機で飛ぶ+道具 / ŝip-o 船

典型的な比較の文ではないが、「〜するより前に」には、「antaŭ ol 不定詞」の形が習慣的によく使われる。ちなみに「〜した後に(で)」には “post kiam 〜” がよく使われる。「post ol 不定詞」が全くと言っていい程使われないのは習慣上の理由によると思われる。

「antaŭ ol 不定詞」が使えるのは、例文のように主節の主語と、ol 節内の不定詞の意味上の主語が同じでかつ ol 節の主語を省略する場合である(不定詞は文法上の主語を持たない)。

for-ir-i[自]場所から離れる、出かける ← 離れて+行く / ŝlos-i 鍵をかける / pord-o ドア

劣等比較級には pli の代わりに malpli を使う。

pan-o パン / freŝ-a 新鮮な / bicikl-o 自転車 / vetur-i 乗り物で行く、運行する

比較表現ではないが、plimulto(より大きな部分、より多くの数量、過半数、マジョリティ)といったよく使われる表現(pli を使った合成語)がある。

loĝ-ant-ar-o 住民 ← 住む+している+集合 / aprob-i 賛成する、是認する

pli kaj pli, pli aŭ malpli, pli-malpli といった慣用句や合成語がある。

pli kaj pli 段々と、ますます / pli aŭ malpli, pli-malpli 多かれ少なかれ、多少とも、だいたい
最上級

最上級は形容詞や副詞の前に plej を置く。比較の範囲には前置詞 en(〜の中で) を、比較対象(〜のうちで)には前置詞 el を使う。

mal-jun-a 年長の、年老いた / jun-a 若い / frat-o 兄まはた弟 / diligent-e 勤勉に / klas-o クラス、階級、生物学上の綱

通常、最上級の形容詞には普通、la を付け la plej ~ とするようだ。(形容詞が名詞の修飾語でなく、叙述語であっても la を付ける理由はよく分からないが、とにかくそうするようだ。)ただし常に plej は常に la が付けられるという訳でもない。

bon-gust-a 美味しい ← 良い+味

この場合は具体的に何かと比較しているわけではなく、「最高に」「これ以上ないほど」といったような意味合いで最大限に強調しているだけである。

「2番目に最も」と言うときは、la due plej ~(due: 2番目に)もしくは la dua plej ~ (dua: 2番目の)とする。「2番目に」は直接名詞に係るのではなく「最も」にかかるので、due の方が合理的に思えるが、どうやら一部の国の人は dua の方を好むようだ。

mont-o 山 / alt-a 高い / japan-uj-o 日本 ← 日本人+容れ物(japanio という言い方もある)

劣等最上級は plej の代わりに malplej を使う。

taŭg-a 適している、有用な

比較表現ではないが、plej を使った合成語や慣用句がある。

plejmulto (大部分、大多数)といった表現がよく使われる。

loĝ-ant-ar-o 住民 ← 住む+している+集合 / aprob-i 賛成する、是認する

kiel eble plej, plejeble, laŭeble plej (できるだけ)といった慣用句や合成語がある。

ebl-e 可能な、ありえる / laŭ[前]~に従って、〜に沿って
等級

等級は、tiel ~, kiel ~ (〜のように、そのように〜)で表す。

mal-mol-a 固い ← 反対+柔らかい

同等さを強調する意味で same kiel, samkiel などとすることもある。

  1. La knabino estas tiel malafabla, kiel ŝia patrino. その女の子は自分のお母さんと同じぐらい愛想が悪い。
  2. Mia onklino tiel amas ŝin, kiel sian filinon. 私のおばは彼女を自分の娘と同じように愛しています。
mal-afabl-a 愛想が悪い ← 反対+愛想のよい / onkl-in-o 叔母、伯母

例文 1. の kiel ŝia patrino は kiel sia patrino と再帰代名詞を使ってしまいそうだが、ŝia でなければならない。これは比較級の場合の ol と同じで、kiel が導く従属節の主語に再帰代名詞を使うことができないからである。1. は下の文の省略表現である。

  1. La knabino estas tiel malafabla, kiel ŝia patrino. その女の子は自分のお母さんと同じぐらい愛想が悪い。
    = La knabino tiel malafabla, kiel ŝia patrino (estas malafabla).

例文 2. は 目的語を比較しているから、sian filinon と再帰代名詞が使われる。

  1. Mia onklino tiel amas ŝin, kiel sian filinon. 私のおばは彼女を自分の娘と同じように愛しています。
    = Mia onklino tiel amas ŝin, kiel (ŝi amas) sian filinon.

kiel 節や ol 節の再帰代名詞についてはコチラにまとめた

tiel ~, kiel ~ 以外に、数量や程度について比較する場合、tiom (da) 〜, kiom (da) 〜 が使える。ただし、kiom 節を比較対象とする場合、通常の完全な文では、kiel のように節内の意味的に重要でない文の要を省略することはない(例:動詞の省略)。前置詞 da の使い方については、[数と前置詞 da]にまとめた。

  1. La knabo laboris tiom multe, kiom (multe) lia patro laboras. その男の子は父親と同じくらい沢山働きました。
  2. Hodiaŭ la knabo laboris tiom multe, kiom (multe) li laboris hieraŭ. その男の子は昨日と同じくらい沢山働きました。
  3. Mi havas tiom multe da libroj, kiom (multe da libroj) vi havas. 私はあなたが持っているのと同じぐらいの(数の)本を持っています。
  4. Kiom da kapoj, tiom da opinioj. 頭の数だけ意見がある。
labor-i 働く / hav-i 持っている / kap-o 頭 / opini-o 考え、見解

4. は諺なので調子を整えるために存在を表す述語動詞を省略している(Estas tiom da opinioj, kiom da kapoij estas.)。

再帰代名詞

再帰代名詞は主語と同一の人物・同一の事物を指す。したがって特殊な場合を除いて主語の中では使われることはない。単純な文ではこの原則を知っていれば済むのだが、実際にはなかなか手こずる。その理由は、複文などでは節ごとに独立した主語が複数存在し、再帰代名詞はそれを含んでいる節の主語を指す、また修飾句の中にある再帰代名詞はその句の範囲内の意味上の主語を指す、といったことがあるからである。修飾句の中の再帰代名詞はともかく、従属節の中の再帰代名詞が何を指すかは簡単に分かるだとうと思えるのだが、実際は間違えることも多い。

日本語で、「彼女は自分を描いている男に話しかけた」という文の全体の主語(主節の主語)は「彼女」だが、「自分を」が「彼女」のことを言っているのか「男」のことを言っているのか曖昧である。この文をエスペラントの複文(関係詞文)で表してみる。

  1. Ŝi alparolis al la viro, kiu pentras sin. 彼女は自分を描いている男に話しかけた。
  2. Ŝi alparolis al la viro, kiu pentras ŝin. 彼女は彼女を描いている男に話しかけた。
al-parol-i 話しかける ← 〜へ+話す
再帰代名詞と3人称代名詞を使った2通りの文ができる。どちらの文も関係詞節の主語(pentras の主語)は kiu で、これは先行詞の la viro のことである。再帰代名詞は「再帰代名詞を含んでいる節の主語を指す」ので 1. の文の sin は kiu つまり 先行詞 la viro を指す。2. の ŝin は la viro からみた第三者の女性、つまり主節の主語の Ŝi を指すことになる。(文法的に厳密に言えば主節の主語以外の他の女性を指している可能性もあるはずだが、常識的にそう判断するのであろう。混乱をもたらすと思われる場合は相応の表現上の手段を講じるのがマナーなのであろう。)また、同じ内容の文を修飾句を使って表すと、
  1. Ŝi alparolis al la viro pentranta sin. 彼女は自分を描いている男に話しかけた。
  2. Ŝi alparolis al la viro pentranta ŝin. 彼女は彼女を描いている男に話しかけた。
pentr-ant-a[分詞形容詞] 描いている ← 描く+〜している
のように表せる。pentranta sin という分詞形容詞句は la viro に係るので、この句の意味上の主語(pentri の行為者)は la viro である。再帰代名詞は「修飾句内の意味上の主語を指す」ので 1. の文の sin は la viro を指す。2. の ŝin は la viro からみた第三者の女性、つまり文全体(主節)の主語の ŝi を指すことになる。

上の例は比較的分かりやすい例で、実際にもっと紛らわしい場合がある。注意すべき点を別ページにまとめてみた。

目的語の叙述文 -- 目的語が不定詞句や従属節の場合

主語の叙述文つまり SVC の構文では、 S が不定詞句や従属節なら C は副詞になる。では目的語の叙述文つまり SVOC の構文で、O が不定詞句や従属節でも C は副詞でよいのか、ということについて。少しややこしいのでコチラにまとめてみた

接続詞

等位接続詞

等位接続詞は文法上対等の関係にある「 語と語 」 「 句と句 」 「 節と節 」 を結び付ける。等位接続詞には、kaj(〜と、そして)、aŭ(または、さもなくば)、sed(〜ではなく、しかし)、nek(〜でもない、〜もまた〜ない)の4つがある。

krajon-o 鉛筆 / kajer-o ノート / plum-o ペン

park-o 公園 / lern-o 学習 / amuz-o 楽しみ / naĝ-i 泳ぐ / akv-o 水 / flug-i 飛ぶ / aer-o 空気

bird-o 鳥 / vizit-i 訪ねる / problem-o 問題 / solv-i 解く / dorm-i眠る

kaj, aŭ, nek は、kaj ~ kaj ~、aŭ 〜 aŭ 〜、nek ~ nek ~ のように繰り返す言い方ができる。

labor-i 働く / koler-iĝ-i 怒り出す ← koreli 怒っている / ek-plor-i 泣き出す ← 始める+泣く / fum-i タバコを吸う(他動詞)、煙が出る(自動詞)/ drink-i 酒を飲む

kaj と aŭ は「そうすれば」「さもなくば」という意味でも使われる。

pen-i 苦労する / sukces-i 成功する / plor-i 泣く / plu さらに、引き続き / bat-i 叩く

従属接続詞

従属接続詞は従属節を導くが、従属節は主節と対等ではなく、主節の一部を構成する要素としてはたらく。従属接続詞には下のようなものがある。

apenaŭ
~するやいなや(時間的制約)
dum
~する間に(時間的制約)、〜する一方で(対比)
ĝis
~するまで、〜するまでに(時間的制約)、〜まで(場所)
ĉar
~なので(理由)
kvankam
~だけれども、〜にもかかわらず(逆説)、malgraŭ ke と同じ(malgraŭ は前置詞)
kvazaŭ
まるで~であるかのように(類比)
ol
〜よりも(ekz. pli ~ ol ~)、〜と較べて(ekz. alia ol, antaŭ ol)(比較)
se
もし~なら(条件・仮定)
ke
ということ、〜と(名詞節)、他多用途
ĉu
かどうかということ、〜かと(名詞節)、〜であれ〜であれ(ĉu ~, ĉu ~ 譲歩)
tondr-i 雷鳴する(無主語)/ ek-pluv-i 雨が降り始める(無主語) / infan-o 幼児 / dorm-i 眠る / pian-o ピアノ / kontent-a 満足している / lern-i 学ぶ / prakt-i 実践する / pov-i できる / atend-i 待つ / reven-i 帰る / hieraŭ [小辞]昨日 / mal-san-a 不健康な / ir-i 行く / labor-ej-o 仕事場 / vid-i 見る、目に入る / scen-o シーン / golf-o ゴルフ / sci-ig-i 知らせる / kun-sid-o 会合 / hav-i 持っている / dub-o 疑念 / ver-a 本当の

* vidis(vidus): 実際には見てないので -us を使いそうだが、直接法もしばしば使われるようだ。
** eĉ は se とともに eĉ se, se eĉ のように使われ、「例え〜であろうとも」という意味を表す。

数と前置詞 da

da は数量に関わる前置詞である。準備として数に関することをザッと。

数詞と数名詞

数を表すには 0 〜 9, 十, 百, 千 の数詞*と千進単位の(千の階乗)の数名詞を使う。

数詞

数名詞

*このまとめでは、0nul を含めて数量を表す単語のうち、語根のまま使われる小辞を数詞と呼び、千進桁を表す名詞を数名詞と呼んでいる。 0 はもともと数名詞 nulo の形で使われていたが、今日では名詞語尾を脱落させて数詞 nul の形でも使われているという実状がある。

実は数名詞は、いくつかの異なる名詞が使われているようだ。[参照]。前記参照サイトには一番右側が推奨されていると書かれていますが、誰が推奨しているのか分からない。アカデミオの公式語根には milion(10002) と miliard(10003)が登録されているだけだ。10004以上の数名詞については公式語根はないようだ。-ilion- や -iliard- といった接尾辞っぽいものも見られが、これも公式の接尾辞ではない。なんだか頼りないが、これ以上のことははっきり言えないようだ。大多数が支持する表記がいずれ定着するというのが自然な流れだと思うのだが、巨大な数字を扱う機会が少ないこともあってか、どの表記にするか確立していないようだ。このあたりのことについてはあまり良く知らないのでご教示いただけると有難い。

科学用語レベルのマクロやミクロの数字についても省略した。[参照]

999,999 までの数字は、数詞を単純に繋げて表す。

al-iĝ-int-o 加入者 ← 加入する+完了+人 / eno 円 / loĝ-ant-o 住民・住人

通常 10 は dek、100 は cent と言ったり書いたりする。つまり unudek とか unucent のように unu(1) を付けないのが普通のようだ。

24 は dudek kvar、365 は tricent sesdek kvin のように書く。つまり、10 の桁、100の桁でスペースを入れる。365,000 は tricent sesdek kvin mil のように書く。

1,000,000 以上の数は数詞と数名詞を組み合わせて表す。数名詞は名詞なので必要に応じて複数形にする。

ちなみに、3桁ごとの区切り記号や小数点も各国で違っているようだが、これもどの方式が公式に採用されているのかはっきりしない。例えば「小数点」を Plena Ilustrita Vortaro という辞書で調べると、decimala punkto(小数点) decimala komo(少数コンマ)の両方が載っている。よく知らないが、フランス式がよく使われているように伺える。

日本・米国 123,456.789
ドイツ 123.456,789
フランス 123 456,789
数詞と語尾

数詞に名詞語尾を付けて名詞として使うこともある。また、合成語を作ったりもする。

long-ec-o 長さ ← 長い+性質

数詞に形容詞語尾や副詞語尾をつけると序数として使える。序数を形容詞で使うときは多くの場合 la を付ける。

mart-o 3月 / hor-o 〜時、1時間 / al-ven-i 到着する / unu-e 第1に、まず

前置詞 da

液体、気体、粒子状のものなど1つ2つと数えられない名詞(不加算名詞)は容れ物などを使って数量を表すことができる。この場合、前置詞 da を使う。可算名詞であっても、群れなどの集合を表す名詞を使って数量を表すことができる。この場合も da を使う。

tas-o カップ / botel-o 瓶 / glas-o グラス / pec-o 切片 / mas-o 塊り / amas-o 群れ / kvar 4 / kilogram-o キログラム / akv-o 水 / kvin 5 / metr-o メートル / ŝtof-o 布 / kelk-a いくつかの / cent-o 10(名詞)/ jar-o 年 / dek-du-o ダース krajon-o 鉛筆 / mont-o 山 / or-o 金(きん)

上の例のように、「〜 + da + 名詞」 の 〜 の部分には普通、容れ物、切片、塊り、群れ、集合名詞、単位、数量名詞(数詞に -o を付けたもの)などの名詞が来る。ときに比喩的に使える名詞が来ることもある。

「〜 + da + 名詞」の形をした句が目的語のとき、da の後ろの名詞は対格にない。この句の構文上の中心になる語句、つまり da の前の名詞を対格にする。

botel-o 瓶 / bier-o ビール / gajn-i 勝ち取る、(運や偶然によって)手に入れる / mont-o 山 / or-o 金(きん)

「〜 + da + 名詞」 の 〜 の部分に、multe, kelke, sufiĉe などの副詞、iom, tiom などの副詞的小辞が使われることがある。このとき「〜 + da + 名詞」の形の句は全体として名詞としてはたらくので、主語や目的語にすることができる。この句の中心となる語は da の前の副詞もしくは副詞的小辞であるが、この形の句が目的語であっても副詞や副詞的小辞を対格にするということはない。

mult-e[副]多く / kelk-e[副] いくらか / mal-mult-e[副] 少し / kelk-e[副]いくらか / mon-o お金 / tiom[副小]それほどの数量の / laŭd-o 賞賛 / rice-v-i 受ける / sufiĉ-e[副]十分な / klar-ig-i 説明する ← 明らかな+他動詞化 / mult-e[副]多く / vort-o 単語、言葉

ただし「数量を表す副詞・副詞的小辞 + da + 名詞」の形が全体として副詞的にはたらく場合もある。

minut-o 分 / atend-i 待つ

Kiom da minutoj を名詞相当と捉えて kiom の前に dum(〜の間に)を入れてある文も見かけるが、実際には dum を入れない形がよく使われるようだ。この場合 Kiom da minutoj は全体として副詞的にはたらいていると捉えるべきだろう。

液体などは1つ2つと数えられないが、biero(ビール)とか vino(ワイン)を「種類」という点に着目すると実は複数形を使って数えることができる。

met-i 置く / sur[前]〜の上に / mult-a 多くの / vin-o ワイン

po, -op-, -obl-, -on-

未稿

前置詞 je と対格

je はピッタリくる前置詞が無いとき汎用的に使える前置詞で、「汎用前置詞」とか「融通前置詞」と呼ばれる。長い年月をかけて je を使う場面は徐々に固定してきているが、それでも je がないと困る場面もある。

時点、回数、度量

ellitiĝi 起床する ← 中から+寝床+自動詞化 / hor-o 時刻、時間 / foj-o 回 / metr-o メートル / ŝtof-o 布地 / distanc-a 離れた / buso-halt-ej-o バス停 ← バス+止まる+場所 / pak-aĵ-o 荷物 ← 梱包する+物 / pez-a 重い / kilogram-o キログラム

je を使うその他の表現

sen-ig-i 無くす、取り去る / arb-o 木 / foli-o 葉 / riĉ-a 豊かな / sopir-i 憧れる / bel-o 美 / kred-i 信じる / mal-san-iĝ-i 病気になる ← 反対+健康な+なる / sufer-i[自]苦しむ / kap-dolor-o 頭痛 / kontent-a 満足している / sort-o 運、巡り合わせ / okup-iĝ-i 専念している / kudr-ad-o 縫製 / brust-o 胸 / kapt-i 掴む、掴まえる / brak-o 腕

je 前置詞句は対格で言い換えることができる。例えば je la sepa horo(7時に) は la sepan horon と言い換えることができる。この対格は目的語とは全く関係がない。上の例文中の je 前置詞句は理論上すべて対格に置き換えることができる。下の例文に出て来る動詞はどちらも自動詞なので文中に目的語はないが、文中に対格に語形変化した名詞がある。

sufer-i 苦しむ / kap-dolor-o 頭痛

冠詞

日本人にとって冠詞を使いこなすのは難しいことだが、実は「エスペラントの基礎」に下のように書かれている。

La personoj, kiuj ne komprenas la uzadon de la artikolo (ekzemple rusoj aŭ poloj, kiuj ne scias alian lingvon krom sia propra), povas en la unua tempo tute ne uzi la artikolon, ĉar ĝi estas oportuna sed ne necesa.

冠詞の使い方を理解できない人たち(例えば自国語以外の他の言語を知らないロシア人やポーランド人)は、始めのうちは冠詞を全く使わなくても構わない。なぜならそれは便利だが必要ではないからである。

学習書や学習サイトでこのことに触れていないものが多いように思われる。しかし「エスペランの基礎」にこう書かれているのですから、だれでも承知しておくべきではないだろうか。

エスペラントの冠詞はがんじがらめの規則ではなく、物事を正確に伝えたり、あるいは冗長な言い回し、非効率な繰り返しをさけるための便利な道具として使えばよい、という意味に受け取るべきではないかと思われる。

自分もうまく使えてはいないのだが、冠詞を使う場面を一応まとめてみた。

総称、典型、種類

時制と相

これについては、いんみ〜氏の「時制の一致」や阪直氏の「時制」「動詞の相(アスペクト)」のページを参照にさせていただいた。(両氏のページはいずれも代用文字が使ってあって読みにくにかったり、HTMLの文字コード指定の不備で文字化けを起こしていたりするので、自分のサイトに符号付き文字に変換したものを設置させていただいた。著作権上の問題があったらお知らせください。)

造語法 -- 接辞

よく整理された、接頭辞・接尾辞・語尾はエスペラントの優れた点のひとつだと思われる。少ない語根から多くの単語が生み出されているので、1つの単語を知ればそれに付随して関連する単語群を同時に習得することができる。また、エスペラントの使用者は新たに合成語を作り出すことが許されている。

造語を扱う上で注意しなければならないことは、2つ以上の単語や接辞を合成して1語にしたら、多くの場合新しく定義されるべき固定した意味を持つようになるということである。特に、形容詞 + 名詞 を1語にするときは注意が必要である。例えば、homo(人)+ ar(集合)+ o は、たまたまの「群衆」の意味ではなく「人類」という固定した意味で定着している。dik(太い)+ fingr(指)+ o は「太い指」を指すのではなく「親指」を指す。

コチラに接辞の一覧をまとめてみた。

以下未稿。


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